2020.8.6

【2020年度最新版】中途採用はこれからどうなるのか?トレンドは「働き方」を重視する人の増加?

読了まで約 6

・緊急事態宣言以降、中途採用を停止し続けている企業は約16%。

・企業が感じているオンライン面接のメリットとは?

・中途採用への応募者は増えたか、減ったか?

・中途採用に積極的な業種と消極的な業種は?

・アンケート調査で分かった求職者の意識とは?

・求職者は、アフターコロナ時代での働き方や仕事のあり方について模索している。

新型コロナの影響で中途採用は拡大? 縮小?

長引く新型コロナウイルスの流行は、人々の生活のさまざまな部分に影響を及ぼしているが、特に採用活動に及ぼす影響は生活に直結するだけに企業側・求職者側ともに大きく、不安を感じている人は多いだろう。

新型コロナウイルス流行が採用活動に与えている影響についての調査もいくつか発表されているが、リクルートキャリアが6月下旬に行った調査によると、新型コロナウイルス拡大を受けた政府による緊急事態宣言以降、中途採用を停止し続けている企業は約16%に上ることが分かった。

新型コロナを巡っては全国で感染者拡大が止まらず、引き続き採用市場への悪影響が予想される一方、採用を継続している企業もあり、各種調査から今後の動向を読み解いてみたい。

まず、株式会社リクルートキャリアが自社の転職支援サービス「リクルートエージェント」の顧客企業約2000社に行ったアンケート調査(緊急事態宣言の解除後に当たる6月19日~25日にネット上で実施)によると、「現在の採用活動について」という設問には、緊急事態宣言以前から採用活動を行っていた企業のうち、「緊急事態宣言以前から変わらず、採用活動を続けている」が64.8%、「緊急事態宣言により一度採用活動を停止したが、緊急事態宣言解除後に採用活動を再開している」が19.0%、「緊急事態宣言以降、採用活動を停止している」が16.2%と回答、緊急事態宣言解除後は83.8%の企業が採用活動を継続していることがわかった。

また、「緊急事態宣言以前から変わらず、採用活動を続けている」企業に、「緊急事態宣言下での面接の方法」について聞いたところ、「すべてWeb(または電話)面接で選考を完結していた」が28.3%、「一部Web(または電話)面接で選考していた」が38.4%に上り、合わせて66.6%の企業が「選考の全てもしくは一部でWeb(もしくは電話)面接を取り入れた」と回答している。

この66.6%のWeb(あるいは電話)面接を取り入れていた企業に対する「緊急事態宣言解除後もWeb(または電話)面接を継続しているか」という設問には、88.8%の企業が「継続している」と回答。一度導入してみてオンライン面接へのメリットを感じたのか、多くの企業が継続している実態が浮かび上がった。

さらに、オンライン面接継続の理由を聞く設問(複数回答)では「世の中の状況を踏まえて、まだ対面での面接は適切でないため」という回答が最も多く61.5%だったが、「対面ではなかなか会えない遠方の候補者などとの面接ができるため」が3番目に多く53.0%、次に多かったのが「社内調整(会議室や面接官の移動時間など)が柔軟になるため」の37.9%であり、オンライン面接ならではのメリットも認知されて来たようだ。

新型コロナの影響はまだまだ続くと考えざるを得ない状況の中、企業が採用活動を継続させていけるかどうかはオンライン選考の普及がカギを握っているといえそうだ。

一方、求職者のマインドはどうか? 「中途採用への応募数」を調査した、株式会社ビズリーチのアンケート(4月10日~4月13日の間、「ビズリーチ」を導入している企業を対象に行ったもの。有効回答数:347件)によると、「以前と変わらない」が58.5%と最も多く、変化があった企業のうち、応募数が「以前より増加」(11.5%)した企業よりも、「以前より減少」(30.0%)した企業の方が20%近く多いという結果になっている。新型コロナ感染拡大の影響によって求職者のマインドもやや冷えていることがうかがえる。

気になる今後の見通しについて同アンケートでは、「今後の中途採用活動の展望」という設問を設けている。これに対して、短期的な展望については、「変わらない」が最も多く50.2%、次いで「縮小」が38.4%となり、「拡大」と答えた企業8.9%を29.5ポイント上回る結果となった。

長期的な展望についても、最も多かったのは「変わらない」の49.5%であり、短期的な展望と同様、半数を占めた。また、「拡大」という回答は27.6%であり、「縮小」と答えた21.6%をわずかに上回る結果となった。

この数字から読み取れるのは、短期的には約6割の企業が「現状維持または拡大」であり、長期的展望では8割近くが「現状維持または拡大」と捉えているということであり、長引く新型コロナ禍の中でも、企業側の採用マインドは大きく冷え込んではいない、ということだろう。

中途採用に積極的な企業とは?

エンワールド・ジャパン株式会社が2020年4月に行った「コロナ禍における中途採用実態調査」の結果により、コロナ禍における中途採用の実施率や積極採用の背景、職種など、企業の中途採用状況の実態が明らかになった。

この調査は4月9日~4月12日の期間、224社(外資系企業:63%、日系企業:38%)を対象に行われたもの。

最初の設問「現在、中途社員の採用活動を行っていますか」には、外資系企業の60%、日系企業の85%が「採用活動を実施している」または「一部のみ採用活動を実施している」と回答、外資系企業より日系企業のほうが25ポイント高くなっている。

さらに「実施している」との回答だけを比べると、日系企業が60%なのに対し、外資系企業では33%と外資系企業では採用マインドがやや冷えていることがうかがえる。

全体で見ると、69%の企業はなんらかの形で中途採用活動を継続していると回答したことになる。これらの企業を対象にした「どの程度積極的に採用活動を実施していますか」という設問に対しては、「非常に積極的」「やや積極的」という回答の合計が30%、「非常に消極的」「やや消極的」の合計も30%と拮抗している。

さらに「非常に積極的」「やや積極的」と回答した企業に、その理由を尋ねる設問に対しては、「年間の採用計画に基づく採用だから」との回答が最も多く65%、次に「新型コロナ流行前からの継続的な人員不足だから」の52%となっている。興味深いのは「一部採用を停止している企業もあり、優秀な人材を獲得しやすいから」と回答した企業が25%あったことで、他社が消極的になっているうちに人材を確保したいという本音が見えたようだ。

また、「非常に消極的」「やや消極的」と回答した企業を対象に、その理由を尋ねたところ、最も多かったのが「積極的な活動は行わないが、良い候補者がいれば検討したい」というもので、53%と半数以上にのぼった。採用に積極的ではないものの、採用を完全にストップするわけではないことがわかる。

また、積極的に採用したい職種について、「非常に積極的」「積極的」「以前と変わらない」と回答した企業を対象に尋ねたところ、トップは「営業」の42%、次がエンジニア・技術(IT、ゲーム、web、通信)」の28%だった。なかでもエンジニアは日系企業に限ると39%が積極的に採用したいと回答しており、営業職とエンジニア職は中途採用市場で依然人気の職種であることが明らかになった。

では、採用活動に積極的な業種はどのような業種なのか。

採用活動を「実施している」または「一部のみ実施」と回答した企業の業種別割合を見てみると、「コンサルティング」は100%が「実施している」と回答。次に「建設・不動産」では75%が「実施している」、25%が「一部のみ実施」と回答。続いて「エネルギー」では100%が「一部のみ実施」、「金融サービス・保険」が「実施している」が40%、50%が「一部のみ実施」となっていて、これらの業種では採用マインドが依然ホットなことがうかがえる。

反対に、「旅行・レジャー」と「法務・コンプライアンス」では、どちらも100%が「採用凍結・停止いている」と回答していて、これらの業種では新型コロナウィルスの影響がかなり深刻であることが判明した。

求職者の意識・動向は?

企業においては中途採用の枠が狭まる気配を見せる中、求職者はどのような問題に直面し、どのような意識で転職活動を行っているのか?

株式会社ワークポートが行なった、全国の転職希望者(20代~40代の男女)937人を対象としたアンケート調査「新型コロナウイルスによる転職活動への影響」の結果を見てみよう。

まず、今回行っている転職活動は「新型コロナウイルス不況」がきっかけとなっているかという設問には、「はい」が15.2%、「いいえ」が84.8%となった。このうち、「はい」と回答した人に対する「具体的な原因は何か」という設問には、「新型コロナウイルスの影響で臨時休業となり雇用終了と宣言された」(30代・男性・コールセンター)、「会社の業績悪化に伴い解雇された」(40代・女性・事務)、「会社から退職勧奨された」(40代・男性・管理)といった回答が寄せられている。新型コロナウイルス不況がきっかけで転職活動をはじめた人は全体の割合では少ないものの、一部では新型コロナウイルスの影響で退職せざるを得ない状況に直面している人もいることがわかる。

 また、「イベント業界で勤務しているが、現在仕事はほとんどキャンセルとなり不安を感じている」(40代・女性・営業)、「会社の存続が危ういと感じる」(40代・男性・接客販売)といった、新型コロナウイルスの影響で経済的に大きな損失を被っている業界や企業に勤める人が不安を抱き、転職活動をはじめるという動きもみられた。

次に「外出自粛中に転職活動に関わることでやっておきたいことや進めておきたいことはあるか」という設問には、70.0%が「ある」、30.0%が「ない」と回答していて、多くの人が外出自粛中にも転職活動の準備を行っていたことがわかる。

「ある」と回答した人に対する「具体的にどんなことをするか」という設問には、「スキルアップのための学び直し」、「資格取得」といった回答のほか、「自身のキャリアを見直したい。そこから自分が不足している資格の取得や教養を高めることを始めたい」(40代・女性・企画マーケティング)という声など、外出自粛によってできた時間を自己研鑽に費やしたいという傾向が読み取れる。

また、「新型コロナウイルスの影響が続くと想定して、それでもできる仕事を探す」(40代・男性・その他)といった、アフターコロナ時代の変化する環境にあった「働き方」や「仕事のありかた」を重視する声もあるなど、コロナ禍にあってもポジティブな転職者のマインドがうかがえる。

 中途採用に関しては、6月の有効求人倍率が1.11倍で、前の月を0.09ポイント下回るなど、全体的には以前より厳しい状況が続いている。厚生労働省は「緊急事態宣言が明けて、新型コロナウイルスの影響で職を失った人などの仕事探しの動きが出始めている」と分析しているが、前述の通り業界や職種によって影響はさまざまであり、現在も積極採用している業種もある。

求職者は、外出自粛などで時間がとりやすい時期にスキルアップや自己研鑽など準備を進めながら、アフターコロナ時代での「働き方」や「仕事のあり方」について模索をはじめている。

企業側も優秀な人材を見逃さないために、たとえ現在の採用活動はストップしていたとしても、常に採用市場の動向を察知しながら、オンライン選考やリファラル採用といった新しい採用手法を取り入れるなど、自社の現況にあった戦略を立案しながら柔軟に対応し続けていくことが重要だ。

まとめ

・リクルートキャリアの調査によると、「緊急事態宣言以前から変わらず、採用活動を続けている」が64.8%、「緊急事態宣言により一度採用活動を停止したが、緊急事態宣言解除後に採用活動を再開している」が19.0%ある。

・短期的には約6割の企業が「現状維持または拡大」であり、長期的展望では8割近くが「現状維持または拡大」と捉えていて、長引く新型コロナ禍の中でも、企業側の採用マインドは大きく冷え込んではいない。

・エンワールド・ジャパンの調査により、営業職とエンジニア職は中途採用市場で依然人気の高い職種であることが明らかになった。

・同調査によると、採用活動に積極的な業種はコンサルティング、建設・不動産、エネルギー、金融サービス・保険など。

・ワークポートの調査からは「新型コロナの影響が続くと想定して、それでもできる仕事を探す」といった、アフターコロナ時代の変化する環境にあった「働き方」や「できる仕事」を重視する声もあるなど、コロナ禍にあってもポジティブな転職者のマインドがうかがえる。

・企業側は優秀な人材を見逃さないために、常に採用市場の動向を察知しながら、オンライン選考やリファラル採用といった新しい採用手法を取り入れるなど、自社の現況にあった戦略を立案しながら柔軟に対応し続けていくことが重要。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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