2022.4.19

統率力とは何か?リーダーシップやマネジメントとの違い、身につける方法

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リーダーに必要な資質のひとつが統率力であり、似たものとしてリーダーシップなどの言葉が使われるが、厳密には違う点がある。今回は基礎的な知識と、統率力があるリーダーとはどのような人なのかを紹介する。統率力を高めるためにおすすめの方法も併せてチェックしよう。

統率力とは?リーダーに求められる資質

「統率力」とは、組織をまとめるリーダーにとって必要とされる資質のひとつである。統率力とはどのようなものなのか、似たようなものとして挙げられる「リーダーシップ」や「マネジメント」との違いについて、それぞれ詳しくチェックしていこう。

統率力とは

そもそも統率力とは、「目標を達成するために組織をまとめて率いていく能力」のことである。組織を引っ張るリーダーには、周りの人たちをまとめあげ、チーム全体を正しい方向へ率いる力が重要だ。リーダーに統率力があると、多くの人をまとめて滞りなく仕事を進めていける。

統率力という言葉を英訳すると「Leadership」になるが、日本のビジネスの場で使われる「リーダーシップ」という言葉の意味とは、少々異なるものとして捉えられているため注意しよう。

統率力はリーダーシップに含まれる

統率力の英訳について先に触れたように、リーダーシップと統率力は同じように使われることがある。しかし厳密にいえば、統率力とはリーダーシップを発揮する際に必要な要素のひとつとして考えられているものだ。

リーダーシップとは、組織や相手を動かす力を指す言葉である。統率力以外にも「コミュニケーション力」や「課題解決力」、「伝達力」、「ストレス耐性」など、複数の資質や能力によって、遺憾なくリーダーシップを発揮できるようになるのだ。

マネジメントとの違いは役割

そのほか、統率力と似たものとして使われている言葉にはマネジメントもある。マネジメントと統率力とは、求められている役割において違いがあるのだ。

マネジメントとは目標達成に向けて組織や人を管理することである。リスクに気をつけながらヒトやモノ、カネといった経営資源を管理しつつ、効率的に経営資源を活用し、定めた目標を達成させることがマネジメントだといわれている。

統率力との違いは、目標を達成するために果たす役割だ。統率力は目標に向けて組織やチームを率いていく力であることに対して、マネジメントは組織やチーム活動の維持や向上を目的として進捗管理などをおこなうものである。そのため、マネジメントはディフェンシブな役割で、統率力はオフェンシブな役割だともいわれることがある。

統率力があるリーダーとは

先述のとおり、組織のリーダーに対して求められる資質のひとつが統率力である。それでは、統率力のあるリーダーとはどのようなものなのだろうか。その特徴は、以下のとおりである。

・ 決断ができること
・ 高いコミュニケーション能力があること
・ 問題から逃げないこと

これらの特徴を持つリーダーを増やせると、組織の団結力が強まって人材流出の防止につながっていく。また、組織全体のパフォーマンスを向上する効果も期待できるだろう。

それでは、統率力のあるリーダーの特徴について、それぞれ詳しくチェックしていこう。

決断ができる

統率力のあるリーダーには、決断できるという特徴がある。リーダーとしてメンバーを率いていくのであれば、どうすればいいのかを自身で決断しなければならないことが何度もあるだろう。

決断力に優れたリーダーならば、そのような場合でも組織としての目標やどうなっていくべきなのかをしっかりと理解している。また、情報収集力や状況判断力、責任感も持ち合わせていて、正しく判断ができる傾向にある。

そのため、統率力があるリーダーは周囲からの信頼を得やすいという特徴もあるといわれている。周りのメンバーから見ても、判断基準がはっきりしているだけに迷うことなく安心して仕事ができるため、より深い信頼関係を築けるだろう。

高いコミュニケーション能力がある

統率力のあるリーダーは、コミュニケーション能力が高いというのも特徴だ。リーダーとして多くの人を率いていくためには、関係するさまざまな人とコミュニケーションをとる必要がある。統率力のあるリーダーを目指す人は、チーム内の団結力を高められるよう、仕事以外の時間もメンバーと一緒に過ごすと良いだろう。

また、リーダーとして仕事をするならば、他部署と連携して仕事を進めていくケースがある。他部署の相手とも普段からコミュニケーションを取り、他部署の仕事内容も把握するようにして、いざ連携が必要になった場合に対応しやすいようにしておくと良いだろう。

問題から逃げない

統率力のあるリーダーには、責任感が強くて問題から逃げないという特徴もある。活躍しているリーダーには経験豊富な人が多く、そもそも大きな問題が起こることを避けるように動いている。

しかし、それでも問題が起こるケースはあるだろう。そんなときでも統率力のあるリーダーには、逃げずに冷静に向き合って最終的な責任を取る度量がある。ピンチになっても先頭に立ってチームを率いていけるようなメンタルの強さも、統率力のあるリーダーの特徴だ。

このように統率力のあるリーダーは、問題が起きる前から適切な対応ができ、なにかあった場合でも強いメンタルを持って問題から逃げずに冷静に対処できるため、周りから信頼されるだろう。

統率力を高めるには

周りから信頼される魅力的なリーダーになるためには、統率力を高めていく必要がある。統率力を高める方法の例は、以下のとおりである。

・ 成長マインドセットを意識する
・ コンセプチュアルスキルを高める
・ エンパワーメントを進める

これらのほか、結論から話すこと、日ごろから信頼してもらえるようなふるまいをすること、自己の課題をチェックすることなども効果的である。それでは、先に挙げた3つの統率力を高める方法について詳しくチェックしていこう。

成長マインドセットを意識する

1つ目は、成長マインドセットを意識する方法だ。マインドセットとは思考様式や心理状態を指している。

物の見方や行動は、その人が受けた教育や先入観などが影響するものであり、マインドセットを変えると自己の成長につなげられる。成長マインドセットとは、努力次第で能力を伸ばせるというポジティブな思考のことで、挑戦に前向きになれるうえに、もしも失敗しても自己成長できるのである。

マインドセットを変える方法は、目標を明確化すること、何度も実践すること、成功体験を重ねることなどによって成長マインドセットを意識することだ。マインドセットを変えて、ポジティブな考え方ができるようになろう。

関連記事:マインドセットの意味は?種類や変える方法を解説

コンセプチュアルスキルを高める

統率力を高める2つ目の方法は、コンセプチュアルスキルを高めることだ。コンセプチュアルスキルとは「目利き力」や「概念化能力」のことであり、多角的な観点から物事を判断し、本質を見極める能力である。知識や情報を体系的に組み合わせられるため、正しく物事を見たり、解決方法を正しく判断できたりするようになるといわれている。

コンセプチュアルスキルは、マネジメント層に必要なスキルのひとつである。そのなかでも、とくにトップマネジメント層になるほど重要視されるものだ。

構成される能力には思考力や対応力、追求力などが含まれる。さらにそのなかにも要素があり、ロジカルシンキングやチャレンジ精神など、ビジネスシーンで大切だといえるさまざまな能力から構成されているのである。

コンセプチュアルスキルを高めるには、自分で目的を考える習慣をつけること、挑戦とリフレクションを続けることなどの方法がある。また、高い創造意欲を持って積極的に挑戦し、イノベーションを興す「アントレプレナーシップ」を意識することでもコンセプチュアルスキルを高められる。

関連記事:
コンセプチュアルスキルとは?意味や重要性、高め方を分かりやすく解説
アントレプレナーシップ(企業家精神)が、新時代のリーダーに求められる資質として注目される理由

エンパワーメントを進める

統率力を高める3つ目の方法は、エンパワーメントを進めることだ。エンパワーメントとは英語の「empowerment」のことで、ビジネスシーンにおいては「能力開花」や「権限委譲」と訳されている。

組織内のメンバーに権限を与え、抑圧されずに力をつけて充分に能力を発揮できるようにするマネジメントスタイルを取り入れることだ。エンパワーメントのメリットは、リーダーの指示によるものではなく、メンバーの一人ひとりが自発的に考えて動けるようになることである。

それにより、リーダーの許可をいちいち取らずにすむため、対応の迅速化が可能になるだろう。チームメンバーが当事者意識を持ち、自身で責任を持てるようになること、メンバーの潜在能力を開発しやすくなることなども、エンパワーメントを進めるメリットである。

エンパワーメントを進めるには、まずはメリットや目的、どのように変化するのかを周囲に説明しておく。その後に勉強会やディスカッションの場を設け、メンバーの不安や疑問を解決しよう。

こうして周りの受け入れ態勢が整ったならば、 各現場で的確に判断できるように正確な情報を公開する。このとき、権限を与える裁量範囲を明確にするとトラブルを防止できるだろう。

エンパワーメントを進める場合には、メンバーが下した判断や行動に口出しし過ぎず、自主的に解決策を導き出せるようにサポートしていこう。

関連記事:
組織における社員の自律性を高める方法「エンパワーメント」とは?
権限委譲とは?その意味と企業における組織の成長のために適切に行う方法を解説

まとめ

そもそも統率力とは、「目標達成のために組織をまとめて率いていく能力」のことだ。リーダーには、周りの人たちをまとめてチーム全体を正しい方向へ率いる統率力が重要である。

統率力を英訳すると「Leadership」になるものの、日本のビジネスの場で使われる「リーダーシップ」の意味とは、少々異なるものとして捉えられているため注意しよう。

統率力があるリーダーには、決断ができること、高いコミュニケーション能力があること、問題から逃げないことなどの特徴がある。また、統率力を高めるならば、成長マインドセットを意識すること、コンセプチュアルスキルを高めること、エンパワーメントを進めることなどが効果的だ。

これらの情報を理解して、実際にビジネスの場で活用できるようになろう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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