2023.3.23

ラインマネージャーとは?意味や役割、求められる能力について解説

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現在のビジネス環境への適用のためにも、ラインマネージャーを高度なマネジメントが可能な人材に任せる必要性が高まった。今回は、ラインマネージャーとはどのような存在か、2つのポジション、役割などを紹介する。さらに求められる能力も解説するため、併せてチェックしよう。

ラインマネージャーとは

そもそもラインマネージャーとは、ライン組織の中でマネジメントを行う役割の人のことだ。ライン組織とは、指揮命令系統がツリー構造としてつながり、社長・部長・課長といったように役職順になった組織形態のことである。ライン組織のうち、部長や課長など、役職名のついた管理職がラインマネージャーに当たる。

それでは、ラインマネージャーの意味やプロジェクトマネージャーとの違いを詳しくチェックしていこう。

ラインマネージャーの意味

ラインマネージャーとは、ライン組織の中でマネジメントを行う、意思決定権を持つ管理職のことを指す。欧米では「ディレクトマネージャー」と呼ぶこともある。業務全体を統括する役割と、部下に対して指示を出す役割がある立場で、幅広いマネジメントを行う。

ラインマネージャーの種類は、ファーストラインマネージャーとセカンドラインマネージャーの2つだ。これらのポジションの違いは後述する。

近年、IT関連事業の増加やイノベーション、企業のグローバル化など、多くの変化があったことによってビジネスの課題が高度化かつ複雑化した。現在のビジネス環境に適応するためにも、より高度なマネジメント能力を持つ人材が、マネージャーとしてマネジメントを行う必要性が高まっている。

ラインマネージャーとプロジェクトマネージャーの違い

マネージャーには、ラインマネージャーだけではなくプロジェクトマネージャーなどもある。ラインマネージャーとプロジェクトマネージャーとの違いは、マネジメントをする対象や立場の差などだ。どちらも現場のマネジメントをする立場ではあるものの、プロジェクトマネージャーのほうが細かい部分を管理するポジションだと言える。

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの細部を含めた調整や、管理業務を一任されているポジションだ。定められた予算または納期でプロジェクトを進行できるように、必要な専門的知識を駆使してマネジメントを進めていく。このようにプロジェクトマネージャーとは、管理現場での作業を管理する責任者といった立場だ。

一方で、ラインマネージャーはさらに上の立場から、プロジェクトに関する全ての業務を管理する。ラインマネージャーは、プロジェクトマネージャーのフォローをすることもあり、業務内容もさらに多岐にわたっている。

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ラインマネージャーの2つのポジション

ラインマネージャーのポジションには、「ファーストラインマネージャー」と「セカンドラインマネージャー」の2つがある。

これら2つのポジションのうち、より上位の立場はセカンドラインマネージャーである。しかし、名前からすると「セカンド」よりも「ファースト」と付くほうが上位にイメージしやすいかもしれない。そのため、どちらがどのようなポジションなのかを理解しておくと良いだろう。

それでは、それぞれのラインマネージャーの概要についてチェックしていこう。

ファーストラインマネージャーとは

ラインマネージャーのうち、より現場に近い管理業務を実施している。ファーストラインマネージャーは、変化する現場の状況を理解した上で、最前線でチームメンバーや部下を直接指導し、具体的な指示を出してマネジメントをする現場指揮官に当たる役割を担っている。また、現場で発生する問題の解決策を考え、事業推進における判断をするなど、現場での業務に対する責任を負う。

このように、ファーストラインマネージャーは、上からの指示を基に現場をコントロールしつつ、現場における意思決定などを行う立場だ。また、部下の管理や育成、評価も担当する。部長・課長・係長などの役職がある既存の組織の中では、課長や係長クラスが近いと言えるだろう。

セカンドラインマネージャーとは

一方で、複数のファーストラインマネジャーを率いる立場である、より上位の管理者がセカンドラインマネージャーだ。部長クラス以上の役職の人がセカンドラインマネージャーに当てはまる。ライン組織全体の業務管理や労務管理、労働環境の管理、プロジェクト全体の管理などを任されるため、全体を俯瞰して広い視野を持つ必要がある。

ファーストラインマネジャー同士がつながりを持てるように助けることも重要だ。また、企業としてのコンプライアンスの遵守ができているかどうかをチェックする立場でもある。

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ラインマネージャーの役割

ラインマネージャーの役割は、それぞれのラインマネージャーの種類で異なる。ラインマネージャーの中でも、現場に近いところにいるファーストラインマネージャーには、以下の役割がある。

● 現場での意思決定
● 部下の管理
● 部下の育成と評価

セカンドラインマネージャーの役割は、以下の通りだ。

● 組織全体に対するマネジメント
● 労働環境の構築
● コンプライアンスの遵守

それぞれチェックしていこう。

ファーストラインマネージャー

ファーストラインマネージャーの役割は、以下の通りだ。

<現場での意思決定>
現場で課題やトラブルがあったときに適切に対処して素早く解決できるよう、解決策を考える役割がある。近年ビジネス環境の変化が激しいため、現場にいる従業員で判断できる状態にする必要性が高まった。意思決定のスピードを早くできるように、ファーストラインマネージャーの意思決定権の範囲が拡大していく可能性がある。

<部下の管理>
部下の業務管理や、上層部からの指示を基に部下に具体的な業務の指示を行い、コントロールする役割がある。また、上層部に対して現場からのフィードバックを伝えることも重要だ。

<部下の育成と評価>
ジョブマネジメントにおける採用や育成は、ファーストラインマネージャーに大きな責任がある。育成のためのトレーニングや、適切な評価を下すことなどの役割を果たす。

セカンドラインマネージャー

セカンドラインマネージャーの役割は、以下の通りだ。

<組織全体に対するマネジメント>
組織全体を対象にマネジメントし、組織としての目標を達成する役割を求められる。プロジェクト全体の構築やスムーズな運営、目標達成に向けたパフォーマンスの高い組織体制作りを行う。

組織全体を良い方向へ導くマネジメントができるよう、ファーストラインマネージャーと連携する。また、複数のファーストラインマネジャーを取りまとめ、それぞれの間のコミュニケーションを取り持つことも大切だ。

<労働環境の構築>
社員が働きやすい風土や、能力を発揮しやすく高いモチベーションを維持できるような労働環境の構築も重要な役割である。セカンドラインマネージャーはファーストラインマネージャーよりも上位の立場であり、部下の数が非常に多い。そのため、部下一人ひとりを見てマネジメントしていくことは難しいが、組織全体を俯瞰して全体での労働環境を確立する。

<コンプライアンスの遵守>
企業としてのコンプライアンスの遵守もセカンドラインマネージャーの役割だ。組織としての成果を出すだけではなく、コンプライアンスの遵守、長時間労働とハラスメントの防止などを行い、企業価値を高めていく。

関連記事:人材育成の主な課題、目標設定の考え方とは?マネジメント方法について解説

ラインマネージャーに求められる能力

ラインマネージャーに求められる能力は、以下の通りだ。

<業務統括能力>
ラインマネージャーには、自身で細かな実務ができる能力よりも、業務全体を俯瞰して組織全体を統括する能力が必要である。プロジェクトの構成や進捗状況の管理、トラブル時の対応などができることを求められる立場だ。緊急度の高い業務と重要度の高い業務を判別し、効率的にチームメンバーを動かせるかどうかも、ラインマネージャーにとって大切である。

<危機管理能力>
何かトラブルが起こったときに、被害を最小限にできる危機管理能力の高さも必要だ。想定外のトラブルが起こっても柔軟で迅速な意思決定ができること、リスクを回避できるように先回りして動く能力があることなどが求められる。

<リーダーシップ>
様々な指示を出して部下を動かすこととなるラインマネージャーには、リーダーシップも重要だ。チーム全体をまとめ上げ、部下を牽引できることが求められる。また、部下に信頼されるリーダーになるために、共感力も必要である。

<コミュニケーション能力>
ラインマネージャーは上層部と部下との間に立つため、どちらとも上手く信頼関係を作れることが重要だ。部下の個性に合わせて上層部からの指示を伝えたり、上層部に現場からのフィードバックを伝えたりなど、どちらともしっかりとコミュニケーションを取れる能力が求められる。

<人材育成能力>
優秀な人材を育成できるかどうかは、現場の近くでマネジメントを行うラインマネージャー次第だと言えるため、人材育成能力も欠かせない。細かく業務を指示するだけではなく、部下がスキルアップできるように有益なアドバイスをして、高い業務知識や技術を養うことが大切だ。

関連記事:統率力とは何か?リーダーシップやマネジメントとの違い、身につける方法

まとめ

ライン組織のマネジメントを担う人をラインマネージャーと呼ぶ。ファーストラインマネージャーは、より現場の近くでマネジメントを行い、現場における意思決定や部下の管理などを任される。一方のセカンドラインマネージャーは、さらに上位として組織全体に対するマネジメントなどを実施するなど、それぞれで立場の違いがある。

また、ラインマネージャーには業務統括能力や危機管理能力、コミュニケーションスキルなどの能力が求められる。今回ご紹介した内容をしっかりと理解し、実際の企業活動で活用していこう。

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監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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