2021.10.20

新入社員の心理的安全性を作る方法は?環境整備のポイントを解説

読了まで約 7

■心理的安全性とは? 注目されている理由

■心理的安全性を高めるメリット

■心理的安全性を測定する7つの質問

■心理的安全性が高いチームに現れる3つのサイン

■心理的安全性を高めるポイント

心理的安全性とは? なぜ注目されるのか?

会社で仕事をする際、ほとんどの社員は組織やチームの一員として働いている。
それはパンデミックによるテレワークという状況下でも変わらない。
近年、リアル・オンラインを問わず、社員のエンゲージメントとエンプロイー・エクスペリエンスを高めるとして注目されている概念に社員の「心理的安全性」がある。

心理的安全性とは、「サイコロジカル・セーフティ(psychological safety)」を日本語に訳した心理学用語であり、周囲の反応に怯えることなく、 自然体で働ける状態を指す。
1999年にハーバード大学で、組織行動学を研究するエイミー・エドモンドソン教授によって提唱された概念だ。多くの企業から注目を集めたきっかけは、米グーグル社が2012年から約4年かけて実施した「プロジェクトアリストテレス」という大規模労働改革プロジェクトだ。

その結果として、心理的安全性は成果の出るチームにおける重要な要素であると発表され、世界中の企業に知られる言葉となった。

では、心理的安全性を高めるとどのようなメリットを得られるのだろうか。
主に以下の4点に集約できる。

1.情報やアイデアの共有が活発になる
心理的安全性の高い職場では、自分の発言を否定される心配がないことから、意見や情報、アイデアの発信が活発となり、生産性の向上だけでなくイノベーションの創出も期待できる。

2.パフォーマンスが向上する
お互いを認め合い、尊重し合うという価値観が職場内に定着することで、社員同士のコミュニケーションが円滑になり、パフォーマンス向上につながる。

3.ビジョンが明確化する
社員が臆することなく自由に自分の意見を発言できる職場では、組織の目標や課題に対して建設的な議論ができるため、目指すべきビジョンが明確になりやすい。
納得のいくビジョンを全体で共有し、団結して同じ目標に向かうことで、目標達成のスピードも上がるだろう。

4.エンゲージメントが向上し離職率が低下する
心理的安全性の高い職場では、社員が居心地の良さややりがいを感じながら業務に取り組むことができるため、エンゲージメントが向上する。
それは結果として離職率の低下につながり、優秀な人材の流出防止になる。

関連記事:チームのパフォーマンスを高める上で重要な心理的安全性(Psychological Safety)を解説

心理的安全性がある組織とは?

前述の通り、世界中の企業に知られることとなった心理的安全性だが、これがある組織とない組織の違いとはなんだろう。
心理的安全性に関して、組織のどこに課題があるかを測定方法として有効なのが、エドモンソン教授が提唱する次の7つの質問だ。

(1)チームの中でミスをすると、たいてい批判される
(2)チームのメンバーの間で、難しい課題やネガティブなことを指摘し合える
(3)チームのメンバーは、自分とは異質であることを理由に、他者を拒絶することがある
(4)チームに対して、リスクのある行動を起こしても安全である
(5)チーム内のメンバーに助けを求めることは難しい
(6)チームのメンバーに、他人の仕事を意図的に貶めるような行動をする人はいない
(7)チームメンバーと一緒に仕事を進めるとき、自分のスキルや才能が尊重され、活かされていると感じる

(1)(3)(5)についてはNoが多いほどポジティブと捉えられる設問、(2)(4)(6)(7)についてはYesが多いほどポジティブと捉えられる設問である。これら7つの質問に対して、ポジティブな回答が多いチームは、心理的安全性が高いと評価することができる。

また、エドモンドソン教授は心理的安全性が高いチームに現れる3つのサインについても言及している。
リーダーの立場からチームの状態を確認するポイントとして、これらの視点を意識すると良いだろう。

(1)ポジティブな発言が多い。
(2)メンバーが、成功だけでなくミスや問題についても話をする。
(3)職場に笑いとユーモアがある

新入社員の心理的安全性を高めるポイント

では実際に組織において「心理的安全性」を高めるには、どのようなことをすればよいのだろうか。
今回は次の4つの視点から見てみよう。

1.メンバー間の相互理解を深め、信頼関係を構築する
2.発言しやすい組織作りをする
3.ポジティブ変換を浸透させる
4.チーム編成を見直す

1. メンバー間の相互理解を深め、信頼関係を構築する
良いチーム作りには、チームメンバー同士が相互理解を深め、信頼関係を構築することが重要である。
それらはコミュニケーションのうえに成り立つが、そのコミュニケーションには単にメンバー同士が接触する回数を増やすようなものではなく、質の高いものが求められる。

まずは、メンバー間で「得意なことと不得意なことは何か?」「どのような仕事のスタイルであるか?」「大切にしている価値観は何か?」「どのような成果を期待しているか?」などについて話し合う時間を作り、互いに理解することが重要である。

そのために有効なアプローチ方法として次のようなものがあげられる。

● 1on1
1on1とは上司と部下が1対1で行う定期的なミーティングのことである。
ここで重要なポイントとなるのは、部下に対する姿勢だ。
部下に安心感を持ってなんでも話してもらうために、上司は話をしっかり聞いている、という態度を示す必要がある。

1on1を続けることで、部下の中に「上司は私のことを理解してくれている」、「意見をしっかり聞いてくれる会社だ」という思いが芽生えれば、信頼関係を構築できたと言える。

関連記事:1on1ミーティングとは?テレワーク・在宅勤務だからこその1on1の必要性とは

● 多様な価値観を認める
近年では、各企業のダイバーシティ&インクルージョンの推進によって、様々なバックグラウンドを持つ多様な人材が増えている。そのため、社員同士がお互いの価値観や考え方、ライフスタイルを認める必要がある。
そうすることで、それぞれの視点や価値観から見た多種多様な意見や、アイデアも生まれるだろう。

関連記事:インクルージョンとは?ダイバーシティとの関係や推進のためのポイント

● サポートし合う関係づくり
心理的安全性が高いチームは、お互いにサポートし合う関係づくりができている。
チーム全体で「弱点を互いに補いながら業務を進めていく」、「個人プレーに走らない」などの認識を持って、目標を共有し、その達成に向けての各自の役割をしっかりと決めることで、協力関係を強めることができる。

役割を分担する過程で、それぞれの能力や得意・苦手分野の共有もできれば、メンバー間の相互理解は一層深まるため、サポートし合う環境ができる。

● 入社後のフォロー
新卒、中途問わず新入社員には不安や悩みが生じるものだ。
そのフォロー方法として、新卒社員には年齢や社歴の近い先輩社員をフォローに付ける「メンター制度」を導入すると良いだろう。
仕事や社内の人間関係などについての悩みを相談できる存在がいれば、不安は徐々に解消されていく。

また、中途入社者は前職との違いに悩むことが多いため、上司や周囲のメンバーから積極的にコミュニケーションを取り、不安や疑問点を相談しやすい環境を作ることで、早く新しい会社に馴染むことができるだろう。

関連記事:フォローアップ面談とは?新入社員のサポートから定着につなげる、面談の進め方・質問内容を解説

2. 発言しやすい組織作りをする
日本企業の多くはピラミッド型の組織形態を取っている。
ピラミッド型組織では組織内の上下関係や序列がはっきりとしているため、部下から意見を言いづらい可能性もあり、対策をしないと心理的安全性の不足を招いてしまう。

心理的安全性を高めるにあたっては、組織で働く全員が本音で発言できる組織づくりが求められる。
そのために有効なコミュニケーションとしては次のようなことがあげられる。

● 認識のすり合わせをする
チーム内にルールや決まり事がなく、個人プレーで仕事を進めていれば、縦だけでなく横のつながりも意識できなくなり、意見も言いにくくなる。
たとえば、定期的なミーティングを行い、目標やビジョン、ミッション、バリューなどの共通認識をすり合わせることで、役職や社歴、雇用形態を超えて、同じ視点でコミュニケーションを取ることができる。

● メンバー全員の声を聞く
チームで意見交換を行うにあたって、一部のメンバーの意見だけを取り入れるようなことを続けると、そのうち他のメンバーは発言しなくなる可能性が高い。
安心感を持って業務に取り組んでもらうためには、メンバー1人ひとりの意見に対して平等に耳を傾けることが大切だ。

● アイスブレイクを取り入れる
ミーティングの場に緊張感や威圧感が漂っていることで、メンバー、特に新入社員の発言が少なくなってしまうケースがある。
積極的な発言を促すためにも、緊張を解すアイスブレイクが有効であるだろう。

たとえば、ミーティングの冒頭に簡単なゲームをしたり、上司から最近プライベートであった出来事を話す、など場を和ませる姿勢を見せることで、心理的安全性は高まるはずだ。

3. ポジティブ変換を浸透させる
チーム内のメンバーがポジティブな発言や思考を心がけることでも、心理的安全性は高まる。
ネガティブな言葉でも、次のように言い換えるだけで印象が変わってくるだろう。

・経験が足りていない:「まだまだ伸びしろがある」「斬新なアイデアが期待できる」
・ミスをしてしまった:「成長するチャンスだ」
・仕事が遅い:「慎重に進めている」

発した言葉は想像以上に潜在意識に働きかけるため、これら言い換えのテクニックは心理的安全性を高めて、コミュニケーションを活性化させることに役立つ。

また、ポジティブな言葉を日頃から意識して使うことで思考もポジティブになり、行動にも表れてくる。
チーム全体にポジティブ変換できる思考があれば、心理的安全性を高い水準で維持しながら仕事を進めていくことができるだろう。

関連記事:新卒・新入社員の意欲向上につながる「ポジティブフィードバック」とは?効果的に活用するポイント

4. チーム編成を見直す
紹介した3つの視点や施策を講じても、心理的安全性が向上しない場合には、チームの編成の見直しを検討すべきだろう。
チーム編成もコミュニケーションに多大な影響を与えるものであり、心理的安全性の向上に欠かせない要素である。

価値観や考え方、年齢、男女比などさまざまな視点から見て、どの組み合わせが、それぞれにとって最も良いパフォーマンスを発揮できるのかを考えたうえでメンバーを選ぶことが重要だ。

ここまで心理的安全性について解説をしてきた。
心理的安全性によって誰もが安心して仕事のできる環境を構築することはチームだけでなく企業全体の生産性を向上させ、企業業績にも直結するものとなる。

企業にとっても社員にとっても大きなメリットがある心理的安全性の向上は、今後ますます必要不可欠なものとして浸透していくだろう。

まとめ

・会社で仕事をする場合、ほとんどの社員は組織やチームの一員として働いている。近年、社員のエンゲージメントとエンプロイー・エクスペリエンスを高める概念として社員の「心理的安全性」が注目されている。心理的安全性とは、周囲の反応に怯えることなく、 自然体で働ける状態を指す言葉で、1999年にハーバード大学で組織行動学を研究するエイミー・エドモンドソン教授によって提唱された。さらに、米グーグル社が2012年から約4年かけて実施した大規模労働改革プロジェクトによって、心理的安全性は成果の出るチームにおける重要な要素であると発表されたことがきっかけで世界中の企業に知られる言葉となった。

・心理的安全性を高めると得られるメリットには次のようなものがある。【情報やアイデアの共有が活発になる】自分の発言を否定される心配がないことから、発信が活発化し、生産性の向上やイノベーションの創出が期待できる。【パフォーマンスが向上する】社員同士のコミュニケーションが円滑になるため、パフォーマンス向上につながる。【ビジョンが明確化する】組織の目標や課題に対して建設的な議論ができるため、目指すべきビジョンが明確になりやすい。【エンゲージメントが向上し離職率が低下する】社員が居心地の良さややりがいを感じながら業務に取り組むことができるため、エンゲージメントが向上、離職率は低下する。

・心理的安全性に関して組織のどこに課題があるかを測定方法として有効なのが、エドモンソン教授が提唱する7つの質問だ。次の質問に対してポジティブな回答が多いチームは、心理的安全性が高いと評価することができる。(1)チームの中でミスをすると、たいてい批判される(2)チームのメンバーの間で、難しい課題やネガティブなことを指摘し合える(3)チームのメンバーは、自分とは異質であることを理由に、他者を拒絶することがある(4)チームに対して、リスクのある行動を起こしても安全である(5)チーム内のメンバーに助けを求めることは難しい(6)チームのメンバーに、他人の仕事を意図的に貶めるような行動をする人はいない(7)チームメンバーと一緒に仕事を進めるとき、自分のスキルや才能が尊重され、活かされていると感じる。

・エドモンドソン教授は心理的安全性が高いチームに現れる3つのサインについても言及している。それは次のとおりだ。(1)ポジティブな発言が多い。(2)メンバーが、成功だけでなくミスや問題についても話をする。(3)職場に笑いとユーモアがある。リーダーの立場からチームの状態を確認するポイントとして、これらの視点を意識すると良いだろう。

・心理的安全性を高めるポイントとして、次の4つの視点から見てみよう。1.メンバー間の相互理解を深め、信頼関係を構築する(1on1、多様な価値観を認める、サポートし合う関係づくり、入社後のフォロー)、2.発言しやすい組織作りをする(認識のすり合わせをする、メンバー全員の声を聞く、アイスブレイクを取り入れる、ポジティブ変換を浸透させる)、3.ポジティブ変換を浸透させる、4.チーム編成を見直す。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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