2022.6.21

内定辞退とは?学生が辞退する理由、入社意欲を高める取り組みを解説

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人材確保が問題となっている企業において、人事担当者の悩みの種となっているのが内定辞退である。学生にはどんな理由があって内定を辞退するのかを知った上で対策を打たなければ、企業の損失は大きくなるばかりだ。本記事では、学生が内定辞退する理由や入社意欲を高める取り組みについて解説する。

内定辞退とは?

内定辞退とは、企業が出した内定通知を承諾後、採用候補者が自己都合で辞退することをいう。内定を承諾した時点で雇用契約が成立しているため、内定辞退は法律上契約の不履行となる。

しかし、憲法では職業選択の自由が保証されているため、内定辞退は大きな問題にはならないのが一般的だ。企業は人材を確保するために複数回の選考や説明会を実施している。そこから選抜した内定者から辞退された場合、あらためて採用者を補充しなければならない。

内定辞退は、人事担当者にとって悩みの種となっており、HR総研の調査によれば「2023年卒採用における自社の課題」で「内定辞退者を減らしたい」が27%と「ターゲット層の応募者を集めたい」に次ぐ課題にあがっているのだ。22卒と比べると4ポイント増加し、企業の内定辞退防止に対する課題間は強くなっていると推察できる。(ProFuture株式会社/HR総研

▼2023年卒採用における自社の課題(23卒と22卒を比較)

グラフ:2023年卒採用における自社の課題(23卒と22卒を比較)

内定した学生が辞退する理由

内定した学生が辞退する理由には、条件面での不一致や志望企業内での優先順位の低さ、社風への違和感といったものから、内定期間が長いことからくる不安感まで多岐に渡る。

内定辞退にはどのような理由があるのかを把握し、対策を打つことで内定辞退者を減らすことにつながるだろう。ここでは、内定した学生が辞退する理由について解説していく。

条件面で納得がいかなかった

内定した学生が辞退する理由には、給与や福利厚生、勤務地といった条件面で納得がいかなかったことが挙げられる。選考時は採用されたい一心で条件面の確認をしていなかったが、内定後に詳しく条件を確認した結果、納得のいく条件ではなかったと捉えるケースが見受けられる。

この対策としては、採用ページやオウンドメディアで詳しい就労条件を提示する、選考段階でも条件面の確認を企業から提示するといった動きが必要だ。選考段階で条件を知ってもらうことで、内定辞退のリスクが減るだろう。

・関連記事:求職者が『見たい!』と思う、採用オウンドメディアのコンテンツ例を解説

他社での内定が決まった

他社での内定が決まった場合に内定辞退されるケースもある。学生は採用試験を複数社受けており、その中で優先順位を付けるのが一般的だ。試験を受けた企業の中には、滑り止めや面接経験を積むといった目的のものもあるだろう。

採用候補者の中で、自社の優先順位が一番ではなかった場合、内定辞退されるリスクを抱えているといえる。このようなケースを減らすには、採用候補者に自社の魅力を知ってもらい、優先順位を上げてもらうようなブランディングが必要だ。

・関連記事:採用ブランディングとは?取り組む目的、ポイントを解説!

社風に違和感があった

内定承諾後、社風に違和感があったことで内定辞退するケースも存在する。面接時に対応した面接官や人事担当者の対応が悪い、会社訪問した際に企業内の雰囲気が良くなかったといった理由で内定を辞退するケースだ。

インターネット上での評判を目にして、印象を落とす場合もある。選考に関わる担当者は「企業の顔」であるという意識を持つことや、インターネット上での評判を把握しておくといった対応が大切だ。

関連記事:カルチャーフィットとは?新卒・中途採用のミスマッチを防ぐポイントを解説

内定期間が長く不安があった

内定から入社に至るまでの期間が長いために、内定辞退に発展するケースも存在する。就職活動開始から早い段階で内定をもらった場合、「ほかの企業のほうがいいのではないか」、「早く決まりすぎていいのか」といった考えが頭をよぎるのだ。

このケースの場合には明確な原因があるわけではなく、不安からこのような思考に陥ってしまうことが多い。対策としては内定者と定期的に連絡をとり、不安を感じさせないことが大切だ。内定者が企業で働くイメージを持てるような働きかけが必要なのである。

入社意欲を高めるには「内定者フォロー」が不可欠

内定者の入社意欲を高めるためには、「内定者フォロー」が欠かせないものである。「内定者フォロー」の実施により、内定者の不安解消につながるのだ。ここでは、内定者フォローの役割や取り組み方について解説していく。

内定者フォローとは?

内定者フォローとは、内定者に対し連絡をとり、内定者が安心して入社できるようにする取り組みのことだ。売り手市場が続いている近年では、その役割のほとんどが内定辞退防止となっていた。

しかし、新型コロナウイルスの影響により、学生に不安の声が高まっている。そのような状況の中、内定者フォローの役割が学生の不安解消に変化しつつある。

元々内定者フォローは、内定辞退防止だけが目的ではない。内定者に安心して入社してもらうのが内定者フォローの目的だ。会社や仕事の雰囲気を掴んでもらうことで、早期退職の防止やスキル習得の場にもなり得る。

内定者フォローによって内定者の不安を取り除き、モチベーションが向上すれば、人材を確保できるだけではなく、組織力の強化ひいては生産性向上にもつながるだろう。

・関連記事:内定者フォローのポイントとは?コロナ禍でもオンラインで内定者との接点を強める方法

内定者フォローのメリット

内定者フォローのメリットは、企業と内定者の双方向でコミュニケーションをとれることだろう。内定者は選考時にわからなかった社内の雰囲気を実感できるため、入社後の自分をイメージしやすくなる。

企業も内定者の不安を直接聞けるだけではなく、選考時に伝えられなかった想いを伝えられるだろう。それにより入社意欲の向上にも期待できる。

内定者フォローのデメリット

内定者フォローのデメリットは、コミュニケーションをとったことが逆効果になる場合が考えられることだ。内定者フォローは企業と内定者の双方向でコミュニケーションをとれるため、お互いの想いを伝えられるのは確かだ。

しかし一方的に魅力をアピールしたり、懇親会の参加を強要したりした場合、内定者が温度差を感じて入社意欲を下げてしまう可能性もある。企業担当者の振る舞いによっては、企業ブランドを傷つけてしまうケースもあるため注意が必要だ。

また、先輩社員や内定者同士で気が合わないことが原因で、内定辞退してしまうケースもある。ただし、この場合はたとえ入社したとしても早期退職の可能性も高いため、必ずしもデメリットであるとはいえないだろう。

フォローの取り組みには何がある?

内定者フォローで取り組むべきことはコミュニケーションだ。不安を抱えている内定者に対して採用担当者だけではなく、経営者や先輩とのコミュニケーションの機会を提供し、入社までの不安解消につなげることが大切である。

定期的な連絡はもちろん、面談や懇親会を開催し、内定者の生の声を聞くことで不安を取り除けるはずだ。オンラインを使った取り組みも有効な内定者フォローになるだろう。

主な内定者フォローの取り組み

内定者フォローの取り組みとしては、懇親会や定期的な連絡が挙げられる。どの取り組みも内定者とコミュニケーションをとり、不安を解消するのが目的だ。多様なパターンでコミュニケーションを取ることが、内定者の不安解消につながるだろう。

ここでは、内定者フォローの主な取り組みについて解説していく。

内定者同士の懇親会

主な内定者フォローの取り組みとして挙げられるのが、内定者同士の懇親会だ。内定者同士で懇親会を開くことで、自身の同期がどんな人なのかを確かめられる。「どんな人が同期にいるのか」、「仲良くやっていけるのか」などの不安を持つ内定者にとっては、不安を解消できる機会になるはずだ。

同期と仲良くなることで、仲間意識や連帯感の向上にもつながるだろう。内定者の居住地が遠く、簡単に集まれない場合はオンライン懇親会でも良いだろう。お互いを知る機会を設け、コミュニケーションの回数を増やすことが大切だ。

現場社員との懇親会

現場社員との懇親会も有効な内定者フォローといえるだろう。この場合、参加する社員として若手を選びがちだが、ベテランや管理職といった多様性に富んだ人選のほうが良い。

懇親会に現場の社員が参加することで、職場内の雰囲気や先輩の人となりを理解できるため、入社後のイメージがつきやすくなるはずだ。会社に対する魅力を理解してもらうことにもつながるだろう。

懇親会に参加した社員は、内定者の不安を解消できるよう、良い雰囲気や空間を作るように働きかけることも大切だ。

定期的な連絡・面談実施

定期的な連絡や面談実施は、内定者フォローで欠かせない取り組みだ。内定者との信頼関係を構築するためにも、時間を空けすぎないことがポイントである。月に1度のペースがいいだろう。

定期的な連絡には近況報告だけでなく、課題を与えるのも有効だ。提出された課題に対して丁寧にフィードバックすれば、自分が大切にされていると内定者に感じてもらえる。

個人面談は、懇親会では拾いきれない声を聞くことができる機会となる。内定者の中には「大勢の前では本音を話しづらい人」もいるだろう。個人面談により、内定者が感じたことや不安に思っていることを拾えれば、信頼関係は強固なものになる。

オンラインを活用し、定期的に面談の機会を持つことが有効だ。

社内の魅力を発信

社内の魅力を定期的に発信するのも、内定者フォローに必要な取り組みだ。内定者が入社後にギャップを感じてしまうケースは珍しいことではない。採用活動でのオンライン導入が加速している現状では、ギャップを感じるケースはさらに増えるだろう。

コロナ禍において会社見学の開催が困難な状況では、オンラインを利用した発信が有効だ。ホームページやSNSを利用して社内の雰囲気や魅力を伝えることができれば、内定者も安心するはずである。

近況紹介やバーチャル見学できるVR動画、社内イベント動画など、社内の魅力を伝えることで内定者も雰囲気を掴めるだろう。

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まとめ

内定辞退とは、企業が出した内定通知を承諾後、採用候補者が自己都合で辞退することを指す。内定辞退された場合、採用者を補充しなければならないため、人事担当者にとっては悩みの種となっている。

内定者が辞退する理由には、条件面での不一致や志望企業内での優先順位の低さ、社風への違和感といったものから、内定期間が長いことからくる不安感が挙げられる。内定辞退対策として、内定者フォローは有効な施策だ。

内定者フォローの取り組みには懇親会や定期的な連絡がある。どの取り組みも、内定者とコミュニケーションをとって不安を解消するのが目的だ。多様な取り組みで内定者とコミュニケーションをとり、内定者の不安解消につなげていこう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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