2022.11.11

コーチング・ティーチングとは?それぞれのやり方やメリットを解説

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部下を育成するためによく使われる手法が、コーチングとティーチングである。この記事では、これら2つの特徴や違いを紹介する。育成のためにコーチング・ティーチングに取り組む際のやり方や取り組むメリットも解説するため、あわせてチェックすれば一層効果的といえる。

コーチングとティーチングについて

「コーチング」と「ティーチング」は、部下を育成する方法としてよく話題になることがある。これら2つの言葉は似ているため、混同されがちである。しかし、コーチングとティーチングでは人材育成の手法や目的が異なり、それぞれの手法を有効に使えるケースも違うため注意が必要だ。

コーチングとティーチングの違いを理解して、適切に使い分けるようにしたい。

コーチングとは?

「コーチング」を会社で用いる場合には、上司が部下に対して目標達成につながるようにサポートすることを指している。

そもそも「コーチング(coaching)」とは、英語の「コーチ(coach)」に由来する言葉である。「コーチ(coach)」はもともと1500年代にできた言葉で「その人が望むところまで馬車で送り届ける」という意味で使われていた。

このことから「コーチ」という言葉が「相手が目標を達成できるようにサポートする」という意味を表すようになったのである。その後、個人や組織に対して目標達成に向けてサポートする存在として使われるようになっていく。スポーツや教育、マネジメントなどの幅広い分野でコーチという言葉の認知が広まり、浸透していったのである。

近年では、コーチングは企業や組織のマネジメントにおける人材開発やリーダー育成、組織開発のための手法として有名だ。

コーチングをする際は、基本的に指導する側から答えを教えたり、アドバイスすることはない。相手との対話を通じて、相手のなかにあるさまざまな考え方や行動の選択肢を引き出していくものである。相手に対して適切な質問をすることで、なるべく本人の力で目的を達成できるように手助けし、自発的な成長に導いていく。

ティーチングとは?

「ティーチング」とは、人材開発のために以前から一般的に使われている育成方法である。英語の「teach」に由来する言葉である。

teachという言葉を日本語にすると「教える」という意味になる。つまり、豊富な知識や経験を持っている人材が教えることによって、相手に必要な知識を習得させて成長を促していくことを指している。

学校教育は、ティーチングが実践されている最も身近な例といえるだろう。組織における人材育成や生涯教育などでも、学校で先生が生徒に教えるように、自分が持つ知識や経験、技術などを相手に教える指導法が取り入れられている。

ティーチングは、既に決まっているルールのような、共通の認識を相手に伝えたいときに適している。特徴としてはティーチングを行う場合、教える側からの一方通行のコミュニケーションスタイルをとる点がある。

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コーチングとティーチングの違いとは?

それでは、コーチングとティーチングにはどのような違いがあるのかをチェックしていこう。

コーチングとティーチングは、どちらも相手の能力を育成するために行うものである。先述のとおり、コーチングとは「相手のなかにあるさまざまな考え方や行動の選択肢を引き出していくこと」だ。これに対して、ティーチングとは「自分が持つ知識や経験、技術など、答えとなるものを相手に教えること」である。

そのため、コーチングとティーチングの相違点として「誰が答えを持っているのか」「実施する人が持つ役割」「メリット」「それぞれが有効なシーン」といった点がある。違いを具体的に列挙すると以下のとおりだ。

<誰が答えを持っているのか>
コーチング:コーチングを受ける相手
ティーチング:教える人

<実施する人が持つ役割>
コーチング:適切な質問を投げかけることで、相手のなかにあるさまざまな考え方や行動の選択肢を引き出すこと。アドバイスはしない。コーチングを受ける相手が気付けなかったような答えを出せるようにサポートしていく。

ティーチング:相手に対して自分が持つ答えを教える。スキルを教えたり、アドバイスをしたり、相手へ理解を促したりする。自分ができることを相手も同じようにできるようにサポートしていく。

<効果的な活用を期待できるシーン>
コーチング:課題を改善する方法や目標を設定する場合といったような1on1の面談で相手の考えを整理して答えが見つけられるようにサポートするケースで有効。対象者がある程度以上のスキルを持っていて、しかも緊急性は低くて重要度が高い内容について実施すると効果的である。

ティーチング:もともと決まった答えややり方があることを相手に習得させたい場合に有効。相手に新しい業務を教える場合など、短期間で一定水準に達するまで知識や技術を伝授したい場合に使う。

これらの特徴を理解して、両者を適切に使い分けることが効率の良い育成の鍵となるだろう。なお、コーチングとティーチングに取り組むそれぞれのメリットについては後述する。

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コーチング、ティーチングのやり方

続いて、コーチングとティーチングそれぞれのやり方もチェックしていこう。

コーチングとティーチングは、どちらかが優れているわけではない。それぞれに違ったメリットがあり、有効なシーンも異なるため、その場に応じて有効な方法を使い分けるようにするとさらに効果的である。

どのように取り入れるといいのかを理解して、業務で適切に活用できるようになろう。

コーチングの場合

相手の答えを引き出すことがコーチングの目的である。そのためコーチングをおこなう場合には、基本的に1対1での話し合いを通じて、相手の考えなどを引き出せるようにサポートしていくことが重要だ。正解を教えるのではなく、自発的に考えて答えを出せるようにすることで相手の自主性を尊重しよう。

コーチングでは、相手を信頼して実施することが大切だ。また、相手が行き詰まってしまった場合には、答えに近づけるように質問や疑問を投げかけて気付きを促すことも重要である。結果的に的外れな考えを導いてしまった場合にも、根気強く質問や疑問を投げかけるといいだろう。

ティーチングの場合

ティーチングは、自分の経験やスキルなどを相手に伝えていくのが目的である。再現性のある内容を教えることや、アドバイスをすること、気づきを与えることなどを目的に、相手に対して指導を行っていく。

ティーチングを実施する際は、指導する内容をできる限りわかりやすい情報へと言語化することが重要となる。相手がイメージしやすいことを意識して実施しよう。具体例を交えながら相手に手本を見せると、実際の現場でどのように対応すれば良いのかがイメージしやすくなるためおすすめである。

ティーチングの特徴として、教える内容に明確な答えがあるということがある。そのため、定期的に理解度を確認するためのテストを実施するといいだろう。理解できなかったのはどの部分なのかがはっきりすることで、復習しやすくなって理解度の向上につながるためおすすめである。

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コーチングとティーチングに取り組むメリットとは?

最後に、コーチングとティーチングに取り組むメリットについて、詳しくチェックしていこう。

<コーチングに取り組むメリット>
想像力を発揮するとともに考える習慣が身につく。自発性や応用力、目標達成まで粘り強く取り組む力、問題を自ら解決する力の向上につながる。また、見逃せない点として、相手が自分で考えることにより、自然とモチベーションが上がりやすくなることがある。

<ティーチングに取り組むメリット>
仕事において一定の再現性が求められる事項、例えば重要なスキルの習得や情報の伝達に関して、比較的短時間で相手に伝えることが可能である。コーチングでは相手との話し合いが大切であるのに対して、ティーチングでは大勢に対して一度に指導をおこなえる。グループのなかで共通した認識を持たせられる。

一方、コーチングとティーチングのデメリットは、以下のとおりである。

<コーチングのデメリット>
ある程度の時間が必要なため、スピードが大切な緊急事態には向かない。一度に複数人を相手に実施できない。指導する側のマネジメントスキルの高さによって効果に違いがあるうえに、指導を受ける側にもある程度の実力や経験値が要求される。

<ティーチングのデメリット>
指導者側が持っている経験や知識以上のものは伝えられない。相手が受動的になってしまいがちで、結果的に自分の頭で考える習慣が身に付きにくい。一方的な指導により、モチベーションを下げてしまう恐れがある。

それぞれにメリットとデメリットがあるため、シーンに合わせて効果的に使い分けられるようになろう。

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まとめ

「コーチング」と「ティーチング」は、部下を育成する方法としてよく話題になる言葉であり、混同されがちであるため注意が必要だ。両者の共通点には相手の能力を育成することが行うあるが、それぞれの手法の目的は、以下のとおり異なっている。

<コーチング>
相手のなかにあるさまざまな考え方や行動の選択肢を引き出していくこと

<ティーチング>
自分が持つ知識や経験、技術など、答えとなるものを相手に教えること

その他にも、コーチングとティーチングでは「誰が答えを持っているのか」「実施する人が持つ役割」「メリット」「それぞれが有効なシーン」が異なる。コーチングとティーチングの違いを明確に理解して、実際の企業活動で適切に使い分けられることを目指したい。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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