2021.8.12

フォローアップ面談とは?新入社員のサポートから定着につなげる、面談の進め方・質問内容を解説

読了まで約 6

■新入社員の早期離職の実態とは?

■「フォローアップ面談」とは?

■なぜフォローアップ面談が重要なのか

■フォローアップ面談によって目指したい効果

■面談の進め方と質問内容

■面談を行ううえで注意すべきこと

フォローアップ面談とは? その概要

従来、日本企業における働き方は、新卒で入社した会社で定年まで勤めあげるといったかたちが一般的であった。
しかし、そのような終身雇用の制度は終わりを迎えようとしており、近年、新入社員の3割以上が3年以内に離職していると言われている。2020年10月発表の厚生労働省の調査では、平成29年3月卒業の新卒入社者の3年以内の離職状況が、大卒就職者で32.8%と明らかになっている。

参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(平成29年3月卒業者の状況)」

4月に入社した新入社員の場合、仕事に違和感を持ちはじめることや、自分自身で伸び悩んでいると思ってしまうなど、さまざまな悩みがこの夏の時期に生じて、離職の検討に繋がってしまう可能性が大いにある。
そして、そのような悩みが実際の離職に繋がってしまう原因の1つとして、「定期的に適切なフォローアップを行わなかった」ということが挙げられる。

そこでしっかりと行っておきたいのが人事の「フォローアップ面談」だ。
その最大の目的は、中長期的・全社的視点から人事が関わることにより、新人がより良い仕事を行えるように支援することにある。

面談のタイミングは、目標設定や業務の区切りとなりやすい3ヶ月ごと(入社3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、1年)が効果的であると言われている。
入社して数か月経つと、仕事の内容や人間関係にも少しずつ慣れてきて、視野が広がる一方で、入社前に思い描いていた理想と現実とのギャップに気が付きはじめ、新しい不安や悩みが生じてくるからだ。

また、新人という立場上、そのような不安や悩みを自分から職場で言い出せずに抱え込む社員も増えてくる時期でもある。
しかし、そのような、社員が入社して間もない時期に感じてしまうさまざまな悩みや違和感の多くは、適切なコミュニケーションをとることで解消ができるのだ。
せっかく採用した人材の定着率をアップさせるためにも、このタイミングでフォローアップ面談を行うことの意義を考えてみよう。

関連記事:オンボーディングとは?組織の生産性向上と離職防止のためにできること

なぜフォローアップ面談が重要なのか 目指したい効果

フォローアップ面談の主な目的は、職場環境や仕事状況などの確認にある。
また、1人ひとりの悩みや課題を丁寧に聞き、成長するための具体的な目標設定をすることも求められる。
この面談は人事や人材教育担当者が担当することが多いが、その意義や目的をしっかりと確認した上で実施したい。
そこでフォローアップ面談がなぜ重要なのか、その理由についておさらいしておこう。

まず、1つ目の理由は、「新入社員の悩みを正確に把握するため」である。
新入社員が抱える悩みは多岐にわたるため、日々の会話だけで悩みの根本を突き止めようとすることは、現実的ではない。
また、悩みの原因が職場環境にあるとなれば、なおさら先輩や上司に対して悩みを打ち明けるとは考えにくいだろう。

たとえば、「怖い上司がいて馴染めない」「やりたい仕事をさせてもらえない」などが職場環境への不満としてあげられる。
ほかにも「責任に耐えられない」、「仕事にやりがいを持てない」などの仕事内容に関する悩み、「給与が低い」、「有給休暇を取りにくい」などの待遇面に対しての悩みもある。
同じ環境で働いていたとしても、悩みは人によって異なるため、面談を行って丁寧に話を聞いてみないと、本人が抱える悩みを知ることは難しいだろう。

次に、2つ目の理由として、「新入社員の悩みをフォローするため」が挙げられる。
労働者の多くが、仕事や職場環境に対して強いストレスを感じているとされているが、それは当然、働きはじめたばかりの新入社員にも当てはまる。
さらに新入社員は、入社から間もないということで、気を許せる人がいない場合や、遠慮してしまうことで、悩みを相談すること自体が難しいという人も多いだろう。
必要以上に考え込むことは、仕事へのモチベーションやパフォーマンスの低下を招くばかりか、精神面にも悪影響をも及ぼす。

フォローアップ面談を実施することで、新入社員が悩みを打ち明ける場所を提供することと、それを受け止めたうえでバックアップする方法を考えることができる。
新入社員が健やかに仕事に専念するためには、悩みを一緒に考え、解決に導くしくみが重要なのだ。

フォローアップ面談が重要とされる理由について整理したところで、フォローアップ面談を通して目指したい仕事における効果を見ていこう。

1. 目標の達成
どのような仕事でも目標があるが、目標と現状のギャップを確認することや、躓いていることはないか、目標の認識にズレはないかなどをヒアリングする。
その上で、悩みや不安、認識を共有し、どのようにすれば解決していけるのか、問題があれば一緒に考えることで、目標が達成できるように導く。

2. 人材育成
仕事で成長するには、上司や先輩からのフィードバックをいかに受け止め、修正していけるかが重要となってくる。
そのため、フォローアップ面談では、本人が納得できるような適切なフィードバックを行いたい。
課題と向き合い、自分自身でも振り返りができるように成長させていくことで、優秀な人材を育成することができるだろう。

関連記事:フィードバックを効果的に行うには?オンラインやリモート、テレワーク時代の重要なポイント

3. モチベーションの向上
中には、フォローアップ面談のことを「評価を伝える場」と捉えている人もいるようだが、ただ評価を聞かされるだけでモチベーションは向上しない。
本人の行動に対する評価と、なぜそのような評価を下したのかを明確に伝えることが大切だ。
そうすることで課題がわかりやすくなり、具体的な次の行動を起こしやすくなる。
課題解決のヒントが見つかることによって、モチベーションもアップするのだ。

面談の進め方や質問内容、その際に注意すべきこと

フォローアップ面談を実施するに当たっては、悩みを打ち明けやすい環境と雰囲気をつくり、悩みを一緒に考え、解決に導くという姿勢が重要となってくる。
そこでフォローアップ面談の具体的な進め方からトークや質問内容、意識すべきポイントなどを解説しよう。

<具体的な面談の進め方>
1. 面談の目的を伝える
課題や悩みは話しくいものであるため、まずは、新入社員が素直に自分の状況を話してくれる雰囲気を作り出すことが重要だ。
はじめに入社後の働きを労うとともに面談の目的を伝え、課題や悩みを知ったうえで人事としてフォローしたいという姿勢を見せて面談を行うと良いだろう。

▼トーク例
「入社して○ヶ月間お疲れ様。今のAさんの状況を聞かせてもらったうえで、さらにAさんが成長するために、人事としても必要な支援をしたいと思っています。普段、上司や先輩には言いにくいことも言って大丈夫だから、遠慮なく話してください。人と話しながら現状を振り返ってみるのも良い機会だから、この場を有効に使ってください。」など

2. 本人の状況を確認する
仕事の状況や、職場における自分の状況をどう思っているのか、どう感じているのかを本人に聞いて現状を確認する。

「仕事の忙しさ」、「うまくいっていると思うことやうまく行っていないこと」、「悩みや不安」、「不満を感じていること」、「モチベーションの有無」などさまざまな内容があると思うが、具体的な事実に基づいて、状況を確認していく。

▼質問例
「最近の仕事の状況はどう?うまくいっている?具体的に聞かせてください」
「具体的に、どんなことに取り組んでいる時が楽しいと感じますか?」
「大変なことや、気が進まないと感じることはありますか?」
など

3. 本人にとってどうなることが良いのかを確認する
現状を全体的に確認したところで、本人にとって何が1番気になって、今後どうなって行きたいのかを具体的に確認する。
希望を聞いていく中で、何を1番変えていきたいのかを絞り込んでいき、最終的にはどのような状態になることが望ましいのかを固める。

▼質問例
「今、話をしてくれた中で1番気になっていることは何でしょう?」
「話を聞いていると、○○について気になっているように感じましたが、どうですか?」
「1番気になっていることについて、それが解消されたらどんな状態になると思いますか?」など

4. 望ましい姿に近づくためにはどうしたら良いかを一緒に考える
話を整理していく中で、今1番解決したいことと、それが解決することでどのような状態になるのかが固まったら、その状態に近づくためにはどうしたら良いのかを一緒に考えていく。
本人だけでの実現が難しいと思われる場合には、人事としてサポートできることを伝えるようにする。

▼質問例
「○○な状態を目指すなら、●●なことができると思うけれど、どうでしょう?」
「この課題を1人で達成することが難しいと思うなら、先輩のAさんと一緒にやってみるのはどうでしょう?」など

5. 本人のモチベーションを確認して面談を終える
望ましい姿に近づくためには、最終的には本人が意欲的に行動することが重要となる。
そのため、一緒に考えた解決策が、本人にとって前向きに取り組めるものであるのか、行動計画に対しての意欲を確認する必要がある。

まだ具体的に動けるイメージが持てないという場合には、行動できるレベルになるまで具体化することを手伝う。

▼質問例
「具体的にやっていきたい案が出たけれど、実際に明日から行動していく具体的なイメージはできましたか?」など

また、実際にフォローアップ面談を行ううえで、注意したい点としては次のような事項があげられる。

1. プライベートな話題には、踏み込みすぎないように気をつける。
2. 新入社員が話しやすいように、柔らかな物腰で話すようにする。
3. 研修状況を振り返るなど、下準備をして質問をある程度考えたうえで面接を行う。

ここまで、フォローアップ面談について解説をしてきた。
フォローアップ面談を適切に行うことで、新入社員の早期離職を抑えるだけでなく、優秀な人材を育てることにも繋がり、会社全体を良い方向へ変えていくきっかけにもなり得る。

進め方や注意点、目指したい効果などをしっかりと確認したうえで、有効的に活用できると良いだろう。

まとめ

・従来、日本企業における働き方として、新卒で入社した会社で定年まで勤めあげるといったかたちが一般的であったが、そのような終身雇用の制度は終わりを迎えようとしており、近年、新入社員の3割以上が3年以内に離職していると言われている。実際に行われた調査でも、3年以内の離職を検討している新入社員が3割前後で推移しているという事実がある。

・働きはじめるとさまざまな悩みが生じるはずがあるが、定期的に適切なフォローアップを行わないことで、それらの悩みが実際の離職に繋がってしまう可能性がある。そこでしっかりと行っておきたいのが人事の「フォローアップ面談」だ。その最大の目的は中長期的・全社的視点から人事が関わることにより、新人がより良い仕事を行えるように支援することにある。入社して数か月経つと、仕事や環境に慣れてくることで、新しい不安や悩みが生じてくることも多いため、適切なコミュニケーションによってそれらを解消する必要があるのだ。

・フォローアップ面談がなぜ重要なのか、その1つ目の理由は、「新入社員の悩みを正確に把握するため」である。多岐にわたる新入社員の悩みの根本を、日々の会話だけで突き止めようとすることは現実的でないため、面談の場を設けて丁寧に話を聞いてみる必要がある。2つ目の理由は、「新入社員の悩みをフォローするため」だ。新入社員が健やかに仕事に専念するためには、悩みを一緒に考え、解決に導くしくみが重要なのだ。

・フォローアップ面談を通して目指したい仕事における効果は次のとおりだ。1.目標の達成:悩みや認識を共有し、問題があれば一緒に考えることで目標が達成できるように導く。2.人材育成:課題と向き合い、自分自身でも振り返りができるように成長させていくことで、優秀な人材を育成する。3.モチベーションの向上:課題解決のヒントをわかりやすくすることによって、モチベーションをアップさせる。

・フォローアップ面談の具体的な進め方は次のとおりだ。1.面談の目的を伝える、2.本人の状況を確認する、3.本人にとってどうなることが良いのかを確認する、4.望ましい姿に近づくためにはどうしたら良いかを一緒に考える、5.本人のモチベーションを確認して面談を終える。また、面談を行ううえで注意したい点としては次のような事項があげられる。1.プライベートな話題には、踏み込みすぎないように気をつける、2.新入社員が話やすいように、柔らかな物腰で話すようにする、3.研修状況を振り返るなど、下準備をして質問をある程度考えたうえで面接を行う。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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