2022.12.6

自己開示とは?ビジネスにも役立つやり方や例文を紹介

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自己開示とは自分のことを相手に話し、他者にありのままをさらけ出すことである。

今回は、言葉の定義とともにビジネスシーンにおける例や、どのようなメリットがあるのかを紹介する。自己開示を行う方法も解説するため、併せてチェックしよう。

自己開示とは。コミュニケーションが円滑になる?

自己開示とは、自分の情報をそのまま他者に伝えることである。開示する内容は、自らの強みだけではない。弱点や悩み、過去の失敗なども含めて、ありのままの自分をさらけ出すことだ。

自己開示は信頼関係の構築に欠かせないものであり、これによってコミュニケーションを円滑にするといわれている。相互理解を深めて信頼できる人間関係を作れるように、自己開示とはどのようなものか、ビジネスシーンにおける例などを確認していこう。

自己開示とは

自己開示とは、自分の内面を他者にさらけ出す行為のことである。例えば、初対面の人と会ったときに自分の生い立ちや趣味を伝えることも自己開示の一つだ。

自己開示により性格や考えなどの相互理解を深められ、相手に対する警戒心を和らげる効果がある。相手のことを知らないと警戒心を抱いてしまうため、良好な人間関係を築く上で自己開示は重要なポイントだ。

自己開示と似た概念には、「自己呈示」がある。先述の通り、自己開示はどのようなことも包み隠さずに話すことだ。一方で、自己呈示とは公開する情報を選び、自分をより良く見せることを目的に、印象操作するというニュアンスを持つ言葉である。

自分にとってポジティブな情報の開示を選択する自己呈示が、必ずしも悪いわけではない。しかしながら、自分への評価を上げられる可能性があるものの「虚勢を張っている」、「誠実ではない」といった印象を与えかねないことには注意しよう。

こちらが自己開示をすると、それに対して相手からも打ち明けてもらいやすくなる効果がある。例えば、「私はすごく方向音痴なんです」などと自分の情報を伝えることで、相手が「このように話してくれたのならば、私も自分の話をしよう」と感じ、相手も自己開示してくれるのだ。これを「自己開示の返報性」という。

自己開示をすると個人的な話を交換し合うことになり、関係構築の相乗効果が期待できる。相手に心を開いてもらいたいときには、まずは自分から自己開示するといいだろう。

ビジネスシーンにおける例

自己開示を行うのは、基本的に心から信頼している相手に対してである。そのため、ビジネスシーンであえて自己開示をすることで、「私はあなたを信頼している」というメッセージを伝えられる。

また、相手に悩みを話してもらいたいときは、自己開示の返報性を有効に使うと良いだろう。例えば、なんらかの業務が苦手で悩んでいる後輩に対しては、「私もその業務がなかなかうまくいかなかったんだよね」と伝えると、相手からも話を聞き出しやすくなる。

関連記事:テレワークで効果的なコミュニケーションは「雑談」!鉄板の雑談ネタ10選

自己開示による3つのメリット

自己開示によるメリットは、以下の通りだ。

・ カタルシス効果
・ 心理的安全性を高める
・ ウェルビーイングにつなげる

ビジネスシーンでもプライベートでも、どちらでも良好な人間関係の構築に役立つものが自己開示である。

先述の通り、自分の情報を伝えることで相手に対して信頼しているというメッセージを伝えられる。その結果、相手が心を開きやすくなるため、短期間で相手からの信頼を得やすい点がメリットだ。

また、自己開示には返報性の法則があるため、相手からの自己開示を促せる。その結果、さらにお互いの情報交換が進んでいき、親密度を上げられるのだ。

自己開示をした内容に対して相手が賛同してくれたことで、嬉しく感じて自分に自信を持てるようになるというメリットもある。

ビジネスシーンで自己開示をするメリットには、職場の人間関係を円滑にできること、職場全体が活性化すること、社員が自信を持って発言しやすくなることが挙げられる。それでは、これらのメリットについて詳しくチェックしよう。

カタルシス効果

話すことでスッキリする「カタルシス効果」を得られることが、自己開示によるメリットだ。カタルシス効果によって自分の中から澱を吐き出すような感覚があり、精神的な緊張状態がほぐれて心が浄化される。

そのため、実際に心理臨床の現場などでカウンセリングをする際に活用されている。ただし、自己開示によって精神的な健康に良い効果があるのは、信頼できる相手や深い関係性がある相手に行う場合のみであることには注意が必要だ。

心理的安全性を高める

自己開示によるメリットには、心理的安全性を高めることもある。心理的安全性とは、安心して自分の考えを発言し、行動に移せる状態のことだ。

心理的安全性を高めることは、チームのパフォーマンス向上に必要だといわれ、大きな注目を集めている。心理的な安全性が確立できた職場であれば、以下のようなメリットがあるといわれている。

・ 自分らしく仕事できることで、職場全体が活性化していく
・ メンバーのポテンシャルを十分に発揮できるようになる
・ モチベーションを高める
・ イノベーションの確率を上げる
・ 業績の向上につながる
・ 優秀な人材の離職の防止になる

このように、組織内の心理的安全性を高めることによって、様々な効果が期待できるのだ。

ウェルビーイングにつなげる

自己開示を行うことで、「ウェルビーイング」につなげられるというメリットもある。そもそもウェルビーイングとは、身体的や精神的、社会的に良好な状態だということを意味する概念だ。「幸福」と翻訳されることもよくあり、多くの企業で職場のウェルビーイング向上に向けて様々なチャレンジをしている。

ただし、企業でウェルビーイングを進めようとしても、どう在れば幸せなのかが言語化しにくいものだ。ウェルビーイングを進めるためには、心理的安全性の確保が欠かせない。

先述の通り、自己開示することでウェルビーイングにつなげられる。そうはいっても、上司の立場にある人が部下に対して自己開示によるコミュニケーションを図っても、本音を話せないと考えられてしまうケースもあるため注意が必要だ。

評価者でもある立場では、どのようにすれば心理的な安全性を保ちつつ会話できるのかを考えながら実施するといいだろう。

関連記事:カタルシスとは?意味やビジネスシーンでの活用ポイントについて紹介

自己開示の方法

自己開示を行う際は、相手との信頼関係を築くことが重要である。そのため、相手にとっても話しやすいような雰囲気を作るように心がけよう。

自己開示によってうまく会話を弾ませて情報を交換し、親密度を上げるには、以下のような方法を取り入れることをおすすめする。

・ 自分側の話を入れながら相手の話を聞く
・ 自己紹介に雑談を入れる
・ 相手が自己開示できるような質問をする
・ 適度な欠点や弱みを話す

また、相手によっては自己開示が苦手である場合もあるため、対応には注意が必要だ。自己開示が苦手な場合、自己開示によってトラウマ経験をした、自尊感情が低いなどの理由がある可能性があるだろう。自己開示をしない人と会話した際には、「自己開示させよう」としてしまわないようにするべきである。

それでは、自己開示の方法について詳しくチェックしていこう。

自分側の話を入れながら相手の話を聞く

自己開示を行う際は、自分のことを話せばそれでいいというわけではない。自分側の話を入れながら相手の話を聞き、信頼関係を築いていくことが重要である。

もしも相手から聞きたいことがある場合には、まずは自分から情報を開示するようにしよう。例えば、急に「休日はどのようなことをしていますか?」と聞くよりも、自分がよく映画を観に行っていることを話してからの方が、相手はスムーズに話しやすくなる。

自己紹介に雑談を入れる

先述の通り、初対面の人を前にすると、相手のことを知らないために警戒心を抱いてしまいがちだ。しかし、どのような人物なのかを理解できれば、警戒心を和らげられる。

自己紹介のときに雑談を入れ、うまく自己開示をすることで、相手との関係性を前進しやすくなるだろう。趣味や出身地、最近はまっているものなどの情報を、自己紹介の中に入れるのがおすすめだ。

相手が自己開示できるような質問をする

自己開示の効果を得るためには「聞き上手」になることで、相手から自己開示をしてもらえるように促すことも大切である。そのためには、相手が自己開示できるような話をすることを心掛けるといいだろう。

相手からの自己開示を促すには、話しやすいように質問形式にするのがおすすめだ。趣味やプライベートに関する話題につなげていくと、自然と相手からの自己開示を引き出しやすくなるだろう。

適度な欠点や弱みを話す

コンプレックスに感じていることや弱みなどを伝えると人間らしさを感じてもらえるため、親しくなるきっかけ作りになる。とくに上司と部下などの場合には、上司の側から適度に弱みを見せると、心の距離を縮めやすくなるといわれている。

ただし、あくまでも「適度な欠点や弱み」を話すことが重要だ。いきなりプライベートすぎる悩みを話しても、逆に変わった人かもしれないと警戒されてしまう可能性がある。

また、重すぎる悩みを話してしまうと、相手にとっては受け止めきれずにストレスに感じてしまう可能性がある。ちょっとした欠点など、相手との関係性に合った適度な内容を開示するようにしよう。

関連記事:リモートワークだからこそ気を付けたい!ノンバーバルコミュニケーションの心得

まとめ

自己開示は、信頼関係の構築に欠かせないものである。相手を知ることで警戒心を和らげる効果が期待できるため、上手な自己開示は良好な人間関係を築く上で重要なポイントだ。

自己開示と似た概念である「自己呈示」には、公開する情報を選び、自分をより良く見せることを目的に印象操作するというニュアンスがある。自己呈示が悪いわけではないものの、虚勢を張っている、誠実ではないといった印象を与えかねないことに注意しよう。

自己開示の方法は、以下の通りだ。

・ 自分側の話を入れながら相手の話を聞く
・ 自己紹介に雑談を入れる
・ 相手が自己開示できるような質問をする
・ 適度な欠点や弱みを話す

これらの情報をしっかりと理解し、相手との関係性の構築に活用していこう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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