2022.10.3

ファシリテーターとは?司会との違い、意味や上手くいく5点のコツ

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会議やグループワークを開催するうえで、ファシリテーターを参加させる企業が増えている。会議の場にファシリテーターがいれば、議論を活性化させて会議のゴールに導くことが可能だ。

この記事では、ファシリテーターの役割や司会との違い、上手くファシリテーションするためのポイントについて解説する。

ファシリテーターとは?司会との違い

ファシリテーターは、会議やグループワークを進めるうえで重宝される存在だ。中立的な立ち位置から、意見をまとめることで会議のゴールに導く。ここでは、ファシリテーターの役割や司会との違い、会議をするうえで必要とされる理由について解説する。

ファシリテーターとは

ファシリテーターとは、会議やグループワークの場で中立的な立ち位置から、その会のゴールに導く役割の人を指す。この役割自体は「ファシリテーション」といい、語源となるファシリテートには、以下の意味が含まれている。

・ 簡単にする
・ 促進する
・ 円滑にする

会議には、実施する目的や目指すゴールが設定されているはずだ。しかし、意見によって話が脱線することや、反対に意見が出てこないこともあるだろう。その場合、結論が出ないまま会議が終わることも珍しくはない。

中立的な立ち位置から結論に導いたり、意見が出てくるように投げかけたりするファシリテーターは、会議で重宝される存在だ。

司会との違い

混同する存在として「司会」が挙げられる。司会の役割は、アジェンダどおりに会議を進行することだ。そのため、会議をゴールに導くような役割は求められていない。

一方、ファシリテーターには参加者の意見を集約して、会議をゴールに導くことが求められている。会議における第三者的な立ち位置という共通点はあるものの、それぞれの役割は異なるのだ。そのため、会議に司会者とファシリテーターの2つを置いても問題ない。

必要とされる理由

ファシリテーターが必要とされる理由として、以下の3つが挙げられる。

・ 新しい発想を生み出せる
・ 時間を有効に使える
・ 合意形成ができる

会議の場では、発言者が偏ってしまうケースが見受けられる。発言者が偏った場合、意見も偏ることになるため、新しい発想が生まれる可能性は高くないだろう。参加者からの発言を促すことで発言者が増え、新しい発想の意見が出てくる可能性があるのだ。

会議の時間を有効に使えることも必要な理由だ。話が脱線したり、意見がまとまらなかったりすると、時間が足りなくなることにもなりかねない。時間配分を考えながら進行を促したり、脱線した話を本筋に戻したりすることで、時間内にまとめられるのだ。

また、合意形成ができることも必要な理由といえる。会議では、価値観の異なる参加者が集まったことで、意見が対立するケースがあるだろう。ファシリテーターが第三者の立場から統制をとることによって、参加者は感情的にならずに意見をまとめられるのだ。

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ファシリテーターとしてのコツ

ファシリテーターの役割は、会議をゴールに導くことだ。そのためには、参加者に会議の目的やゴール、話す内容を理解してもらう必要がある。

会議をゴールに導くためには、会議の内容や参加者の様子に目を配りながら、柔軟に対応する能力も求められる。ここでは、ファシリテーターとしておさえておきたいポイントについて解説する。

会議のゴールを設定する

ファシリテーターとして、会議のゴールを設定することをおさえておきたい。会議やグループワークを開催するからには、目的があるはずだ。目的に対し、会議で「何を決めればいいのか」「どうなっていればいいのか」といった具体的なゴールを設定すれば、どのように会議を進めればいいのかが明確になる。ゴールはできるだけ具体的かつ定量的に設定するのがポイントだ。

ゴールが設定されていなければ、何を決めていいのかが曖昧になり、意見をまとめられないはずだ。ゴールが明確になれば、そのゴールに向けた発言を促せ、有意義な会議になるだろう。

アジェンダを用意する

会議をゴールに導くうえでは、アジェンダの用意も必要だ。アジェンダを設定することで、話し合う内容や順番を参加者に意識づけできる。アジェンダには以下の項目を記載すると良い。

・ 目的
・ ゴール
・ タイムスケジュール
・ 参加者

目的とゴールを明記することで、会議の意味と方向性を参加者と共有できる。会議中に話が脱線したり、方向性がずれてしまったりしても、目的とゴールを共有していれば軌道修正をしやすくなるはずだ。

タイムスケジュールは、会議の進行に役に立つ。会議の時間は限られているため、話したい内容を話したいだけ話すわけにはいかない。項目ごとに時間を決め、時間内に話し合う意識を持つことで、時間内にゴールにたどり着けるはずだ。

ファシリテーターが会議の内容に集中するため、タイムキーパーを別の人が担当するのも良いだろう。また、参加者を明記することも忘れてはならない。役割とともに明記すれば、だれが何をするのかがわかるため、スムーズな進行にもつながる。

進行役に徹する

ファシリテーターは、進行役に徹することがポイントだ。限られた時間でゴールに導くためには、時間を意識する必要がある。ファシリテーターの仕事は議題の解決ではなく、合意形成のサポートだ。

たしかに組織の一員として、当事者意識を持って会議に参加することは大切だろう。しかし、ファシリテーターが議論に参加してしまうと、会議をゴールに導く人がいなくなる。

意見をまとめることもファシリテーターの仕事ではない。あくまでも合意形成や意思決定に「導く」ことが仕事だ。自分の主観を入れず、進行に徹することが大切だ。

傾聴を意識する

傾聴を意識することも、ファシリテーターとしておさえておきたいポイントだ。ファシリテーターには、意見を出すのではなく引き出す能力が求められている。

会議の場では、論点がずれた発言をする人もいるだろう。進行役に徹するべきではあるものの、論点がずれてしまっている場合には自らも参加して軌道修正することも必要だ。

このとき、自身の意見を発言するのではなく、参加者が「何を言いたいのか」「何を感じているのか」に耳を傾ける必要がある。傾聴を意識し、参加者の様子を見極めることでゴールに導けるのだ。

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柔軟な対応をする

会議をゴールに導くためには、柔軟な対応をすることも大切だ。前述したように、参加者の様子を見極めることで会議をゴールに導ける。そのためには、状況に合わせて適切な対応を選択する必要があるのだ。

たとえば、議論の方向性がずれてしまった場合には割って入り、方向性の確認や発言内容を整理することで軌道修正ができる。発言者が偏った場合は、ほかの参加者に発言を促したり意見を求めたりする必要がある。

ときには反対意見を言ったり、矛盾点を指摘したりすることで、議論を活性化させることも必要だ。反対に、議論に介入しないほうがスムーズに進む場合もあるだろう。

なかなか意見が出てこない場合は、シンキングタイムを設けることも有効な手段といえる。考える時間を与えることで、発言が少ない参加者の意見を促せるはずだ。

意見がまとまらない場合は、ブレインストーミングやKJ法が有効である。ブレインストーミングでアイデア出しとグルーピングを、KJ法で視点を変えて本質を特定すると議論の活性化につながるだろう。

関連記事:KJ法とは?発想法としてのやり方やメリットを解説

このようにファシリテーターは、状況を見極めたうえで議論に介入するかどうかを柔軟に判断する必要がある。

オンライン時のファシリテーションでの注意

ここでは、オンライン会議においてファシリテーションをする際のポイントについて解説する。近年ではテレワーク・リモートワークの浸透によって、オンライン会議を開催する機会が増加している。

対面での会議とは異なり、オンラインでは参加者の仕草や雰囲気がわかりにくいため、ファシリテーターにとっては難しい状況だろう。しかしポイントをおさえ、会議ツールの機能を有効に活用することで、スムーズに会議を進められるはずだ。

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会議のゴールとアジェンダの事前共有

オンラインの会議であっても、会議のゴールとアジェンダを共有することは大切だ。アジェンダには会議の内容がわかるだけではなく、スムーズに進められる効果もある。

アジェンダを中心に進行すれば、今話すべき内容が参加者にとって明確になり、話が脱線することがなくなるはずだ。今話している内容が何番目の項目かがわかれば、参加者に時間の意識を持たせることにもつながるだろう。

会議にメリハリを持たせる意味でも、ゴールとアジェンダを事前に共有することは有効だ。

全員が発言、参加できているかの確認

オンラインでは、全員が参加できているのかを特に注意しておく必要がある。オンライン会議では、参加者の体全体が映らないこともあり、参加者の様子や仕草を読み取りにくい傾向がある。

発言しようと思っていてもなかなかタイミングがつかめない参加者や、音声が聞き取りにくくて議論に参加できていない参加者もいるはずだ。対面での会議とは異なり、周囲の参加者が発言者以外の様子にまで気を配ることは難しいだろう。

そのため、ファシリテーターは参加者一人ひとりの様子を確認することが大切だ。

チャット機能やホワイトボードの活用

会議ツールの機能を活用しながら発言を促すことも有効な手段だ。対面の会議では、ホワイトボードを活用しながら意見をまとめているはずだ。発言するときには挙手でアピールする参加者もいるだろう。

しかし、オンライン会議では音声のコミュニケーションが主となるため、発言しにくいと感じる参加者が出てくることが懸念される。

そこで有効なのが会議ツールに搭載された機能の活用だ。画面共有機能やチャット機能、ホワイトボード機能を使うことで議論の内容を整理できる。リアクション機能を使えば、参加者が発言したい旨を伝えられる。

上手く機能を活用できれば、対面での会議以上にスムーズに会議を進められる可能性もあるだろう。

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まとめ

ファシリテーターは、中立的な立ち位置から意見をまとめるサポートによって、会議をゴールに導く役割の人を指す。進行が役割である司会者とは、求められている仕事内容が異なる。

ファシリテーターが会議をゴールに導くためには、参加者に会議の目的やゴール、話す内容を理解してもらわなければならない。そのためには、事前に会議の目的やゴールを設定し、アジェンダを用意することが必要だ。

会議中は、会議の内容や参加者の様子に目を配りながら、柔軟に対応する能力も求められる。近年ではオンライン会議を開催する機会が増えている。対面の会議よりも、参加者の仕草や雰囲気がわかりにくいことから、ファシリテーターにとっては難しい状況だ。

しかし、会議ツールの機能を有効に活用すれば、スムーズに会議を進められる。自社の会議でもファシリテーターを置いた会議を開催することで、その効果を実感してみると良いだろう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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