「教育してから紹介する」独自スキームで若手採用を支援。人的資本経営の広がりで大手企業のニーズも拡大
――まずはジェイックの事業内容や提供サービスについてご紹介をお願いします。
近藤 弊社は「人と組織の可能性を羽ばたかせる」をミッションに掲げ、採用支援事業と教育研修事業の2軸でサービスを展開しています。主な顧客は仕事を求める求職者、採用を行う企業、そして提携している大学や教育機関の3つです。
まず求職者に関しては、主にフリーター・第二新卒・中退者などへ「就職カレッジ®」を通じた就職支援を実施しています。一方、企業に対しては「就職カレッジ®」で研修を受けた求職者をご紹介するほか、既存の社員を対象とした各種研修なども行っています。新卒の学生にも事前に研修を受けてもらいますが、こちらは現在約200校の大学にご協力いただき、各大学内で開催される選考会を通じて企業へご紹介しています。
――競合と比べてどのような点を強みとし、差別化を図っていますか?
近藤 採用支援事業は20代に特化している点が大きな特徴です。特に正社員経験のないフリーター層をはじめ、新卒・既卒・第二新卒などを対象としています。こうした求職者の中には、ストレートに就職していない、出遅れてしまった、挫折を経験した――といった負い目から、自信を持てないまま就職活動をする方も少なくありません。
そのため弊社では「就職カレッジ®」で1週間の研修を受けてもらい、ビジネスに必要なマナーやコミュニケーション能力を身につけるほか、短期の就業体験なども行ってもらいます。これにより「自分にもできる」という自信を持った状態で企業へ送り出しているのです。
また、この仕組みは企業側にとっても大きなメリットがあります。未経験者を一から育成するには相応の負担がかかり、「少人数採用では教育が追いつかない」という声もよく聞かれるものです。しかし我々がご紹介する人材はすでに働く準備ができているため、スムーズに戦力化ができます。このように「教育してから紹介する」というスキームを本格的に行っているのは弊社だけであり、そこが最大の強みです。

――2019年に東証マザーズへ上場され(市場区分再編に伴い、2022年グロース市場へ移行)、さらにコロナ禍なども経たこの数年間、事業にはどのような変化が起こっていますか?
近藤 toB領域の取引先の場合、以前は従業員100名以下の企業が大半でしたが、最近では大手企業も着実に増えています。その背景には、人的資本経営への関心の高まりなど社会的なニーズの変化もあると思います。というのも弊社はこれまで一貫してヒューマンスキルの向上・育成にこだわってきました。
そうした中でAIの時代が到来し、テクニカルスキルやコンセプチュアルスキルといったものは今後AIに代替されていくでしょう。また人的資本経営もさらに拡大していき、ヒューマンスキルは今まで以上に重要度が高まっていくはずです。
さらに弊社は従来から提携してきた『7つの習慣®』に加え、2022年にはデール・カーネギーの『人を動かす』に基づく研修ライセンスも取得しました。コンプライアンスやハラスメントへの意識が高まる中、一時的な対処ではなく、とりわけ大企業を中心に管理職の本質的なリーダーシップのあり方を見直そうとするニーズが急速に拡大しています。こうした流れを受け、中堅中小企業の顧客だけでなく、大手企業の顧客も増えています。

「顧客から始めよう」――CX強化と顧客構造の可視化で挑む、全社横断のより戦略的なマーケティング
――マーケティングの戦略や施策にも変化はあったのでしょうか?
近藤 実はコロナ禍以前はDMやFAXといったアナログな手法が中心で、お客さまからは「FAXを送ってくる会社」という印象を持たれていたほどでした。ただ、コロナ禍で出社する人が減り、FAXを送っても見てもらえないため、一気にデジタルへとシフトしました。
また、従来はお問い合せいただいたお客さまに小冊子を送付し、リアルのセミナーに参加してもらって関係性を築いてきましたが、そうした流れも作りづらくなったため、セミナーをウェビナーに移行させ、現在はデジタルカンファレンスなどにも注力しています。
――マーケティング活動において課題点はありますか?また、解決に向けて取り組んでいることがあれば教えてください。
近藤 toBで言いますと、弊社はリード獲得の面では比較的強いのですが、一方で獲得したリードを育成するナーチャリングの部分については、一般的なMAツールなどを導入しているものの、まだまだ改善の余地があります。また、これまでは各事業部が単独で十分なリードを獲得できていたがゆえに、サービスやプロダクトごとに個別のマーケティング活動を行ってしまい、全社で見ると結果的にコストがかさんだり、効率が下がったりする点が課題でした。
そこで現在は、全社横断で顧客の構造化に取り組み、事業ごとに「どの層を最優先で狙うべきか」を明確にしながらアプローチを実践し、より戦略的なマーケティングや営業活動につなげています。
――賀川さんは教育研修事業のBtoBマーケティングを担当されていますが、現在どのような施策に注力していますか?
賀川 主に2点あります。まず1つ目はCX(顧客体験)の強化です。我々マーケティング部門は「顧客から始めよう」を合言葉に、顧客が今何に困っていて、何を求め、何に触れ、どのようにマーケティングを設計すれば顧客の感動を生めるのか?というCXの観点をマーケティングの中心に据えています。「感動を生む」といった視点では、顧客自身が気づいていない潜在ニーズに応えられるマーケティングをしていきたいですね。そのため、顧客のリアルを知っている営業との共同施策も多いです。
採用支援と教育研修の2軸で展開している弊社にとって理想的なのは、新卒・中途採用サービスを利用してもらい、そこから内定者研修、新入社員研修、若手研修、さらにはリーダー研修、管理職研修とつなげていくことです。そのためには、長期的に選ばれ続ける秀逸なCXモデルが必要不可欠なのです。
2つ目として、SEO、GEO(生成エンジン最適化)、問い合せ拡大にも力を入れています。ただ、こうしたSEM領域についてはAIO(AIによる概要表示)や生成AIの台頭で検索機会そのものが減っていることもあり、苦戦しているのが現状ですね。
――改めて御社にとってのマーケティングの位置づけや重要性を教えてください。
近藤 先ほどもお話ししたように「教育してから紹介する」というスキーム自体が一般的にあまり行われていません。つまり、既存のサービスを単に提供するのではなく、顧客が本当に求めているものから逆算して、サービスから設計してきました。
弊社はもともとマーケティングの発想から事業を創ってきた会社であり、マーケティングこそが事業を展開するうえで最も重要な基盤であると考えています。
圧倒的な「有効リード」と「対談相手からの受注」を実現!HRプロの確かな人事接点が後押しする「量から質」への転換
――HRプロについては10年以上にわたってご活用いただいていますが、そもそもどのような役割や成果を期待されていますか?
賀川 大きく分けて3つあります。1つ目は、新規リードの獲得です。HRプロは有効な新規リードの数が他社と比較して圧倒的に多いです。
続いて2つ目は、ブランディング効果です。たとえばタクシーCMのような大規模な広告は多大なコストがかかりますが、HRプロを活用すれば、人事専門メディアとしても認知度が高いため、リーズナブルかつターゲットである顧客層へ的確にアプローチでき、弊社の価値を届けることができます。
そして3つ目は、顧客接点の創出です。対談記事などさまざまなコンテンツを通じて、顕在化している顧客との新たな接点を作ることができ、実際にそこから受注へつながったケースも少なくありません。

――対談コンテンツがきっかけで受注につながることもあるのですね。せっかくの機会なので、HRプロに対する率直な印象も聞かせてください。
近藤 やはり人事領域において圧倒的に高い知名度があり、また「HRプロで発信している情報は信頼できる」と感じている人事担当者が多い印象です。実際、弊社もHRプロを通じてご縁が生まれ、その後ロイヤルカスタマーになってくださったエンタープライズ企業もあるほどです。そういった意味でも非常に心強く感じています。
賀川 日常業務に集中していると、最新情報のキャッチアップや新たな施策の検討をついつい後回しにしてしまいがちですが、HRプロは定期的なリマインドやご連絡に加え、丁寧なフォローをしてくださる点は非常に有難く感じています。
また、提供してもらう情報も有益なものばかりです。たとえば、セミナーのアーカイブ動画をピックアップしていただいたり、新しい施策をご提案いただいたり。実際に伺ってみると非常に興味深い内容であることが多く、助かっています。
――最後に、マーケティング活動における今後の展望を教えてください。
賀川 プロモーションからマーケティングへ舵を切っていこうと思っています。
先ほども近藤が申し上げた通り、ヒューマンスキルの重要性は今後さらに高まるはずなので、我々は教育・採用支援のプロフェッショナルとして、その価値を社会に啓発していく必要があります。そしてそのためには、プロモーションだけでなく、認知と第一想起を獲得することが欠かせません。特にAIがマーケティングに浸透する昨今では、ブランディングや言及数が鍵となるでしょう。
では、いかにして認知と第一想起を取るかと言いますと、個人的には面白さやエンターテインメント性といった一つひとつのコンテンツの質、顧客へ情報提供するタイミングとコンテンツマッチングが鍵になると思っています。マーケティングとエンターテインメントを掛け合わせることができれば、多くの方々に関心を持ってもらえる入口が作れるでしょう。そうした取り組みはCXの観点からも重要になるため、ぜひ挑戦していきたいです。
近藤 これまで弊社は顕在化したニーズを刈り取る、いわゆる“今すぐ客”向けのプッシュ型の販促とリード獲得に強みを持ち、成長してきました。しかしこの手法はコストが高くなりやすく、特定のサービスだけに関心のある顧客としか関係が築けないという欠点もあります。本来はもっと幅広い可能性があるにもかかわらず、相談に至らないケースも少なくありませんでした。
そこで今後は、単にサービスを広く案内してリードの「数」を追うのではなく、弊社のサービスを最も必要としている層を特定し、そこへ集中的に有益な情報を届けていく方針です。そして、いただいた一つ一つのご相談に対して最適なタイミングで最大限の価値を提供し、結果として長期的な顧客になっていただく。いわば「量」から「質」を重視したマーケティングへの転換です。この方向性を今後3年ほどかけて実現していきたいと考えています。


