2021.12.13

オウンドメディアリクルーティングとは?事例やメリットとデメリット、始める手順を解説!

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■オウンドメディアリクルーティングとは?

■なぜオウンドメディアが注目を集めるのか

■実際にオウンドメディアを始めるときのポイント

オウンドメディアリクルーティングとは?

人手不足は多くの企業で成長のボトルネックとなっている。労働人口が急速に減少している我が国では、この傾向はますます強まるといわれている。そこで、従来の採用手法にとらわれない「オウンドメディアリクルーティング」を始める企業が増えてきている。

オウンドメディアリクルーティングとは、オウンドメディアとリクルーティングを合わせた言葉である。オウンドメディアは、英語でOwned Mediaであり、自社のメディアという意味だ。ホームページ、ブログ、ツイッターなどオンラインにおけるあらゆる自社メディアに加えて、広義では会社案内やチラシなどのオフラインにおける数々のメディアもすべてオウンドメディアとなる。

日本では、一般的には企業が運営するウェブマガジンやある領域に特化した情報サイト、マーケティングを促進するための情報提供サイトを指すことが多い。
一方、リクルーティングはRecruitingであり、人材の募集や選考をする採用活動全般を指す。一口に採用活動と言っても新卒採用、経験者採用、派遣社員の採用など、リクルーティングの中でも業務が細分化しており、それぞれのプロセスにおいて採用手法が異なる。
また、ダイレクトリクルーティング、リファラルリクルーティング、ソーシャルリクルーティングなど、募集の手法についても、いかに自社での活躍可能性の高い優秀な人材を確保するか模索する中でさまざまな戦略がある。このようにリクルーティングにも多くの意味が含まれている。

これらを踏まえれば、オウンドメディアリクルーティングとは、自社の運営するメディアにおいて、求める人物像に合った情報発信を主体的に行い、そこに共感する人材の獲得につなげていく能動的採用活動だと定義できるだろう。

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リクルーティングからブランディングまで。オウンドメディア活用事例

なぜオウンドメディアが注目を集めるのか

それではなぜ、オウンドメディアが注目を集めるのだろうか。求人サイトや合同説明会など、従来の採用手法との違いから読み解いてみよう。また、オウンドメディアリクルーティングのメリットとデメリットも押さえておきたい。

まず、求人サイトや合同説明会など、従来の採用手法との違いだが、従来の採用活動では、求人サイトに求人広告を掲載したり、合同説明会に参加したりして求職者に興味関心を持ってもらい、応募を集める方法が一般的であった。しかし、求人広告は文字数やスペース、レイアウトやデザインなどに制約があり、伝えられることも限られてしまう。

一方、オウンドメディアリクルーティングでは自社保有の採用メディアであるため、掲載期間、内容、デザインなどの制限を気にする必要がない。そのため、いつでも最新の情報を最適な表現方法で掲載することができる。
自社の魅力を最大限にアピールすることができ、それは企業にとっても求職者にとっても価値のある情報となるのだ。

次にオウンドメディアリクルーティングのメリットとデメリットについて解説したい。
まず、オウンドメディアリクルーティングのメリットは大きく分けて次の4つがある。

1、自社の魅力を最大限アピールすることで、ミスマッチを減らせる
オウンドメディアで発信する場合には、ボリューム、デザイン、図解や動画などのファイル形式、部署紹介のブログ記事や社員へのインタビューといったコンテンツなど、あらゆる面で自社のアピールしたい事項を自由に組み立てることが可能となる。

自社の魅力を最大限アピールすることで、求職者は企業のことをより深く理解した上で応募することができ、企業は自社のビジョン、ミッション、カルチャーに共感した人を採用できるため、ミスマッチを減らすことができる。採用のミスマッチを減らすことで、入社後の社員のエンゲージメントを高め、長く活躍してもらうことも期待できる。

関連記事:ミスマッチとは?企業やビジネスにおける定着率の高い組織をつくるための秘訣

2、顕在層のみならず、転職潜在層へも長期的にアプローチできる
求人サイトや人材紹介に登録している求職者は、就職・転職の意欲が高い層であるが、オウンドメディアではWeb検索やSNS経由でたまたま採用サイトを見てくれた人へもアピールができるため、転職の潜在層にアプローチすることも可能である。

求人サイトは掲載期間が決められており、その期間内での情報提供が一般的だが、オウンドメディアであれば、掲載を止めない限り、掲載し続けられる。
そのため、将来的に就職・転職を検討するであろう潜在層に対しても目に触れる場所に常時情報を置いておくことができるため、長期的にアプローチすることができる。

3、効果を分析した改善や、新しい情報を追加することができる
自社内でのサイト運用だからこそ、効果を分析した改善や、新しい情報を追加することが可能となる。オウンドメディアであるため、自社内に多くのデータを蓄積することができ、それらを分析することで、課題をみつけ、改善しながら採用活動を行うことができる。

例えば、ページごとにアクセス数、応募率などの効果測定をし、どの部分では応募率が上がり、どの部分では問題があるのか分析しながらPDCAをまわしていくことで、質、量ともに高い採用効果が期待できるのだ。
さらに、思うように応募効果が上がらないときは発信するメッセージを変える、新しい情報を随時追加していくような柔軟な運用もできることも魅力だ。

4、継続的に自社の資産として残すことができる
オウンドメディアは自社が保有しているメディアであるため、サイト上にコンテンツが残り続けるという特徴がある。そのため、求人サイトなどを利用した場合のように、契約期間が終了すると掲載内容が削除されるといったことはない。
公開を止めなければ自社の資産として残り続けるので、さまざまなコンテンツを作成し、サイト上に蓄積していけば、その分検索してページを見つけてもらう窓口を増やすことになり、中長期的なスパンで企業の資産を増やし続けることが可能となるのだ。

次にデメリットであるが、主に挙げられるのは、次の2つである。

1、初期コストがかかる
オウンドメディアを持っていない場合、自社サイトの立ち上げから始めることになる。自社サイトが既にあっても、採用に結びつくようなサイトにリニューアルするには大幅なコンテンツの入れ替え、ときには全面的な作り直しが必要になることが多い。

社内にWebサイト構築ができる人材がいない場合には、自社サイトの作成を外部に依頼することが一般的だ。また、長期的なサイト運用を見越して、エンジニアを採用することも考えられる。そうしたスキルを持った人材が社内で確保できる場合でも、少なくとも一定期間は専任で自社サイトの立ち上げ、リニューアルに当たらせることになるだろう。

いずれにしても、オウンドメディアリクルーティングを始めるには初期コストがかかることを覚悟しなければならない。

2、定期的・継続的なコンテンツ作成が必要
オウンドメディアリクルーティングは、広告や採用サイトのような即効性は乏しい。継続的に運用してこそ効果が期待できる手法なのだ。そのためには定期的・継続的なコンテンツ作成が求められる。

募集職種や組織体制など、求職者にとって直接的に関心のある事項を常に最新の状態にするのは言うまでもないが、新商品や社員紹介などの間接情報についても、コンテンツの追加・更新を定期的に行っていかなければ自社の魅力をきちんと伝えられない。

例えば、専属の人材を確保して、自社商品の解説記事や社員紹介のページを毎月追加・更新する、社内の協力体制を得て、社内の様子を紹介するブログに毎週記事を投稿してもらうなど、定期的・継続的なコンテンツ作成を続ける必要がある。

実際にオウンドメディアを始めるポイント

ここまででオウンドメディアリクルーティングの概要はおわかりいただけただろう。それでは実際にオウンドメディアリクルーティングを始めるポイントを解説していこう。

1、自社の魅力とオリジナリティを定義
まず、自社の商品やサービス、理念、社風、職場環境など、自社の魅力となりうる特徴を列挙し、さらにカテゴライズしてみよう。それを競合他社と比較し、自社のオリジナリティはどこにあるのか明らかにしていく。

競合他社といっても、競合するのは業種だけではない。採用においては、職種、地域、働き方、男女比、教育制度、福利厚生など、さまざまな角度から競合が起きうる。検討中の複数の会社を比較したときに、求職者に自社を選んでもらえるための差別化を意識して分析し、定義づけをしておこう。

2、採用したい人物像と採用する職務の分析
次に、採用したい人物像、すなわち自社で活躍してほしい人とはどのような人材なのかを設定する。そのためには、自社ですでに活躍している人材から考えていくのが早道だ。今活躍している人材(=活躍してほしい人材)は、どのような要素をもった人物なのか、できるだけ具体的に挙げていこう。その上で、それらの要素を学歴、経験、年齢、志向性といった採用条件に落とし込む。

また、採用する部署・職種について、その職務内容を細かく挙げていく。職務分析を行ったことがなく、単に「営業」「経理」などの名称だけで募集していた企業であれば、思った以上に多様な職務がそこに含まれていることに気づくだろう。求人サイトと異なり文字数などの制限がないため、職務内容や求めるスキルは、できるだけ具体的にメディアに掲載した方がよい。求職者は求人サイト以上の詳細な情報を求めてオウンドメディアを検索している可能性が高いためである。

3、効果的なコンテンツの検討
続いて、メディアの立ち上げと並行して、採用に結びつくコンテンツを練り上げよう。オンウンドメディアリクルーティングにおいて効果的なコンテンツを揃えることは、自社の魅力を伝え、より良い採用に結びつけるために欠かせない要素だ。

オウンドメディアリクルーティングで効果的なコンテンツは、社員紹介、企業理念、企業文化、職場環境、商品・サービス等の事業内容などが主なものである。どのコンテンツにおいても感情や想いが伝わるよう会社の魅力を打ち出すことで、求職者の目に留まり、「刺さる」確率が上がるのだ。

また、メディアの立ち上げ時に決定した選りすぐりのコンテンツも、更新しなければすぐに古びたものになってしまう。常にページビューやコンバージョン(応募の人数)をチェックし、定期的にコンテンツを見直してほしい。オウンドメディアリクルーティングでの成功事例やトレンドなども参考にしてコンテンツの充実を図っていこう。

4、採用サイトの構築
自社にオウンドメディアがない場合は、自社の採用サイトの立ち上げが必要だ。自社で作成する場合は、サイト構築のスキルを持った人材を確保する。こうした人材が確保できない場合には、外部業者に依頼して作成してもらう必要が出てくる。そして上記でまとめた自社の魅力、採用したい人物像、コンテンツなどを作業者と共有しながら採用サイトを構築していく。

関連記事:採用サイトと採用オウンドメディアの違いとは?メリット・デメリットをご紹介

外部業者に依頼する場合には、このサイトで達成したいミッション、求める人物像、掲載するコンテンツなど、わかりやすく要件定義を行い、社内で作成する以上に丁寧に伝えることが重要だ。

以上のポイントを踏まえて、オウンドメディアリクルーティングを効果的に運用し、より良い採用活動に活かしてほしい。

まとめ

・人手不足は多くの企業で成長のボトルネックとなっている。そこで、従来の採用手法にとらわれない「オウンドメディアリクルーティング」を始める企業が増えてきている。

・オウンドメディアリクルーティングとは、オウンドメディアとリクルーティングを合わせた言葉である。一般的には企業が運営するウェブマガジンや領域に特化した情報サイト、マーケティングを促進するための情報提供サイトを指すことが多い。

・オウンドメディアリクルーティングとは、自社の運営するメディアにおいて、人物像に合った情報発信を主体的に行い、そこに共感する人材の獲得につなげていく能動的採用活動だと定義できる。

・なぜ、オウンドメディアが注目を集めるのかといえば、従来の採用手法と違い、オウンドメディアリクルーティングでは自社保有の採用メディアであるため、掲載期間、内容、デザインなどの制限を気にする必要がない。そのため、いつでも最新の情報を最適な表現方法で掲載することができるためである。

・オウンドメディアリクルーティングのメリットは「自社の魅力を最大限アピールすることで、ミスマッチを減らせる」「顕在層のみならず、転職潜在層へも長期的にアプローチできる」「効果を分析した改善や、新しい情報を追加することができる」「継続的に自社の資産として残すことができる」という点を挙げることができる。

・オウンドメディアリクルーティングのデメリットは「初期コストがかかる」「定期的・継続的なコンテンツ作成が必要」が挙げられる。

・実際にオウンドメディアを始めるにあたっては、自社の魅力となりうる特徴を列挙し、オリジナリティを定義する。採用したい人物像を明らかにし、採用する部署・職種について職務分析を行う。採用に結びつく効果的なコンテンツを練り上げ、採用サイトを構築する、という流れに沿ってポイントを押さえる。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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