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SWOT分析とは?やり方や分析例を図とテンプレート付きで簡単に

2022.8.17

自社の強みや弱み、市場動向や経済情勢における立ち位置などから、現状を分析する上で非常に効果のある「SWOT分析」。

数々の大手企業も自社の現状を分析するため有効なフレームワークとしてビジネスの現場で取り入れています。

SWOT分析とはどのようなものなのか、大手分析事例やテンプレートなどを確認しながら見ていきましょう。

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SWOT(スウォット)分析とは

自社の現状を分析する上で効果的な分析法がSWOT分析です。
SWOTとは以下4項目の頭文字を取った略語で、それぞれ内部環境と外部環境、及びプラス要因とマイナス要因の両視点から考察していくフレームワークとなります。

・ Strength :強み(内部環境)
・ Weakness :弱み(内部環境)
・ Opportunity:機会(外部環境)
・ Threat :脅威(外部環境)

画像:SWOT分析とは

Strength:強み

「Strength:強み」は自社における長所や得意分野、競合他社より優れている技術の保有、経営資源の潤沢さなどが該当します。

重要なのはブランドの認知度、商品やサービスにおける品質、競合他社より優れた技術開発力など、顧客の購買理由となり得る要素であることです。

つまり顧客の企業に対する評価度合いや、企業としての世間的な見た目のよさ、働きやすい職場環境など、商品やサービスの売上に直結しない二次的要因は必ずしも強みとはならない点に注意が必要です。

Weakness:弱み

「Weakness:弱み」は自社における短所や苦手分野、競合他社に実行できて自社に実行できないこと、不足気味な経営資源などが該当します。

重要なのは売上に直結する要素において、欠落している項目を見出すことです。
例えば「顧客のニーズが汲み取れない」「設備面で充実を図れない」「クレームを改善できない」など、売上がよくならない、あるいは伸びないと思われる要因を挙げていきます。

「残業が多い」「労働環境が悪い」など、単純に企業としての改善点が必ずしも弱みとはならない点に注意が必要です。

Opportunity:機会

「Opportunity:機会」は「国内外における社会情勢」「市場動向」「競合他社の影響」など自社でコントロールができない「外部環境」において、目標達成にプラスに働く要因が該当します。

例えば「自社商品やサービスにおけるトレンドの発生」「自社が参入している市場の拡大」「競合他社における優位性の確保」などが挙げられます。

Threat:脅威

「Threat:脅威」は「Opportunity:機会」同様、自社でコントロールができない「外部要因」において、目標達成にマイナスに働く要因が該当します。

「自社商品やサービスにおけるトレンドの終焉」「時代背景による市場の縮小」「競合他社の新規参入」「同類商品やサービスの乱立・飽和」などが挙げられます。

SWOT分析における「内部環境」「外部環境」とは

SWOT分析では内部環境と外部環境の両視点から自社を分析する必要があります。それぞれの意味としては以下となります。

・ 内部環境
内部環境は自社でコントロールができる要素を指します。品質の改善や設備の見直し、人材の育成など自社の努力次第で業績を伸ばすことができる領域です。
SWOT分析では「Strength:強み」「Weakness:弱み」が該当します。

・ 外部環境
外部環境は自社でコントロールができない要素を指します。市場動向や政治的背景、法整備における情勢の変化など、自社の努力如何ではどうすることもできない領域です。
SWOT分析では「Opportunity:機会」「Threat:脅威」が該当します。

3C分析との違い

SWOT分析と同じく自社の現状を分析するフレームワークとして3C分析があります。

大きな違いとして挙げられるのは、SWOT分析が自社目線からマーケティング戦略を立案していくのに対し、3C分析は顧客目線からマーケティング戦略を立案していくことです。

自社目線からマーケティング戦略を立案していく場合、自社の利益優先で戦略立案が進行するため、顧客の利益は考慮されません。

そのため顧客のニーズとかけ離れたマーケティング戦略が自社内で次々と進行し、そのまま確立してしまう可能性が高まります。

逆に顧客目線からマーケティング戦略を立案していく場合、自社の利益は後回しとなりがちです。

そのためしっかりと利益率を確保したマーケティング戦略を立案しないと、仮にヒット商品を生み出しても大して利益に結びつかないばかりか、中長期的には赤字になる可能性も出てきます。

どちらも一長一短があり、どちらがよいというわけではなく両視点からバランスの取れたマーケティング戦略を考えていくことが重要なのです。

関連記事:3C分析とは?やり方や手順、テンプレートも紹介

SWOT分析のやり方

SWOT分析を効率的かつ効果的に行うには、以下の手順で行っていきます。

・ 外部環境の分析を行う
・ 内部環境の分析を行う
・ クロスSWOT分析を行う

外部環境の分析を行う

はじめに外部環境「Opportunity:機会」「Threat:脅威」の分析から行い、市場動向や経済情勢、競合他社の動きなどを把握していきます。

マーケティング戦略を行う上で、どのような企業も外部環境の影響を少なからず受けることは不可避であり、内部環境の分析を行う前に自社が外部環境から受ける包括的な影響をある程度把握しておく必要があります。

「Opportunity:機会」の分析においては、ビジネスフレームワークのひとつである「PEST分析」を用いて行います。PEST分析は自社に影響を与えるマクロ環境を分析する際によく活用されるフレームワークです。

一方で「Threat:脅威」の分析においては、同じくビジネスフレームワークのひとつである「ファイブフォース分析(5フォース分析)」を用いて行います。ファイブフォースは「5つの脅威」を指し示し、これらミクロ環境が自社にどのような影響を与えるのかを分析していきます。

・ PEST分析
・ ファイブフォース分析(5フォース分析)

PEST分析

PEST分析は以下4つの頭文字を取った略語で、自社に影響を及ぼすマクロ環境を分析していきます。

・ Politics  :政治
・ Economy :経済
・ Society  :社会
・ Technology:技術

自社でコントロールできないマクロ要因を把握することができます。

関連記事:PEST分析とは?戦略に活かす分析のやり方や具体例を解説

ファイブフォース分析(5フォース分析)

一方、ファイブフォース分析(5フォース分析)では、自社に直接的に影響を及ぼすミクロ環境(5つの脅威)に対する分析を行っていきます。

5つの脅威とは以下5項目のことを指します。

・ 新規参入の存在
・ 売り手(サプライヤー)の交渉力
・ 買い手(顧客)の交渉力
・ 代替品の存在
・ 競合他社の存在

ファイブフォース分析を行うことで、自社を取り巻く脅威を客観的に把握できます。

関連記事:ファイブフォース分析とは?定義と目的、戦略を事例とともにご紹介します

内部環境の分析を行う

次に内部環境「Strength:強み」「Weakness:弱み」の分析を行っていきます。自社における強みや弱みを分析し、余すことなく挙げていきます。

内部環境はその企業の経営資源をはじめ、マネジメント力、ブランド力など総合的な企業力に依存する要因が多いため、簡単に改善することは困難なものの、自社内である程度コントロールが効く領域でもあります。

そこで重要なのが自助努力により自社の「強み」を伸ばし「弱み」を改善していくことです。自社における強みと弱みの見つけ方のポイントとしては以下のようになります。

■強みの見つけ方とは
常に顧客目線から客観的に自社を評価する癖をつけると、自ずと自社が顧客に喜ばれている理由が把握できるようになってきます。

「顧客はなぜうちの商品を購入してくれるのか」「先方はなぜうちの会社と取引を続けてくれるのか」といった顧客目線から、常に判断を行うのがポイントです。

■弱みの見つけ方とは
「弱みは強みの裏返し」とよく言われるように「強みの見つけ方」同様、顧客目線から判断していくことにより、自社に足りない部分や欠落している要素が浮き彫りとなってきます。

また、自社商品やサービスに対する否定的な意見や自社に届いたクレームなどを読み返し、原因を追求することも効果的です。

このような声を受け入れず、聞き流してしまう企業も多い中、お叱りの言葉と捉え改善していくことにより、業績が伸びていった企業も多くあるのです。

クロスSWOT分析を行う

SWOT分析により自社の強みと弱み、機会や脅威が分析できたら、最後に「クロスSWOT分析」を行っていきます。

SWOT分析では上図SWOT分析の図において、縦軸と横軸で分析しますが、クロスSWOT分析では項目をクロスして掛け合わせることにより、自社が選択すべき戦略を見出すことができます。

画像:クロスSWOT分析

クロスSWOT分析では新たに4つのパターンに分けられます。

・ 「Strength:強み」×「Opportunity:機会」=SO「++:積極的戦略」
・ 「Strength:強み」×「Threat:脅威」=ST「+-:差別化戦略」
・ 「Weakness:弱み」×「Opportunity:機会」=WO「-+:改善戦略」
・ 「Weakness:弱み」×「Threat:脅威」=WT「--:防衛戦略」

「Strength:強み」×「Opportunity:機会」

「Strength:強み」×「Opportunity:機会」に自社の現状が当てはまる場合は「++」の要素となり、自社が取るべき戦略としては「積極的戦略」となります。

内部環境と外部環境の両環境がプラスという非常に恵まれた局面において、自社は強気な戦略が取れるという判断が下せます。

こういったケースでは、自社の持つ強みや長所を更に伸ばせるような戦略を立案していきます。

「Strength:強み」×「Threat:脅威」

「Strength:強み」×「Threat:脅威」に自社の現状が当てはまる場合は「+-」の要素となり、自社が取るべき戦略としては「差別化戦略」となります。

内部環境がプラスで外部環境がマイナスという局面において、自社の持つ強みや長所でいかにコントロール不可能な領域を切り抜けていくかを考察します。

例えば、自社に優位性のある技術開発を行ったり、他社には真似のできない自社だけの流通チャネルを確保したりするなど、他社との差別化を図るような戦略を立案していきます。

「Weakness:弱み」×「Opportunity:機会」

「Weakness:弱み」×「Opportunity:機会」に自社の現状が当てはまる場合は「-+」の要素となり、自社が取るべき戦略としては「改善戦略」となります。

内部環境がマイナスで外部環境がプラスの場合、市場は良好であると予想できるため、自社がその市場において、いかに影響力を発揮できるか否かが焦点となります。

内部環境がマイナスの場合、自助努力によりある程度改善が見込めるため、「社内体制を立て直す」「マーケティング戦略を見直す」などの「改善戦略」を選択します。

「Weakness:弱み」×「Threat:脅威」

「Weakness:弱み」×「Threat:脅威」に自社の現状が当てはまる場合は「--」の要素となり、自社が取るべき戦略としては「防衛戦略」となります。

内部環境も外部環境もマイナスである場合、その市場における自社の立ち位置としては、非常に厳しいと判断せざるを得ません。

自社に弱みがあるうえ、外部環境をも味方につけることができないのであれば、無理をせず守りに徹する「防衛戦略」を選択するか、もしくは事業撤退を考えるのもひとつの手です。

マクドナルドにおけるSWOT分析の事例

世界的巨大企業であるマクドナルドのSWOT分析及びクロスSWOT分析事例を見てみましょう。

・ SWOT分析
■Strength:強み
他社を圧倒する商品開発力及び商品販売力

■Weakness:弱み
低価格で利幅が少ない、値下げ戦略により低価格帯商品のイメージが定着

■Opportunity:機会
デリバリー対応店舗の増加、デジタル強化によるアプリで商品を事前に注文するモバイルオーダーが好調

■Threat:脅威
低価格帯の定食や牛丼、ラーメンなど他業種のチェーン店新規参入、コロナにおける中食、内食ブーム到来

・ クロスSWOT分析
■「Strength:強み」×「Opportunity:機会」(積極的戦略)
コロナ禍においてもテイクアウトの売れ行きがよく市場はまずまず好調。自社の商品開発力を活かしてもっと素材にこだわったボリュームのある商品を開発する。

■「Strength:強み」×「Threat:脅威」(差別化戦略)
コロナの影響により中食、内食が予想外増加傾向。これに対抗するためのサービスや販売チャネルの拡大を見込めないかを考察。

■「Weakness:弱み」×「Opportunity:機会」(改善戦略)
低価格路線の外食産業市場は好調だが、すでに低価格であることが当然のイメージが定着してしまっている自社においては、これ以上値段が下げられない。他の商品で代替えし、改善を図れないだろうか。

■「Weakness:弱み」×「Threat:脅威」(防衛戦略)
コロナ禍の影響により店内で飲食する人が激減する中、店舗数を増やしすぎた自社はどのような対策を行い、店舗を減少・撤退させていくかが喫緊の課題。

SWOT分析のテンプレート

SWOT分析のテンプレート作成方法は以下の手順で行います。

① スペースを4つに分ける
② 横軸に「プラス要因」と「マイナス要因」を配置する
③ 縦軸に「内部要因」と「外部要因」を配置する
④ 上段左に「Strength:強み」右に「Weakness:弱み」を配置する
⑤ 下段左に「Opportunity:機会」右に「Threat:脅威」を配置する

画像:SWOT分析のテンプレート

クロスSWOT分析のテンプレート

クロスSWOT分析のテンプレート作成方法は以下の手順で行います。

① スペースを9つに分ける
② 横軸に「内部環境」縦軸に「外部環境」を配置する
③ 上段横軸右に「Strength:強み」「Weakness:弱み」をそれぞれ配置する
④ 左側縦軸下に「Opportunity:機会」「Threat:脅威」をそれぞれ配置する
⑤ 中段横軸右側に「Strength:強み」×「Opportunity:機会」「Weakness:弱み」×「Opportunity:機会」をそれぞれ配置する
⑥ 下段横軸右側に「Strength:強み」×「Threat:脅威」「Weakness:弱み」×「Threat:脅威」をそれぞれ配置する

画像:クロスSWOT分析のテンプレート

まとめ

自社の現状を分析する上で、非常に効果的なフレームワーク「SWOT分析」。

世界的大企業もマーケティング戦略として取り入れているだけあり、その効果はお墨付きと言えそうです。

市場動向や経済情勢を鑑みながら、自社を取り巻く脅威や自社の弱みを徐々に改善させ、強い企業へと立て直していきましょう。

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監修者

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

『MarkeTRUNK』編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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