2021.9.6

パーパスとは何か?企業経営における意味とパーパス・ブランディングの取り組み方

読了まで約 6

■パーパスとは何か?

■パーパスが注目されるようになった背景

■パーパス・ブランディングとパーパスと違い

■パーパスとMVVなど周辺概念との違いとその定義

■パーパスを見直すメリット

■パーパス・ブランディングを行う際に注意したい「パーパス・ウォッシュ」

パーパスとは何か? ビジネスにおいて重視すべき背景とは?

近年、企業経営のあり方を示すキーワードの一つとして「パーパス」という言葉が用いられることが増えている。
さらにパーパスを軸としてコーポレートブランディングを行う「パーパス・ブランディング」という言葉をメディアなどで目にすることが多いのではないだろうか。
「パーパス(Purpose)」とは、一般に「目的、意図」と訳される言葉で、近年では、経営戦略やブランディングのキーワードとして用いられることが多い。
その場合は企業や組織、個人が何のために存在するのか、すなわち「存在意義」のことを意味する。
自社は何のために存在するのか、在籍する社員は何のために働いているのか…こうした社会における企業や組織、個人の存在意義を意味する概念であるパーパスを重視する経営スタイルが、海外のビジネスシーンをはじめ、日本でもトレンドになりつつあるのだ。

関連記事:オウンドメディアで企業姿勢を示す。日本最大級の不動産・住宅情報の総合サービス「LIFULL HOME’S」運営のLIFULLが取り組む企業ブランディング

では、なぜ今パーパスがここまで注目されるようになったのか?
その背景にはいくつかの要素があるが、代表的なものを紹介しよう。

1. 新型コロナウイルス感染症の拡大
新型コロナウイルス感染症によって引き起こされたパンデミックは、世界中に多大なる衝撃と影響を与え、各企業は自分たちのパーパスを見つめ直すようになった。
社会情勢が大きく変化していく中で、パーパスは企業の指針となり、「自分たちがあるべき姿、今やるべき事業活動」がおのずと見えてくるようになったのだ。
実際に、コロナ禍においてさまざまな日本企業が、人々の生活や医療環境を支えるための取り組みを行った。
たとえば、トヨタ自動車株式会社は、医療現場を支援する取り組みを「ココロハコブプロジェクト」の一環として位置づけて医療用フェイスシールドの生産を行い、グループ各社の事業所が所在する地元医療機関や自治体への提供に取り組んでいる。
また、シャープ株式会社は、国内の深刻なマスク不足を受けて、2020年3月よりマスクの生産を開始した。
第1回抽選販売においては、マスク4万箱に対して、470万人以上が応募、当選倍率は100倍以上となり、多くのメディアに取り上げられるなど、話題を呼んだ。
これらはパーパスを具現化した好例だといえる。

2. DXの推進
リモートワークをはじめとしたデジタルトランスフォーメーション(DX)が推進されたことによって、社内稟議をはじめとした意思決定プロセスも大きな影響を受けた。
「ハンコレス」「ペーパーレス」などと目に見える部分だけの変更を実現しても、複雑な稟議プロセスが残ったままでは、DXの恩恵を十分に享受できない。
要するに、意思決定プロセスそのものを変えていく必要性に迫られているのだ。
適切に権限委譲が行われ、迅速に意思決定が行われるためには、パーパスを組織に浸透させることが重要である。
DXの推進によってビジネスに変革を起こすためには、「自分たちが何のためにそれを行っているのか」という原点に、全従業員が立ち返る必要があるのだ。

3. ミレニアル世代の台頭
パーパスを明確にしない企業はもはや生き残れない、とまでいわれる理由の1つは、それが2000年代に成人あるいは社会人になる世代である「ミレニアル世代」と呼ばれる若い人々の価値観にマッチしているからだ。
Facebook共同創業者で会長兼CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は、ミレニアル世代にとってパーパスを持つことは当たり前であり、誰もがパーパスを持てる世界を創ることが重要だと説いている。
ミレニアル世代は現在の20~30代であり、これからの消費やビジネスの主軸を担う存在といえる。
パーパスを見直し、ミレニアル世代の共感を得ることは、今後の企業にとってさらに重要な意味を持つことになるだろう。

以下ではパーパスについて、MVVなど周辺概念との違いや見直すメリットについて解説をしていこう。

関連記事
ミレニアル世代とは?特徴や消費行動、マーケティングのポイント
効果的なDX推進のために必要な考え方―DXの誤解を解消し、成功への道筋を示す―Fabeee佐々木DX連載 第2回

MVVなど周辺概念との違いを整理する

パーパスについて理解するためには、企業理念との違いや、いわゆるMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)との違いで説明するとわかりやすいだろう。
しかし、その前に、企業としての1つのあり方を表す「パーパス・ブランディング」という手法と、ミッション・ビジョンといった企業理念を表す理念ワードとしての「パーパス」との違いについてしっかりと立て分けておく必要がある。
ひとことで言えば、パーパス・ブランディングとは、企業経営をパーパス(存在意義)に基づいて行うべきであるというブランディング手法の1つであり、パーパスとはミッション、ビジョン、バリュー、スピリット(クレド)など、企業理念を取り巻く概念やワードの新しいカテゴリーであるという違いがある。
そのうえでパーパスと、企業理念を構成する他の周辺概念であるMVVなどのワードを整理しておこう。

1. ミッション(Mission)
「使命」や「任務」と訳されることが多く、その意味の通り、企業が日々果たすべき使命として定義されている。
パーパスと意味が共通している部分もあるため、ミッションの中にパーパスを含有している企業も珍しくはないが、その違いとしてあげられることは、社会とのつながりを強く意識しているかどうかという点だろう。
ミッションは、企業が目指す姿に向けて何を行うべきであるのかの「What」を示すのに対して、パーパスは、なぜ企業が社会に存在しているのかという「Why」に関する言葉であるとされており、将来目指したい姿ではなく、現在あるべき姿を指す傾向にある。

2. ビジョン(Vision)
「展望」や「理想像」と訳されることが多く、一般的にはミッションの遂行によって企業が実現したい未来のことを示し、ビジョンを策定することで、企業やチーム、個人が成し遂げたい目標・ゴールである「Where」を具体的にする。
また、企業はさらに社会との関係性を意識し、応援される存在になるべきであるという考え方から、ビジョンを定義する場合もある。その場合のビジョンとは自社が目指す姿になると、その影響力によって世の中がどうなっていくのかという視点を示すこととなる。

3. バリュー(Value)
「価値」あるいは「価値観」と訳され、一般的には、ミッションやビジョンを実現するために必要な、企業や従業員の姿勢や価値観のことを指す場合が多い。従業員が共有すべき価値観や身につけるべき信条は後述するスピリット/クレドと定義し、バリューは純粋に顧客やマーケットに対する提供価値に限定して定義されることが多い。
4. スピリット(spirit)/クレド(credo)
直訳するとスピリットは「魂」や「精神」、クレドは「信条」であり、企業によって呼び方に違いはあるが、ミッション、ビジョンを実現し、顧客に対してバリューを提供し続けるために従業員が大切にする価値観、体現する日々の行動指針のことを指す。

パーパスを見直すメリットは?

企業がパーパスを見直すことには大きなメリットがあるが、もっとも大きなものは企業のESGとパーパスサステナビリティが向上することにあるといえる。
企業は、利益を追求するだけでなく、刻々と変化する社会課題にフォーカスして活動することで、従業員や社会、投資家といったステークホルダーから「信頼」や「共感」を得ることができる。
その結果として、ブランド力向上やロイヤリティ(loyalty)の強化、ひいては利益の増加にもつながるのだ。
そこで、パーパスを見直すメリットについて、詳しく見ていこう。

<パーパスを見直すメリット>
1. ステークホルダーからの支持を得られる
前述のとおり、パーパスを明確にし、実際に取り組むことで、そのパーパスに共感するステークホルダーからの支持を集めることができる。
支援してくれるステークホルダーの数が多いほど、企業の持続的成長の可能性は高まるため、企業は、ステークホルダーの信頼と共感を得るためにも、パーパスに基づいて社会課題に向き合い続けることが必要だ。

2. ESG推進に貢献する
企業の成長性を判断する要素の1つとしてESG(Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字)が注目されており、昨今のメディアでも「ESG投資」という言葉が頻繁に取り上げられるようになった。
ESGを推進する企業に対して、積極的に投資をする投資家が増加していることが背景にある。

関連記事:ESGとSDGsとの違いとは?意味や背景、人事として取り組めることを解説

パーパスはESG推進にも大きく寄与する。
たとえば、環境では「二酸化炭素の排出量の削減」「再生可能エネルギーの使用」、社会は「ダイバーシティの推進」「ワーク・ライフ・バランスの実現」、ガバナンスは「積極的な情報開示」「透明性のある公正な経営」などをパーパスとして明言することが考えられる。

関連記事:インクルージョンとは?ダイバーシティとの関係や推進のためのポイント

3. 従業員のロイヤリティやワークエンゲージメント向上に寄与する
パーパスを見直すことで、従業員のロイヤリティやワークエンゲージメントが向上するというメリットもある。

関連記事:ワークエンゲージメントとは?企業や従業員にとってのメリットや高めるために必要なこと

パーパスを掲げることで働く意義を明確に指し示し、その内容が企業と従業員の共通項になることで、従業員は自身の業務に誇りを持つことができるようになる。
その結果、従業員の企業に対するロイヤリティが高まり、ワークエンゲージメントも高まりやすくなるのだ。
また、従業員のロイヤリティやワークエンゲージメントの向上は、個人の力を最大限に発揮しやすくなる効果もある。
生産性とワークエンゲージメントの向上については、相関関係があることも明らかになっているため、期待できるだろう。
また、パーパス・ブランディングを行う際は、「パーパス・ウォッシュ」に陥らないよう注意をする必要がある。
パーパス・ウォッシュとは、環境に配慮しているように見せて実態が伴っていない「グリーン・ウォッシュ」という言葉から派生した言葉で、パーパスを掲げているけれど、実際には行動が伴っていないなど、見せかけだけの状態を意味する。
実態に偽りがある状態では、ステークホルダーからの信頼を失う可能性が高いため、パーパス・ブランディングを推進する際には、「掲げているパーパスが正しい情報か」「パーパスが実際の取り組みとして実践されているか」「言葉だけではなく実態が伴っているか」などを確認することが重要だ。

まとめ

・近年、企業経営のあり方を示すキーワードの一つとして「パーパス」という言葉が用いられることが増えている。「パーパス(Purpose)」とは、一般に「目的、意図」と訳される言葉で、近年では、経営戦略やブランディングのキーワードとして用いられることが多く、その場合は企業や組織、個人が何のために存在するのか、すなわち「存在意義」のことを意味する。こうした存在意義を意味する概念であるパーパスを重視する経営スタイルが、海外のビジネスシーンをはじめ、日本でもトレンドになりつつある。

・なぜ今パーパスがここまで注目されるようになったのか?その背景にはいくつかの要素があるが、代表的なもの次のとおりだ。1.新型コロナウイルス感染症の拡大、2. デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、3.ミレニアル世代の台頭。

・企業としての1つのあり方を表す「パーパス・ブランディング」という手法と、ミッション・ビジョンといった企業理念を表す理念ワードとしての「パーパス」との違いは、ひとことで言えば、パーパス・ブランディングとは、企業経営をパーパス(存在意義)に基づいて行うべきであるというブランディング手法の1つであり、パーパスとはミッション、ビジョン、バリュー、スピリット(クレド)など、企業理念を取り巻く概念やワードの新しいカテゴリーであるということだ。

・パーパスについて理解するために周辺概念であるMVVなどのワードを整理すると次のようになる。【1.ミッション】企業が日々果たすべき使命として定義されている。【2.ビジョン】ミッションの遂行によって企業が実現したい未来のことを定義している。【3.バリュー】ミッションやビジョンを実現するために必要な、企業や従業員の姿勢や価値観のことを指す。【4.スピリット/クレド】バリューを提供し続けるために従業員が大切にする価値観、体現する日々の行動指針のことを指す。

・企業がパーパスを見直すことには大きなメリットがあるが、もっとも大きなものは企業のESGとサステナビリティが向上することにあるといえる。パーパスを見直す具体的なメリットは以下の3点だ。1.ステークホルダーからの支持を得られる、2.ESG推進に貢献する、3.従業員のロイヤリティやワークエンゲージメント向上に寄与する。

・また、パーパス・ブランディングを行う際は、「パーパス・ウォッシュ」に陥らないよう注意をする必要がある。パーパス・ウォッシュとは、パーパスを掲げているけれど、実際には行動が伴っていないなど、見せかけだけの状態を意味する。実態に偽りがある状態では、ステークホルダーからの信頼を失う可能性が高いため、パーパス・ブランディングを推進する際には、「掲げているパーパスが正しい情報か」「パーパスが実際の取り組みとして実践されているか」「言葉だけではなく実態が伴っているか」などを確認することが重要だ。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

get_field('cf_general_profile_name', 39);

『MarkeTRUNK』編集部

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から
知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。
さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。
独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

関連記事 RELATED POSTS

関連資料ダウンロード RELATED POSTS

メルマガ会員登録で最新マーケティング情報やトレンド情報、セミナーイベント情報をチェック!

メールマガジンのサンプルはこちら