2021.12.9

ミッションとは?ビジョンとの違いやなぜ必要なのかを解説

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ミッションとは、企業の使命や目的のことである。ミッションがあることで、従業員も仕事に取り組みやすくなるのだ。この記事では、ミッションの意味や必要性などを解説する。似た言葉であるビジョンやバリューなどの意味も併せて確認しておこう。

ミッション、ビジョン、バリューとは

ミッション、ビジョン、バリューの3つは、経営学者であるピーター・F・ドラッカーが提唱した企業の経営方針のことである。これらは企業の存在意義や社会的正当性を示すために必要だと考えられているのだ。

まずは、ミッション、ビジョン、バリューの意味を確認しよう。

ミッションとは

ミッションとは、企業の使命や目的のことである。例えば、「事業を通して◯◯な世界を実現する」「社会的な問題である◯◯を解決する」といった自社が存在する目的のことを意味する。

ミッションを見れば、基本的な考え方や優先すべき事柄などがわかるため、企業が何をしたいのかを理解しやすくなるのだ。

つまり、ミッションがあれば、なぜこの会社で働いているのかという原点に帰れたり、
従業員それぞれが自分の仕事に意味を感じられるようになったりするのである。

そのためミッションは企業の経営陣だけが周知しているのではなく、社内全体で共有し合うことが重要だ。採用ホームページや社内での掲示板などを活用して、社内に浸透させれば従業員のモチベーション向上、社外への宣伝効果なども期待できる。

ミッションは、企業にとって重要なものといえるだろう。

ビジョンとは

ビジョンとは、ミッションを実現させた将来像のことを指す。例えば、「企業は今後、どのように成長していきたいのか」「社会において、どのような存在になりたいのか」など、企業が目指すべき理想の姿を言語化したものである。

また、企業がミッションを完了した後に、どのような姿になりたいのかを従業員と共有することが大切だ。従業員がビジョンを具体的にイメージできれば、同じ理想像を目標としながら、業務を遂行できるためである。

バリューとは

バリューとは、企業の価値や行動基準のことである。企業全体でミッションを遂行し、ビジョンを共有するためには、自社の価値が明確でなければならない。

また従業員はバリューを基準にして行動するため、具体的な表現にすることが大切である。例えば、「毎日切磋琢磨しながら、仕事に取り組もう」よりも、「自己中心的な言動を行うのではなく、他の従業員と協力し合いながら良いサービスを作り上げよう」のほうがイメージしやすく、仕事を行いやすいといえるだろう。

つまり、バリューは従業員が行動しやすくなるように言語化したものである。

類似用語との違い

ミッションやビジョン、バリューと似た言葉に、以下の3つがある。
・経営理念
・行動指針(ミッションステートメント)
・パーパス

ここでは、それぞれの言葉の意味を理解しよう。

経営理念

経営理念とは、経営者が重要としている考え方のことである。例えば経営者が、「顧客ファーストなサービスの提供を重視する」と考えているのであれば、その企業の経営理念は「顧客ファーストなサービスの提供」となるのである。

つまり経営理念が企業全体に広まれば、バリューと認識されるであろう。

ほかにも経営者が、「我が社の目的は世界にない最高のサービスを提供すること」といえば、これが経営理念であり、かつ社内全体に広まればミッションとなるのである。

すなわち、経営理念は経営者の考え方によって、バリュー型とミッション型に分けられるのだ。

また経営理念は企業によって、「企業理念」、「経営方針」「社訓」、「社是」、クレドなどの呼び名になるため、併せてチェックしておこう。

行動指針(ミッションステートメント)

行動指針とは、経営理念を達成するための具体的な行動のことである。例えば、経営理念が顧客ファーストなサービスの提供であれば、以下のような行動指針が考えられる。

・トラブルには誠心誠意な対応を行う
・納期などの時間を守る
・常に改善策はないかを考え、より良いサービスの提供に努める

つまり行動指針は、経営理念をより具体的に表現したものであり、従業員がどのように行動すればいいのか明確にしたものである。

関連記事:ミッションステートメントの役割とは?経営理念との違いと作成方法、効果について

パーパス

パーパスとは、経営戦略やブランディングのことである。「企業や個人は何のために存在するのか」「従業員は何のために働いているのか」といった企業の存在意義を示す。
ミッションは何のために企業は存在しているのか、を表現しているのに対して、パーパスはなぜ企業が存在しているのか、という今の姿を表現するものだといえるだろう。

関連記事:パーパスとは何か?企業経営における意味とパーパス・ブランディングの取り組み方

ミッションが必要な理由と定めるメリット

次に、ミッションが必要な理由とメリットを詳しく解説する。

なぜミッションが必要なのか

ミッションは、企業が進むべき道を示すために必要である。ミッションは企業にとって羅針盤とも言える存在であり、原点ともいえるのだ。

そのため、「なぜこの仕事を行うのか」「自分たちが目指すべき場所はどこなのか」「今何をすべきなのか」などがわからないと、適切な業務を遂行できない。しかしミッションがあれば、企業に属する全員が同じ方向を見ながら業務を遂行できる。

ミッションを決めずに業務を始めても、最初の勢いでうまくいくこともあるかもしれない。しかし事業を進める中で、困難な壁にぶつかった場合、適切な対応ができずに企業が分断してしまう可能性もある。

特に現代はさまざまなサービスが溢れており、競合他社との差別化は一層難しくなっている。そのなかでミッションがあれば、進むべき道が見つけやすくなるだろう。

得られるメリット

ミッションを定めることで得られるメリットは、社内外にある。
・従業員のモチベーションやエンゲージメントを高められる
・企業にあった人材の確保につながる

ミッションがあれば、従業員のエンゲージメントを高めやすくなる。エンゲージメントとは、忠誠心や愛着のことだ。企業が抱く世界観や価値観に共感できれば、企業に愛着や忠誠心が湧く人も少なくない。

そしてエンゲージメントがあれば、離職率減少も期待できるであろう。ただしミッションを掲げただけで、行動が伴っていなければ意味がない。言葉と行動が合ってこそのメリットである。

関連記事:ワークエンゲージメントとは?企業や従業員にとってのメリットや高めるために必要なこと

また具体的なミッションを掲げていれば、企業の求める人材を確保しやすくなる。例えば採用活動を行う際に、求職者の価値観が自社に合うかどうかも確認しやすくなるであろう。採用時に確認できれば、入社後のミスマッチを防げる。

たとえスキルを持つ人材を確保できても、自社の価値観と合わなければ早期退職につながり、採用コストもかかるため、組織を拡大していく上では大きなメリットとなるだろう。

ほかにも具体的かつイメージしやすいミッションがあれば、企業の魅力を伝えやすくなるのもメリットだ。例えば採用活動を行う際に、給料面や福利厚生の充実、待遇などとともに、ミッションを伝えれば、おもしろそうな会社・やりがいを感じられそうな会社と判断してくれる人も現れるだろう。

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ミッションの策定方法

ここからは、ProFuture株式会社のミッションを紹介する。併せてミッションの策定方法を確認しよう。

ProFuture株式会社の場合

ProFuture株式会社のミッションは、「多様な職種の働く人に良い環境を与え、社会をより良くする『てこ』になる」である。

すべての企業は従業員が働くことによって、成り立っている。その従業員をサポートすることで、社会全体をより良くしようと考えているのだ。てこの原理を活用し、大企業でもなし得ないような社会をより良く動かす力を持ちたいと考えている。

ミッションの策定方法

ミッションを策定する際は、経営陣全員で決めることが大切である。またミッションだけではなく、ビジョンやバリューもともに定めよう。ここからは、ミッションの策定方法を解説する。

経営層で決める

ミッションを策定する際は、企業の経営に関わる人全員で決めよう。ミッションは企業の未来や従業員の行動基準にもなるため、一部の経営陣が勝手に決めてしまうとトラブルの原因にもなり得るためである。

すべての経営陣が納得、かつ理解したうえでミッションを作りあげることが重要といえるだろう。

ビジョン、バリューと一緒に決める

ミッションを決める際は、ビジョンやバリューとともに決めよう。企業のミッションは、顧客や社会が求めているものを言語化したものであり、経営陣の夢物語ではない。

ミッションを達成するためには、ビジョンやバリューを明確にしていくことが重要なのである。経営陣はビジョンを優先してしまうケースもあるが、達成すべきミッションが定まっているからこそのビジョンであることを認識しておくことが大切である。

・ミッション策定のコツ
ミッションを決める際は、顧客や社会が求めているのが何かを考える。例えば「自社の活動やサービスによって、解決したい問題はないか」「どのようなことで顧客や社会に喜んでもらいたいか」を考えるといい。また従業員のやりがいについて聞いておくと、ミッションを決める際の参考になる。

・ビジョン策定のコツ
ビジョンを決める際は、自社の行動によって、社会をどのように変化させたいのか明確にすることがポイントである。業界や従業員、顧客など、さまざまな方面からリサーチを行う。

ビジョンは将来的になり遂げたい目標であるため、ミッションを達成することで、ビジョンの達成に近づくと考えよう。

・バリュー策定のコツ
ミッションを達成するためには、従業員が仕事への価値を見出したり、目標を達成するための姿勢を理解したりする必要がある。従業員が経営陣と同じ方向を見ていなければ、ミッションは達成できない。

そのためすべての従業員が理解できるように、具体的、かつわかりやすいバリューを掲げることが大切である。

まとめ

ミッションとは、企業の使命や目的のことである。ミッションを繰り返し達成することで、将来的な理想像であるビジョンも達成できるだろう。またミッションを達成し、ビジョンを成し遂げるためには、バリューが欠かせない。

経営陣だけではなく、企業全体が同じ方向を向けるように具体的な行動基準を示すことが重要である。

ミッションを定める際は、経営陣全員が納得するまで話し合うことがポイントだ。企業の未来にも影響するため、一部の経営陣が勝手に決めることのないように注意しよう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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