2021.4.2

オンラインインターンシップ企画のコツは?成功するための5つのポイントを解説

読了まで約 6

■コロナ禍で変わるインターンシップ

■学生がインターンシップに求めていること

■オンラインインターンシップのメリット

■オンラインインターンシップのデメリット

■オンラインインターンシップを実施するうえでの5つのポイント

実施が増加するオンラインインターンシップ

新型コロナウイルスの世界的な大流行は、個人の生活だけでなく、企業の採用活動にも大きな影響を及ぼした。

政府からの要請により、人と人との直接的な接触や、密になる環境を避けることが求められたため、従来のように対面での説明会や面接などの選考を行っていくことが困難となり、オンラインによる採用活動を取り入れる企業が増加している。

そのような状況下で、新卒採用で多くの企業に導入されているインターンシップもオンライン化が進められている。

HR総研の「2021年&2022年新卒採用動向調査結果報告」によると、2022卒向けに8~9月にインターンシップを実施した企業の半数が、オンライン形式での実施だった。(ProFuture株式会社/HR総研

インターンシップは、学生が企業において実際の就業体験をする制度のことで、相互理解を深めることを目的として多くの企業に取り入れられてきた。

企業は優秀な人材を発掘できたり、社内の雰囲気や業務についてよく知ってもらえたうえで選考を受けてもらうことができるし、学生も自らをアピールしたり、体験を通じて業界への理解を深めることができる。

まず、効果的なインターンシップを実施するためには、学生がインターンシップに何を求めているかを理解することが重要となる。

リクルートが発表した「就職白書2018」(調査期間:2017年12月15日〜2018年1月15日 集計対象数:1,825人)の「インターンシップの参加目的(2018年卒インターンシップ参加者/複数回答)」によると、「仕事理解」67.0%、「業種理解」65.6%が共に6割台で他の回答を引き離す結果となり、また、マイナビが発表した「2022年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査」(調査期間:2020年10月15日~10月31日 有効回答数:のべ6,001名)の「インターンシップに参加する目的として当てはまるもの(複数回答)」では「どの業界を志望するか明確にするため」68.1%が一番多く、次いで「どの職種を志望するか明確にするため」56.6%という結果になっている。

リクルートとマイナビ、両者の調査結果を見てわかることは、インターンシップを通じて仕事や業種のことをよく知り、自らの就労ニーズに合っているのかを確認したい学生が多くいるということだろう。

まだオンラインでのインターンシップに馴染みのない企業も多いが、オンラインインターンシップに求められていることや基本的な設計は対面のものと変わりはない。

そこで本稿では、オンラインインターンシップについて、そのメリット・デメリット、実施するべき内容やポイントを解説していこう。

オンラインインターンシップのメリット・デメリット

オンラインインターンシップをよく理解するために、まずは従来の対面型のインターンシップと比較してオンラインインターンシップにどのようなメリットがあるのかを整理していこう。

<オンラインインターンシップのメリット>

1. コストの削減ができる
オンライン上でインターンシップを実施することで、開催会場の使用料や学生への交通費など、準備にかかるコストを大幅に削減することができるようになる。

また、参加費用が学生の自己負担になっていた企業の場合でも、学生側の金銭的なハードルがなくなるため参加をしてもらいやすいというメリットがある。

2. 優秀な人材と出会える可能性が高まる
住んでいる場所に縛られることなく参加できるオンラインインターンシップは、より多くの学生に参加してもらえることができ、日本各地の優秀な人材と出会える可能性が高まるだろう。

地方から都心の企業を志望している学生だけでなく、Uターン就職を志望している学生にもアプローチがしやすくなるし、不便な立地にある企業でも幅広い学生の参加を見込める。

3. より多くの学生に参加してもらえる
オンラインインターンシップは、対面型のものと比べて会場の規模や移動時間などを考慮する必要が少ないため、開催する回数を増やしやすく、より多くの学生とコンタクトを取ることができる。

学生側も比較的気軽に参加できるため、より多くの企業と接点を持つことができ、思いもよらなかった業界への志望度を上げることも期待できるだろう。

4. 拘束時間が短く時間の有効活用ができる
自宅から参加ができるオンラインインターンシップは、現地に行くまでの移動時間がなくなるため、学生の負担を減らすことができる。

また、会場を準備する運営側の手間も減るため、日常業務との両立もしやすくなるだろう。

5. リモートワークへの理解が深まる
オンラインでやり取りを行うことで、実際にリモートワークがどのように行われているのかを学生に理解してもらいやすくなる。

コロナの影響で、今後ますます浸透していくリモートワークにおいて、どのようなツールを使って在宅で仕事を行っていくのかを実感してもらういい機会となるだろう。

以上のようなメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在する。 こちらも整理してみよう。

<オンラインインターンシップのデメリット>

1. 学生の集中力を保ちにくい
学生は1人自宅でパソコンを通じて参加するため、対面での実施に比べて緊張感が薄れたり、集中力が保たれないことが懸念される。

また1日中パソコンに向かうことによって目や肩など、身体に負担がかかる恐れもある。時間配分には十分配慮したい。

2. スムーズな進行やコミュニケーションが難しい
オンライン上のやり取りはネット環境に左右されるため、通信状況が悪くなると話が途切れてしまうなど進行やコミュニケーションに影響を及ぼす可能性が考えられる。

また、社員と学生が離れた場所にいることによって、疑問や質問したいことがあった際に、学生が社員に声をかけにくいなどの問題も発生することが考えられるだろう。

同様に学生同士のやり取りにおいても、初対面の人たちと画面越しで会話をするため、グループディスカッションなどにおいて対面よりも固くなってしまったり、意見を言い出しにくくなる恐れがある。

3. 社内の雰囲気が伝わりにくい
学生がリアルな社内の雰囲気を知る機会になるインターンだが、オンラインの場合は画面を通じた参加となるため、対面で行われるインターンに比べるとその需要を満たすことが難しくなる。

オンラインインターンシップで実施すべき内容と5つのポイント

前項ではオンラインインターンシップのメリット・デメリットを紹介してきたが、実際にオンライン上で学生の満足度が高いインターンシップを実施するにはどのような手順を踏んで内容を企画すればよいのだろう。

以下、5つのポイントに整理して解説する。

<オンラインインターンシップを実施するうえでの5つのポイント>

1. 学生に対して丁寧な事前説明や進行を行う
オンラインインターンシップをスムーズに進めていくためにも、参加する学生に対して、事前に環境を整えてもらうよう案内を行う必要がある。

たとえば、利用するツールやアプリをあらかじめインストールしてもらう、接続環境や参加環境を整えてもらうなど、プログラムを進行するうえで必要な準備内容を具体的に伝える。

また、オンライン上では対面での実施に比べて場の空気が伝わりにくい。そのため進行の際には、グループワークの役割分担や議題の確認、疑問点の有無について対面以上に丁寧に確認する必要があるだろう。

2. 業界や職種への理解が深まる内容にする
冒頭に紹介した調査結果からもわかるように、多くの学生がインターンシップを通じて業種や仕事への理解を深めることを期待している。

従って、プログラムの内容についても、業界の具体的な説明や自社の位置付け、どのような仕事やキャリアプランがあるのかなどをわかりやすく説明することで、業界や仕事への知識を身につけてもらえる内容にすることが必要だ。

また、実際の仕事をよりイメージしやすくするために、ビデオチャットツールで社員に直接話を聞いたり質問する場を設ける、動画を用いて現場の様子ややりがいを伝える、など工夫をすることでオンライン上でのインターンシップでも学生のニーズに応えることができるだろう。

3. 適度な休憩や場面転換を行う
前述したように、オンラインインターンシップを実施する際に懸念されることとして、学生の緊張感や集中力が保たれにくいことがあげられる。

そのため、プログラムの間にこまめな休憩を挟んだり、パソコンを使わない個人作業の時間を設ける、10分に1回ほど場面転換を入れることで進行に変化をつける、など企業側も学生の集中力が維持できるように工夫をしてプログラムを企画していくことが重要だ。

4. 社内の雰囲気が伝わる企画を設ける
職場の雰囲気は就職先を検討するうえでマストな情報であるといえる。

そこで、職場や社員を写真や動画で紹介する、見学ツアーのように社内をリアルタイムで映してまわる、ビデオチャットツールで社員との交流会を行うなど、オンラインにおいてもインターンシップを通じて学生によりリアルな社内の雰囲気を感じてもらえるよう工夫をすることが重要だ。

5. 丁寧なフィードバックを行う
丁寧なフィードバックを行うことは、インターンシップへの満足感が向上する大きな要素となる。

学生に対して、用意したプログラムを一方的に取り組ませるのではなく、実施した内容に対してフィードバックを行うことで学生の成長や気づきを促し、プログラムへの充実感を高めてもらうことで志望意欲向上も期待できる。

また、適宜フィードバックの時間を挟むことは先ほど紹介した場面転換の役割にもなるため効果的だ。

関連記事:新卒・新人社員の意欲向上につながる「ポジティブフィードバック」とは?効果的に活用するポイント

ここまでオンラインインターンシップについて解説をしてきた。

採用活動のオンライン化が進む世の中で、インターンシップも同様にオンライン化が浸透していくだろう。

しかし、オンラインになったからといって、学生がインターンシップに求めていることや企業が伝えるべきことなどの基本の部分は対面との変わりはない。

従来行ってきたインターンシップをオンラインでどう行っていくか、難しい点はどのように改善すれば実現可能か、オンライン特有の気を付けるべき事項、などプログラムの内容を事前にしっかりと検討し、より効果的なオンラインインターンシップを企画していくことが大切だ。

関連記事:インターンを行う目的とは?企業側が準備すべき事とそのメリット

まとめ

・新型コロナウイルスの影響で人が集まることを制限され、企業の採用活動もオンラインへのシフトを余儀なくされている状況下で、新卒採用で多くの企業が導入しているインターンシップにおいても同様にオンライン化が進められている。インターンシップとは、学生が企業で就業体験をする制度のことで、学生と企業の相互理解を深めることを目的として取り入れられてきた。

・学生がインターンシップに参加する大きな目的は、仕事や業種への理解を深め、自らの就労ニーズに合っているかを確認するためであるが、オンラインインターンシップにおいても求められていることや基本的な設計は対面のものと変わりはない。効果的なオンラインインターンシップを実施するためには、学生のニーズを踏まえたうえで内容を企画することが必要だ。

・オンラインインターンシップにおける、5つのメリットは 1.コストの削減ができる、2.優秀な人材と出会える可能性が高まる、3.より多くの学生に参加してもらえる、4.拘束時間が短く時間の有効活用ができる、5.リモートワークへの理解が深まる。

・オンラインインターンシップにおける、3つのデメリットは 1.学生の集中力を保ちにくい、2.スムーズな進行やコミュニケーションが難しい、3.社内の雰囲気が伝わりにくい。

・オンラインインターンシップで実施すべき内容と5つのポイントは 1.学生に対して丁寧な事前説明や進行を行うこと、2.業界や職種への理解が深まる内容にすること、3.適度な休憩や場面転換を行うこと、4.社内の雰囲気が伝わる企画を設けること、5.丁寧なフィードバックを行うこと。 プログラムの内容については参加する学生のニーズを満たせるよう、業界や仕事への知識を身につけてもらえたり、実際に働いた時のイメージがしやすいものにすることが必要だ。また、ビデオチャットツールや動画などを利用することで、画面上のやり取りであっても、よりリアルな会社の雰囲気を体験してもらうことができるだろう。工夫次第でオンラインでも満足度の高いインターンシップを実施することが可能だ。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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