2022.4.6

リファラル採用とは?意味とメリット、防ぎたいトラブルを解説

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リファラル採用とは、自社が求める人材像に合った知人や友人を社員から紹介してもらう採用手法だ。紹介による採用という意味では縁故採用と似ているものの、本質は異なる。今回はリファラル採用の意味やメリットを紹介する。採用を進める際にトラブルを防ぐポイントも併せてチェックしよう。

リファラル採用とは?その概要

リファラル採用とは、募集をかけている求人に合った知人や友人を自社社員から紹介してもらう採用手法のことで、リファラルリクルーティングとも呼ばれている。リファラル(referral)は「紹介」や「推薦」、リクルーティング(recruiting)は「求人」や「採用」という意味だ。

企業を理解している社員から紹介される人材であるため、企業とのマッチ度や定着率が高いうえに、採用にかかるコストも削減できるのが特徴である。欧米では浸透している方法で、日本でも取り入れる企業が増えており、今注目されている採用手法のひとつだ。

とくに近年は人材市場が売り手市場で、業界に関係なく人手不足だといわれている。今後も生産年齢人口が減少すると予測されており、人材を確保するためにも、リファラル採用などの採用候補者を探すダイレクトリクルーティング(ソーシング)の取り組みが活発化しているのである。

関連記事:採用マーケティングにおける採用手法の選び方。ダイレクトソーシングやリファラル採用の効果とは

社員から人材を紹介してもらう採用手法という点では、リファラル採用も縁故採用(コネ採用)も変わらないだろう。しかし、その本質は大きく異なるものだ。

縁故採用では社長や経営幹部、社内関係者などから繋がりのある相手を紹介されるが、対象者の人柄やスキルにはあまり重きを置いていないといわれている。紹介者のメンツを立てるため、採用基準に関係なく候補者を採用しなければならなくなるケースがあるのだ。

一方のリファラル採用では紹介をしてもらうものの、採用基準を満たした候補者のみを採用する。試験や面接といった通常の採用プロセスを踏み、企業側が求める人材だけに入社してもらえるのである。

リファラル採用をおこなう際は、社員が自社を「紹介したい」と思えるかどうかが重要であるため、より良い会社づくりが求められるだろう。また、紹介者へのインセンティブにより積極的に動いてもらう方法をとることも多い。

関連記事:リファラル採用が上手くいく会社といかない会社の違い

リファラル採用に取り組むメリット

リファラル採用に取り組むことで得られるメリットには、以下の3つがある。

・ 採用フローを簡潔にすること
・ 採用のミスマッチを防止可能であること
・ 転職市場にいない人材とマッチングできること

これらのほかに、早い段階から企業と仕事への理解が深くて活躍しやすいこと、離職率が低い傾向になることなどもメリットだ。求職者側から見ても、紹介者から企業の雰囲気やカルチャーを教えてもらえることで、企業選びをする際の判断ミスを防止できる。

それでは、はじめに挙げた3つのメリットについて、詳しくチェックしていこう。

採用フローを簡潔にする

1つ目のメリットは、採用フローを簡潔にできることだ。リファラル採用に取り組むと、求人セミナーや複数回の面接をする必要性が減らせるようになる。その分、採用活動にかかる時間を大きく短縮できるうえに、採用担当者や管理職などが面接に出る機会を減らせるため、業務の効率化をはかれるだろう。

また、求人誌や求人サイトなどの求人メディアや、転職エージェントを介さずに人材を募集できることも魅力だ。そのため人事の工数を減らせるだけではなく、採用コストも大幅に削減可能である。

採用のミスマッチを防止する

2つ目のメリットは、現場を知る社員の紹介による採用手法をとるため、企業に適した人材を集めやすく、採用のミスマッチを防止できることだ。不特定多数に対して求人広告を出した場合、たくさんの応募があっても、自社が求める人材からの応募が来ないケースも少なくない。

しかしリファラル採用では、社員に対して自社が求める人材像(ペルソナ)を予め伝えておき、その人物像をもとに社員が紹介してくれるため、ほかの採用手法よりも理想に近い人材とマッチングする精度を高くできるのである。

また、紹介される側の求職者側から見ても、すでに働いている社員から会社の魅力や業務内容、社風に関する生の声を入社する前の段階で聞けることは魅力だろう。その分、採用段階でのイメージと現実との差を感じにくく、ミスマッチが起きにくくなるのだ。

入社時点から仲間がいるという安心感もあり、企業に対する愛着を持ちやすい人材を集められるようになるため、退職率の改善や従業員エンゲージメントの向上にも役立つといわれている。

関連記事:
ミスマッチとは?企業やビジネスにおける定着率の高い組織をつくるための秘訣
採用マーケティングで重要な「ペルソナ」とは?その設計方法や具体例を解説

転職市場にいない人材とマッチングできる

3つ目のメリットは、転職市場にいない人材とマッチングできることである。採用市場では就職や転職活動をすでに開始している顕在化した人材にしか会えない。しかし、リファラル採用であれば、転職への意識が薄い状態の優秀な人材にアプローチできるようになる。

社員が一緒に働きたい友人や知人を紹介するリファラル採用では、転職を強く意識していない相手も候補者に挙がるのだ。転職活動をしていなくても、他企業で働く友人からの誘いを受けて応募に踏み切ってくれることがある。他社との人材獲得競争を回避しながら、欲しい人材を得られるチャンスとなるのだ。

関連記事:リファラル採用のメリットとデメリットとは?日本企業の今後の動きについて

これは防ぎたい!リファラル採用におけるトラブル

このように、リファラル採用はさまざまなメリットがある採用手法だ。しかし、リファラル採用におけるトラブルもあるため、注意して採用を進めていくべきである。リファラル採用におけるトラブルや、その元となる原因は以下のとおりだ。

・ 紹介した社員と紹介された人材間の関係悪化によるトラブル
・ 社内でリファラル採用に関する制度があいまいな状態で実施したことでのトラブル
・ 紹介した社員に対する報酬をどうするか

また、社員が同じタイプの人材を紹介することで多彩な人材を呼び込みにくくなること、採用にともなう社員の負担が増加してしまうことなどのデメリットがある恐れもある。

それでは、はじめに挙げた3つのトラブルについて、それぞれ詳しくチェックしていこう。

紹介した社員・紹介された人材間の関係悪化

リファラル採用で注意すべきポイントとして、紹介した社員と紹介された人材間の関係悪化によるトラブルがある。関係が良好な状態であれば、企業内に仲間がいるという安心感があるものの、関係が悪化した場合には企業での居心地が悪くなってしまい、生産性が下がったり離職に繋がったりするのだ。

また、紹介されて選考プロセスに入った人材が採用に繋がらなかった場合、紹介した従業員と候補者の関係が気まずくなってしまう可能性があることに配慮が必要である。企業として候補者に誠意ある対応が取れるように、採用の進め方には注意しよう。

また、知人同士でグループ化してしまわないよう、採用後の人員配置にも配慮が必要だ。

社内でリファラル採用に関する制度があいまいな状態で実施

社内でリファラル採用に関する制度や認識があいまいな状態で実施してしまうことも、トラブルに発展してしまいかねないだろう。リファラル採用は社員が人事の役割を担うことになり、社員一人ひとりの仕事が増えることになるため、制度や認識があいまいな状態で実施してしまうと積極的に協力してもらいにくい。

報奨金の有無などを含めて、リファラル採用に関連した制度設計をしっかりとおこない、社内周知を徹底することが重要だ。紹介方法のレクチャーや動画、パンフレットを用意するなどして、社員の負担を減らして紹介しやすい環境づくりもおこなおう。

また社員がターゲットと一致しない人材を紹介してしまい、企業が求める人材とのミスマッチが起こると、採用人事側に余計な手間がかかる恐れがある。企業の募集状況を社員に対して周知したり、どのような人材を求めているのかを理解してもらったりして、求める人材とのミスマッチが起きにくい状態にしよう。

紹介した社員に対する報酬

紹介した社員に対する報酬に関してもトラブルに発展する恐れがあるため、注意が必要である。リファラル採用を導入している場合、紹介者に対してインセンティブを支払うケースがある。

職業安定法第40条などでは、業務の一環としてリファラル採用をおこなう場合に報酬を与えてはいけないことなどが定められている。賞与程度ならば問題にならないものの、あまりに高額な場合は罰金や懲役の対象となる可能性があり、注意が必要である。大企業であればあるほどリーガルチェックでNGが出やすく、制度に慎重な傾向にあるようだ。

また、リファラル採用のインセンティブが高すぎる場合、問題になるのは法律面だけではない。高すぎるインセンティブが設定されていると、報酬を目的にして紹介をする社員が増えてしまい、ターゲットと一致しない人材の応募が増加してしまうのだ。そのため、適切なインセンティブの設定が重要である。

まとめ

リファラル採用とは、募集をかけている求人に合った知人や友人を自社社員から紹介してもらう採用手法のことである。企業を理解している社員からの紹介であるため、企業とのマッチ度や定着率が高く、採用にかかるコストも削減できるのが特徴であり、欧米では浸透している方法だ。日本でも取り入れる企業が増えており、今注目されている採用手法のひとつである。

リファラル採用に取り組むことで、採用フローを簡潔にできることや採用のミスマッチを防止可能であること、転職市場にいない人材とマッチングできることなどのメリットが得られる。しかし、リファラル採用におけるトラブルもあるため、注意して採用を進めていく必要があるだろう。

事前にリファラル採用におけるトラブルを防止するためのポイントをチェックしておくと、効果的かつスムーズに採用しやすくなるだろう。紹介した社員と紹介された人材間の関係への配慮、社内においてリファラル採用に関する制度や認識をはっきりさせること、紹介した社員に対する報酬などのポイントを理解して採用活動に取り組もう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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