2025.5.14

内々定とは?その後の流れ、内定との違い、なんのためにあるのかを解説

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企業の採用活動において、内々定を導入する企業が増えています。内々定は内定と異なり、応募者に対する拘束力は認められていないため、注意が必要です。内々定後の流れや内定との違いを理解することは、就職活動を進める上で重要です。

この記事では、内定と内々定の違いや、国内企業の採用活動の現状、内々定後の流れ、契約における注意点について詳しく解説します。

内々定とは、企業が応募者に対して、正式な内定の前に採用の意思を伝える仮の約束のことです。一方、内定は正式な採用通知であり、労働契約が成立した状態を指します。内々定後の流れとしては、通常、内々定通知を受けた後、10月1日以降に正式な内定通知が送られ、内定承諾書の提出をもって採用が確定します。

内々定を出す目的は、優秀な人材を早期に確保することにあります。経団連の指針により内定日が10月1日以降と定められているため、それまでの期間に内々定を出すことで、他社への就職を防ぐ狙いがあります。

内々定後の流れとしては、以下のようになります。
●企業から内々定の連絡
●内々定承諾書の提出(任意)
●10月1日以降に正式な内定通知
●内定承諾書の提出
●採用の確定

内々定と内定の主な違いは、法的拘束力の有無です。内々定は法的拘束力がないため、企業側も学生側も取り消すことが可能です。一方、内定は労働契約が成立しているため、企業側が一方的に取り消すことは困難です。

内々定後の注意点として、他社の選考を継続するかどうかの判断が挙げられます。内々定を得たからといって、必ずしも他の企業の選考を辞退する必要はありません。しかし、誠実な対応を心がけ、内々定をもらった企業とのコミュニケーションを大切にすることが重要です。

内々定から内定までの期間は、企業研究や業界研究を深める良い機会です。また、入社後のキャリアプランを考えたり、必要なスキルを身につけたりする時間としても活用できます。

最後に、内々定や内定を受けた後も、卒業までしっかりと学業に励むことが大切です。多くの企業は、内定者の学業成績も重視しています。内々定後の流れを理解し、計画的に就職活動を進めることで、スムーズな社会人への移行が可能となります。

「内々定」とは何か。内々定から内定までの流れ

内々定とは、企業が応募者に対し、内定の意思表示を示すものだ。日本経済団体連合会(以下、経団連)により、内定日は10月1日以降にすることが定められていることから、導入する企業が増えてきた。

内定と内々定との違いは、労働契約が成立した状態かどうかといえる。内々定は、正式な労働契約が結ばれる前の段階であり、企業側と学生側の双方に拘束力はありません。

内々定から内定までの一般的な流れは以下のようになります。
●企業が応募者に内々定の連絡を行う(通常6月1日以降)
●応募者が内々定を受諾する
●10月1日以降、企業が応募者に正式な採用通知と内定承諾書を送付
●応募者が内定承諾書にサインと捺印をする
●応募者が内定承諾書を企業に提出する
●企業が内定承諾書を受け取り、正式な採用が決定する

内々定は、優秀な人材を早期に確保するための企業の戦略的な動きといえます。特に近年では、就職活動の早期化や自由化が進み、例年より早い時期から内々定を出す企業が増えています。

ただし、内々定や内定を出す時期に関する経団連の指針は、あくまでも原則であり、法的な拘束力はありません。しかし、学生の学業との両立を考慮して設けられたルールであるため、多くの企業はこれを尊重しています。

内々定を受けた学生は、正式な内定までの期間を有効に活用し、入社に向けた準備や自己研鑽に励むことが望ましいでしょう。一方で、他社の選考を続けることも可能です。内々定はあくまでも内定の事前約束であり、最終的な決定権は学生側にもあるからです。

企業にとっても、内々定は優秀な人材の早期確保につながる重要な採用プロセスです。しかし、内々定を出した後も、学生の適性や態度を継続的に評価し、正式な内定に至るまでの期間を慎重に見極めることが重要です。

内定とは

内定とは、応募者と企業とで入社する約束を交わし、労働契約が成立した状態だ。応募者が企業から採用通知と内定承諾書を受け取り、サインと捺印をした内定承諾書を企業に提出すれば、内定が成立する。

採用通知には、就業開始日や就業場所といった条件や、内定を取り消す場合の事由が記載されており、応募者はその内容を承諾したうえでサインをしなければならない。

内定の時期については、日本経済団体連合会(経団連)の「採用選考に関する指針」において、卒業・修了年度の10月1日以降にすることが定められています。この指針に基づき、多くの企業では10月に内定式を実施するのが一般的となっています。

内定は単なる内々定とは異なり、法的拘束力を持つ重要な契約です。内定後に企業が一方的に取り消すことは「解雇」とみなされ、正当な理由が必要となります。一方、学生側からの内定辞退は可能ですが、企業との信頼関係を考慮し、慎重に判断することが求められます。

内定を得た後は、入社に向けた準備期間となります。この間、企業からの各種手続きや研修などに参加することが一般的です。内定者は、この期間を有効に活用し、社会人としての心構えや必要なスキルを身につけることが重要です。

内々定とは

内々定とは内定の事前約束のことで、いわば口約束に相当します。企業が応募者に対し、正式な内定前に採用の意思表示をすることで、入社への意思を固めてもらう施策です。内々定後の流れとしては、多くの場合、正式な内定へと進みます。

内々定が広まった背景には、日本経済団体連合会(経団連)が内定日を10月1日以降と定めたことが大きく影響しています。優秀な人材の場合、他社からの内定獲得が予想されるため、企業としては早めに採用の意思を伝えたいという思惑があります。

内々定は通常、経団連の「採用選考に関する指針」に基づき、6月1日以降に出されるのが一般的です。ただし、この時期はあくまで目安であり、企業によっては早期に内々定を出すケースもあります。

内々定後の学生の行動としては、他社の選考を続けるか、その企業に絞るかを決める必要があります。内々定を複数社から得る学生も少なくありません。一方で企業側も、内々定を出した学生が他社へ流れないよう、フォローアップに力を入れる傾向にあります。

内々定と正式な内定の大きな違いは、労働契約の成立有無です。内々定は法的拘束力がないため、学生側も企業側も取り消すことが可能です。そのため、内々定を得た後も就職活動を継続する学生も多くいます。

近年の就職市場では、企業の採用活動の早期化に伴い、内々定の重要性が高まっています。学生にとっては、内々定を得ることで就活の見通しが立ちやすくなるメリットがあります。一方で、早期の内々定獲得に焦るあまり、十分な企業研究や自己分析ができていない状態で内々定を受諾してしまうリスクもあります。

内々定後の流れとしては、多くの場合10月1日以降に正式な内定通知が送られ、内定承諾書の提出をもって採用が確定します。内々定から内定までの期間、学生は入社に向けた準備や、場合によっては他社の選考を並行して進めることになります。

内々定から内定通知までの流れ

内々定から内定までの流れは以下になる。

1. 応募者に内々定の連絡
2. 10月1日以降、応募者に採用通知と内定承諾書を送る
3. 応募者が内定承諾書にサインと捺印をする
4. 応募者が内定承諾書を提出する
5. 内定承諾書を受け取り、採用が決定する

内々定後の流れとして、まず企業は応募者に内々定の連絡を行います。その後、10月1日以降に正式な採用通知と内定承諾書を送付します。これは内々定後の重要なステップです。

応募者は、送られてきた内定承諾書の内容を確認し、入社の意思がある場合はサインと捺印を行います。この段階で、内々定から内定へと進む重要な転換点となります。

次に、応募者は記入済みの内定承諾書を企業に提出します。これは内定プロセスの中で非常に重要な手続きです。企業が内定承諾書を受け取ることで、正式に採用が決定します。

採用通知を送っただけでは、採用決定にはならない。応募者が入社する意思表示をして、入社が決まる。入社の意志を確認するのが内定承諾書だ。内定承諾書にサインと捺印をし、それを企業が受け取った時点で採用が決定する。

内定承諾書にサインと捺印をし、それを企業が受け取った時点で採用が正式に決定します。この一連の流れを理解することは、就職活動中の学生にとって非常に重要です。

内々定から内定までの各ステップを慎重に進めることで、スムーズな就職活動と円滑な入社準備が可能となります。

内定や内々定を出す時期はあくまでも原則である

内定や内々定を出す時期は、法律で厳密に定められているわけではなく、あくまでも原則として捉えるべきです。経団連が定めている「採用活動に関する指針」は法的拘束力を持つものではなく、企業が自主的に遵守するガイドラインとしての性質を持っています。

実際には、この指針で定められた日程よりも早く内々定や内定を通知している企業も存在します。しかし、単に法的拘束力がないからといって、このルールを軽視することは適切ではありません。「採用活動に関する指針」の根本的な目的は、学生の学業時間を確保し、教育の機会を保障することにあるからです。

企業は、この指針の意義を十分に理解したうえで、適切な採用活動のスケジュールを組む必要があります。内々定後の流れや、内定までのプロセスを慎重に検討し、学生の利益と企業の人材確保のバランスを取ることが重要です。

また、内々定率や内定率の動向にも注目する必要があります。早期に内々定を出すことで優秀な人材を確保できる可能性がある一方で、学生の就職活動の機会を制限してしまう恐れもあります。企業は、内々定の意味や、それが労働契約の成立を意味するものではないことを十分に理解し、適切な採用プロセスを設計することが求められます。

結論として、内定や内々定の時期に関する原則は、学生と企業双方にとって公平で効果的な採用活動を行うための指針です。企業は、この原則を尊重しつつ、自社の採用戦略と学生の利益を両立させる方法を模索することが重要です。

24卒採用における内々定率の動向

株式会社学情の「2024年卒 内々定率調査 2023年8月度」によると、24卒の7月末時点の内々定率の動向は非常に高い水準を示しています。内々定後の流れとしては、多くの学生が就職活動を終了し、内定に向けて準備を進めている状況です。

調査結果によれば、2024年卒業予定の学生の内々定率は86.1%に達しており、前年同時期と比較して5.1ポイント上昇しています。この数字は、企業による内々定出しの早期化傾向が顕著になっていることを示唆しています。

さらに、文系・理系を問わず、8割以上の学生が内々定を獲得しています。文系学生の内々定率は81.4%、理系学生は95.2%と、いずれも高い水準を記録しています。この状況から、企業が優秀な人材の確保に向けて積極的に動いていることが窺えます。

内々定を獲得した学生の多くは、就職活動を終了しています。調査によると、3人に2人にあたる67.4%の学生が就職活動を終えており、残りの31.1%の学生が活動を継続しています。この数字は、前月と比較して11.8ポイント減少しており、内々定から内定へと進む学生が増加していることを示しています。

24卒の内々定率が伸びている背景には、いくつかのマクロ的要因があります。経団連の就活ルールの廃止や新型コロナウイルスの影響により、就職活動の早期化や自由化が進んでいます。また、一部の企業がコロナ禍を優秀な人材確保のチャンスと捉え、積極的に採用活動を行っていることも要因の一つです。

このような状況下で、学生は内々定後の流れを十分に理解し、内定に向けて準備を進めることが重要です。同時に、企業側も内々定から内定に至るプロセスを適切に管理し、優秀な人材の確保に努める必要があります。

7月末時点の内々定率は86.1%

株式会社学情の調査によると、2024年卒学生の7月末時点の内々定率は86.1%だった。前年同時期を5.1ポイント上回った。これは企業による内々定出しの早期化が顕著になっているということだ。内々定率の上昇は、企業が優秀な人材の確保に向けて積極的に動いていることを反映している。

内々定後の流れとしては、多くの企業が10月1日以降に正式な内定通知を行う。内々定を獲得した学生は、この期間中に就職活動を継続するか、内々定を承諾して活動を終了するかを検討することになる。内々定は法的拘束力がないため、学生側は他の企業の選考を受けることも可能だ。

一方で企業側も、内々定を出した学生全員に必ずしも内定を出す必要はない。しかし、多くの場合、内々定から内定へと進むケースが多い。内々定を出す際には、企業は学生の適性や能力を十分に見極めているためだ。

内々定率の上昇は、就職市場の活況を示す一つの指標となっている。ただし、業界や企業規模によって内々定の出し方や時期には差があるため、一概に全ての企業にこの傾向が当てはまるわけではない点に注意が必要だ。

理系文系共に8割以上の内々定率

文系と理系の学生を比較しても、両者とも8割を超える高い内々定率を示しています。具体的には、文系学生の内々定率が81.4%であるのに対し、理系学生は95.2%と、いずれも非常に高い水準の内々定率を達成しています。

内々定後の流れとしては、文系学生の場合、前月比で2.0ポイント、前年同時期比で2.2ポイントの上昇となりました。一方、理系学生については、前月比で1.1ポイント、前年同期比で10.7ポイントという大幅な上昇が見られました。

このような統計データから、企業が優秀な人材の獲得に向けて積極的に動いていることが窺えます。特に理系学生への需要が高まっていることが顕著です。内々定を獲得した学生は、その後の内定までの流れを意識しながら、就職活動を進めていくことになります。

企業側としては、早期に内々定を出すことで、優秀な人材を確保しようとする傾向が強まっています。学生にとっては、内々定をもらった後も、他の企業の選考を受ける機会があるため、慎重に進路を選択することが重要です。

内々定後の対応として、学生は企業からの連絡や指示に迅速に対応し、内定までのプロセスを着実に進めていくことが求められます。同時に、内々定を獲得した企業について、さらに深く理解を深めることも大切です。

このように、内々定率の高さは、企業の採用意欲の強さを反映しています。学生は内々定を得た後も、自身のキャリアプランを慎重に検討し、最終的な進路決定に向けて準備を進めることが重要です。

3人に2人は就職活動を終了

就職活動をしている”学生は「31.1%」と前月から11.8ポイント減り、内々定を獲得し、就活を終了した学生は「67.4%」になった。3人に2人は就職活動を終了していることになる。コロナ禍においても企業が優秀な人材確保に向け意欲的に動いていることを示唆しているのだ。

内々定後の流れとしては、多くの学生が10月1日以降の正式な内定通知を待つことになる。一方で、複数の内々定を獲得した学生は、最終的にどの企業に入社するか慎重に検討を進めることになるだろう。

企業側の採用活動も活発化しており、早期に内々定を出す傾向が強まっている。これは、人材獲得競争が激化していることの表れといえる。特に、IT業界やコンサルティング業界など、人材不足が顕著な分野では、内々定の出し方にも工夫が見られる。

しかし、このような状況下で、就活生の中には戸惑いを感じる者も少なくない。内々定をもらったものの、本当にその企業でいいのか迷う学生や、逆に内々定がもらえず焦りを感じる学生もいる。そのため、大学のキャリアセンターなどでは、内々定後のフォローアップにも力を入れている。

内々定から内定、そして入社までの期間は長い。この間、企業と学生の双方が、よりよい関係を築くための取り組みが重要になってくる。例えば、内々定者同士の交流会や、配属先の社員との面談など、様々な施策が行われている。

このように、24卒の就職活動は例年にない早いペースで進んでおり、学生と企業の双方に新たな課題をもたらしている。今後は、内々定後のフォローや、入社までの期間をどう有効活用するかが、重要なポイントになりそうだ。

24卒の内々定率が伸びているマクロ的要因

これまでの解説のように、内々定率が伸びている背景には、経団連の就活ルールの廃止や新型コロナウイルスの流行といったマクロ的要因があるとされる。就活の早期化や自由化が進み、例年より早い時期から内々定を出す企業が増えている側面があるのだ。

また一見、コロナによって就活生には厳しい現状と世間では思われがちだが、企業側としてはコロナによって他社が新卒採用を控えている今だからこそ、逆に優秀な人材を確保できるチャンスと捉えている。企業のこうした人材確保戦略を成功させる観点からも、内々定を早期に出すことは企業側としては当然といえば当然の施策なのである。

さらに、内々定後の流れとして、企業は学生との関係性構築に力を入れている。内々定者向けのイベントや研修を実施し、入社前からの人材育成に注力している企業も多い。これにより、内々定辞退を防ぎ、優秀な人材の確保を目指している。

一方で、学生側も複数の内々定を獲得することで、自身のキャリアの選択肢を広げようとする傾向がある。内々定をもらった後も就職活動を継続し、より良い条件の企業を探す学生も少なくない。

このような状況下で、企業は内々定から内定への移行をスムーズに進めるため、内々定者とのコミュニケーションを重視している。オンラインツールを活用した定期的な面談や、社員との交流会などを通じて、学生の不安を解消し、入社への期待を高める取り組みを行っている企業も多い。

内々定率の上昇は、企業の採用戦略の変化と、学生の就職活動に対する意識の変化が相まった結果といえる。今後も、内々定を軸とした採用活動の重要性は高まっていくことが予想される。

内々定は労働契約が成立していない

内々定は、労働契約を交わした状態ではないため、内々定が決まったあとでも解消することが可能だ。しかし、内定は労働契約を交わした状態だ。契約締結後の取り消しは解雇にあたるため、企業側からは簡単に取り消しを判断できない。

内々定から内定までの流れを理解することは、就職活動において重要です。内々定は企業が応募者に対し、採用の意思表示を示すものですが、あくまで口約束に近い状態です。内々定を受けた学生は、その後も他社の選考を受けることができます。

一方、内定は正式な労働契約が成立した状態を指します。内定通知書や内定承諾書などの書類のやり取りを通じて、双方が合意した時点で内定となります。この段階では、企業側も学生側も簡単に契約を解消することはできません。

企業が内定を取り消す場合、正当な理由が必要です。例えば、学生側に重大な非行があった場合や、企業の経営状況が著しく悪化した場合などが考えられます。ただし、これらの理由がある場合でも、企業は慎重に判断する必要があります。

内々定と内定の違いを理解し、それぞれの段階での権利や義務を把握することで、就職活動をスムーズに進めることができます。学生は内々定を受けた後も、自身のキャリアプランに合わせて慎重に判断し、最終的な内定を決めることが大切です。

就職活動において、内々定や内定の仕組みを理解することは非常に重要です。これらの知識を活用し、自身の将来に向けて最適な選択をすることが求められます。

内々定は企業側、学生側双方取り消し可能

内々定は、企業側と学生側の双方から解消できる。内々定はあくまでも口約束に相当するものであり、正式な契約を交わしたものではないためだ。応募者の意思を強固にするため「内々定承諾書」の提出を求めるケースも存在する。

しかし、内々定承諾書には法的効力は存在しない。仮にサインや捺印された承諾書があった場合でも、取り消すことが可能だ。そのため、学生は内々定獲得後も志望企業への就活を続けられる。内々定をもらった後も、他社の選考に参加することができるのだ。

企業側としても、内々定を出したとしても必ずしも採用する必要はない。内々定後の手続きとして、学生の成績や健康状態、素行などを確認し、問題があれば内々定を取り消すこともある。あくまでも正式な契約ではないことを理解しておく必要がある。

内々定から内定までの期間は、企業と学生の双方が、お互いをより深く知る機会となる。この期間中に、企業説明会や懇親会などのイベントが開催されることも多い。学生は、これらの機会を通じて企業理解を深め、自身のキャリアプランと照らし合わせることが重要だ。

一方で、内々定を安易に辞退することは避けるべきだ。内々定を受諾した後に辞退すると、企業側の採用計画に影響を与える可能性がある。特に、内々定承諾書を提出した場合は、慎重に判断する必要がある。

内々定後の対応として、学生は自身のキャリアプランを熟考し、企業研究を継続することが大切だ。また、企業側も内々定者とのコミュニケーションを密に取り、入社に向けた準備を支援することが求められる。このような相互理解を深めることで、ミスマッチを防ぎ、円滑な採用プロセスを実現できるだろう。

企業側の内定取り消しは「解雇」にあたる

内定の場合、学生側からは内定辞退が認められています。しかし、企業側からの内定取り消しは「解雇」にあたるため、簡単に取り消すことはできません。内定は労働契約が成立した状態であり、法的拘束力があるからです。内々定後の内定通知を受け取り、内定承諾書にサインと捺印をして提出した時点で、正式な労働契約が結ばれたとみなされます。そのため、企業が一方的に内定を取り消すことは、労働者の権利を侵害する行為となります。

内定取り消しは従業員の解雇と同様に扱われるため、企業は正当な理由がなければ内定を取り消すことはできません。内定取り消しが不当であると判断された場合、企業は損害賠償を請求される可能性があります。そのため、企業は内定を出す際には慎重に判断し、やむを得ない事情がある場合を除いて、内定取り消しは避けるべきです。

一方で、学生側の内定辞退は比較的自由に行えます。ただし、内定を受諾した後に辞退する場合は、企業に対して誠意を持って説明し、円満に解決することが望ましいでしょう。内定後の就職活動や他社への応募は控えるべきですが、やむを得ない事情がある場合は、早めに企業に相談することが大切です。

企業と学生の双方が、内定の重みを理解し、責任ある行動をとることが、円滑な採用活動と良好な労使関係の構築につながります。内定後のコミュニケーションを大切にし、入社に向けての準備を進めることが重要です。

関連記事:内定辞退とは?学生が辞退する理由、入社意欲を高める取り組みを解説

企業側の内定取り消しが認められる条件

対象となるのは、内定当時にはわからなかった情報や事実が発覚した場合だ。その情報や事実が、客観的、合理的かつ社会通念上相当である場合にはじめて取り消しが認められる。

具体的には、以下が挙げられる。

● 契約条件を満たさなかった場合
● 働けなくなった場合
● 虚偽申告をしていた場合
● 反社会的行為が発覚した場合
● 企業の業績悪化により人員整理が必要な場合

「卒業できなかった」「資格を取得できなかった」といった、入社するうえでの前提条件を満たせない場合は、取り消しできる。傷病で業務に就けない場合も同様だ。

ただし、業務に差支えがない程度の傷病や、内定前から疾病があることを知っていた場合は、正当な理由とは認められない可能性がある。

学歴や資格などの合否に影響する情報において、重大な虚偽報告があった場合も対象になる。これは、契約条件を満たさなかった場合と同様に、入社するうえでの前提条件を満たさなかったかどうかが判断基準だ。

そのため、程度によっては重大な虚偽報告とは認められない可能性もある。どこまでが合否に影響したのかがポイントになるため、注意が必要だ。

犯罪や反社会勢力とのかかわりが発覚した場合も対象だ。近年では、SNSでの迷惑行為や誹謗中傷が理由で、取り消しとなる事例も存在する。

業績が悪化し、人員の整理解雇が必要になった場合も取り消しが認められる。ただし、十分な理由や解雇回避のための努力が証明できなければ、正当な理由とは認められない。あくまでも最終手段であることを理解する必要がある。

内定及び内々定における事例

以下では実際にあった内定及び内々定における事例について解説する。

・内定取消が認められた事例
・内定取消が認められなかった事例
・内々定を取り消した事例

内定取消が認められた事例

過去内定取消が認められた判例としては、昭和48年10月の日本電信電話公社の事例がある。日本電信電話公社の内定が決定した学生が入社する直前にデモに参加し、座り込みを行うなどして不退去罪で警察に逮捕されたのである。

事態を重く見た日本電信電話公社はこの学生の内定を取り消した。しかし学生は逮捕されたものの、その後起訴猶予処分で済んでおり、内定の取消までは無効だとして地位確認請求及び賃金の支払いを求めてきたのだ。

だがこの争いにおいて、内定を取り消した企業が公共性の高い公社であることや職員として働いたときに秩序を乱し業務が阻害される危険があると判断されたことなどから、公社社員としては適格性に欠けるとして、内定取消が認められたのだ。

通常、起訴猶予処分ぐらいでは内定を取り消すことは難しいとも思えるが、企業が公社であったことがポイントとなった判例といえるだろう。

内定取消が認められなかった事例

一方、内定取消が認められなかったのが昭和54年7月の大日本印刷の事例だ。大日本印刷は学生の応募に対して採用内定通知を出し、その学生の内定が決定した。

ところが大学卒業間際になって、その学生がグルーミー(陰気)な印象があったとの理由から大日本印刷側は内定取消を一方的に通達してきたのだ。

この処遇に対して学生は提訴に踏み切った。結果、大日本印刷の労働契約解約権の乱用という判決となり、内定取消は無効となったのである。

この件に関しては、入社直前になって企業側の気が変わっただけとも受け取れるが、やはりきちんとした根拠と理由を示せなければ、内定取消はできないものだと改めて再確認できた事例だ。

内々定を取り消した事例

最近では2021年に某大手IT企業が学生21名に対して内々定を取り消した事例があった。2021年4月から9月の5ヶ月間の間に50人程度の学生に内々定を出し、その後26人を内定、残りの21人に対しては内々定を取り消したのだ。

これに関しては企業側からの説明はなく、21人もの学生がないがしろにされる結果となってしまった。内々定は労働契約が成立しておらず、いわば口約束の段階で取り消してもそもそも違法性はないが、学生にしてみればあまりいい気分はしないだろう。

就活ではこのようなことも普通に起こり得る前提で、気を抜かず行っていく必要があるのだ。

まとめ

内々定とは、企業側が応募者に対し内定の意思表示を示すものを指す。経団連により、内定日は10月1日以降にすることが定められたため、内々定を導入する企業が増えてきた。内定開始よりも前に採用の意思表示を伝えることで、優秀な人材を確保するのが狙いだ。内々定率は上昇傾向にあり、内定開始時期が定められたこととは裏腹に、採用活動自体は早まっている。

ただし、内々定はあくまで口約束であり、法的効力は発生していない。内々定を出した後に取り消すことも可能だ。一方、内定は労働契約を交わしたものであり、企業側からは正当な理由がなければ取り消しできない。

内々定と内定との違いを理解し、ルールに則った採用活動をすることが、企業と応募者双方の負担軽減につながるだろう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

古宮 大志

マーケトランク編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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