2020.8.28

web面接・オンライン面接で採用担当や企業が気をつける事とは

読了まで約 7

・コロナ禍で導入が進むWeb面接。
・多様な人材を採用するために有効なWeb面接。
・企業側、求職者側双方にメリットがあるWeb面接。
・Web面接のデメリットとその解決策とは?
・Web面接導入のポイントは?
・就活生からの支持が高いWeb面接。

Web面接とは?ニーズが高まる背景

コロナ禍によって多くの企業が対面での面接を自粛し、Web面接に移行している。Web面接とは、パソコンやモバイル端末を使って、遠方にいる求職者とコミュニケーションを取る採用方法だ。インターネット回線が繋がる場所であれば、いつでもどこでも面接をすることができるため、多くの企業で導入が進んでいる。

採用活動にあたって対面を自粛している企業の対応としては大きく次のようにわけられる。

1.最終選考までのすべての選考をWeb面接のみで実施する。
2.ある段階までWeb面接で行い、その後は対面面接を実施する。
3.選考を延期・中止する。

今までにも、Web面接と対面面接を合わせて選考を行っていた企業は多く見受けられるが、特に最終選考のみを対面で実施し、それ以外の面接はWeb面接を取り入れているという企業が目立っている。

Web面接へのニーズが高まっている背景として一番大きいのはやはり新型コロナウイルスの影響である。

これは、今年4月に株式会社ディスコが発表した「新型コロナウイルス感染拡大による採用活動への影響」(回答数:全国の主要企業864社 調査期間:2020年3月26日〜30日 調査方法:インターネット調査法)という調査結果の「Web活用の状況と効果」への回答からも読み取ることができる。

それによるとWeb面接を導入しているのは全体のうち35.9%の企業であり、内訳は「もともと実施していた/実施予定だった」が11.9%なのに対し、「新型コロナウイルスの影響で新たに導入した」が24.1%と、新型コロナウイルスの感染防止対策をきっかけとしてWeb面接の導入が広がっていることがわかる。

もうひとつの要因は、インフラの整備による通信速度の向上である。 動画配信によるWebセミナーや説明会などとは異なり、Web面接はライブによる双方向コミュニケーションがベースとなる。そのため通信回線の速度と安定が必要不可欠だ。会話にタイムラグが出たり、映像や音声が途切れたりすれば選考どころではなくなってしまう。 一方でインターネットの通信速度はここへきて急速に向上しており、個人がタブレットやスマホなどのデバイスからアクセスできるWeb会議システムなどのプラットフォームもそろってきている。

5Gへの移行やWi-Fiの整備などが進めば、通信環境はさらに安定化・高速化するため、今まで以上に質の高い面接をWeb上で行うことが可能となり普及は加速するとみられる。

さらに、働き方改革の推進による人材の多様化という要素も見逃せない。

2019年4月から働き方改革関連法が順次施行され、政府の旗振りにより、企業は働き方改革に取り組むよう促されてきた。

政府は「働き方・休み方改善ポータルサイト」や「働き方改革実現会議」を設置するなど、一人ひとりの従業員が多様で柔軟な働き方を選択できるワークスタイルの実現に向けた施策を行ってきているが、出社せずに、自宅や遠隔地にいても働くことができるテレワークも、その取り組みの一つとして推奨されてきている。

このため、テレワーク時代にふさわしい人材採用の手法としてWeb面接は手段の一つとなっている。

例えば、テレワーク環境が整っていれば海外を含む遠方の人材や障がい者、子育て、介護中など、さまざまな事情で通勤できない人材を採用することができる。

そういった、オフィスに足を運んで面接を行うにはハードルが高くても優秀な人材を、一人でも多く採用するためにWeb面接は有効な選考手段なのだ。

・関連記事:テレワークとは?課題や調査から見る多様化が進む働き方を解説

Web面接のメリットとデメリット

Web面接は、場所や時間の融通をきかせ、今までに獲得できなかった新たな面接の機会も創出する面接手法だ。

企業側、求職者側双方にメリットがあるので整理しておきたい。

企業側のメリット

人材獲得のチャンスが増える

前述した通り、今まで求職活動をしようと思っても、地方や海外在住で移動を考えると選考を受けたい企業に足を運べなかった人材や、現職が忙しくて選考会場に行く時間がなかった人材などが時間と場所を気にせず選考を受けることができるようになる。

これは企業にとっては、面接する人材の増加を意味し、これまで転職市場に出てこなかった優秀な人材と接触できるチャンスが増すというメリットとなる。

コスト削減や時短につながり採用活動が効率化される

Web面接に切り替えることで、以下のような効率化を促すことができる。

・面接会場を準備する工数削減
・面接会場までの交通費や宿泊費などのコスト削減
・担当者と面接官の面接実施に関係していた時間が短縮される

さらに、Web面接を繰り返すことでノウハウが蓄積され、効率化は進むと考えられる。Web面接だからこそ聞くことができる質問や、特に注意して確かめることなど、面接の回数が増えていけば面接内容がブラッシュアップされ、選考のほとんどをWebで完結させることもできるようになり、結果的に採用活動全体の効率化に繋がっていく。

複数人で多角的な面接が可能になる

Web面接は時間や場所による制約がないため、複数回の面接が実施しやすくなったり、面接の様子を録画してそれを共有したりできるため、他の面接官や責任者と相談したり、後からもう一度見直して検討するなど多角的な判断が可能になる。

求職者側のメリット

面接のチャンスが増える

これは企業のメリットと同様、介護や育児のためフルタイムで出社して働けない人材でも面接を受けるチャンスができる。また地方や海外を含む遠方にいる、現職が忙しくて選考会場に行く時間がない、という人材でも面接へ参加できるチャンスが増える。

多くの企業を受けることができる

時間的な制約はもちろん、面接会場まで行く交通費などの制約も少なくなるため、より多くの企業の選考を受けることができ、転職、就職の可能性が高くなる。

緊張せずに選考にのぞめる

都合の良い面接時間を調整しやすく、自分の慣れた環境で面接を受けられるため、面接会場独特の緊張感を受けることなく選考にのぞみ、リラックスして受け答えすることが可能になる。

反対にデメリットもある。

特に、これまでの対面での面接と勝手が違うため、以前と同じように候補者を見極めることができず困っている企業は多い。

Web面接でのデメリットとして以下が考えられる。対応策とともに紹介する。

お互いの魅力が見えなくなる

オンラインに慣れていない場合や、従来からの対面での面接の感覚から脱却できていない場合には、応募者も面接官もWeb面接ではお互いの個性や魅力を見いだせなくなることも多い。

不慣れな状態でWeb面接に挑むことで、応募者側は企業に自身の強みや魅力を上手く伝えることができなかったり、面接官側も応募者への理解が不十分となったり、自社の強みをアピールしきれない、などの問題が発生する。
そうなると、本当ならマッチするはずの応募者と企業とがマッチングできない可能性が高まってしまう。

これはお互いに慣れることが最大の対策だ。

企業側はWebに関するスキルを持った人材を面接官として育成したり、外部講師を呼んで研修を受けるなどの施策を行い、応募者側は対面の面接同様、シミュレーションと模擬面接を繰り返してWeb面接にのぞめばよい。

候補者の印象が実物と異なる

ディスプレイを通じたイメージと、実際に対面したときとで人の印象は異なることがある。Web面接では、全身の動きから感じる印象や服装の身だしなみ、立ち振る舞いなどノンバーバルな部分が分かりいくいため、実際に働く姿がイメージしづらいのだ。

・関連記事:リモートワークだからこそ気を付けたい!ノンバーバルコミュニケーションの心得

テレワークだけで業務できる職種なら問題ないかもしれないが、特に営業など、業務上で外部との関わりが多い職種の場合、対面したときの印象を確かめることができないのはWeb面接の大きな課題だ。

身だしなみや立ち居振る舞いなど、どうしても実際にチェックしなければならない業務があるなら、この場合に限って対面による選考を行うのも対応策の一つだ。もちろん感染症対策を十分に行った上で、応募者本人の了解を得ることが最低の条件となる。

合否の判断が先延ばしされ最終面接官の負担が増える

前述のような理由もあって、対面での面接と比較して選考の判断が難しくなるため、選考の初期で合否を判断することがなかなかできない。

こうなると「とりあえず次の選考に進んでもらおう」と判断を先送りしてしまうケースも増加することになる。その結果、面接の回数ばかりが増え、最終選考担当の面接官の負担が増大してしまうことになってしまうのだ。

こうした事態は事前に面接の回数とそれぞれの選考基準、面接官ごとの役割と権限を、Web面接導入前にしっかりと検討し、明文化しておくことで回避できる。

特に各面接官にはチェックポイントと選考基準に照らし合わせた判断ができるよう、強い権限をもたせることも判断を早めるためには有効である。

Web面接を導入する際のポイント

ここまでWeb面接のメリットとデメリット、その対応策を述べてきたが、実際に導入する際にはどのような準備をすればいいだろう。

セキュリティ対策

Web面接はネットワークを介して行うため、常にセキュリティリスクがつきまとう。フリーのWebミーティング用のツールでもWeb面接は実施できるが、それではセキュリティ面に不安がある。Web面接の運用に際してはセキュリティの堅牢な専用ツールを導入しておきたい。

専用ツールはそれなりにコストがかかるが、面接中の音声、動画、画像データは報機密の高い情報であり、個人情報が流出したりすれば企業イメージを大きく傷つけてしまうので、セキュリティが安全なものを用意しよう。

ネットワーク環境の整備

Web面接で最も注意したいのが余裕のあるネットワーク環境の整備だ。インターネットの回線速度が遅いと、接続が出来ない、音声や映像のタイムラグが発生しスムーズな会話ができない、などのトラブルが発生する。万全の環境を整えておきたい。

接続できないときの対応

企業側の環境が万全でも、応募者側の通信環境が悪くて接続がうまくいかないことも多い。面接の進行中に突然接続が切れたり、声が聞こえなくなることもあるだろう。

こうしたことは必ず起こりうると想定して、あらかじめお互いの携帯電話の番号などを確認しておき、接続ができない場合に電話で連絡することなどを事前に決めておくことが必要だ。

雑音が入らない場所の設定

十分な接続環境を準備しても、周囲の雑音が入ってしまう場所で実施すると、応募者にこちらの声が届きにくくなるし、お互いに落ち着かない。

社内から接続する場合は人の声や作業音が入りにくいスペースを確保することはもちろんだが、近隣のビルが工事中であるとか、面接の予定日に限って近くで道路工事がはじまった、などの事態も想定されるので、そうしたスケジュールを確認しておくことも大切な配慮だ。

全社的に取り組む

通信環境や会場の設定など物理的なハードルをクリアしても、コストや導入までの時間の問題、面接官の情報リテラシーなど課題はさまざま考えられる。

なかでも、最も手ごわいのが「Webで選考できるのか」「画面を通じての面接で人柄がわかるのか」という上層部の疑念である。これは新しいことに取り組むときに必ず生じる反作用といってよい。

先の調査結果を見てもわかる通り、コロナ禍が続く時代において、Web面接はひとつの確かな潮流となっている。

またWeb面接は、就活生からの支持が高いという調査結果もある。

株式会社サポーターズが調査した「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による就職活動への影響調査」(調査方法:登録学生にアンケートを配信 調査対象:594人〈関東地方42%/地方および海外58%〉 調査期間:2020年2月21日~2020年2月25日)によると、「感染症対策に限らず、Web面接はどう思いますか」という設問に対して、60%もの学生が「良い施策だと思う」と回答している。

そして、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらないなかで、いまだに対面の選考を行う企業については、SNSなどで就活生が「こんな企業には行きたくない」「社員を大切にする会社とは思えない」と投稿するなど、対面の選考にこだわっていると企業のイメージそのものを傷付けてしまうこともあるのだ。

ツールを導入しただけでWeb面接での採用が成功するわけではない。

オンライン採用を推進するためには、経営陣や面接官など選考に関わる社員、ご意見番となるベテラン社員などを巻き込こんで、上層部だけでなく、全社的な取り組みにまで発展させることが大切だ。

まとめ

・Web面接とは、パソコンやモバイル端末を使って、遠方にいる求職者とコミュニケーションを取る採用方法だ。インターネット回線が繋がる場所であれば、いつでもどこでも面接をすることができるため、多くの企業で導入が進んでいる。

・Web面接が普及している背景には、新型コロナウイルスの影響のほか、インフラの整備による通信速度の向上や、働き方改革の推進による人材の多様化という要素がある。

・Web面接のメリットは、企業側には人材獲得のチャンスが増える、コスト削減や時短につながり採用活動が効率化される、複数人で多角的な面接が可能になるなどがある。一方求職者側には、面接のチャンスが増える、多くの企業を受けることができる、緊張せずに選考にのぞめる、などがある。

・Web面接のデメリットは、お互いの魅力が見えなくなる、候補者の印象が実物と異なる、合否の判断が先延ばしされ最終面接官の負担が増える、などがあるが、それぞれに対策を施すことで克服することができる。

・Web面接を導入する際のポイントは、セキュリティ対策、ネットワーク環境の整備、接続できないときの対応、雑音が入らない場所の設定、全社的に取り組む、などがある。

・いまだに対面の選考を行う企業について、SNSなどで就活生が「こんな企業には行きたくない」「社員を大切にする会社とは思えない」と投稿するなど、対面の選考にこだわっていると企業のイメージそのものを傷付けてしまうこともある。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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