2022.12.7

職位とは?種類や使い方をわかりやすく解説

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職位とは、仕事上の地位や、その仕事自体のことを指す。同じような言葉として役職や肩書き、職階などが使われているが、それらの意味とは違いがあることに注意しよう。

今回は、言葉の定義と共に、類似用語との違いやビジネスシーンにおける主な種類の一覧などを紹介する。職位が重要な理由も解説するため、併せてチェックしよう。

職位とは。役職とは違う?

日本企業では、「職位」「役職」「肩書き」「職階」などの言葉が良く使われている。しかし、これらの言葉の意味や違いを理解した上で、正しく使えているわけではない場合もあるだろう。

職位とは、職場における仕事上の地位や、その仕事自体のことを指す。はじめに、職位の意味と役職や肩書き、職階などの類似用語との違いを確認していこう。

職位とは

職位という言葉が持つ意味は、以下の通り2つある。

・ 組織における仕事上の地位
・ 遂行すべき仕事として1人の従業員に割り当てられた、1つまたはいくつかの仕事の集まり。分担できるひとまとまりの作業

ただし、企業によって職位という言葉の使い方が異なる場合があり、曖昧に使われがちだ。職位は役職や肩書き、職階などという言葉と同じように使われるケースも良くある。しかし、本来の意味から見ると、これらの言葉とは違いがあるのだ。

日本企業での一般的な職位は、「会長」「社長」「専務取締役」「常務」などだ。設定されている職位の種類や業務内容については、企業毎に異なっている。主な職位の種類についてのさらに詳しい内容は後述する。

職位を設けることで企業内でのポジションやその権限、責任の範囲、上下関係が明確になり、誰に報告すべきかなどを理解しやすくなる。このように、社内のコミュニケーションをスムーズにできることなどが職位を設けるメリットだ。

「役職」や「肩書き」など類似用語との違い

ビジネスシーンでは、職位の他にも様々な類似の用語を使う。それでは、似た言葉と職位との違いを確認していこう。

<役職との違い>
役職と職位は、ほとんど同じような意味で使用されている言葉だ。役職とは、組織内でのポジションの内、管理職など組織を統括する特定の立ち位置のことを指す。

先述の通り、会長や社長、専務取締役、常務などが一般的な日本企業の職位だ。そして、これらのポジションは役職として指すものでもある。

それぞれの言葉の違いは、役職が「組織上のポジション」を意味するのに対して、職位は「仕事上のポジションと、その立ち位置の責任や仕事内容」を指しているというものだ。また、職位よりも役職の方が上下関係に関する意味が強いようなニュアンスがある。

<肩書きとの違い>
肩書きは、役職と同じように使われることが多い。役職などは企業内におけるポジションを表すが、肩書きの場合には「メディアクリエーター」などのように、自分の個性やスキルに関するような自由度の高い名前をつけられるという違いがある。

<職階との違い>
職階とは職務上の階級のことであり、仕事内容や責任の重さ、種類などで分類して定めている。職位との違いは、制度を表現できるかどうかだ。職位は制度を表現できないが、職階であれば「職階制」や「職階給」などのように表せるという違いがある。

<職責との違い>
職責とは、職務上で生じる責任のことである。つまり、職位との違いは職責が責任を表現するのに対して、職位はポジションを表現するものだということだ。

なお、職責という言葉は、政治家や社長などの責任の大きい人が使う場合が多い。

関連記事:権限委譲とは?その意味と企業における組織の成長のために適切に行う方法を解説

主な職位の種類一覧

日本企業における主な職位の種類は、以下の通りである。

会長 名目上トップとされている。
名誉職であることが多い。
社長 実務上のトップ
代表取締役という場合もある。
専務取締役 社長の補佐をするなど、社長に近いポジションにある場合が多い。
常務 日常の業務を担当しており、比較的従業員と近い。
本部長 部長を代表する立場
事業部長 本部長と呼ばれる場合もある。
部長 事業の中にできた事業部を代表する職位
次長(部長代理、シニアマネージャークラス) 部長を補佐する役目があり、課長よりは上の立場
課長(マネージャークラス) 係長よりは上で部長や次長よりは下の立場
係長(リーダークラス) 課長のもとで、主任や社員をまとめる管理的立場
主任 グループリーダー

それぞれの職位をチェックしていこう。

会長

会長とは、会社を代表する人であり、社長よりも名誉が上のポストであるとしている企業が多い。企業運営の後見をする立場である。

多くの場合は名誉職としてのポストであり、企業における実務を担っているのは社長である。ランク上は会長がトップであるものの、企業の実務において特に権限を持っているのは社長であるといえるだろう。

なお、会長は社長を退いた後の人物や会社の創業者などが就くことが多くある。

社長

社長は、経営面や運営全てを統括する立場であり、会社の顔として対外的に実務を行う。企業の中の最高責任者であり、最終的な決定権は基本的に社長が持っているという会社が多い。

代表取締役と社長は別々の職位であるものの、どちらも兼務する場合が多くある。この職位の上に会長を位置付けている企業であっても、実務を行う人の中では社長が企業のトップだといえる。

専務取締役

専務取締役は、専務や執行役員、取締役、専務執行役など様々な呼び方をされることがある。社長もしくは代表取締役社長の補佐をするなど、一般的に役員の中でも社長に近いポジションにある場合が多い。

管理監督業務に携わったり、取締役会へ参加することなどで企業の意思決定に関わったりしている立ち位置だ。また、社長が不在の場合には、社長代理として業務を代行する。

常務

常務も取締役会に参加する職位であり、常務取締役と呼ばれる場合がある。取締役会の役員の中では下に位置付けられているようだ。常務は日常の業務を担当しており、比較的従業員と近く、現場を良く知る者として取締役会で企業の意思決定にも関わっている。

本部長

本部長とは部長を代表する立場のことだ。企業において複数の部長が存在する場合に、その中の代表として本部長と呼ばれる立場ができる。また、複数の事業部があるなかでの本部における最高責任者を指す場合もある。

事業部長

事業部長は、本部長と同様に部長を代表する立場だ。企業によっては、このような職位にある人を本部長もしくは事業部長と呼ぶ。部内会議における最終決定権を持っている。

事業部長は、取締役の役員としての立場を兼務している場合が多い。

部長

部長とは、事業の中にできた事業部を代表する職位のことである。部のトップに位置付けられていて、次長や課長、係長、主任、社員を取りまとめる管理職だ。企業によっては、フェローやGM(ゼネラルマネージャー)と呼ばれる場合もある。

次長(部長代理、シニアマネージャークラス)

次長とは、企業によっては部長代理やシニアマネージャークラスなどと呼ばれる職位のことだ。部長を補佐する役目があり、課長よりは上の立場である。部署における運営事務の統括や課長の監督、部長代理などの業務を行う。

課長(マネージャークラス)

課長(マネージャークラス)は、基本的に係長よりは上で部長や次長よりは下の立場である。管理本部の中に人事課があり、その中に採用係があるなど、一般的に部>課>係の順で規模が変わるものだ。外部とのやり取りや部下のマネジメント、育成などを担当する。

係長(リーダークラス)

係長(リーダークラス)は、業務を実施する最小単位である「係」の中のトップにあたる。係長は、課長の元で主任や社員をまとめる管理的立場として任命されている。部下のマネジメントをしつつ、自身で実務も担当する。

主任

主任とはグループなどをまとめるリーダーのことで、その他の社員との間に強い上下関係はない。係の中で新たなプロジェクトを立ち上げる場合など、係長以下の職位が必要な場合などに主任を置く。3~5年目の社員が多い。

関連記事:CxOとは?執行役員との違いや主な役職を紹介

職位が重要な理由

職位が重要な理由は、以下の通りである。

・ ピラミッド型組織にし、統制を図る
・ キャリアの指標とモチベーション管理
・ 業務内容の整理

また、役職者になると責任の範囲が広がり、「組織における業務の管理」「労務の管理」「人材育成」といった役割と責任を果たす必要がある。

それでは、職位が重要な理由を詳しくチェックしていこう。

ピラミッド型組織にし、統制を図る

職位を設定し、立ち位置を明確に区別することによって、ピラミッド型組織にして統制を図れるようになる。ピラミッド型組織とは、指揮命令系統や責任範囲を明確にさせて、マニュアル化しやすくした組織体のことだ。

近年、上下関係がないフラット型組織が注目を集めている。多様性を重んじて個性を活かすにはフラット型組織が優れているものの、管理をしないことによる良さだけではなく弱点もあるものだ。

規模が大きくなっても統制が取れた組織を作りたい場合には、職位を設定することで立ち位置を明確にしたピラミッド型組織がおすすめである。

キャリアの指標とモチベーション管理

立ち位置を明確にできる職位は、キャリアアップの指針になるものだ。将来目指すキャリアが明確になることで、従業員のモチベーション維持にもつながる。

また、多くの日本企業では欧米で一般的な「職務資格制度」ではなく、「職能資格制度」を採り入れていることも関係する。欧米に多い職務資格制度では業務の内容を評価し、日本企業に多い職能資格制度では人の能力による評価に重きを置いているという違いに注意が必要だ。職能資格制度の場合にはポジションを明確にする必要があるため、職位の重要性が高いのである。

業務内容の整理

職位によって、業務の割り振りが明確化できるという点も重要だ。それぞれの役職や職務で果たすべき役割を明確にすることを職務分掌(しょくむぶんしょう)という。

職務分掌により、各人の責任や権限が明確になることで、役割分担できるようになる。これにより社内のコミュニケーションが円滑になり、業務効率が向上し、働きやすくなるだろう。

また、社外から見た場合にも業務の割り振りや権限などがわかりやすくなる。

関連記事:トップマネジメントとは?ISOにおける定義、役割と責任

まとめ

職位という言葉の使い方は、企業によって異なる場合があるなど、曖昧に使われていることが多い。日本企業における一般的な職位は、「会長」「社長」「専務取締役」「常務」などであり、職位の種類や業務内容についても企業毎に異なっている。

職位を設けるメリットは、企業内でのポジションやその権限、責任の範囲、上下関係が明確になることだ。業務内容が整理できることで、誰に報告すべきかなどを理解しやすくなる。また、キャリアの指標になり、モチベーション管理に役立つ。

これらの情報をしっかりと理解し、言葉を正しく使えるようになろう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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