2022.5.16

採用証明書とは?事業者視点で、記入が必要な場面・書き方を解説!

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内定者が失業手当を停止したり、再就職手当を受給したりするケースでは、採用した企業が採用証明書を記入することとなる。今回は、採用証明書とはどのようなものか、事業者視点で紹介していく。事業者が証明書を記入しなければならない場面や、書類の書き方も併せてチェックしよう。

採用証明書とは?

そもそも採用証明書とは、失業保険を受給している失業者が再就職できた事実を証明するための書類である。失業保険の受給を停止したり、再就職手当を受給したりする際に、ハローワーク(職業安定所)へ申請するために必要となる証明書のことだ。

この採用証明書は、事業者が転職者を採用すると記入を求められる場合がある。ただし、失業保険を受給している人だけが必要となる書類であるため、求められるケースが限られており、人事担当者であっても採用証明書の書き方を理解していないケースがあるだろう。

採用証明書を求められた場合、その内容の多くは企業が記載することとなる。提出された採用証明書の内容を参考にしてハローワークでの手続きが進められていくため、企業は責任を持って正しく記載しなければならない。

ちなみに、採用証明書は自治体ごとに所定のフォーマットが用意されている。役所のホームページからダウンロードできるようになっているため、チェックすると良いだろう。

採用証明書の記入が発生する場面は?

先述のとおり、採用証明書の記入は人材を採用したからといって必ず必要になるものではなく、記入を求められるケースが限られている。採用証明書の記入が必要とされる場面は、「内定者が受け取っていた失業手当を停止するとき」と「内定者が再就職手当をハローワークに申請し、受給するとき」の2通りである。

採用証明書の記入が必要となる場面やその理由を理解していれば、余計なことに迷うこともなく、スムーズに採用証明書を記載できるようになるだろう。それぞれのケースについて、詳しい内容をチェックしていこう。

内定者の失業手当を停止するとき

採用証明書の記入が必要となる場面は、内定者の失業手当を停止するときである。失業手当とは、失業している期間の生活を補助するための制度だ。失業者が生活に悩むことなく就職活動に集中できる環境づくりをして、少しでも早く再就職してもらうことを目的としている。

そのため、新しい企業に就職できた場合には、失業手当の対象となる状態ではなくなったことを伝え、受給を停止する必要があるのだ。内定者が失業手当を受給している状態にあった場合には、手当を停止する手続きに必要となる採用証明書の記入をおこなおう。

失業手当を受給していた場合には、できるだけ早いタイミングでハローワークに報告することとされている。「再就職できたことを早く連絡すると、失業手当の受給も早く終わってしまうのではないか」と不安に思う方もいるようだが、その点は心配ない。早めに連絡を入れていても、失業手当の受給は雇入日の前日まで続けられる。

ちなみに、内定者は失業手当を停止する手続きをする際、採用証明書以外にも「雇用保険受給資格証」と「失業認定申告書」を併せて提出する必要がある。失業手当を停止する手続きをハローワークでおこなうには、原則として働き始める前日までに手続きを完了する必要があるため、採用証明書を求められた際に伝えると親切だろう。

内定者が再就職手当をハローワークに申請・受給するとき

内定者が再就職手当の対象者で、手当を受け取れるように申請するケースでも、事業者は採用証明書を用意する必要がある。再就職が決まると失業保険の受給を停止することになるものの、代わりに再就職手当が支給される。

つまり、再就職手当とは無事に再就職先が決まったことへのお祝いのような手当だ。実際に、「お祝い金」や「ハローワーク就職祝い金」と呼ばれることもある。再就職が早く決まるほど、再就職手当として受け取れる金額が増えるようになっている。

再就職手当は、失業保険を受け取っている方すべてが受給できるわけではない。再就職手当の対象者となるためには8つの条件があり、それらすべてをクリアした場合にのみ受給できる。

再就職手当の対象者となるための条件には、以下のことが挙げられる。

・ 失業保険の受給手続き後、7日間の待機期間を満了してから再就職したこと
・ 失業保険の支給日数が3分の1以上残っていること
・ 再就職した会社が以前退職した会社とはつながりのない会社であること
・ 自己都合退職により給付制限がある場合、1ヵ月目はハローワークもしくは人材紹介会社、エージェントの紹介で就職が決まっていること
・ 再就職先で1年以上勤務する見込みがあること
・ 雇用保険の被保険者となっていること
・ 過去3年以内に再就職手当、または常用就職支度手当の支給を受けていないこと
・ 受給資格決定以前から採用が内定していた会社ではないこと

参考:
厚生労働省 就職促進給付について
・厚生労働省「再就職手当についてのリーフレット

これらの条件にあてはまっている転職者は、就職した日付から1ヵ月以内に再就職手当の申請をおこなう。ハローワークへ申請する際に提出する書類は、「雇用保険受給資格証」と「再就職手当支給申請書」だ。これらの書類は、失業保険の受給を停止申請する際に受け取れるようになっている。書類をなくしてしまわないように、申請するまで大事に保管しておこう。

なお、事前に失業保険の手続きを完了し、再就職手当の一定条件を満たした状態ならば、ハローワークを通していなくても再就職手当を受給できる。

採用証明書の書き方や注意点

最後に、採用証明書を実際に書く際には「どのように記入するのか」と、「採用証明書作成の注意点」をチェックしていこう。

事業者が記入する項目は?

採用証明書の様式は、自治体ごとに若干異なっている。今回は、東京労働局で使用されている様式をベースとして、どのような内容を記入するのかを確認していこう。

採用証明書は事業者のみが書くわけではない。「事業所記入欄」や「事業主証明欄」のほかに、「本人記入欄」がある。

本人記入欄には、転職者本人に自身の名前や住所などの個人情報を書いてもらうことになっている。また、雇用保険受給資格者証に記載された支給番号も記入してもらおう。書類の様式によっては、本人記入欄と事業所記入欄が分かれていないものもあるが、どちらにせよこれらの情報は、本人に記入してもらうとミスが少なくなるためおすすめだ。

事業所記入欄には、「雇入(予定)年月日」や「従業員数」、「職種」、「雇入年月日前の貴社における就労の有無」、「採用経路」、「雇用形態」、「雇用期間の定めの有無」を記入する。

とくに誤記入しやすいのは、雇入(予定)年月日の欄だといわれている。雇用契約の締結日や内定日を記入してしまったり、初出勤日を記入してしまったりといった間違いが多いが、雇用契約が開始される日を記入する

間違った書面を提出してしまうと、トラブルの原因になってしまう可能性があるため注意が必要だ。本説明のもとにしている東京労働局の書式では、雇入年月日の欄に「一週間の所定労働時間」も記入する。

従業員数の欄には支社や支店、営業所なども含めた従業員の数を書く。ここに記載する数には非正規雇用労働者を含めるため、アルバイトやパートの従業員数もプラスした数を記入しよう。

職種は本人が対応する業務内容を、雇入年月日前における就労の有無については以前アルバイトなどでも同社で働いた経験があるかどうかを書いていく。雇用形態の部分は、パートであっても日常的に長期間勤務する予定ならば「常用」を選択しよう。どのように記入すればいいのかと不安を感じた場合には、ハローワークに問い合わせてみると確実で安心できるだろう。

事業主証明欄には「事業所所在地」や「事業所名称」、「代表者氏名」、「押印」、「電話番号」、「雇用保険適用事業所番号」といった事業者の情報を記入する。押印がないと効力が発揮されなくなってしまうため、ハンコについてはとくに注意しよう。

ハローワークへ提出する期限があることに注意

採用証明書にはハローワークへ提出する期限があるため、期限を過ぎてしまわないように注意しなければならない。失業手当の停止手続きをする際の書類提出期限は、採用が決まって雇い入れる日の前日までだ。

採用証明書に関連する手続きは、事業者が採用証明書を記入してから実際に手続きをおこなう社員に渡し、社員がハローワークに提出するという流れをとる。そのため、余裕を持ってなるべく早めに該当する社員に渡すようにしよう。

ただし、企業によっては事情があって採用証明書をすぐに渡せないケースがある。たとえば、「本社に採用証明書を郵送で送り、本社からまた戻ってきてから社員に渡す」というように、どうしても時間が必要な場合もあるため、提出期限に間に合わない可能性もあるだろう。

もしも採用証明書の発行が遅れる場合には、早めに該当の社員に連絡し、本人からハローワークに問い合わせてもらうようにしよう。

まとめ

そもそも採用証明書とは、失業保険を受給している失業者が再就職できた事実を証明するための書類である。採用証明書は失業保険の受給を停止したり、再就職手当を受給したりする際に、ハローワーク(職業安定所)へ申請するために必要だ。

採用証明書の記入は人材を採用した際に必ず作成するものではなく、記入を求められるケースが限られている。採用証明書の記入を要する場面は、「内定者の失業手当を停止するとき」と「内定者が再就職手当をハローワークに申請して受給するとき」の2通りである。

実際採用証明書の事業所記入欄を書く際には、「雇入(予定)年月日」や「従業員数」、「職種」、「雇入年月日前の貴社における就労の有無」、「採用経路」、「雇用形態」、「雇用期間の定めの有無」を記入する。記入方法と採用証明書作成の注意点をチェックし、実際の業務に役立てよう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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