2021.10.26

面談と面接の違いとは?採用選考における効果的な使い分け

読了まで約 6

■現代の転職市場とは

■面接と面談の意味とは?

■面接と面談の違い

■面接のポイント

■面談のポイント

面談と面接それぞれの意味

年々加速する人材獲得競争の激化により、どの企業も良い人材を確保するために知恵を絞っている。
特に転職市場における高付加価値人材は需要が高く、さまざまな企業と比較検討しながら時間をかけて納得いくまで転職活動を行う傾向にあるため、初対面から一方的に候補者を見定めようと「面接」してしまうと他の企業に移られる可能性が高まってしまうのだ。
これは、新卒対象でも同様で、選考するための「面接」とお互いを知り合うための「面談」はその意味を明確に立て分け、それを候補者にも伝えることで効率の良い採用活動につなげることができる。
まずは、それぞれの定義を見ていこう。
まず、採用活動における「面接」は、企業にとっては候補者が自社にとって必要な人材であるかどうかを見極める場であり、候補者にとっては意欲や能力などをアピールし、自分のことを理解してもらう場のことを指す。
一般的に面接は企業側が主導権を握っており、企業側の質問に対して候補者が回答するといったような一方向のコミュニケーションになりやすい。
それに対して「面談」は、企業と候補者が対等な立場で互いへの理解を深める場を指し、双方向のコミュニケーションが重要視される。
そのため、時間をゆったりと設けて雑談するような形式で行われることが多く、最近では自由な服装で互いにリラックスしながら対話や意見交換を行うような「カジュアル面談」と呼ばれる面談が行われるケースも増えている。

面接と面談の違い

では、面接と面談の意味がわかったところで、その「違い」は何かを考察しよう。

まず、それぞれの違いとしてあげられることは「目的」だ。
企業側の面接における目的は、自社の求人に応募してきた候補者を選考することである。
面接の場での受け答えやその内容から候補者のスキルや資質、意欲を見極め、採用基準を満たしている人材は合格に、満たしていない人材は不合格にするということだ。
面接時の受け答えや態度が選考の合否に直接結びつくため、候補者は、自分が採用基準に達している人物であることを面接官に伝えるために、緊張感を持ってさまざまなエピソードを話してアピールしなければならない。
それに対して面談の目的は、企業と候補者が相互理解を深め、信頼関係を築くことにある。
事前に互いを深く知ることで、採用・入社後のミスマッチ防止につなげるのだ。

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入社後のミスマッチ防止などケース別解説!今や採用広報が欠かせないのはなぜか

面接では一方的に質問される立場だった候補者だが、面談では、企業の人事担当者や現場で働く社員に質問する時間も多くなる。
給与や待遇面、仕事のやりがい、不安に思っていることなど、面接では合否の影響を気にして聞きにくいようなことも聞きやすくなるのが面談の特徴である。
また、候補者がリラックスして話せる場を設けることで、企業側も「自社に入社する意思はあるのか」「迷っている部分があるならどこか」「不安に思うことはあるか」などといった本音を聞くことができる。

もう1つの違いとしてあげられることは、企業側の「目線」である。
面接の場合、企業は候補者に対して、「自社が求める人物像にマッチするか」という目線で話を聞く。
事前に採用担当者間で共有されている評価指針を基準として、候補者を評価していくのだ。
それに対して面談では、候補者そのものと向き合い、雑談を含めた会話の中で、総合的に人物像を見ていく。
企業と候補者が互いの心を通わせることが目的として設けられる場であるため、候補者が極度に緊張したり萎縮せずに、対等な立場で仕事に対する疑問や不安、描いているキャリア設計などについて話ができるような雰囲気作りを企業側が行う必要があるだろう。

それぞれの効果的な使い方とポイント

面接と面談は意味も目的も異なるため、それぞれの効果を高めるポイントにも違いがある。
採用担当の立場から解説しよう。
まず、候補者を見極め、選考の合否を判断するために用いられるのが面接であるが、面接で重要なのは「面接官の選出」「面接の回数を設定」「質問の想定」である。
それぞれを見ていこう。

1.面接官の選出
企業の新たな戦力の選定を任せることや候補者に与える印象を考えると、面接官が適切な人物であるかどうかは非常に重要な問題となってくる。
そのため、最低限次のような条件を備えている人物が面接に当たると良い。

・自社の経営方針、ビジョンを理解したうえで分かりやすく説明することができる
・質問に対して根気強く聞く姿勢を持っている
・他人に対して思いやりを持って接することができる
・情報の守秘義務を守ることができる

2.面接の回数を設定
候補者をよく理解し、客観的な判断をするためにも、複数の人が面接する機会を設けることが望ましい。
例えば、

第一次面接:採用担当者による会社や仕事内容の大まかな説明
第二次面接:現場の責任者による具体的な業務説明やスキルの確認
第三次面接:役員による最終面接

などといったかたちがある。

3.質問の想定
面接時間は限られているため、その中で候補者の本質を掴めるような質問を用意しておく必要がある。
例えば、

スキル・能力を見る質問:「当社で活かせる経験やスキルはありますか。」など
性格・価値観を見る質問:「あなたの長所と短所を教えてください。」など
問題解決力を見る質問:「今までに直面した最大の困難は何ですか。また、どのように乗り換えましたか?」など

面談には社内のスキルアップやエンゲージメントを高めるなど目的別にいくつかの種類があるが、ここでは採用のための面談に絞って使い方とポイントを見ていこう。
まず、採用前面談の効果的な使い方は、企業側と候補者が互いにざっくばらんな話をする場とすることで、相互理解と認識のすり合わせをし、ミスマッチ防止につなげることだ。
では、以下に面談の流れのポイントを紹介しておく。

1. アイスブレイク
アイスブレイクとは、緊張をほぐして打ち解けるきっかけを作るための手法だ。
面談の際、本題に入る前にちょっとした雑談をする方が候補者もリラックスでき、その後も本音で話せることが多い。
その日の天気や気温、ニュースの内容など、初対面でも共感を得やすい話題を用いて話すと良いだろう。
アイスブレイクにおいて、互いの緊張をほぐすコツは「自分の話ばかりしないこと」、「笑顔」、「長くなりすぎないこと」の3点を意識することだ。

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2. 自己紹介・自社紹介
アイスブレイクによって空気が和んできたところで、面談担当者の自己紹介と自社の紹介を行う。
面談者に安心感を与え、受け入れる姿勢ができていることを示すためにも、面談では企業側から紹介をはじめると良い。
一般的に、自分のことを進んで開示することで、相手は同じ程度の深さの自己開示を返してくれるとされているため、企業側から積極的に候補者に歩み寄って、本音で話しやすい雰囲気作りをすることが重要だ。

3. 話に耳を傾ける
面談中は、候補者がこれまで取り組んできたことや前職での経験、キャリアなどを自由に話してもらう。
その際に、面談担当者はしっかりと傾聴し、途中で質問したいことや深堀りしたいことがでてきても、話を遮らずに、まずは最後まで話を聞く。
そうすることによって、相手の話を組み立てる力や倫理性を見ることができるのと、「しっかりと話を聞いて理解しようとしてくれている」という良い印象を与えることができるからだ。
互いの話を一通り聞いて、ある程度理解ができたところで、初めて質問タイムを設け、情報の補完と現段階の距離感を確認する。

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4. 質問や相談への回答
候補者から質問や相談などを話してもらう時間を設ける。
その際に誠意をもって対応することで、企業に対して好印象を持ってもらうことができるだろう。
万が一、その場ですぐに回答ができないような質問が出た場合には、「後日、確認してメールで回答します」などといったように適当な回答や曖昧な回答をしないようにする。
企業側から候補者に質問をする場合には、相手の長所や意欲を引き出せるような内容を心がける。

5. クロージング
面談のラストは、次につながるような声掛けをすることが重要だ。
たった1度の面談で、互いのことを深く理解するのは難しいため、次で会ってもらう予定の社員の魅力を紹介したり、セミナーや社内見学会へ誘うなど、次へのつながりを残すクロージングをする。
その際には、候補者の満足度を確認しながら、企業側にとっても有意義な時間であったこととを伝えよう。
面談終了後に、参加へのお礼とともに、より企業について理解してもらえる資料や、誘ったイベントの詳細などをメールや手紙で送るのも良い。
これ以上の関係継続を望まない場合でも、関係が悪化しないように配慮することが必要だ。

ここまで「面接」と「面談」について解説をしてきた。
似ている言葉で、その意味が混同されがちな両者であるが、それぞれに明白な目的や目線の違いがあり、使うべき場面も異なってくるため、人事に関わる人間はその違いをしっかりと理解することが大切だ。
面接と面談の適切な使い分けをすることで、より効果的な採用活動を行うことができるだろう。

まとめ

・年々加速する人材獲得競争の激化により、近年、企業は「選ぶ」側から「選ばれる」側に回ったとも言える。特に転職市場における高付加価値人材は需要が高く、さまざま企業と比較検討しながら転職活動を行う傾向にあるため、初対面から一方的な「面接」をしてしまうと他の企業に移られる可能性が高まる。選考するための「面接」と互いを知る「面談」はその意味を明確に立て分け、それを候補者にも伝えることで効率の良い採用活動につなげることができる。

・採用活動における「面接」は、企業にとっては候補者が自社にとって必要な人材であるのかを見極める場であり、候補者にとっては自分自身をアピールし、理解してもらう場のことを指す。一般的には企業側が主導で一方向のコミュニケーションになりやすい。一方で、「面談」は、企業と求職者が対等な立場で互いへの理解と信頼関係を深める場を指し、双方向のコミュニケーションが重要視される。

・それぞれの違いとして「目的」があげられる。面接における企業側の目的は、候補者を選考し、採用基準を基に合否を出すことだ。そのため、候補者は自分が適した人材であることを精一杯アピールする必要がある。それに対して面談の目的は、企業と候補者が互いに理解と信頼を深めることにある。それは、採用・入社後のミスマッチ防止にもつながる。また、候補者がリラックスして仕事や待遇などについて聞ける、企業側も候補者の本音を聞きやすいなどの特徴もある。もう1つの違いは、企業側の「目線」だ。 面接では、企業は評価指針を基に「自社が求める人物像にマッチするか」という目線で候補者を見ている。それに対して面談では、個人として候補者と向き合い、会話の中で、総合的に人物像を見ていく。

・候補者を見極め、選考の合否を判断するために用いられる面接だが、その面接において重要なポイントは、次のとおりだ。1.面接官の選出:人材の選考を行い、企業の顔となる面接官が適切な人物であるかどうかは非常に重要な問題だ。2.面接の回数を設定:候補者をよく理解し、客観的な判断をするためにも、複数の人が面接する機会を設けることが望ましい。3.質問の想定:限られた面接時間の中で、候補者の本質を掴めるような質問を用意しておく必要がある。

・採用前面談の効果的な使い方は、企業側と候補者が互いにざっくばらんと話す場にすることで、相互理解と認識のすり合わせをし、ミスマッチ防止につなげることだ。ポイントは次のとおりだ。1.アイスブレイク:本題に入る前にちょっとした雑談をし、雰囲気を和やかにすることで、その後も本音で話せることが多い。2.自己紹介・自社紹介:面談者に安心感を与え、心を開いてもらうために、まずは企業側から紹介をはじめる。3.話に耳を傾ける:候補者の話に傾聴し、話を遮らずにまずは最後まで話を聞く。4.質問や相談への回答:候補者から質問や相談には誠実な対応をする。5.クロージング:次につながるような声掛けをする。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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