2021.1.7

2022年卒の最新就活動向とは?学生が就活で感じる不安をご紹介

読了まで約 6

■コロナ禍中にはじまる就活、何を考えて動くのか

■昨年と一変し就活戦線の難航予想が9割超えしている2022年卒

■インターンシップ参加から見る2022年卒学生の動き

■学生の企業選定に大きな影響を及ぼすインターンシップ参加

■長引くコロナ渦で再びシフトしている学生の就活志向

■採用活動のオンライン化が企業と学生双方にとって思わぬメリットに

コロナ禍中にはじまった22年卒生の就活動向は?

新型コロナウイルス感染症収束の見通しが立たない中で、多くの企業では人材の採用計画どころか、事業計画の見通しすら立たないといった事態が続いている。このため、2022年卒の採用動向がどのように推移していくか、学生と企業のどちらにとってもまったくの予想がつかない異例の状況となっている。同時に、新型コロナウイルスのワクチン開発によって、2021年春以降は感染拡大が抑えられ、経済活動が徐々に回復していくとの予測を立てている企業も多いことから、2020年夏もインターンシッププログラムを実施し、2022年卒の採用活動を本格的にスタートさせた企業も一定数あった。

他方で、自らも先輩たちと同じように新型コロナウイルスの影響を強く受ける中で、就活をスタートさせるべきかどうか悩んでいる2022年卒の学生も多くいることだろう。例年であれば、夏のインターンシップや冬のインターンシップなどに参加して、関心のある企業への理解を深化させつつ自己分析を行う段階にあるはずだが、今年は企業がリモートワークなどを実践している状況のため、これらの開催方法やその規模なども前年と比べると大きく異なっている。しかし、学生にとってはコロナ禍の最中であろうとも、大きなライフイベントのひとつとなる就職活動をやめるわけにはいかないのが実情だ。

株式会社ディスコのキャリタスリサーチが行った【2022卒】11月後半時点の就職意識調査 キャリタス就活2022 学生モニター調査結果(調査期間:2020年11月16日~11月24日/有効回答数:1,072名)での「就活戦線の見方」という設問において、「非常に難しくなる」と回答した学生が昨年度比4倍以上の38.5%(2021年卒のコロナ禍以前である11月時点での設問回答は9.1%)だったことから、学生の置かれている状況が一変していることがよくわかる。また、「やや難しくなる」と回答した学生と合算すると、実に93.7%の学生が今年の就活戦線は難航すると考えており、学生の意識調査で「難しい」が9割を超すのは2011年卒の学生意識調査時(リーマン・ショック発生後の2009年11月調査)以来、11年ぶりとなる。

参照元:22卒学生の11月後半時点での就職意識~キャリタス就活2022 学生モニター調査結果

なお、文化放送キャリアパートナーズが調査を行ったブンナビ【2022卒】学生アンケート調査【9月版】(調査期間:2020年9月1日〜9月15日/有効回答数:2022年卒の大学生476名)でも、「2022年卒の就職環境はどうなると思いますか」という設問において、90.3%の学生が「厳しい(去年より就職が難しい環境になる)」と回答していることから、登録している就活ナビサイトや大学のランク、専攻分野の文理などの属性にかかわらず、就活戦線で吹き荒れている逆風は、まさしく2022年卒全体の抱える大きな課題であることがわかる。

いずれにせよ、大きな不安を抱えながら就職活動を始めることになった2022年卒の学生たちは、どう企業の採用活動と向き合っていくのか。学生たちがいま何を考えていて、どのようなことに不安を感じているのかについて考察してみよう。

参照元:ブンナビ【2022卒】学生アンケート調査【9月版】

インターンシップ参加数から見える就活意識と行動

2022年卒学生の採用活動開始にあたって、2017年卒から起算して6年目を迎えた「3月採用広報開始、6月選考解禁」スケジュールだが、ここではすっかり就職活動の一環として定着した企業インターンシップを軸に、コロナ禍の影響による新しい変化にも着目しつつ、2022年卒学生の動きや就活に対する意識を分析していく。

HR総研と就活会議が共同で行った「2022年卒学生のインターンシップと就職活動への意識調査」(調査期間:10月14日~30日/回答数:134件)では、学生が参加したインターンシップの企業数や、開催されたインターンシップの実施形態をみると、コロナ禍の影響が色濃くあることがわかる。(ProFuture株式会社/HR総研

「参加したインターンシップの社数」という設問では、実に4分の3以上の学生が3社以上のインターンシップに参加しており、多い学生では10社以上参加していた(18%)。最も多かった「4~6社」という回答は学生全体の30%を占めており、4社以上のインターンシップに参加した学生の割合が11ポイント増えていることからも、学生のインターンシップ参加社数が増加傾向にあることがわかる。反面、「0社(応募していない)」と回答した学生がわずか4%であることからも、9割以上の学生がインターンシップに強い関心を持っていることがわかる。

●参加したインターンシップの社数


また、「参加したインターンシップのうち対面型で実施された社数」という設問では、驚くことに「0社」と回答した学生が37%もいた上、「1社」と回答した学生も32%にのぼっており、インターンシップの非対面化とオンライン化が急速に進んだことがわかる。

●参加したインターンシップのうち対面型で実施された社数


事実、「参加したインターンシップのうちオンライン形式で実施された社数」という設問において、「0社」と回答した学生はわずか6%で、インターンシップに参加した学生の9割以上がオンラインでのインターンシップを経験しており、「4~6社」の32%が最も多い回答であったことから、「参加したインターンシップの社数」設問と「参加したインターンシップ社数≒インターンシップをオンライン実施」という具合に、両者はおおむね合致することがわかる。

●参加したインターンシップのうちオンライン形式で実施された社数


このことから、企業の採用活動は一段と厳しい様子をみせるだろうと予測している学生たちは、さまざまな就活計画が立てにくい状況においても、なるべく企業との接点をもつべく、インターンシップのオンライン化を逆手にとり、インターンシップの参加社数を伸ばしていると考えられる。また、コロナ禍の影響を受けつつも、企業が採用活動において用意するさまざまな採用チャネルの中で、2022年卒の学生たちが志望業界や企業を絞っていく決定に最も影響を及ぼすのも、インターンシップである。

前出のキャリタスリサーチ11月調査によれば、「第一志望の業界を志望するに至ったきっかけ」という複数回答可の設問において、群を抜いて回答が多かったのが「インターンシップ等のプログラムに参加して興味を持った」で、46.7%の学生がこのように回答している。その次に多かった「合説・WEB合説で話しを聞いて興味を持った」(30.2%)や「自己分析の結果、自分に向いていると思った」(29.9%)、「業界研究の結果、興味を持った」(29.5%)などが3割前後であるのに対して、企業が開催したインターンシップなどのプログラムを通じてその企業や業界に興味をもった学生が半数近くいたことは、いかにインターンシップが学生の就活行動に影響を与えているかがわかる。

企業も就活生も大きく意識せざるを得ないコロナ対応

働くことに対する価値観の変化や、働き方そのものが多様化してきた近年、学生の就職活動でも変化は起きていたといえよう。就職氷河期を抜け出すにつれ、学生の就職先選定での志向は「大企業」や「安定性」といったキーワードから、「働き方」「企業理念」「自分との相性」などの、「個」を重視するものにシフトしていた。しかし、長期化するコロナとの闘いによって、その志向性が再び変わろうとしている。 文化放送キャリアパートナーズが調査を行ったブンナビ【2022卒】学生アンケート調査【11月版】(調査期間:2020年11月1日〜11月15日/有効回答数:2022年卒の大学生400名)では、「就職先として大手にこだわるか」という設問に対して、「大手企業しか考えていない」「できれば大手企業に就職したい」が計63.6%となり、前年比11.1ポイントのプラスに転じた。

他方で、「企業規模は気にしない」という回答は昨年の半数近くから8ポイント下げた41.2%となっており、コロナ不況ともいうべき状況の中で、より安定的な雇用が見込める大手への志向が強くなっていることがわかる。同調査9月版では、「コロナで企業選びの視点は変わったか」という設問に対して、「変わった」と回答した学生が7割いたことからも、新型コロナウイルスの感染拡大は、学生の企業選定基準に大きな影響を与えているといえる。

参照元:ブンナビ【2022卒】学生アンケート調査【11月版】

では、そのような安定性や知名度重視の大手企業を志向する学生数が増えていく中で、企業はどのように2022年卒採用を成功させていくべきか。学生のアンケート調査にそのキーワードがある。

前出のブンナビ学生調査11月版では、設問「Webセミナー内で、それまで知らなかった企業の説明を聞きたいと思うか」に対し、85.1%の学生が「はい」と肯定的だ。その理由としては既視感の強い「視野を広げるため」という動機もあるが、注目すべきは「ウェブなら結局興味が持てなかったとしてもコストがかからず後悔しないから」や「webなら途中退出もしやすく、気軽に受けることができるため」ということを理由にあげている点だ。

コロナ禍によって、企業の選考活動は大きくオンライン化が進んだが、これは学生にとって企業に関心を持つきっかけをより身近にしているといえる。同時に、さまざまなウェブ合説などに参加したり、実際にオンラインで選考を受けることは、従来の就活に比べて金銭面の負担も少なく、自宅からリモートで就活が行えるため、学生にとってメリットが大きい。事実、前出のブンナビ学生アンケート調査11月版では、就活にかかるコストに関する設問「服装費(スーツ等)/交通・宿泊費/勉強費(参考書等)に、それぞれどの程度費用がかかると思うか」では、合計平均額が95,088円となり、2021年卒調査時と比べて▲13,847円であった。特に「交通費・宿泊費」などの移動に係るコストの単独平均が▲14,114円と最も下げ幅が大きかったことから、リモートワークを行う企業の従業員同様、学生もオンライン就活に順応しているといえる。

これらの調査データからわかるとおり、2022年卒学生の就活においては、コロナ禍の影響によってふたたび安定性を重視する大手志向が強まりつつあるが、一方で企業の採用活動がオンライン化したことによって、移動コストがかからないかたちで、手軽にさまざまな業界・企業を知れることを歓迎する動きもみせていることから、2022年卒採用成功のカギのひとつとして、積極的な選考活動のオンライン化と、ウェブ合説や自社オンライン・インターンシップで学生との接点を多く持つことだといえる。

まとめ

・新型コロナウイルス感染症の影響が長引き、多くの企業は採用計画どころか事業計画もままならない中でスタートした2022年卒採用。それでも多くの企業が夏季インターンシップを実施しており、また学生も例年にも増して積極的に動いているが、2022年卒の学生はウィズコロナという新しい時代の就活に対して模索しながら立ち向かっている。

・キャリタスリサーチ学生モニター11月調査とブンナビ学生アンケート9月調査の結果で共通するのは、就活戦線に対する見方であった。9割以上の学生が厳しくなることを自覚しており、人手不足から続いた近年の売り手市場において、楽観的にみられていた状況から一変、リーマン・ショック以来の「厳しい」という回答が上回るかたちとなった。

・すっかり採用活動の前哨戦として定着したインターンシップにもコロナ禍の影響が大きく存在する。HR総研と就活会議が10月に行ったジョイント調査では、8割近い学生が3社以上のインターンシップに参加し、オフライン実施のインターンシップに参加していないと回答した学生も37%いたことから、インターンシップにおいてもオンライン化が進んでおり、学生も積極的に参加していることがわかる。

・キャリタスリサーチ学生モニター11月調査では、第一志望の業界を志すきっかけで企業によるインターンシップ開催への参加と回答した学生が半数近くいたことから、ウェブ合説や自己分析などにも増して、企業によるインターンシップなどのプログラム開催が、学生の就活での動きにおける志望業界や企業の選定に大きな影響を与えていることがわかった。

・近年の売り手市場を背景に、就活トレンドは「働き方」「企業理念」「自分との相性」などの「個」を重視する傾向にあったが、ここにきて新型コロナウイルス感染拡大の影響により、再び「安定性重視」「大手企業志向」というトレンドへのシフトが起きている。「コロナで企業選びの視点は変わったか」という調査に対して7割以上の学生が変わったと回答していることからも、コロナ禍は学生の企業選定基準に大きな影響を与えていることがわかる。

・学生の就活トレンドが再び安定性重視と大手志向に傾く中で、インターンシップや会社説明会をオンライン化することは、企業の採用成功にとっても、学生の就活コスト削減にとってもメリットが大きい。事実、ウェブだから気軽に参加できるといった理由で多くの知らない企業をみてみようとする動きがあることから、採用広報などをオンライン化することでより多くの学生と接点を持つことが、企業にとっても重要となる。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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