2021.3.30

リクルーター制度を導入するメリットデメリットは?人材の選定基準もご紹介!

読了まで約 6

■新卒採用市場における課題とは

■リクルーター制度の目的

■リクルーターを導入するメリットとデメリット

■リクルーター制度を導入するための5つのステップ

■有効な制度運用のために大切なこと

リクルーター制度とは? 目的と役割

新卒採用市場における人材発掘やその確保は、少子高齢化などによる採用競争激化の影響を受けて年々難しくなっている。

多くの企業にとって、「自社が求めるような優秀な学生をいかに採用するか」は、経営戦略上の最重要課題となっているといっても過言ではないだろう。

近年、その解決策として注目を集めているのが「リクルーター制度」だ。

「リクルーター(recruiter)」は日本語に直訳すると「人材の補充や募集をする人」という意味の言葉で、もともとは軍隊において新兵の募集をする人を指す言葉として使われていた。

日本の採用市場で使われるリクルーター制度とは、採用担当以外の社員が新卒者の採用活動に関わる制度であり、この役割を担う社員のことをリクルーターと呼ぶ。

この制度をうまく活用すれば、学生とのコンタクトを効率的に行える他、今まで出会えなかった優秀な人材へもアプローチできる可能性が高まるといったメリットに着目して、導入する企業は増加している。

そこで、本稿ではリクルーター制度とは何か、そのメリット・デメリット、導入の際のポイントなどを解説していこう。

前述の通り、リクルーター制度とは、採用担当かどうかに関わらず自社の社員が学生と直接コンタクトをとる窓口ともいうべきリクルーターとなり、採用活動を行う制度のことだ。 主な目的としては、就職活動が本格的になる前に優秀な学生と直接コンタクトを取ることで、自社に必要な人材を確保するということがあげられる。

リクルーターの活動内容や権限などは、企業によって異なってくるが、出身校などに出向いて人材を発掘したり、学生と面談をするなど採用活動のサポートや調整役を担う。

リクルーター制度は主に新卒採用で導入されることが多いため、一般的に学生が親近感を抱きやすいような、年齢の近い入社1年目から5年目程度の若手社員が起用されることが多い。

リクルーターを導入するメリットとデメリット

リクルーター制度の役割と目的が理解できたところで、リクルーター制度がもたらすメリットについて、企業側と学生側の双方からの視点で整理してみよう。

企業側のメリット
・幅広い人材に早い時期から接触できる
・個別に、直接アプローチが可能
・面接だけでは分からない点が見えて学生への理解が深まる
・学生の人柄や価値観の把握をしやすくなる
・学生の関心を得やすくなる
・内定辞退や入社後のミスマッチによる早期退職を防げる
 など

学生側のメリット
・企業の実態が見えて不安を解消できる
・現役社員と直接話すことで企業への理解を深めることができる
・面接が簡略化されて負担が減る
・社会人の先輩に直接質問や相談ができる
・自身の就労ニーズと合った就職活動が可能になる
 など

以上のようなメリットがある一方、もちろんデメリットもある。 これも企業側と学生側から見てみよう。

企業側のデメリット
・リクルーターの能力不足や不適切な言動によって企業イメージがダウンする恐れがある
・アプローチできる対象が限定される
・リクルーターの選考や育成などに手間と時間を要する
・通常業務と兼務することでリクルーターへの負担が大きくなる恐れがある
 など

学生側のデメリット
・リクルーターの対象となる学生が少ないため不公平感がある
・選考プロセスの不透明さが不安につながる
・リクルーターの立場がわかりにくい
・合否通知がないため結果がわかりにくい
 など

リクルーターのポイントは選考と育成

前項ではリクルーター制度のメリット・デメリットを紹介してきたが、制度を効果的に導入するとなるとどのような段階を踏めばいいだろう。

以下にリクルーター制度を導入するための5つのステップを整理したが、なかでもポイントとなるのは、優秀なリクルーターの選考と育成である。順を追って見てみよう。

<リクルーター制度を導入するための5つのステップ>

1. 制度の要件定義
リクルーター制度運用の開始前に、活動にかかる費用やリクルーターへの待遇など、社内ルールを策定しておくことが重要となる。

例えば、リクルーター面談は飲食をしながら行われることも多いため、面談時の飲食費、学生の予定に合わせて勤務時間外や休日に面談を行った際の手当、代休制度などの取り扱いについて具体的に決める必要があるだろう。

さらに、リクルーター制度は通常の業務に加えて採用活動を依頼することになるため、リクルーター本人や周りの社員に制度のメリットやそれに伴う業務の変更点などをしっかりと説明し、理解と協力を得ることが必要不可欠である。

また、採用要件に合った人材に効率的にアプローチをしていくために自社が求める人物像を明確にし、全社で共有することもリクルーター制度を効果的に運用するための鍵となる。

2. 適用の対象校を選定する
リクルーターに与えられる最初のミッションは、自社に関心がある学生をより多く集めるということだ。 そのために、どの学校をリクルーター制度の対象とするのかを考え、話し合う必要がある。

実際にリクルーターがさまざまな学校に足を運んで学生の様子を確認し、個別の説明会を開催する、自身のコネクションを活かして出身校の後輩学生に対して面談をする、などのことを行っていく中で、制度の対象校を選定していくとよいだろう。

3. リクルーター候補の選考
前述したように、リクルーター制度導入にあたって特に重要となる2つのステップのうちの1つがリクルーター候補の選考だ。

新卒採用において制度を活用する場合、一般的にリクルーター候補は学生が親しみを感じやすく交流しやすい新卒1年目から5年目の若手社員が起用されることが多い。

しかし、リクルーターは学生にとって企業の顔となり、ロールモデルにもなり得るため、年齢だけで判断するのではなく、ある程度の実力と能力を持ち合わせた社員を選定することが重要だ。

また、若手リクルーターとの面談が進んだ段階で、さらに業務をよく知り、自社の求める人材像への理解も深まっている中堅社員が踏み込んだ質問対応などを行うケースも見られる。

中堅社員と話す機会を設けることで、学生は入社後の上司を想像しやすくなるだろう。リクルーターに望む役割に合わせて、的確な人選をすることが制度を成功させる要となる。

4. リクルーターの育成
選考と合わせて特に重要なポイントとなるのがリクルーターの育成だ。

リクルーターの質を一定に保ち、差が生じないようにするためにも、共有しておきたい事項がいくつかある。

具体的には、 ・制度の導入目的や活動範囲 ・どんな人材を求めているのか ・求人を行う部署や人数などの採用計画 ・採用活動を通じて伝えたい企業の魅力 などがあげられる。

人事部が使用している企業の採用適性検査の項目やチェック方法を共有することができればよりよいだろう。

こういった点を明確化することで、リクルーター側もどのような学生に声をかけるべきなのか、何を伝えたらいいのかがわかりやすくなる。

また、リクルーターは学生と信頼関係を築くためにコミュニケーションの取り方を学んだり、学生への理解を深める必要がある。

自社の採用に関する話だけでなく、近年の学生の傾向や興味があること、就職活動において不安を抱きやすい点などについて深く理解してからコミュニケーションを取ることで学生の心を掴み、自社の業務内容や魅力についてアピールしていくことが可能となる。

制度をより効果的に運用できるよう、企業側は研修などを通じてリクルーターが採用活動における自身の業務や求められていることをしっかりと理解し、実践できるように導いていくことが大切だ

5. リクルーター制度の具体的な活動を開始する
リクルーターを育成した後は、いよいよ活動開始となる。

活動内容は企業によって異なってくるが、一般的に次の3つがあげられる。

【面談】採用担当者との面接前に学生と面談を行い、どのような人材か見極める。
【説明会】学生を集め、自社の業務内容の説明や魅力をアピールする。
【スカウト】優秀な人材を見つけ声をかけて入社に導く

こうした活動の中で学生の質問や意見にしっかりと耳を傾けて、就職についての不安を払拭したり、自社の魅力をPRして入社への意欲を高めるといった採用活動のサポートを行っていく。

また、活動を開始した後は定期的にミーテイングを開催し、リクルーター同士の情報共有の場を設けるとよい。

こまめな情報交換を行うことにより、困っている点があれば相談やフォローができ、トラブルなどが発生した際にも対応がしやすくなるし、リクルーターが学生としっかりコミュニケーションを取れているかなどの進捗状況も把握することができるからだ。

万が一学生や大学側からクレームが発生した場合にはリクルーターに対処をさせるのではなく、人事部の責任者がフォローを行う。

フォロー体制が整っていることがわかれば、リクルーターも安心して採用活動に邁進できるだろう。

ここまで、リクルーター制度について解説してきた。

業界を問わず多くの企業で導入されているリクルーター制度は、若手社員など採用担当者以外の社員の協力を得ることで、幅広い人材とのコンタクトを可能にし、優秀な人材を採用できる可能性を広げることで質の良い母集団形成を目指すことのできる仕組みであるといえる。

制度を有効に活用させるためにも、企業がリクルーターに求める役割についてきちんと整理をしたうえで選定し、企業とリクルーターの間で認識の違いが生じないようルールや役割の明確化、アプローチの方法などについて徹底した準備をすることで、リクルーター自身が安心して活動できるようにサポートしていくことが必要だ。

まとめ

・少子高齢化などの影響によって新卒採用における人材発掘や確保が難しくなっている近年、注目を集めているのが「リクルーター制度」だ。リクルーター制度とは、採用担当以外の社員が「リクルーター」として新卒者の採用活動に関わる制度である。この制度を活用することで学生とのコンタクトを効率的に行えたり、今まで出会えなかった優秀な人材へもアプローチできる可能性が高まるといったメリットがあり、導入する企業は増加している。

・リクルーター制度の主な目的として、就職活動が本格化する前に企業が求めるような人材といち早くコンタクトを取ることで、効率的に採用活動を行うことがあげられる。新卒採用で活用されることの多い制度であるため、一般的にリクルーターは学生と年齢の近い若手社員が起用されることが多い。

・リクルーター制度導入による企業側と学生側、それぞれの立場からあげられるメリットとして次のようなものが考えられる。【企業側】幅広い人材に早い時期から直接接触ができる、面接だけでは分からない点が見えて学生への理解が深まる、学生の関心を得やすくなる、など【学生側】企業の実態が見えて不安が解消できる、現役社員と直接話すことで企業理解が深まる、など

・リクルーター制度導入におけるデメリットとして考えられることは次の通りだ。 【企業側】リクルーターの能力不足や不適切な言動によって企業イメージがダウンする恐れがある、アプローチできる対象が限定される、など 【学生側】リクルーターの対象となる学生が少ないため不公平感がある、リクルーターの立場がわかりにくい、など

・リクルーター制度を導入するための5つのステップは次のとおりだ。1.制度の要件定義をする、2,適用の対象校を選定する、3.リクルーター候補の選考をする、4.リクルーターの育成をする、5.リクルーター制度の具体的な活動を開始する。なかでも重要となるのがリクルーターの選考と育成である。リクルーターは学生にとってロールモデルにもなり得るため、年齢だけでなく能力面なども考慮して的確な人材を選定する必要がある。企業が求めている人材の共有や学生とのコミュニケーションについての研修などを行い、リクルーターの育成を行うことで、より効果的な制度運用が期待できるだろう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

古宮 大志

マーケトランク編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

関連記事 RELATED POSTS

関連資料ダウンロード RELATED POSTS

メルマガ会員登録で最新マーケティング情報やトレンド情報、セミナーイベント情報をチェック!

メールマガジンのサンプルはこちら