2021.11.5

内定者懇親会の内容とは?内定者のエンゲージメント・入社意欲を高める方法、オンラインでも実施できる内容をご紹介

読了まで約 6

■内定者懇親会とは?

■内定者懇親会の概要

■内定者懇親会が必要な背景

■内定者懇親会のメリットとデメリット

■オンラインで内定者懇親会を行うには?

内定者懇親会とは? その概要

入社後の仕事に対する不安や、就活中に抱いていた企業に対するイメージとのギャップなど理由や原因はさまざまあるが、いずれにしても学生に内定を辞退されることは人事担当にとって頭の痛い問題だ。
近年では、多くの就活生や求職者が、企業からの内定を受諾しても、これを留保したままで、自分にとってさらによい就職先を見つけることができるまで就職活動を継続することもある。これが内定辞退の要因だ。
一方、内定を辞退された企業にとっては大きな痛手であり、せっかく投入した採用活動のための人員や費用といったリソースが全て無駄になってしまうことを意味する。しかも中長期の人材育成計画、さらには企業の柱とも言える事業計画そのものの将来像をも揺るがしかねない大問題でもある。
そのため、内定を出してから入社までの期間に行う、定期的な連絡や懇親会の開催、研修会などといった内定者に対する十分なフォローがとても重要な施策となってくる。
なかでも内定者懇親会は多くの企業が力を入れて実施する内定者フォローの定番と言えるだろう。
HR総研が2021年6月に実施した調査では、内定後フォローで入社意欲が高まったものとしては、「内定者懇親会」が文系・理系ともに最も多く、それぞれ33%、28%となっている。(ProFuture株式会社/HR総研

▼内定後フォローで入社意欲が高まったもの

グラフ:内定後フォローで入社意欲が高まったもの

では、内定者懇親会とは何か? まずはその概要をおさらいしておこう。
内定者懇親会は、企業が新しい仲間として迎え入れる予定の内定者と、より親密なコミュニケーションを図るための内定者フォローの一種であり、実際に内定者とコンタクトをとって語り合うことのできる貴重な機会である。
採用活動を通じて内定に至るまでの企業と応募者のコミュニケーションは、セミナーや会社説明会など企業側から情報を発信するというフェーズを経て、選考の現場となる面接を中心に進められていく。しかし面接でのコミュニケーションでは、お互いに採用の可否や志望度の高低に関わる内容になるため、どうしても自己開示しにくく、もちろん本音で話し合うという雰囲気にはならない。
そこで、内定者懇親会というカジュアルでフラットな場面を設け、お互いにこれから仲間になる相手として、ざっくばらんな話し合いをすることで距離感を縮め、会社側は社風や社員の人となりを理解してもらい、内定者側の個性や強み、あるいは苦手なことなどを引き出すチャンスとすることができる。
また、内定者に入社後の自分の姿を想像してもらい、特に人間関係における不安を払拭することで内定辞退を防ぐという重要な役割もある。

関連記事:内定ブルーとは?内定ブルーが起こる理由と学生の不安に寄り添うためのヒント

そのため、内定者懇親会は基本的に内定者同士や内定者と先輩社員たちが親睦を深めるための会として開催される。
その形態はさまざまで、何かテーマを設けてグループワークを行ったり、リラックスした雰囲気で社員と食事を共にしたりなど各企業が工夫を凝らして開催している。
代表的な内定者懇親会のコンテンツとしては、これまではグループワーク、食事会、食事を伴わない社員との交流会や質問会が主流だったが、最近ではオンラインによるミーティングやSNSに招待しての意見交換など、リアルに面談しない形も増加傾向にある。

関連記事:内定者フォローのポイントとは?コロナ禍でもオンラインで内定者との接点を強める方法

また、これらはそれぞれ別の日に実施することもあれば、1日に複数の懇親会を行ったり、いくつかのコンテンツを組み合わせて数日でコースとして実施したりなど、多種多様な形態で開催されている。

内定者懇親会をなぜやるのか? そのメリットとデメリット

内定者懇親会の概要は理解していただけたと思うが、ではなぜ内定者懇親会が内定辞退を防ぐ有効な施策となるのだろうか?
それは特に学生や応募者が関心を持っているのが、「仲間となる同期や社員などとうまくコミュニケーションとれるかどうかの問題」になっているからだ。
特に、新卒での内定者はまだ社会に出たことがないため、入社後に先輩社員や同僚たちと仲良くやっていけるかという不安は大きい。

先述のHR総研調査で、内定を辞退したことがある学生に対して、その理由を聞いた設問がある。内定辞退の理由は「より志望度の高い企業から内定を受けた」が文系・理系ともに圧倒的に多く、それぞれ76%、79%となっているが、「内定後に詳しく調べて、自分に合わないと判断した」や「良くない口コミを聞いた」「面接官の印象が良くなかった」「会社の雰囲気が良くなかった」といった回答も存在している。(ProFuture株式会社/HR総研

▼内定を辞退した理由

グラフ:内定を辞退した理由

これは選考、内定者フォロー中にその企業の社風を知ることで、かえって辞退につながるケースもあることを物語っている。
そこで、内定者懇親会のメリットとデメリットを整理しておこう。

内定者懇親会のメリット
・双方向で直接コミュニケーションを取ることができる
企業側からすれば学生の生の声を聞ける場となり、直接メッセージを届ける場とすることもできる。内定者側にとっても普段はめったに会う機会のない経営陣からの話を聞くことや、食事を共にしながら先輩社員と気軽な雰囲気で話を交わすことができるなど、企業の雰囲気を実感できる場となる。
企業側は担当者をバランス良く配置すれば、トップからのダイレクトなメッセージでモチベーションやエンゲージメントを高めておいて、具体的な不安や疑問などについては世代の近い若手社員が丁寧に応えることでこれを解消するなど、会社の魅力を効果的に伝えることができる。

関連記事:エンゲージメントを向上させる具体的な方法、事例とは?|内定者・新入社員2021年度版

・入社意欲向上につなげることができる
コミュニケーション担当者として若手のロールモデル(手本となる社員)を配置することができれば、内定者に「こんな人と一緒に仕事がしたい」、「こんな社会人になりたい」と思わせ、企業の魅力を印象づけて、入社意欲を高めることが可能だ。

内定者懇親会のデメリット
・過度な接触は逆効果になる
内定者との距離を縮めたいあまり、無理に参加を迫ったり、懇親会で一方的に自社の魅力を訴えたりすることは、内定者との温度差を感じさせて逆効果となり、入社意欲を下げてしまうことになる。また、飲酒を伴う場合の会話のモラルやハラスメント意識など、コミュニケーション担当者の人選と教育を十分にしておかないと企業ブランドそのものを傷つけることもあるので注意したい。

・社風や社員との気が合わないと辞退につながる
これは社員にも内定者にもさまざまな個性があるので、ある意味やむを得ないことだともいえるが、内定者同士、あるいは社員と内定者で気が合わないと感じた時はマイナスのイメージを持たれ、辞退に至ることもある。ただし、ミスマッチを引き起こしたまま入社すれば、早期離職につながる恐れもあるため、企業側としては採用活動中にミスマッチを防げると捉えることもできる。

関連記事:ミスマッチとは?企業やビジネスにおける定着率の高い組織をつくるための秘訣

オンラインでできる内定者懇親会の方法とは?

内定者懇親会の意味と重要性を理解したところで、現在のコロナ禍におけるオンラインで行なう内定懇親会のメリットを具体的な開催方法を紹介しておこう。
内定者懇親会に限らず、オンラインでも、Zoomに代表されるWEB会議システムやSNSの機能を使えば、グループワークや簡単なゲーム、そしてリモートでの食事会や飲み会などを誰もが抵抗なくセッティングし、参加できる状況が整ってきた。
この状況は企業側がセッティングする内定者懇親会という場面でも追い風と考えていいだろう。なぜなら遠方に住んでいる内定者はわざわざ会社まで出向くという手間がなく、会社側も交通費というコストを削減できるという、双方にメリットのある施策だからだ。
では、具体的にオンラインで内定者懇親会を行うにはどのような流れで行うのがよいのだろうか、以下に典型的なプログラムをご紹介しよう。
なお、流れを理解していただくために式次第を細かく紹介するが全てを盛り込む必要はなく、それぞれ自社の事情に応じて取捨選択して実施することが望ましい。

オンライン懇親会の一般的な流れ
1.挨拶と内定後のスケジュールの説明(会社から)
最初に参加へのお礼と挨拶とを行い、内定式までのスケジュールや段取りなどを人事担当者などから伝えておきたい。
説明は画面共有などの機能を使ってプレゼンテーションソフトで説明してもいいし、あらかじめ文書を配布してそれを確認しながら説明するというスタイルでもいいだろう。

2.参加者の自己紹介
これは内定者の自己紹介という形式でも良いし、社員紹介なら自分からでなく他の社員から紹介してもらうというアプローチもある。また、事前に簡単なプロフィールを作成しておき、全員がその文書を共有するという形で時間を短縮できるのもオンラインのメリットなので活用したい。

3.アイスブレイク
これは簡単なゲームやクイズなどのイベントを一緒に行うことで場の空気を和らげ、一体感を醸成することができるためにぜひ取り入れておきたい。アイスブレイクが盛り上がれば、実際のフリートークでも活発な意見交換を行うことができるだろう。ただし、盛り上がったからといって予定の時間を延長するようなことはせず、決められた時間内で「もう少しやりたい」と思ったところで切り上げると良い。
代表的なものには

○モノしりとり:家にある物の名前でしりとりをしていくオンラインならではのゲーム。実際に家にあるものを画面に見せなければならないので、よくあるゴリラ→ラッパ→パンダといった解答は成立しないため結構苦労するところが面白い。

○オンライン大喜利:出されたお題に対してちょっと笑える回答をするというもの。チャット機能を使ってテキストベースで行うのも盛り上がる。ただし、お題がつまらないと出題する側のセンスが問われるので、注意が必要だ。

4.グループワーク
これも主たる目的は「打ち解けること」や「達成感の共有」などにあるが、あるテーマに沿ってグループごとにディスカッションすることでお互いの考え方や感じ方などを知ることができるコンテンツだ。
話し合いの結果は代表者が結論や成果物を発表するという形が多いが、一人あたりの発表時間を短くして全員に発言させるという方式も、各人の個性を見る上では有効なスタイルだ。

5.フリートーク(飲み会・食事会)
コロナ禍が長引いたことにより、多くの人が画面を通じての飲み会や食事会に抵抗がなくなってきている。特に若い世代ではオンライン飲み会の浸透度が高いので、親睦を深める意味で有効なコンテンツだ。
担当した社員も積極的に発言を行っていいが、あくまでもホスト側であることを忘れず、トークの舵取りをしていくことが重要だ。

関連記事:テレワークで効果的なコミュニケーションは「雑談」!鉄板の雑談ネタ10選

6.質問会
フリートークで気心が知れてきた頃に、先輩社員に直接聞きにくいことを聞ける質問会を開催すると良い。「実際のところ残業は多いのですか?」や「先輩の誇れる仕事はなんですか?」など、直球の質問が発せられたらその懇親会は成功したといってよい。
ただし、鋭い質問に的確に応えなければ逆効果になるので、しっかりとした「想定問答集(質問されそうな項目を洗い出しておいて、事前に回答を用意しておく)」を作成しておきたい。

ここまで、内定者懇親会、特にオンライン懇親会の重要性と実際の流れについて解説してきた。内定者フォローの中でも懇親会は、内定辞退を食い止める最後の砦ともいうべき重要な施策なので、人事担当だけでなく経営陣やベテラン社員なども巻き込んだ全社的なイベントとしてぜひ積極的に取り組んでいただきたい。

まとめ

・近年では、多くの就活生や求職者が、企業からの内定を受諾しても、これを留保したままで、自分にとってさらによい就職先を見つけることができるまで就職活動を継続するようになってきているため、内定辞退が発生するケースもある。

・内定者懇親会は、企業が新しい仲間として迎え入れる予定の内定者と、より親密なコミュニケーションを図るための内定者フォローの一種であり、実際に内定者とコンタクトをとって語り合うことのできる貴重な機会である。

・特に学生や応募者が関心を持っているのが、「仲間となる同期や社員などとうまくコミュニケーションとれるかどうかの問題」であるため、事前に内定者同士や社員と会話することができる内定者懇親会は内定辞退を防ぐ有効な施策となる。

・内定者懇親会のメリットは・双方向で直接コミュニケーションを取ることができることであり、・入社意欲向上につなげることができることである。
一方、内定者懇親会のデメリットは、・社風や社員との気が合わないと辞退につながることと、・過度な接触は逆効果になることである。

・オンラインによる内定者懇親会は、遠方に住んでいる内定者はわざわざ会社まで出向くという手間がなく、会社側も交通費というコストを削減できるという、内定者と会社の双方にメリットのある施策である。

・オンライン懇親会の一般的な流れは、1.挨拶と内定後のスケジュールの説明、2.参加者の自己紹介、3.アイスブレイク、4.グループワーク、5.フリートーク(飲み会・食事会)、6.質問会だ。全社的なイベントとしてぜひ積極的に取り組んでいただきたい。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

get_field('cf_general_profile_name', 39);

『MarkeTRUNK』編集部

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から
知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。
さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。
独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

関連記事 RELATED POSTS

関連資料ダウンロード RELATED POSTS

メルマガ会員登録で最新マーケティング情報やトレンド情報、セミナーイベント情報をチェック!

メールマガジンのサンプルはこちら