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2025.6.27
企業経営において重要な概念である「コアコンピタンス」。この言葉は、激しく変化する現代のビジネス環境において、企業が競争優位性を確立し、持続的な成長を実現するための鍵となる考え方です。本記事では、コアコンピタンスの意味や具体例について、わかりやすく解説していきます。
コアコンピタンスは、企業の中核をなす能力や強みを指します。単なる一時的な優位性ではなく、長期的に企業の成功を支える根幹となる能力のことです。この概念は、1990年にGary P. HamelとC. K. Prahaladによって提唱され、以来、多くの企業が自社のコアコンピタンスを見出し、強化することに注力しています。
コアコンピタンスの特徴として、以下の3つが挙げられます。
・多様な市場への展開可能性
・顧客価値への大きな貢献
・競合他社による模倣の困難さ
これらの特徴を備えた能力こそが、真のコアコンピタンスと言えるでしょう。
具体例として、アップル社の製品デザイン能力や、トヨタ自動車の生産システムなどが挙げられます。これらは、各企業の長年の努力と蓄積によって培われた独自の強みであり、他社が簡単に真似することはできません。
コアコンピタンスを特定し、強化することで、企業は市場での競争力を高め、持続的な成長を実現することができます。しかし、コアコンピタンスの発見と育成には時間がかかり、経営陣の長期的な視点と戦略的な取り組みが必要です。
本記事では、コアコンピタンスの基本的な概念から、類似する用語との違い、具体的な分析方法まで、詳しく解説していきます。企業経営に携わる方々はもちろん、ビジネスに関心のある方々にとっても、有益な情報となるでしょう。
現代社会は複雑性を増し、企業活動においても予測不可能な事態が頻発しています。日本企業は長年独自の雇用体系や商習慣を維持してきましたが、国際化の波や技術革新の加速、価値観の多様化により、多くの企業が岐路に立たされています。この不確実で曖昧、複雑で流動的な現代社会は「VUCA時代」と呼ばれています。
従来の「上意下達」型の組織体制では、急速な競争環境の変化に対応することが困難になっています。そのため、企業は未来の市場における「自社の強み」を再定義する必要に迫られています。このような状況下で、自社の強みと競争力強化に関わる重要な概念が「コアコンピタンス(core competence)」です。
コアコンピタンス(core competence)は、「核となる(core)」「能力や技量(competence)」という意味を持ち、ビジネス用語としては「企業の中核をなす能力」を指します。具体的には、バリューチェーン上の特定の技術力や製造能力、あるいは製品展開力などを意味します。
コアコンピタンスの概念は、ロンドン・ビジネススクールのGary P. Hamel客員教授と元ミシガン大学ビジネススクールのC. K. Prahalad教授によって1990年に提唱されました。彼らは、コアコンピタンスを「顧客に対して、他社には提供できないような利益をもたらすことのできる、企業内部に秘められた独自のスキルや技術の集合体」と定義しました。
コアコンピタンスには、以下の3つの基本的条件があります。
1.広範性: 多様な市場へ参入することが可能であること
2.顧客価値への貢献: 最終製品やサービスが顧客にもたらす価値に貢献していること
3.模倣困難性: 競合他社が容易に模倣できないこと
重要なのは、これらの条件を現時点で完全に満たしていなくても、新たな付加価値を創出し、強化していくことで、将来的なコアコンピタンスに発展させる可能性があることです。
コアコンピタンスを見極め、強化することは、企業の長期的かつ安定した成長を実現するために不可欠です。このアプローチに焦点を当てた経営をコアコンピタンス経営と呼びます。
VUCA時代において、企業は自社のコアコンピタンスを武器として経営戦略を立案・遂行することで、初めて自社の強みを最大限に発揮し、将来の市場をリードする立場に立つことができます。そのためには、常に5年から10年後の未来を見据え、長期的な視野を持ってコアコンピタンスの確立と強化に取り組む必要があります。
関連記事:VUCA時代とは?ビジネスで広がる共創の概念。なぜ必要とされているのか?
コアコンピタンスの重要性と基本的な概念について前項で述べましたが、ここではコアコンピタンスと近しい関係にある「ケイパビリティ」と「コンピテンシー」との違いを詳しく見ていきます。
まず、ケイパビリティ(capability)について考察します。直訳すると「能力」「才能」「素質」「手腕」などを意味し、「できる」を意味する「capable」の名詞形です。企業に適用すると、単に企業としての「能力」を表し、特定の強みを指す用語ではありません。しかし、日本では「会社の強み」として使用されることもあります。
ビジネス用語としてのケイパビリティは、「バリューチェーン全体に波及する組織としての能力」を指します。これは、バリューチェーン上の特定の要素や能力(例:技術力や製造能力)を指すコアコンピタンスとは大きく異なります。また、ケイパビリティにはコアコンピタンスのような明確な条件・基準が存在しません。
企業におけるケイパビリティの例としては、業務遂行能力、効率的な製品生産プロセス、高品質維持のための品質保証活動、海外ネットワークなどが挙げられる。これらは具体的な条件や基準がなく、自社の強みとして総括できる点で、コアコンピタンスとは異なる特徴を持っています。
次に、コンピテンシー(competency)について検討する。コンピテンシーは「行動特性」「実践能力」「発現能力」などと訳され、ビジネス分野では「業績のよい人が、好業績を生む要因となっている行動の特徴、あるいはその特徴を備えているかどうかの指標」として用いられることが多いでしょう。つまり、与えられた役割で優れた成果を出す行動特性を指します。
コンピテンシーは企業全体ではなく、個々の従業員や役員に焦点を当てた概念です。人事制度の観点からは、コンピテンシーは発現するものであり、実績向上しない場合に減給や降格が起こり得る点が特徴的でしょう。
評価のベースにおいても、コアコンピタンスとコンピテンシーには違いがあります。コアコンピタンスでは明確な基準や条件に基づいて企業や従業員のスキルや強みを評価するのに対し、コンピテンシーでは従業員の行動をベースに評価を行います。そのため、パフォーマンス(行動に基づく成果)ベースで評価を向上させたい場合は、コンピテンシーに注目した分析が有用となります。
一方、企業全体を評価する場合は、コアコンピタンスがより適切な概念となります。これは、コアコンピタンスが企業全体の強みや能力を包括的に捉える概念であるためです。
以上のように、ケイパビリティ、コンピテンシー、コアコンピタンスはそれぞれ異なる特徴と適用範囲を持つ概念であり、企業経営において適切に使い分けることが重要です。
関連記事
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コアコンピタンスを見極める際に役立つ具体例や分析方法について紹介します。企業のコアコンピタンスは、以下の3条件を満たすことが基本となります。
1.広範であり、多様な市場へ参入することが可能であること
2.最終プロダクトあるいはサービスが、顧客にもたらす価値に貢献していること
3.競合に模倣される可能性が低い、あるいは困難であること
これらの条件を実際の企業に当てはめて分析します。例として、半導体デバイスの受託生産大手であるTSMC(台湾積体電路製造股份有限公司)を取り上げます。
TSMCは受託生産を行うため、車載用途から最先端スマートフォン、高速鉄道から人工衛星向けまで、業種に縛られることなく、広く様々な半導体デバイスの生産を請け負うことが可能です。
TSMCの最終製品(パワーデバイスやICチップなど)は顧客の製品に搭載され、サプライチェーン上流のベンダーあるいはサプライヤーとして大きな役割を担い、顧客への価値貢献を行っています。
TSMCは豊富な受託経験で培ったノウハウを常に最先端の研究開発に投資することで、他社の追随を許さない揺るぎなき半導体製造OEMとしての地位を築き上げ、これを維持しています。
企業のコアコンピタンスを見極めるためには、以下の5つの視点で評価を行い、コアコンピタンスとなり得るものを絞り込んでいくことが望ましいでしょう。
1.Imitability(模倣可能性): 競合他社が容易に真似できない独自の強みであるか
2.Transferability(移動可能性): 他の事業や市場にも応用できる汎用性があるか
3.Substitutability(代替可能性): 他の技術やサービスで代替されにくいか
4.Scarcity(希少性): 市場において希少で価値ある能力であるか
5.Durability(耐久性): 長期的に競争優位性を維持できるか
これらの視点で見出されたコアコンピタンスを、中長期の経営計画に組み込み、未来の市場での自社の成功を想定して設定し、育成・強化していくことが重要です。
VUCA時代の市場競争を勝ち抜くために必要な企業資質として、以下の4つの能力が挙げられます。
1.未来のための競争が現在の競争と異なると認識できる力
2.未来の市場機会を発見できる洞察力を築き上げるロードマップを構築する力
3.未来への長く険しい道程に向かって、会社全体を鼓舞する力
4.過度なリスクを避けつつも、競合他社を追い抜き未来に一番乗りできる力
企業は、独自のコアコンピタンスを武器として経営戦略を立案し、これを遂行していくことで、自社の強みを最大限に発揮し、将来の市場をリードする立場に立つことができる。これがコアコンピタンスを軸にしたコアコンピタンス経営です。
5つの視点で強みの洗い出しを行い、4つの能力を最大限に発揮することで、コアコンピタンスが発揚されます。コアコンピタンス経営では、常に5年~10年後の未来を見据えながら、長期的視野をもってコアコンピタンスの確立を試みていく必要があるでしょう。
このように、コアコンピタンスの分析と活用は、企業の持続的な競争優位性を構築する上で極めて重要な戦略的アプローチとなります。
コアコンピタンスは、VUCA時代と呼ばれる不確実で複雑な現代社会において、企業の競争力強化に不可欠な考え方です。日本企業が未来の市場で成功するためには、自社の強みを再定義し、長期的視野でコアコンピタンスを確立することが求められています。
コアコンピタンスには3つの条件があります。
1.広範で多様な市場参入が可能であること
2.顧客価値に貢献する最終製品やサービスを生み出すこと
3.競合他社が模倣困難であること
これらの条件を満たす強みを見出し、育成することが重要です。たとえ現時点ですべての条件を満たしていなくても、新たな価値創出と競争力強化を通じて、将来的なコアコンピタンスへと発展させることができます。
企業がコアコンピタンスを特定し強化していくためには、以下の5つの視点が重要です。
・模倣可能性
・移動可能性
・代替可能性
・希少性
・耐久性
さらに、コアコンピタンス経営を成功させるには、以下の4つの能力が必要とされます。
1.未来の競争が現在と異なることを認識する力
2.未来の市場機会を見出す洞察力とロードマップ構築力
3.会社全体を未来に向けて鼓舞する力
4.リスクを管理しつつ競合他社を追い抜く力
コアコンピタンスを軸とした経営戦略を立案・実行することで、企業は自社の強みを最大限に発揮し、将来の市場をリードする立場を確立できます。5年から10年先を見据えた長期的視野を持ち、継続的にコアコンピタンスの確立と強化に取り組むことが、VUCA時代を勝ち抜くための鍵となるのです。
ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。
※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです
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