2022.8.29

人材育成の主な課題、目標設定の考え方とは?マネジメント方法について解説

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人材育成について悩んでいるマネジメント層は少なくないだろう。人材育成とは、会社の発展や成長に貢献できる人材を育成することだ。自社の理念に沿った目標を設定し、その目標に向かって進めることが、正しい人材育成の方法といえる。

この記事では、人材育成に取り組む目的や主な課題、目標設定時の考え方について解説する。

人材育成とは?

人材育成とは、企業の発展や成長に貢献できる人材を育てることである。業務の進め方を教えるのではなく、主体的に動ける人材に育てることが必要だ。教育であれば、教育される側に主体性を求めることはない。

しかし、育成とは企業を成長させるための人材を育てるものであるだけに、業務をこなす人材を育てるのではなく、自ら考えて行動できる人材を育てるのだ。人材育成はマネジメントにおける大きな役割のひとつといえるだろう。

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取り組む目的やメリット

人材育成に取り組むことで、会社の成長につなげられる。自社の理念や経営戦略に沿った目標に向かって進めることで、スキルを向上させながら会社の成長に貢献できるのだ。

また、従業員エンゲージメント・ワークエンゲージメント向上も人材育成に取り組む目的といえる。ここでは、人材育成に取り組む目的やメリットについて解説する。

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会社を成長させるため

人材育成に取り組む目的は、会社を成長させることだ。前述したように、人材育成とは企業の成長に貢献できる人材を育成することである。そのため従業員の目標は、自社の理念や経営戦略に沿ったものになるはずだ。

つまり、人材育成に取り組むことで、自社の理念や経営戦略を踏まえた育成をすることになる。人材育成をすることが、結果的に会社の成長につながるというわけだ。

スキルアップのため

人材育成に取り組む効果として、スキルアップも挙げられる。人材育成とは業務の進め方を教えることではないということは前述のとおりだが、それは本質的な話だ。目標に向かって進めていくにあたり、不足しているスキルがあれば研修や教育を受ける必要がある。

なぜなら、業務を進める力を持ち合わせていなければ、目標を達成することはできないためだ。目標達成を目指すプロセスとして、スキルアップの効果があるといえるだろう。

従業員エンゲージメントを向上させるため

従業員エンゲージメントの向上も、人材育成に取り組む目的のひとつだ。従業員エンゲージメントとは、会社の理念に対する共感や信頼、貢献意欲を表す指標である。

会社の成長に貢献する人材は、会社への貢献意欲を持った人材だろう。自社の理念や経営戦略に沿った人材育成をすることで、自社の理念への理解が深まるはずだ。

研修で他部署の従業員との交流が生まれれば、従業員同士の絆も深まるだろう。社内でのコミュニケーション活性化にもつながり、帰属意識や貢献意欲も高まるのだ。

人材育成における主な課題

多くの企業において、人材育成を進めるうえで課題となる事象が存在する。既存業務の遂行が最優先となり、人材育成に取り組む余裕がないケースはよくある課題だろう。

明確な人物像がないことや、評価制度と連動していない場合は、人材育成に取り組むモチベーションが上がらなくなる。また、そもそも育成する側の能力が不足しているため、人材育成がうまくいかないケースも存在する。

どのケースも人材育成に対する準備不足や、必要性を従業員に共有できていないことが問題といえるだろう。ここでは、それぞれの課題について解説する。

取り組む余裕がない

人材育成における課題として、人材育成に取り組む余裕がないことが挙げられる。この場合の余裕とは、時間と労力の双方である。人材育成を実施するには、育成計画や研修プログラムの作成、関係者のスケジュール調整といった準備が必要だ。

実施後も、効果検証や計画の見直しなど、時間と労力が必要になる。人材育成の担当者は、ほかの業務と兼任していることが多いだろう。その場合、ほかの業務を優先せざるを得ない事情により、人材育成に取り組む時間を確保できないケースがある。

中途半端に取り組んでいては、人材育成は成功しない。人材育成を必要な課題と認識し、時間を確保したうえで取り組むことが大切だ。

明確な人物像がない

明確な人物像(ペルソナ)がないことで、人材育成がうまくいかないケースが存在する。人材育成において、人物像を明確にすることは欠かせない要素だ。ここでは、会社が求める人材と従業員の目標をリンクさせる必要がある。

そのためにも「どのようなスキルが必要なのか」、「どのような人物を求めているのか」を明確にし、会社と従業員とで目指すべき人材のイメージを共有することが大切だ。

目指すべき人物像のイメージを共有することで、従業員は目標に向かってポジティブに取り組めるだろう。部署や職種、ランクに応じて、求める知識やスキルを設定しておけば、より具体的に目標を認識できるはずだ。

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評価と連動していない

評価と連動していない場合も、人材育成がうまくいかないケースのひとつだ。どんなに人材育成に取り組んでいても、評価に結びつかなければ、従業員は企業に対して不信感を持ってしまうだろう。

これは育成される側だけの話ではない。育成する側にとっても、人材育成の成果に対する評価が連動していなければ、育成する意味を見出せなくなるだろう。育成よりも自分の成果を優先する従業員がいてもおかしくない。

このような状況になるのを防止するためには、人材育成における評価基準を明確にし、人事評価における人材育成の割合を高くすることが必要だ。人材育成が社内で評価されることを伝えれば、育成する側とされる側のどちらもモチベーションを高くして取り組めるだろう。

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育成する側の能力が不足している

人材育成がうまくいかない原因として、組織の一体感がなく、それぞれの業務が独立している企業風土になっている場合がある。このような企業風土の会社の場合、人材育成を担当するマネジメント層自体が、人材育成に必要なスキルを有していないケースがある。

効果的な人材育成を実施するためには、マネジメント層に対する教育を実施したうえで人材育成に取り組むことが大切だ。しかし、業務の多忙を理由に、マネジメント層が教育への参加を渋るケースも存在する。

本来、人材育成はマネジメント業務のひとつであり、そのスキルを習得するための機会を逃すことがあってはならない。そのような事態を発生させないためにも「マネジメント層の既存業務の負担を減らす」、「人材育成の必要性を理解してもらう」といった働きかけが必要である。

目標設定時の考え方・ポイントは?

人材育成での目標設定時の考え方として、自社の目標や人事評価との連動を忘れてはならない。あくまでも人材育成とは、自社の成長に貢献できる人材を育成することなのだ。

目標を設定するときは、定量的な目標を設定することもポイントだ。目標を定量的に設定することで達成率が測定でき、モチベーションを高くして取り組めるだろう。また、従業員自身で目標を立てられるような取り組みをすることも、人材育成には有効だ。

ここでは、目標設定時の考え方やポイントについて解説する。

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会社の目標と連動させる

人材育成における目標設定時の考え方として、最初に自社の目標を確認することが大切だ。人材育成とは、自社の成長に貢献できる人材を育てることである。従業員の目標は自社の目標と連動していなければならない。

そのためには、上位目標である「自社の目標」を確認し、その目標を達成するための目標を設定する必要があるのだ。例えば、自社の売上目標が10億円であるならば、自部署の売上目標は2億円、個人の目標は1,000万円といったように設定する。自社の目標から逆算して目標を設定していくことに従業員も納得できるはずだ。

また、人事評価制度との連動も忘れてはならない。目標の達成率に応じた評価基準を決めておくことで、評価に対する不信感がなくなり、モチベーションの向上につながるだろう。

定量的な目標を設定する

目標設定では自社の目標と連動させたうえで、具体的かつ定量的な目標を設定することもポイントだ。「売上高1,000万円」「A工程の工数を前年比30%削減する」「顧客を5件増やす」といった定量的な目標を設定することで、目標が具体的になる。

これを「売り上げを向上させる」「工数を30%削減する」といった目標にした場合、どうなったら目標達成となるのかがわからない。「工数を30%削減する」という目標は、一見定量的な目標にも見えるが、比較対象が明確ではないため具体的とはいえないのだ。第三者が見ても理解できるような目標を設定することが大切といえる。

また、高すぎる目標もモチベーションを下げる原因になる。従業員一人ひとりのスキルや適性を理解し、達成できそうな目標を設定することで、従業員は高いモチベーションで取り組めるのだ。

自主的に取り組んでもらう

自主的に取り組んでもらうこともポイントだ。人材育成は育成する側とされる側の立ち位置がはっきりしている。そのため、一方的に目標を押し付けられた場合、従業員に「やらされている感」が生まれる可能性がある。「やらされている」感覚を取り除き、仕事に対する従業員一人ひとりの向き合い方を見直すことはジョブ・クラフティングという考え方であり、人材育成で注目されている。

やらされている感を生まないためにも、目標を従業員自身に立てさせ、自主的に取り組んでもらうことが大切だ。従業員自身に目標を立てさせるためには、まず従業員自身が自分の役割を自覚している必要がある。そのためには、キャリアデザイン研修といった教育を実施し、従業員にキャリア設計を考えさせるような取り組みも有効だろう。

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まとめ

人材育成とは、自社の発展や成長に貢献できる人材を育てることだ。業務をこなす人材を育てるのではなく、自ら考えて主体的に動ける人材を育てることが人材育成といえる。

人材育成に取り組むことで、従業員のスキル向上だけではなく、エンゲージメントの向上や自社の成長につながるだろう。ただし、多くの企業では人材育成を進めるうえで問題となっている事象が存在する。どのケースも、準備不足や人材育成の必要性を従業員に共有できていないことが問題といえる。

人材育成で目標を設定する際の考え方として、自社の目標や人事評価との連動を忘れてはならない。定量的な目標を設定することもポイントだ。目標を定量的に設定することでモチベーション高く取り組める。

人材育成の定義や目標設定のポイントを理解し、準備をしたうえで取り組むことで、人材育成が成功する確率が高まるだろう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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