2020.6.2

採用マーケティングにおける採用手法の選び方。ダイレクトソーシング(リクルーティング)やリファラル採用の効果とは

読了まで約 4

・画一的な組み合わせの採用のパターンが通用しない時代に求められる採用手法とは?
・多岐にわたる採用手法のなかでも、受け身ではなく積極的に求職者にアプローチする手法とは?
・求職者とダイレクトにつながるダイレクトソーシング、その具体策。
・ミートアップやソーシャル・リクルーティングのメリットと注意点。
・最近導入する企業が増加しているリファラル採用。
・リファラル採用のメリットと具体的な活用方法。

画一的な採用パターンは崩れ、新たな採用手法が台頭

求職者の価値観の多様化や通年採用化などで、これまでの画一的な採用パターンでは求める人材に届かなくなっている。
このため、インターネットインフラの整備やスマートフォンの普及によるSNSの発達を背景として、採用手法にも新たに多くの選択肢が登場してきた。
それぞれの採用手法にメリット、デメリットがあるのは当然のことだが、企業側としては採用手法それぞれの特性を把握し、どれだけ自社にマッチした採用手法を取り入れることができるかが採用活動の成否を分けると言える。

HR総研の2021年新卒採用・就職動向調査によれば、2021年卒採用活動において、より重要になると思われる施策について、「インターンシップ」が46%で3年連続のトップとなっている。(ProFuture株式会社/HR総研

今まで主流だった「合同企業セミナー」や「求人媒体」など旧来のパターンは相対的に重要性が低下している。
これはどちらも求職者からのアクションを待つ「受動型」の手法であるため、売り手市場の中では即効性が期待できないからと考えられる。

さらにハローワークや学校就職課での募集はコストがかからない反面、近年では就職情報を収集するフィールドがWebやSNSなど多岐に分かれてきたため、窓口での応募者数が減少し有効な採用手法とは考えられなくなっている。
つまり、働き手が減少し、人材の流動性が高まった現今の情勢では、「求人媒体への出稿から合同セミナーの開催、パンフや会社案内による会社説明」といった今までのパターンでは人材の確保が難しいと考える企業が増えてきているのだ。

こうした中、受け身ではなく、積極的に求職者に働きかける新たな採用手法として注目されているのがダイレクトソーシング(リクルーティング)である。

企業からのメッセージが直接届くダイレクトソーシング

ダイレクトソーシング(リクルーティング)とは「第三者を介さずに、直接求職者へアプローチできる攻めの採用手法」のこと。
「ターゲットに直接アプローチするため、採用候補者の入社意向を高めやすい」「また、1人あたりの採用費用が抑えられる」「急な人材募集でもすぐスタートできる」「自社採用力を高めていくことができる」などのメリットがある反面、自社で行うため工数がかかる。
すぐには効果が出ないこともあるなど注意も必要だ。

では具体的にどのような活動を行うのか見てみよう。

ミートアップ

ミートアップは、従来の企業説明会のような堅苦しい雰囲気ではなく、「オフ会」のようなリラックスした交流の場をセッティングし、採用者と求職者のコミュニケーションを図る活動だ。
SNSやオンラインで参加を募り、多くても20人ぐらいの少人数で開催することが多い。

交流の場は企業によってさまざまに工夫されており、飲み会やゲーム大会のような遊び感覚のものから、共通の課題について語り合う意見交換方式、主にエンジニア向けの勉強会方式などまでさまざまだ。
社員との交流により社風を理解しやすくなるためファン層の拡大に有効だが、企画に魅力がないと集客が難しく、社員の執務時間を割くため負担になりやすいなどの点に注意が必要だ。

関連記事:ミートアップとは?オンラインで実施する時の注意点とポイント

ソーシャル・リクルーティング

FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSを利用した採用活動で、近年、導入する企業が急激に増加している。
企業側からだけでなく求職者側からもアプローチできる双方向性が特徴。
SNSを通じて互いにやり取りする中で、相手の個性や人間性などが垣間みえてくるので、ミスマッチを防ぎやすいというメリットがある。

ただし、単独のSNSだけで採用活動を行ってもそれだけでは不十分で、他の手法と組み合わせることでより高い効果が期待できるようになる。

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注目すべきリファラル採用の効果

ダイレクトソーシングの中でも、社員や関係者の人脈から推薦、または紹介してもらう採用手法であるリファラル採用は、「労働力人口の減少と採用競争の激化」、「ミスマッチによる早期離職や生産性の低下」という問題を背景として、これに取り組む企業が急速に増えている。

関連記事:リファラル採用とは?意味とメリット、防ぎたいトラブルを解説

従来の縁故採用では、経営者の血縁者であるなど「縁故」が採用理由となるため、自社に合った人材かどうかに関わりなく採用せざるを得ない場合があったり、縁故入社した本人も、他の社員とは異なるルートで入ってきた人物というイメージを払しょくするのに苦労したりといったマイナス面があった。

リファラル採用は、社員の推薦や紹介を入口としつつ、適正な選考を経て決定する手法であり、縁故採用のデメリットを修正した新しい手法として導入が広がってきている。

以下にその具体的なメリット、効果を見てみよう。

採用コストを抑えられる

人材会社を利用する場合、情報掲載料や成功報酬が必要となる。リファラル採用では、社員自身がエージェントとなって活動するため、採用コストを抑えることが可能だ。求職者を紹介してくれた社員に何らかのインセンティブを与えるケースでも、人材会社を利用する場合と比べれば全体のコストは抑えられる。

ミスマッチを減らすことができる

リファラル採用では、自社のことを良く知っている社員が、スキルや志向をある程度知っている知人を紹介することになる。そのため、自社の社風や求めるスキルに合った人材の獲得につながりやすくなり、採用ミスマッチを減らすことができるのだ。
求職者の方でも、転職当初から知り合いがいるということは、心理的な安心感となり、新しい職場に早く馴染める要素となる。

転職活動を行っていない層にアプローチできる

労働人口の減少に加え、IT技術者など特定分野で人材不足は深刻化しており、採用難は当分続くとみられている。
リファラル採用では、転職活動を行っていない人材にも個別に声をかけることができる。そのため、人材会社やハローワークを介した採用のみを行うのに比べると、はるかに大きな集団に対してアプローチできることになり、採用数の充足や優秀な人材の獲得可能性も高まることになる。

そして、単なる縁故採用と大きく異なる点は、採用オウンドメディアなどと組み合わせ、自社の魅力を語る中で、社員自身も会社に対して愛着を持ちやすくなりエンゲージメントが高まるということ。
そしてこれを継続していけば全社的なエンゲージメントも高まり、早期の離職防止にも役立っていくのだ。

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まとめ

・多岐にわたる採用手法の特性を把握し、どれだけ自社にマッチした採用手法を取り入れることができるかが採用活動の成否を分ける。

・「合同企業セミナー」や「求人媒体」など旧来のパターンは求職者からのアクションを待つ「受動型」の手法であるため、売り手市場の中では即効性が期待できない。

・ダイレクトソーシングは、受け身ではなく、積極的に求職者に働きかける新たな採用手法として注目されている。

・ミートアップとは、企業説明会のような堅苦しい雰囲気ではなく、「オフ会」のようなリラックスした交流の場をセッティングし、採用者と求職者のコミュニケーションを図る活動。

・ソーシャル・リクルーティングとは、SNSを利用した採用活動で、企業側からだけでなく求職者側からもアプローチできる双方向性が特徴。近年、導入する企業が急激に増加している。

・リファラル採用は、求人サイトや求人広告などの外部データに依存しない、社員からの紹介であり、他社と競合せずに、優秀な人材を、低予算でスピーディに採用ができる。

・リファラル採用は、オウンドメディアなどと組み合わせ、自社の魅力を語る中で、社員自身も会社に対して愛着を持ちやすくなりエンゲージメントが高まり、離職防止にも役立つ。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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