2022.2.10

チーミングの意味とは?チームが機能するために必要なこと

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「チーミング」はハーバード大学の教授が提唱した概念であり、新しいチーム運営のあり方を指す。具体的には、より良いチームワークを模索・実践する取り組みのことで、特に社会情勢が変動しやすい現代において重要視されている。

自社のチームづくりにチーミングを取り入れるために、正しい意味や実践する際のヒントを学んでおこう。

チーミングとは?学びと実践を続ける活動

予測不可能で先の見通しが立てにくい「VUCA(ブーカ)」時代に突入している中、新しいチーム運営の形として「チーミング」が注目を集めている。ハーバード大学の教授が提唱したもので、2010年にチリの鉱山で発生した事故ではチーミングが奇跡の救出劇に効果を発揮したといわれている。

先行き不透明な時代を生き抜くためには、チーミングの重要性に対する理解が欠かせない。ここでは、仕組みや注目されている背景などを詳しく解説する。

チーミングとは

チーミング(teaming)とは、最良のチームワークを目指してチームのあり方を模索・実践し続けることを指す。従来型の固定化されたチーム運営とは異なり、チーミングではメンバーの役割や連携の仕方が柔軟に変化する。「チームとはこうあるべき」という概念にとらわれず、移り変わる状況に応じてベストなチームワークの構築を目指すのが特徴だ。

チーミングは1人のリーダーが推し進めるものではなく、チームに属するメンバー全員が参加するものである。リーダーはメンバー全員と意見を交換し、それぞれの主張をまとめたうえでより良いチーム作りに活かしていく。

つまり、チーミングによってチーム全体のパフォーマンスを向上させるためには、リーダーとメンバーの相互理解が不可欠なのだ。あわせて、チーミングを実践するうえで重要とされる3つのポイントも押さえておこう。

1. 達成すべき目標やビジョンの共有
2. メンバーの心理的安全性の確保
3. メンバーが協力しやすい環境の整備

なお、チーミングは知識集約型産業と相性の良いフラット型組織において、特に効果を発揮する。知識集約型産業は知的労働力をメインとする産業のこと、フラット型組織はメンバーの意思決定の自由度が高い組織づくりのことだ。

知識集約型産業に該当するのは、ハイテク産業や医薬製造業、ファッション関連産業、コンサルティング業など多岐にわたる。知識集約型産業の増加に伴い、現代はフラットな組織づくりを行なう企業が増えたため、チーミングの重要性も増していると考えられるだろう。

エイミー・C・エドモンドソン氏の著書『チームが機能するとはどういうことか』

チーミングは、ハーバード大学の教授であり、第一線で心理的安全性研究を行なうエイミー・C・エドモンドソン氏が提唱した概念だ。エドモンドソン氏によると、チーミングは2種類に分けて定義される。

1つ目は、職務や事業単位、地理的な場所にとらわれず、組織内のメンバー同士で協働・連携することを指す。2つ目は、組織の枠を飛び出して、異なる組織に所属するメンバー同士で連携することだ。エドモンドソン氏は、「イノベーションには異なる組織間の連携が欠かせない」と説いている。

著書の中では、チーミングの詳しい定義や組織における学習の重要性、成功につながるリーダーシップのあり方などが紹介されている。チームワークの最適化を目指してチーミングを実践する際は、エドモンドソン氏が提唱するチームのあり方について学ぶことをおすすめしたい。

注目されている背景

チーミングが注目されている背景には、VUCA時代の到来が関係している。移り変わりが激しい時代に突入し、従来のチームづくりでは変動性の高い社会に対応できなくなっているのだ。

ここでは、VUCA時代の意味を整理するとともに、新しい時代において求められるチームやリーダーシップのあり方について考えていく。

VUCA時代

VUCAは米軍で用いられていた軍事用語に由来するもので、2010年代あたりからビジネスシーンでも多用されるようになった。VUCAを構成する4つの要素と、それぞれが表すものは以下のとおりだ。

1. Volatility(変動性)……テクノロジーや価値観、市場などが変動しやすいこと
2. Uncertainty(不確実性)……自然環境や制度の仕組み、国家のあり方などが不確実であること
3. Complexity(複雑性)……経済のグローバル化が進むにつれてビジネスが複雑化していること
4. Ambiguity(曖昧性)……上記3つの要素が絡み合うことで不測の事態が起こり、明確な解決策を見いだせないこと

VUCA時代は予測不可能なことが多く、環境や状況の移り変わりが激しい。変化の波はチーム運営にも押し寄せており、社会情勢などに応じて最適なチームのあり方も異なる。

例えば、昨今ではテレワークの推進によって、メンバーと顔を合わせずに働くケースが増えているだろう。テレワークは「個人として働く」という意識になりやすいことから、チーム意識が低下しやすい。

これを受け、オンライン社内イベントや雑談タイムを実施するなど、企業はチーム意識の維持を図るための工夫が求められている。対面でのやりとりがなくなったため、オンライン上での社内コミュニケーションを促進する必要があるのだ。

このように、チーム間の主流なコミュニケーション方法が変化するのと同じく、変動性が高いVUCA時代では理想的なチームの形も常に変化する。その点、チーミングを実施すれば、時代に対応するチームづくりを実現しやすい。

変化し続ける時代に即したチーム運営を叶えるために、チームワークのあり方を模索するチーミングの重要性が叫ばれているのだ。

関連記事:VUCA時代とは?ビジネスで広がる共創の概念。なぜ必要とされているのか?

新しいチーム、リーダーシップのあり方

従来のチーム運営といえば、メンバーや役割を固定化して結束力を高めるのが主流だった。しかし、現代はチームの固定化を脱する動きが多くみられる。具体的には、異なる部署や社外の人とチームを組み、多様な発想から新たなものを生み出すことが増えているのだ。

また、移り変わりやすい市場の変化に遅れをとらないように、短期間に集中してプロジェクトを進めるケースも多いだろう。これらの新しい連携方法は、従来の固定型の概念に縛られているとうまくいかないことが多い。

固定化されたチーム運営を脱して新しいチームを作っていくためにも、チーミングの発想が重要視されている。チーミングを実践することで、これまでになかった条件下でもチームが円滑に機能し、高いパフォーマンスを発揮できると考えられているのだ。

なお、VUCA時代にはさまざまなリーダーシップやチームワークのあり方が提唱されている。より良いチームを作るために多様な手法を柔軟に実践できる点も、チーミングの得意とするところだ。VUCA時代に実践すべきリーダーシップやチームワークのあり方をいくつか紹介する。

【コンティンジェンシー理論】
リーダーシップについて、「状況に応じて役割が柔軟に変化するもの」と定義する。リーダーのあるべき姿・正しい姿というものは存在せず、状況によって理想的なリーダーシップは変化するという考え方。

関連記事:コンティンジェンシー理論とは?VUCA時代・多様性に適したリーダーシップの在り方

【オーセンティック・リーダーシップ】
倫理観を伴いながらも、リーダーが自分の価値観や考え方を尊重し、自分らしさを大切にしてリーダーシップを発揮すること。先行き不透明な時代においては、過去の実績ではなくリーダーの人柄が重視されやすいことから、人の真似ではない、オーセンティックなリーダーが求められている。

関連記事:オーセンティック・リーダーシップの意味とは? 近年人事領域で注目されている理由

【ホラクラシー組織】
明確なルールを定めつつ、チーム内に上下関係が存在しないのが特徴。メンバー全員で意思決定を行ない、組織はメンバーに対してすべての情報を共有する。メンバーの主体的な行動や、スピーディーな意思決定が期待できる。

関連記事:ホラクラシー組織のメリット・デメリットとは?VUCA時代におけるティール組織との違いについて

【フォロワーシップ】
部下が自主的にリーダーのサポートをすること。リーダーシップとフォロワーシップが円滑に機能したチームは、パフォーマンスの最大化や業績の上昇を実現しやすいとされる。

関連記事:フォロワーシップは高められるのか?リーダーシップとの違いを解説

チーミングを取り入れた組織づくりのヒント

チーミングを実践する際は、以下の2点を意識することが有効だ。

1. 心理的安全性を確保する
2. 学習する組織を目指す

環境に合わせてベストなチームワークを実現できるように、チーミングを取り入れた組織づくりのヒントを押さえておこう。

心理的安全性を確保する

チーミングではメンバーの心理的安全性を確保することが重要視されている。チーム間で良好な関係を築くためには、メンバー同士が自由に意見交換できる環境を整えなければいけない。

理想とされるのは、質問や助けを求めることに抵抗がなく、思いのままに提案できる状態だ。率直に意見を出し合って相互理解を深めることは、新たなアイデアの創出にもつながるだろう。

このように、メンバーが本心で意見を出せるチームを作るためには、心理的安全性の確保が欠かせない。心理的安全性とは、メンバーが安心感をもって自己表現できたり、行動できたりする状態を指す。

心理的安全性が低いとメンバーは思ったように発言できず、結果としてパフォーマンスの質が低下しやすくなる。一方、心理的安全性が高い状態であれば、メンバー間の意見交換が活発になって自主性が促進され、チーム全体の生産性に良い影響を与えるのだ。

メンバーの心理的安全性を確保するためには、コミュニケーションの活性化を意識しよう。例えば、気軽に雑談ができるチャットルームを設置したり、1on1を実施して相互理解を深めたりするのが有効だ。

関連記事:
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1on1ミーティングとは?テレワーク・在宅勤務だからこその1on1の必要性とは

学習する組織を目指す

「学習する組織(ラーニング・オーガニゼーション)」とは、チームのあり方を柔軟に模索する組織のことで、マサチューセッツ工科大学のピーター・センゲ氏が定義した概念だ。

チームを学習する組織へと導くためには、「リフレクション」と「フレーミング」を実践するのが有効とされる。それぞれの意味や実践方法について見ていこう。

リフレクション

「反射」や「反映」を表すリフレクションは、ビジネスシーンにおいて「内省」を意味する。内省とは、自分の行動や考え方をフラットな視点で見つめ直すことだ。

リフレクションを行なう際は自責の念や反省を持ち込まず、客観的に言動などを振り返る。成功と失敗の両方を評価することで、より良い結果につなげるための改善点を洗い出すのだ。

リフレクションは個人で行なう以外に、メンバー同士で実践することも可能である。自分の内省について意見をもらったり、反対に他者の内省を聞いたりすることで、物事を新たな視点から見られるようになるだろう。

関連記事:反芻思考とは?意味や対策のマインドフルネスについても解説

フレーミング

学習する組織づくりにおけるフレーミングは「ものの見方」を表す概念だ。そもそもフレームとは、ある状況に対する思い込みや信念を意味する。

学習する組織を牽引するリーダーには、さまざまなフレーミングを実践するスキルが求められる。また、一度フレーミングしたことであっても、状況に合わせて柔軟にリフレーミングする(物事を異なる視点からポジティブに捉える)など、建設的な姿勢をもつことも重要である。

まとめ

チーミングとは、より良いチームワークを構築するために模索と実践を繰り返すことだ。さまざまな状況の変化に応じてチームのあり方を多様に変えられることから、変化が激しい現代において重要視されている。

チーミングを実践する際は、メンバーの心理的安全性を確保することや、学習する組織を目指すことが欠かせない。チーミングの意味や実践する方法を理解し、自社のチーム運営に取り入れてみてはいかがだろうか。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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