2022.7.28

ネゴシエーションの意味は?ビジネスでの使い方、成功のコツ

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ネゴシエーションはビジネスの現場で日常的に使用されており「交渉」を意味する用語だ。しかし、本来の意味とは異なる印象が広まっている。ネゴシエーションは対立ではなく、お互いにメリットがある合意を目指すものなのだ。

この記事では、ネゴシエーションの意味や成功のポイント、スキル向上に必要な能力について解説する。

ネゴシエーションとは?

ネゴシエーションとは交渉を意味する用語であり、ビジネスの現場で日常的に使用されている。ただし、駆け引きの印象が強いため、ネゴシエーション本来の意味や目的が間違って広まってしまっているのだ。

ここでは、ネゴシエーションの意味や使い方、目的について解説する。

ネゴシエーションとは

ネゴシエーションとは、交渉や折衝を意味する用語だ。ビジネスの現場で使用され「駆け引き」をはじめとした敵対的な要素が強いと思われがちだが、本来の意味とは異なっている。

ネゴシエーションは敵対的な意味ではなく、お互いのメリットを考慮したうえで妥協点を探る話し合いのことなのだ。

ネゴシエーションの使い方、例文

ネゴシエーションは、あらゆるビジネスの現場で実施されている。対企業であれば営業や仕入れ価格のような取引条件の交渉、社内であれば決裁や意見調整、目標設定など、お互いの主張を通すための交渉が行われている。

「この案件のスケジュールについて先方とネゴってきてほしい」「契約条件を営業部とネゴシエーションしてくる」といった会話は珍しいものではない。

例えば営業をスムーズに進めるため、取引先の担当者と仲良くなることでお互いの話を通しやすくするテクニックがある。社内決裁であれば、上司や決裁者に事前に説明することで、決裁が円滑に進む。このようなテクニックもネゴシエーションのひとつだ。

値引き交渉の現場で、大量発注を理由に単価を下げてもらうこともネゴシエーションに含まれる。ビジネスでスムーズに仕事を進めるためには、ネゴシエーションスキルを向上させることが必要だ。

ネゴシエーションの目的

ネゴシエーションの目的は、交渉相手との合意だ。その合意はお互いにとってメリットがなくてはならない。片方のみにメリットがある条件では、その関係が長くは続かないだろう。お互いにメリットがあることでビジネス関係が成り立ち、前向きに取り組めるのだ。

お互いのメリットを調整しながら着地点を見出し、信頼関係を構築することが本来の目的といえるだろう。

ネゴシエーションの成功に必要なこと

ネゴシエーションを成功させるためには、ネゴシエーションの意味を理解したうえで交渉に臨むことが大切だ。ネゴシエーションは競争的な駆け引きではなく、あくまでも「対話」である。

協力する姿勢を示し、信頼関係を構築することで、お互いにとってメリットがある交渉結果を得られるのだ。また、交渉が失敗した場合の対応を事前に決めておくことで、担当者は安心してネゴシエーションに臨めるだろう。

ここでは、ネゴシエーションを成功させるための考え方や準備について解説する。

競争的な駆け引きではないと知る

ネゴシエーションに成功するためには、ネゴシエーションが競争的な駆け引きではないと理解することが大切だ。自分が要求する条件を相手に無理やり飲んでもらうことは、ネゴシエーションとはいえない。

例えば、理詰めで相手に何も言わせないようなプレゼンテーションは、間違ったネゴシエーションの典型だ。どんなに正論を言っていても、相手の話を聞いていなければ交渉ではない。

こちらの都合だけを押し付けたり欺いたりした場合、トラブルに発展する可能性も考えられる。ネゴシエーションとは、駆け引きではなく「対話」であることを理解することが必要だ。

双方の合意を目指す

ネゴシエーションの成功には、双方の合意が必要だ。勝ち負けが前面に出た対立的なネゴシエーションをしたところで、中長期的にみればお互いにとってメリットにはならない。

ビジネスを成功させるには、お互いが協力したうえで利害の対立を解決することが必要だ。そのためにも、ネゴシエーションでは対立ではなく協力する姿勢が必要といえるだろう。

合意点を明確にしておくことは、ネゴシエーションをするうえで欠かせない準備だ。交渉においては、こちらの主張がすべて通るわけではない。メリットが得られない結果になることもあるだろう。

ネゴシエーションでの悪いケースとして、自社にメリットがない条件で交渉が成立してしまうことが挙げられる。自社にメリットがないのであればビジネスとはいえない。そうならないためにも、交渉前に「ここだけは譲れない条件」や「これ以上下げられないライン」といった「妥協点」を明確に決めておくことが重要といえるだろう。

信頼関係の構築をゴールにする

ネゴシエーションの現場では、信頼関係の構築を狙うことが大切だ。信頼関係がない状態で交渉した場合、お互いの主張に対して不信感や警戒心を持ってしまうため、双方にメリットがある結果を得ることは簡単ではないだろう。

譲れるポイントと譲れないポイントを示したうえで、お互いにとってメリットがある着地点を探すことで建設的な交渉となり、信頼関係が築ける。信頼関係を築くことでお互いの本音を引き出し、双方に利がある交渉結果となるだろう。

事前に交渉決裂の場合の対応を決める

交渉が決裂した場合の対応を事前に決めておくことも大切だ。ネゴシエーションの現場では、こちらの条件が通らずに交渉決裂となるケースも想定される。前述したように、妥協点を決めておくことも必要だが、交渉が失敗に終わった場合の対応を社内で協議しておくことも必要だ。

交渉が決裂した場合の対応を決めていない場合、担当者の勝手な判断でさらに状況が悪化するケースも考えられる。会社としてはすぐに取引自体を中止し、次の取引先を探したいケースもあるだろう。

交渉決裂時の対応を事前に決めることで、一担当者が会社にとって重要な判断をしなくても済み、安心して交渉に臨めるのだ。

ネゴシエーションスキル向上のために

ネゴシエーションスキルを向上させるためには、コンセプチュアルスキルや傾聴力といった能力を高めることが必要だ。妥結点や冷静さを失わない力も必要だろう。また、事前準備への意識を高めることも大切だ。

ここでは、ネゴシエーションを成功させるために必要な能力や、その効果について解説する。

コンセプチュアルスキルを高める

ネゴシエーションスキル向上のためには、コンセプチュアルスキルを高めることが大切だ。コンセプチュアルスキルとは、物事を多角的な視点で判断し、本質を見極める能力だ。「概念化能力」や「目利き力」とも言い換えられる。この能力が備わっていれば、自分が持つ知識や情報を組み合わせて概念化できる。

コンセプチュアルスキルがあれば、抽象的な考えや物事の大枠を捉えられる。そのため「正しい情報はなにか」「なにが問題なのか」「どうやって解決すればいいのか」といったネゴシエーションの現場で発生する状況に対応できるのだ。

ネゴシエーションの現場では、状況把握や要望の本質を掴むことが必要だ。状況把握に必要な情報は、相手が発する言葉だけではなく表情や仕草からも入手できる。相手を観察し、状況を把握することで、相手が受け入れてくれるであろう提案が可能だ。

関連記事:コンセプチュアルスキルとは?意味や重要性、高め方を分かりやすく解説

傾聴力を高める

傾聴力を高めることも、ネゴシエーションスキル向上に必要だ。傾聴とは、心理学の分野で使用されている用語で、相手の話に耳だけではなく心も傾ける聞き方のことをいう。熱心に話を聞くのではなく、相手への共感を持ったうえで話を聞くのが傾聴だ。

傾聴力を高めることで、相手との信頼関係の構築につながるのだ。傾聴力は経済産業省が提言する「社会人基礎力」の要素である「チームで働く力」に必要な能力のひとつとしても紹介されている。

参考:経済産業省「社会人基礎力」

ネゴシエーションは、こちらの要求だけを押し付けても成立しない。相手の話を「心を開いた状態」で聞き入れることで、共感の姿勢を示せる。共感の姿勢を示すことで、相手も心を開き、信頼関係の構築につながるのだ。

お互いが本音で話し合い、お互いにメリットがある着地点を見つけるためにも、傾聴力を高めることが必要といえる。

関連記事:傾聴とは?ビジネスやマネジメントの技術で必要とされている理由

妥結方法に導く力をつける

ネゴシエーションでは、妥結方法に導く力も必要だ。交渉では、誰かが双方の提案をまとめる必要がある。どんなに本質を見極め、相手の話に耳を傾けても、最終的な着地点を決めなければ交渉は成立しない。

妥結方法を導く力があれば、スムーズに交渉がまとまり、相手からの信頼も得られるだろう。そのためには、自分の立場だけではなく状況を客観的に把握し、新しい切り口や代替案を提案する能力が求められる。

自分にとって不利な状況でも感情的にならず、冷静に双方の利害を考慮する力も必要だ。

事前準備をしっかりと行う

事前準備を大切にする意識を高めることも、ネゴシエーションの成功に欠かせない。ビジネスでは「段取り8分」といわれるように、事前準備で仕事の質が変わる。ネゴシエーションにおいても例外ではない。

相手の立場や特徴、関心ごとといった情報を集めることで、考え方や方向性を理解しやすくなるだろう。前述したように、譲れない条件や妥協点、交渉決裂時の対応を決めておくことも大切な事前準備だ。

また「どんなことを質問してきそうか」「このような質問をしてきたら、こう返す」といった、交渉時に起こりそうなシナリオをシミュレーションすることも必要だ。交渉場面をイメージできるまでシミュレーションしておけば、本番で焦ることもないだろう。

まとめ

ネゴシエーションとは交渉を意味する用語で、双方にメリットがある着地点を見つけることを目的としている。しかし、本来の意味や目的ではない「競争的な駆け引き」の印象が強く広まっている。

ネゴシエーションを成功させるためには、その意味や目的を理解して協力する姿勢を示す必要がある。協力する姿勢を示すことで信頼関係が構築でき、双方にメリットがある交渉結果を得られるのだ。

ネゴシエーションスキルを向上させるためには、コンセプチュアルスキルや傾聴力といった能力の向上が必要だ。また、事前準備への意識を高めることも忘れてはいけない。

譲れない条件や妥協点、交渉決裂時の対応を決め、交渉のシナリオをシミュレーションしておけば、本番で焦ることもないはずだ。ネゴシエーションの意味や目的を理解し、交渉成功に導こう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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