2021.2.24

2021年の採用市場・採用動向最新情報!採用市場予測/トレンドをご紹介

読了まで約 7

■コロナ禍で大きく影響を受けた2020年卒と2021年卒採用

■2020年の採用戦線で起きた3つの大きな変化とは?

■2021年4月に施行される雇用保険法改正の2つのポイント

■雇用保険法改正が今後の採用活動に与える影響とは?

■人材難から一転、量より質を問う採用へ

■ニューノーマル時代の就活生マインド

データで振り返る2020年採用と2021年予測

緊急事態宣言延長から感染者数が減少しつつあり、2021年上期にはワクチン接種が開始される予定など、明るいニュースも増えつつある中、変異型ウイルスが世界で猛威を振るい、国内でも感染クラスタが発生するなど、まだまだ収束の兆しが見えない新型コロナウイルス感染症。

完全な収束が見通せない中、始まる2022年卒採用はどのような様相を呈するのか。

本稿では、2021年卒採用の振り返りから2022年卒の採用戦線について予想していくため、日本型雇用慣習に大きな影響を与える雇用保険法改正や、最新の採用トレンドや学生のマインドについて確認していこう。

採用市場では、企業と学生の双方がリーマンショック以来の大きな影響を受けていた2020年。ここでは、あらためて2020年の採用戦線を振り返りつつ、2021年採用市場の展望について確認しておきたい。

2020年に起きた、新卒採用市場に関連する労働市場トレンドの大きな変化として3つがあげられる。それは、1.有効求人倍率の急降下、2.早期退職者募集の急増、3.新卒採用内定率の大幅減である。

1. 有効求人倍率の急降下
コロナ禍の影響が本格化する前である、2019年後半から緩やかに下降していた有効求人倍率は、2020年に入り急激な下落を見せた。これは新型コロナウイルスによる求人数の減少と、同じくコロナ禍起因の失業に端を発した求職者急増が背景にある。

これにより、新卒採用市場におけるトレンドとしても、多くの学生が選ぶ業種は大きな変化を見せている。新型コロナウイルスの影響を直接的に受けた航空関連産業や旅行産業、運輸業などは、従来の人気企業ランキングに常に名を連ねていた大企業などもその名を消している。

株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソースの調査した2022年卒を対象とした2020年夏季調査「大学生が選んだ就職先人気企業ランキング」(調査期間:2020年6月19日~2020年11月11日/有効回答数:3,282名)によれば、文系男子学生を対象とした調査結果では、人気企業上位10社中4社は大手総合商社であり、コロナ禍にあっても幅広い事業に投資を行うリスクヘッジ面を評価されたかたちといえる。

また、メガ損保企業や総合不動産デベロッパ、コンサルティングファームなどが上位にランクインするかたちとなった。

2. 早期退職者募集の急増
また、新卒採用の規模を縮小したり、採用計画の見直しを行う企業が増える中で、既存社員に対する風当たりが強まる一面もあった。早期退職者募集の急増である。

これは大手自動車メーカや飲料ボトラー、大手旅行代理店など、業種と企業規模に関係なく、2020年10月末日時点で上場企業70社で合計13,065名(東京商工リサーチの調査に基づく数値)を対象に行われたことから、「大手=安定」というマインドで就職活動を行う学生には大きな影響を与えるトピックであったといえよう。

3. 新卒採用内定率の大幅減
そして、2021年卒採用戦線での最大のトピックのひとつでもあった内定率の減少は、2020年10月時点での5年ぶりに7割を下回る69.8%となり、リーマンショックに次ぐ下げ幅で世間に大きな衝撃を与えた。

企業が新卒の採用と教育にかかるコストを見直す動きや、2020年卒の入社直前に行われた内定取り消しも含め、新卒採用自体を中止した企業が一定数あったことが背景として考えられる。政府による卒後3年以内の新卒扱いを企業にもとめる動きがどこまで効果を見せるのか、今後の動きに注視する必要がありそうだ。

関連記事:厚生労働省が卒業後3年間は新卒扱いの意向を示す。日本の新卒採用における今後のニューノーマルとは?

これらの2020年に起きた労働・採用市場における変化から読み解くことができることとして、日本型の一括採用にかかるコストを企業が見直す動きにあること、既存社員においては終身雇用という前提に甘んじることが難しくなっていることがあげられる。

コロナ禍により急激に顕著となったこれらの課題を抱えつつ、日本企業と2022年卒やそれ以降の学生たちは、どのような2021年の採用戦線を戦い抜くのか。次項では、崩れつつある日本型雇用システムに大きなメスを入れることが予想される雇用保険法改正を見ていきながら、採用市場や今後の求人のあり方の可能性について見ていこう。

雇用保険法の改正でどんな影響があるか

前項では2020年に起きた採用市場におけるトレンドの変化について見てきた。ここでは、2021年4月に予定されている雇用保険法の改正事項を押さえつつ、採用市場における今後起きる変化の可能性について考えていく。

労働者の雇用を守るために定められている法律である雇用保険法は、この度の改正で主に2つの改正点がトピックとしてあげられる。

これは、70歳まで就業機会確保の努力義務が企業に生じる点と、301名以上の従業員を擁する企業では中途採用比率の公表が義務付けられる点だ。

まずは法改正の趣旨を、厚生労働省の概要説明より下記のとおり確認しておく。

改正の趣旨
少子高齢化が急速に進展し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境整備を図ることが必要。個々の労働者の多様な特性やニーズを踏まえ、70歳までの就業機会の確保について、多様な選択肢を法制度上整え、事業主としていずれかの措置を制度化する努力義務を設ける。

参考:厚生労働省「雇用保険法」改正案概要

コロナ禍により短期的な景気後退のリスクが懸念されている中でも、健康寿命が延び、少子高齢化が進む日本社会において、長期的な労働人口不足は大きな課題であり、同時に働く意欲が高い高齢者の積極的な人材としての登用を企業に奨励する趣旨であるといえよう。

前出の厚生労働省が発表している資料に基づく、法改正での2つのトピックを下記で解説する。

1. 70歳まで就業機会確保の努力義務
現行法では、高年齢者の雇用確保のために、定年引上げ、継続雇用制度導入、定年廃止のいずれかを導入することを企業に義務付けている。しかし、法改正後では、高年齢者の設定年齢を70歳まで引き上げた上で、70歳までの定年延長、70歳までの継続雇用制度導入、定年廃止、希望者に対する70歳までの業務委託契約締結、希望者に対する事業者が行う社会貢献事業への従事の5つのいずれかを措置として講ずる努力義務が生じるようになる。

2. 中途採用比率の公表義務付け
また、従業員数301名以上の企業においては、今回の法改正を以て中途入社の従業員割合をホームページなどで公開することが義務化される。公表義務を課すものは、直近3年間の中途採用比率、つまり正規雇用労働者で採用に至った人数における、正規雇用労働者の中途入社人数の割合だ。 同改正では、あわせて中途入社に関する企業の考え方、あるいは求職者への情報公開として入社後のキャリアパスや人材育成、処遇などを公開していくことも求めている。

上記2点の法改正は、今後の採用市場にどのような影響を与えていくのだろうか。

1. 従来型の雇用慣習淘汰の加速化
法改正が採用市場に与える影響として考えられるのは、人生100年時代を見据えた中での70歳への定年引上げ、あるいは定年廃止といった状況を受けて、若手労働人口が減少していく中で人手不足が解消されることが期待される一方で、年功序列などの古い雇用慣習を継続している場合、人件費が企業収益を圧迫していく懸念点が存在するだろう。

2. 企業における採用計画の抜本的見直し
新卒一括採用と年功序列、終身雇用などの戦後一貫してきた日本型雇用慣習に大きなメスを入れるかたちとなった今回の法改正だが、従業員数301人以上の企業への中途入社割合の公表義務化は、中堅・大手企業などの新卒採用に大きな比重を置く企業に対して、国から積極的な中途採用を促していく意図が汲み取ることができよう。

このため、今後は新卒採用を通年の動きとしたり、中途採用との垣根がどんどん無くなっていく動きが加速する可能性がある。

最新の採用トレンドと学生マインド

未曾有の事態によって、採用計画にとどまらず企業活動全体の大きな影響を及ぼしたコロナ禍だが、新卒採用を行う企業は2021年の採用戦線に対してどのような展望を持っているのか。

他方、企業規模を問わない内定取り消しや採用計画の見直し、見送りなどを経験した2020年卒や2021年卒の背中を見てきた2022年卒の学生はどのようなマインドで就職活動に臨むのか。

ここでは、ディスコ社が毎月発表している企業調査と学生調査をもとに、2021年新卒採用戦線の考えられる傾向と予想を立てていこう。

まずは、ディスコ社が発表した「新卒採用に関する企業調査(2021年2月調査)」をもとに、企業動向から見ていこう。

1. 採用方針の「量より質」がより顕著な傾向に
採用活動のスタンスを問う設問では、「人数の確保よりも学生の質を優先」という回答が85.6%に上り、4年ぶりの8割台を記録するとともに、前年調査の77.8%より7.8ポイント増となった。また、2022年卒採用の一番のテーマを問う設問では、最も多くの企業が「採用重点層への訴求」(21.7%)を挙げており、前年調査での17.0%から大きくポイントを伸ばし、ここ数年1位が続いていた「母集団の拡大」(19.6%)と順位が入れ替わる格好となっている。

これらのことから、コロナ禍以前は採用難を背景とした「質より量」の方針をとる企業が増えていたが、この動きが大きく後退したといえる。

2. 2020年度入社者に見るニューノーマルの難しさ
未曾有の感染症拡大で2020年卒は入社後のスケジュールに大きな影響を受けたが、実に81.5%もの企業が新入社員研修内容を変更したと回答している。

「新型コロナの影響による新入社員研修の変更点」として、「オンライン化した」との回答が最多となり44.5%、「規模を縮小した」と回答した企業が27.8%、それ以外では「期間を縮小した」が27.6%、「時期を延期した」が18.3%となっている。

このことから、十分な研修内容が提供できず、入社後の活躍や定着に影響が出ている声もある。新入社員研修の変更による、配属後の活躍・定着などへの影響を問う設問では、「かなり影響が出ている」(7.7%)と「やや出ている」(34.1%)を合わせて4割超え(41.8%)となることから、オンライン化による同期従業員との関係性希薄や、早期離職につながる事例も出ている。

参照元:2022 年卒・新卒採用に関する企業調査-採用方針調査(2021年2月)

次に、2022年卒学生動向について、「キャリタス就活2022学生モニター調査結果(2021年2月発行)2月1日時点の就職意識調査」をもとに、見ていこう。

1. コロナ禍がキャリア展望に与えた影響
新型コロナウイルス感染が収束しない中で、コロナ禍が自身のキャリア観や仕事に対する価値観に影響を与えたという声が出ている。「新型コロナの流行によるキャリア観への影響」の有無を問う設問では、回答学生全体の59.3%が「影響を受けた」と回答している。最も大きく影響を受けたと回答したのは文系女子で、実に69.8%が「影響を受けた」と回答している。反対に最も少なかったのは理系男子(51.3%)であったが、こちらも依然、半数以上は「影響を受けた」と回答していることから、学生たちにとってコロナ禍が「仕事」や「働く」ということに対する考え方を一変させる機会となったことは間違いない。

2. 志望企業判断のために知りたい事項
「就職先の候補として興味が持てるかを判断するために知りたい情報」としてあてはまるものを学生に選ばせたところ、最も多かったのは「仕事内容・職種」で6割以上(65.7%)、その次に「福利厚生」(62.9%)、そして「社風・職場の雰囲気」(56.6%)、「勤務地」(54.7%)と続くかたちとなった。

上位項目の多くは過半数の割合を超すことから、学生が多角的に企業を判断していくことが読み取れる。学生が高くアンテナを張っていることからも、採用広報解禁の時期に向けて企業にもニューノーマル時代の様々な情報発信が求められてくることがわかる。

参照元:2 月 1 日時点の就職意識調査~キャリタス就活2022 学生モニター調査結果

まとめ

・新型コロナウイルス感染拡大により、2020年卒学生の一部では、4月入社寸前での内定取り消しという事態に直面したり、2021年卒においても、通常内定式を多くの企業が迎える2020年10月時点において内定率がリーマンショック以来の低水準、5年ぶりの7割以下である69.8%となるなど、終始波乱であった。人気企業ランキングを見た場合も、例年人気を博した航空会社や旅行会社などは姿を消し、幅広いビジネスを手掛ける総合商社などの人気が目立つかたちとなった。

・コロナ禍による影響を大きく受けた2020年の採用戦線。有効求人倍率の急降下、早期退職者募集の急増、そして新卒採用内定率の大幅減という3つの大きなトレンド変化があった労働市場において、日本の労働市場で顕著となった問題として2つあげられることは、日本型の一括採用にかかるコストを企業が見直す動きにあること、そして既存の従業員は終身雇用という前提に甘んじることがより難しくなったことだ。

・2021年4月に予定されている雇用保険法の改正では、70歳まで就業機会確保の努力義務と、中途採用比率の公表義務付けという、2つの大きな骨子が目玉だ。雇用確保の努力義務が生じる年齢を70歳まで引き上げ、人生100年に向けたキャリアパス充実を図るとともに、従業員数301名以上の企業を対象に、直近3年間の中途入社比率の公表を、企業ホームページ等で義務付けるものとなる。

・雇用保険法の改正は、従来型雇用慣習の淘汰を加速させ、企業に対して採用計画の抜本的見直しを迫るものとなる。本法改正は、若手労働人口が減少していく中で人手不足が解消されることが期待される一方で、年功序列などの古い雇用慣習を継続している場合、人件費が企業収益をひっ迫する可能性があり、中途入社割合の公表を義務付けることで、新卒採用に大きな比重を置く企業に対して積極的な中途採用を促していく意図があるものといえよう。

・ディスコ社の新卒採用に関する2021年2月時点での企業調査では、改めてコロナ禍が企業採用の「量より質」の姿勢が強まったことを裏付ける調査結果が出ている。採用活動のスタンスを問う設問では「量より質」と回答する企業が85.6%に上り、実に4年ぶりの8割台となった。また、2022年卒採用の一番のテーマを問う設問では、最も多くの企業が過去数年の最多回答である「母集団の拡大」に代わり、「採用重点層への訴求」と回答した。

・ディスコ社の2022年卒を対象にした2月1日時点での学生調査によれば、学生全体の6割近くが新型コロナの流行によるキャリア観への影響があったと回答しており、最も多かったのは文系女子(69.8%)で、最も少ない理系男子でも過半数(51.3%)回答だった。また、志望企業判断のために知りたい事項として学生が挙げた複数回答の上位はすべて過半数であることから、学生が多角的視点で企業研究行っていることが分かる。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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