自社の人材戦略に合わせて3段階のスカウト機能を使い分け
――はじめに御社が運営されている『キミスカ』についてご紹介ください。
木村 『キミスカ』は、自己PRや適性検査等を登録している学生に企業が直接アプローチする新卒向けのダイレクトリクルーティングシステムです。企業側は専用の検索画面から希望する人物像の条件設定を行い、検索を実施。気になる学生が見つかったら、スカウトメールを送ってアプローチを開始します。そして学生から返答が来たら、面接日時の調整、面接の実施、内定承諾の管理など、これら一連の作業をシステム上でワンストップに行うことが可能です。
『キミスカ』には、レコメンド検索や適性検査、説明会・面接管理、スカウト分析、内定者フォロー、AIスカウト生成といった機能があり、これらを組み合わせることで、より効率的な採用活動が実現できます。
――競合サービスが増えている中、『キミスカ』ならではの強みや独自性、差別化ポイントは何だと思われますか?
木村 『キミスカ』のスカウトには「ゴールド」「シルバー」「ノーマル」の3種類があり、上から順に企業の本気度が伝わりやすいのが特徴です。中でも「ゴールド」と「シルバー」は送信数が限られているため、企業からの熱意が示しやすく、例えば月に50通までしか送れない「ゴールド」では、エントリー率36.1%、開封率76.9%という数字が出ています。このような特別感を示すことで、企業の規模や知名度に関わらず、来てもらいたい学生の採用機会につなげられるというところが大きな特徴と言えます。
さらに充実した検索機能も強みの一つです。大学名や自己PRといった基本的な情報以外にも「希望業種・職種」「求める社風」「会社選びの軸」「選考状況」「グローバル人材志向」「プログラミング使用言語」など30以上の項目で絞り込み検索が可能になっています。
例えば飲食店でのアルバイト経験者を探す際、「スターバックス」で働いている人はコミュニケーション力やホスピタリティが高い、というイメージをお持ちの採用担当者の方は多いと思います。そこで「スターバックス」というワードでテキスト検索をかけると、ピンポイントでその経験者を抽出できるなど、よりニッチな条件で特定の層へアプローチすることができるのです。
――御社はこの市場にいち早く参入されましたが、現在、新卒向けのダイレクトリクルーティング市場はどのような状況でしょうか?
木村 ダイレクトリクルーティングサービスの提供会社が増加する一方、学生側は人数や行動量が年々減少傾向にあるため、登録者の獲得競争は非常に激しくなっています。
こうした状況を受け、弊社でも企業と学生の双方へのアプローチを強化し、営業とマーケティング活動に一層注力しているところです。

競合との共催セミナーを通じ、新たな顧客層にアプローチする
――御社の中でマーケティングの役割はどのように位置づけていますか?また課題感などがあれば聞かせてください。
木村 弊社におけるマーケティングの役割といえば、やはり新規のリードを獲得することです。全体的な流れとして、まずマーケティンググループが自社で開催したセミナー、もしくはHRプロのような外部の媒体やカンファレンスなどを通じてリードを獲得し、それをインサイドセールスが共有してアポイントを取り、最終的にフィールドセールスに渡しています。そうした中、単に数を取るだけでなく、いかにアポイントや商談につながりやすい質の高いリードを取るか、というところは大きな課題と言えます。
――質の高いリードを獲得するために、具体的にどのようなマーケティング施策を行っているのでしょうか?
木村 最も効果的なのは、やはりセミナーですね。特に代表の加藤が登壇して話をすると、そこで接点を持った企業の方に親近感を持っていただき、真剣に検討していただけるので、結果的に質の高いリードにつながりやすいように感じます。
なかでも昨年の夏にダイレクトリクルーティングサービスを提供している競合4社で共催したセミナーは、非常に大きな手応えが得られました。一度に複数のサービスの話が聞けて、その場で比較検討もできるため参加者からの評判が良く、私たちにとっても、単独開催より多くの集客が見込めるうえ、各社で集めたリードを共有できるというメリットがあります。
ライバル関係ではありますが、お互いリード獲得に苦戦している状況は同じです。リソースの相互活用を進めるため、そして業界を盛り上げるという意味でも、引き続きさまざまな企画で共創していきたいと思っています。
――現在マーケティンググループの体制はどのようになっているのでしょうか?
木村 マーケティンググループのメンバーは現在5名です。以前は企業向けと学生向けでチームが分かれており、企業向けのマーケティングを担当していたのは基本的に私だけでした。しかし、この秋に体制を見直し、チームの枠をなくして全員が同じグループとして活動するようにしました。これにより、企業へのアプローチをより強化できると考えています。ただし現状ではセミナーの企画などを一人で考えることも多く、その点ではHRプロの皆さんに伴走いただけるのがとても心強いですね。
新しい情報を発信し続けるHRプロだから「感度の高い企業」に訴求しやすい

――長年にわたりHRプロをご活用いただいていますが、ここで改めて現在の活用状況を聞かせてください。また実際に使っていて、どのような成果や手応えが得られましたか?
木村 現在はホワイトペーパーの制作支援のほか、新卒採用フォーラム、HRサミットといったイベントでもお世話になっています。2025年は、新卒採用フォーラムの提供講演とゲスト講演、HRサミットのゲスト講演に参画しました。
そうした中、手応えとして実感しているのは、『キミスカ』の認知度の向上です。やはり多くの会員様を有しているだけあり、新卒採用フォーラムやHRサミットの訴求力と集客力は絶大だと感じています。弊社が持っていないような企業様のリストや、共催セミナーでは得られないようなリードも獲得できており、商談につながる割合も高いので、成果としては期待以上です。
ただし、HRプロのサービスは母集団を形成するには最適だと思うのですが、今後さらに効率的にリードを獲得していくためには、全方向的に施策を実施するというより、もっと成果の出やすいものを取捨選択する必要もあると考えています。
――競合サービスと比べて、HRプロのどのようなところにメリットや強みを感じていますか?
木村 弊社のサービスは新卒に特化しているため、ある意味ターゲットが狭いのですが、HRプロは新卒採用に注力されている企業様が数多く登録されており、私たちの情報が直接届きやすい媒体だと感じています。とくに新卒採用フォーラムで接点が生まれたお客様との商談化率は高かったですね。
またHRプロのような媒体に登録されている企業様は、常に新しい情報を求めていらっしゃいます。一般的なWebサイトであれば、更新頻度が低いと足が遠のいてしまいますが、HRプロの場合はかなりの高頻度で更新され、しかも人事領域における最先端の情報をどこよりも早く、数多く取り上げていらっしゃるので、感度の高い企業様の目に触れる機会も多いように感じます。実際、弊社が定期的に更新しているホワイトペーパーを通じて、弊社を新たに知っていただく企業様も増えていますね。
――ProFutureのサポートや提案内容についてはどのような印象を持っていますか?
木村 私自身、前職では広告会社でマーケティング業務に携わっていたのですが、業界が違うため、スキルはあるけれど知識がない状態だったのです。
そうした右も左もわからない中で、人事に関する最新のトレンドや役立つ情報を逐一ご提供くださるだけでなく、ホワイトペーパー作成時にも「こういうテーマのほうがダウンロードされやすいですよ」といった的確なアドバイスをいただくなど、業界経験のない身にとって、御社の手厚いサポートは本当にありがたいものでした。
――それでは最後に、マーケティング活動における今後の展望を聞かせてください。
木村 先ほども申し上げた通り、これまではとにかくリードをたくさん集めることに注力してきましたが、これからはいかに質の高いリードの割合を増やせるか、というところにシフトしていく必要があると考えています。そのために、より効果的な施策やチャネルに絞ったマーケティング活動を展開していきたいですね。
また、現在弊社で主催しているセミナーはオンラインが中心となっていますが、今後は少しずつオフラインも増やし、多くの企業様と直接コミュニケーションが取れる体制も作っていきたいと思っています。長期的な視点ももちろん大事ですが、まずは今困っている企業様の声を聞いて、各社様に合ったご支援につなげていく。それが私たちマーケティンググループの目指すところです。


