2022.4.21

採用コンセプトとは?重要性や作り方を解説!

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採用コンセプトとは「採用活動における指針」のことで、これを作成することによって採用活動に一貫性をもたせられるものだ。今回は採用コンセプトとはどのようなものか、その重要性や作り方などを解説する。作り方のポイントも併せて紹介するため、しっかりとチェックしていこう。

そもそもコンセプトとは

そもそもコンセプトという言葉は「概念」や「観念」、「全体を通しての骨格となる基本的な考え方」を意味している。実体と概念を組み合わせて物事の在り方を決定するものであり、「世界中で愛される+かわいい+猫」というように、物事がどのようなものかを詳しく定義するものである。

コンセプトとは「こうありたい」という目標のようなものではなく、「はじめから終わりまで一貫する考え方」、「考え方の軸」として使う言葉であり、企画を考える場合などに用いられることが多い。

決められたコンセプトによってビジネスの今後が左右されるといわれているほど、重要なポイントである。

コンセプトと混同しやすい言葉には「テーマ」がある。テーマとは「物事の主題、基調となる考え」を指し、コンセプトは「そのテーマをもとに進めていく際の指針となる概念」であるため、意味の違いに注意しよう。

コンセプトがあるとターゲットに刺さりやすくなること、やるべき内容が明確になること、ビジネスの成功確率が高まることが、ビジネスにとって重要だといわれる理由である。

採用コンセプトの重要性

コンセプトという言葉自体の意味を踏まえたうえで、採用活動で使われる「採用コンセプト」についても見ていこう。採用コンセプトとは「採用活動における指針」、「採用活動に一貫性をもたらすメッセージ」を指している。

採用コンセプトを知ると、企業が採用したい人材やどのような企業文化なのかを理解できるようになる。また採用コンセプトは、企業の内部でも周知しておくべき事柄である。

採用コンセプトをはっきりとさせて、社内の認識も社外への発信も同じように一貫性がある状態にすることで、ブレがない採用活動ができるのである。採用コンセプトとは、採用競合と差別化する意味でも重要なポイントだ。

これらを踏まえて、採用コンセプトの重要性をさらに深く掘り下げていこう。

一貫性のある採用活動を行うため

採用コンセプトは、一貫性のある採用活動を行うための重要なポイントである。

もしも採用コンセプトがなく、メッセージに一貫性がない状態でいる場合を想像してみよう。求職者がせっかく興味を持ったとしても、ホームページや就職サイト、会社説明会、選考における面接官などの印象がそれぞれバラバラだと、結局どういう会社なのかがわからなくなるだろう。この状態では信頼できると感じられず、記憶にも残りにくくなってしまう。

このように、一貫性があって信頼性の高いメッセージを届けられるようにするためには、採用コンセプトが重要なのである。

求職者に自社の理念・想いを簡潔に伝えるため

採用コンセプトが重要なのは、求職者に自社の理念や想いを簡潔に伝えるためでもある。採用コンセプトづくりは、企業の理念や価値観、独自の文化など、自社らしさが起点となっておこなうものだ。

採用コンセプトがあれば、採用活動に関わる社員の間で共通認識ができ、求職者に対してよりスムーズかつ正確に自社の理念や想いを伝えられる。あらゆる施策の指針となるものであるため、表現や制作物などを外部の制作会社に委託する場合でも、採用コンセプトをもとに自社の理念や想いに合ったものを作成できるだろう。

就職活動中に企業に求めることは求職者ごとに異なるものの、多くの人が気になりやすい企業の価値観や理念を伝えるためには採用コンセプトが重要だ。ただし、理念などは抽象的な情報でもあるため、端的でわかりやすく、かつ相手に伝わる表現にできると良いだろう。

採用競合と差別化するため

採用コンセプトは、競合他社と差別化するためにも重要なポイントだ。価値観や能力など、ターゲットとなる人材が競合他社と同じになるケースはよくあるだろう。そのような採用競合となる企業との違いをアピールし、自社の魅力を伝えるためにも、採用コンセプトは重要となるものである。

採用コンセプトによって、どのような企業でどういった採用基準があるのかがはっきりすると、採用のミスマッチも減る。企業にとっても求職者にとってもメリットが大きいといえるだろう。

関連記事:ミスマッチとは?企業やビジネスにおける定着率の高い組織をつくるための秘訣

採用コンセプトの作り方とは?その流れ

最後に、採用コンセプトを実際に作る際の流れを理解できるよう、作り方をチェックしよう。採用コンセプトの作り方は以下のとおりである。

・ フレームワーク等を活用し、外的・内的環境を洗い出す
・ 洗い出した内容から、求職者のニーズ・自社の共通項を見出す
・ 共通項を言葉に落とし込み、キャッチコピーや文章にする

具体的な内容は企業によって違いがあるものの、採用コンセプトの作り方自体は同じだ。一般的に人事部が採用コンセプトを作るケースが多いものの、経営層とも認識をすり合わせて策定すると良いだろう。

それでは、それぞれの流れにおける作り方やポイントを確認していこう。

フレームワーク等を活用し、外的・内的環境を洗い出す

まずはフレームワーク等を活用し、外的・内的環境をすべて洗い出していく。外的要因としては世の中の課題、競合企業との違い、脅威となるもの、またターゲットとなる求職者のニーズなどが挙げられるだろう。内的環境は自社の事業内容や価値観、理念、経営者の想い、企業風土、強み、弱みなどを端的な言葉で書き出すと良い。

フレームワークとは経営戦略や問題解決などに役立つもので、分析の仕方や共通の考え方、思考の枠組みという意味で使われている。採用マーケティングの分野では、自社の強みや弱み、ターゲットとなる人材、他社との差別化できる点などを洗い出す際に使われることが多いものだ。

採用に関連して使いやすいフレームワークは、以下のとおりである。

3C分析

「Customer(市場・顧客)」、「Competitor(競合)」、「Company(自社)」の3つの状況について分析をおこなう方法である。たとえば、まずはCustomerにあたるペルソナを設定し、自社目線ではなくペルソナ目線で競合や自社の強みなどを客観的に洗い出す。

4C分析

サービスや製品に対する詳細な顧客像を把握するためのフレームワークである。「Customer Value(顧客にとっての価値)」、「Cost(顧客の負担)」、「Convenience(顧客の利便性)」、「Communication(顧客とのコミュニケーション)」の4つについて分析をおこない、整理したものだ。

SWOT分析

自社を分析し、強みと弱みを理解するために有効なフレームワークだ。「Strength(強み)」、「Weakness(弱み)」、「Opportunity(機会)」、「Threat(脅威)」の4つの要素を分析する。

これらのフレームワークを活用し、外的・内的環境をすべて洗い出していこう。

関連記事:採用マーケティングで注目を集める「フレームワーク」とは?意味や概念、代表的な3つを簡単に解説!

洗い出した内容から、求職者のニーズ・自社の共通項を見出す

続いて、ターゲットが興味をもつ情報はどこなのか、特性をもとに分析する。前項で洗い出した内容から、求職者のニーズと自社らしさとの共通項を見出していく。

自社の強みや特徴を活かしつつ、求職者のニーズに応えられることとは何かを考えよう。ターゲットに刺さる内容で、自社らしく、かつ競合がいいにくいことを探すと良いだろう。

待遇や事業面だけで競合他社よりも飛びぬけて優れたポイントは見つけにくいと考えられるため、会社のミッション、ビジョンや社風などの要素を掛け合わせることがおすすめだ。

関連記事:ミッションとは?ビジョンとの違いやなぜ必要なのかを解説

共通項を言葉に落とし込み、キャッチコピーや文章にする

そして求職者のニーズと自社らしさとの共通項を言葉に落とし込み、実際にキャッチコピーや文章にしていこう。ターゲットにより刺さりやすい発信ができるよう、相手に伝わりやすく、より明確な言葉を考える。

そのためには、できる限り端的なスローガンと、わかりやすく相手に訴えかけるメッセージコピーをそれぞれ作ると良いだろう。キャッチコピーや文章にする際にはクリエイティビティも重要であるため、外部パートナーへの委託も検討しながら進めていくのがおすすめだ。

キャッチコピーや文章ができて採用コンセプトを作れたと思っても、まだ終わりではない。競合他社と同じようなアピールになっていないか、本当にターゲットに刺さる言葉にできているのかをチェックしよう。

ターゲットに刺さる言葉にできているのかを確認したい場合には、ターゲットにできるだけ近い社内メンバーや内定者などにチェックしてもらうと良い。複数の案を出して良いものを選択してもらうか、あるいは案に対する意見をもらうなどして、さらにブラッシュアップしていこう。

採用コンセプトが決定したならば、一貫性のある採用活動ができるように採用グループ内などで周知し、あらゆる場面で使う指針とする。

関連記事:就活生・求職者をグッとつかむ、採用「キャッチコピー」を作成するポイントは?実例7選もご紹介!

まとめ

そもそもコンセプトという言葉は、「概念」や「観念」を意味している。コンセプトとはこうありたいという目標のようなものではなく、はじめから終わりまで一貫した「考え方の軸」として使う言葉であり、企画を考える場合などに用いられることが多い。決められたコンセプトによってビジネスの今後が左右されるといわれているほど、重要なポイントである。

採用におけるコンセプトとは「採用活動における指針」、「採用活動に一貫性をもたらすメッセージ」を指している。求職者にとっては、採用コンセプトを知ると企業が採用したい人材やどのような企業文化なのかを理解できるようになる。

また、企業内でも採用コンセプトをはっきりと周知し、ブレがない採用活動ができるように、社内の認識も社外への発信と同様に一貫性のある状態にすることが重要だ。

基本的な採用コンセプトの作り方は以下のとおりである。

・ フレームワーク等の活用で、外的・内的環境を洗い出す
・ 求職者のニーズ・自社の共通項を見出す
・ 共通項を言葉に落とし込み、キャッチコピーや文章にする

これら採用コンセプトの重要性や作り方を理解し、実務に役立てていこう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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