2022.7.15

チームビルディングとは?その目的と効果、企業事例5選を解説

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チームビルディングとは、組織のメンバーが能力を発揮したうえで共通の目標に向かう組織を作ることだ。チームビルディングを進めることでコミュニケーションが活性化し、生産性向上につながるだろう。

この記事では、チームビルディングの目的や効果、進め方、企業事例について解説する。

チームビルディングとは?

チームビルディングとは、メンバーそれぞれが自身の能力を発揮しながら、共通の目標に向かって取り組む組織を作ることだ。ビジネスの現場では、目標達成のためにチームで業務に取り組むことは一般的なことである。

チームとして高いパフォーマンスを発揮するためには、メンバーの方向性を揃え、能力を最大限に発揮することが必要だろう。そこで注目されているのが「チームビルディング」である。

チームビルディングは業務の生産性向上につながる効果もあるため、チームビルディングを目的とした研修やプログラムを導入する企業が増えてきた。チームビルディングのための研修やプログラムは企業によって異なるものの、多くの企業では以下の取り組みを実施している。

1.ワークショップ

与えられた課題に対し、チームで解決を図る取り組み。メンバーの考え方や人柄への理解や、問題解決に対する態度や切り口を知ることができる。グループディスカッションが多く取り入れられている。

2.アクティビティ

レジャーやスポーツに取り組むことで、業務だけでは生まれないコミュニケーションが発生したり、意外な一面を見ることができる。チームの一体感を生みだすのに効果的な手法といえるだろう。

3.ゲーム

メンバーでゲームをすることで、コミュニケーションを活性化させる。ゲームの内容次第では、論理的思考力を養えるものも存在する。チーム発足時の雰囲気づくりに効果的な手法といえるだろう。

近年ではリモートワークが進んだことで、対面でのチームビルディングが難しくなっている。しかし、ワークショップやゲームはオンラインで実施することも可能だ。対面の機会が減っているからこそ、チームビルディングへの取り組みで、コミュニケーションを活性化することが求められているのではないだろうか。

関連記事:テレワーク・リモートワーク時代のチームビルディングを進めるために大切なこととは

チームビルディングの目的・効果

チームビルディングの目的は、コミュニケーションの活性化による目標達成である。多様性あるメンバーで構成されたチームで一体感を作り出すことでメンバー間の能力が補完され、パフォーマンス向上につながるのだ。

ここでは、チームビルディングの目的や効果について解説する。

チームビルディングに取り組む目的

チームビルディングに取り組む目的は、コミュニケーションの活性化による目標達成だ。近年では、働き方や価値観の多様化が進んだことで、さまざまな雇用形態や特性を持つメンバーが混在しているチームが増えてきている。

メンバーの個性や能力を活用するためには、メンバー間のコミュニケーションの活性化は欠かせないものだ。さまざまな考えを持つメンバー同士で方向性を統一し、協力しあうことで、変革が起こりやすい風土を作ることができるだろう。

チームビルディングは、新しいプロジェクトや年度のスタートで取り組まれることが一般的だ。新しいチームでチームビルディングに取り組むことで、コミュニケーションが活性化し、目標達成に向けた一体感を作りだせるだろう。

チームビルディングによる効果

チームビルディングによる効果は、チームのパフォーマンス向上だ。チームは単なる個人の集合ではない。メンバー同士でお互いの強みや弱みを補完しあうことで、チームとしてのパフォーマンスは足し算以上のものになるのだ。

個人では達成できない目標でも、チームとして取り組むことで実現させることができるだろう。チームビルディングによって、メンバーの考え方や価値観を理解できれば、メンバー同士の信頼関係は深まる。

お互いが協力し合う関係になることで、チームとして成果を出す楽しさや達成感を味わうことにもなるはずだ。それにより個々のパフォーマンスも相乗効果で高まり、生産性向上にもつながるだろう。

チームビルディングの進め方

チームビルディングの進め方として一般的なのは「タックマンモデル」だろう。これは、アメリカの心理学者「ブルース・タックマン」により開発された考え方だ。チームビルディングにおけるチーム状態を5段階に分け、段階ごとにどのような取り組みが必要なのかを把握することで、チームビルディングを効果的に進めていけるのだ。

ここでは、タックマンモデルをもとにしたチームビルディングの進め方について解説する。

画像:チームビルディングの進め方_タックマンモデル

形成期

形成期はチームが発足されて間もない段階だ。メンバー同士での理解はなく、目標も浸透していないため、受動的な状態といえる。この段階ではチームとしての成果は期待できない。

形成期では、メンバー同士でお互いを理解するような取り組みが必要だ。ゲームやアクティビティといったイベントでメンバーの特徴を理解すると良いだろう。同時に、会社やチームの目標を浸透させることも重要である。

混乱期

混乱期は、メンバー同士で対立が生まれやすくなる段階だ。形成期に比べコミュニケーションが発生することで、メンバー同士で言い合える関係ができる。意見交換の機会が増えることで、意見の食い違いや考え方の違いによる混乱や衝突が生じるのだ。

この段階では、心理的安全性の確保と方向性の統一が必要だ。対話を重ねてお互いの考えを理解し、尊重しあうことで、チームへの安心感が生まれるだろう。そして、チームの目標を再認識させれば、チームとしての方向性を一致させることができるのだ。

そのためには、前向きなコミュニケーションを忘れないことが大切といえる。

統一期

統一期はチームとしての形が定まる段階だ。各メンバーがお互いの考え方を受け入れ、チームの目標や指針を理解することで、個人の集まりからチームに変化していく。

この段階では、目標や課題に対する役割分担が必要だ。メンバーの特性を活かしたうえで、チームとしての対策や役割分担をすることで、メンバー全員が能動的に動けるようになるだろう。

機能期

機能期はチームとして機能している段階だ。メンバーが自分の役割や責任を理解し、能動的に動いている。周りの動きも把握しているため、メンバー同士でフォローしあうこともできているだろう。

メンバーがチームの目標達成のために能動的に動くことで一体感が上がり、成果が出始めているはずだ。この状態を持続するためには、アクティビティの実施やマネージャーからメンバーへのサポートが効果的だろう。

散会期

散会期はプロジェクト終了や異動により、チーム活動が終わる段階だ。この段階でどうなっているかで、チームビルディングが成功したかどうか判断できる。メンバー同士で称えあったり、名残惜しんだりといった様子が見られるのであれば、チームとして一体感を作れたといえるだろう。

チームとしての知識やノウハウといった「集合知」を会社に残せたかどうかもポイントだ。チームとして取り組み、それを会社に還元することで、はじめてチームビルディングが成功したといえる。どんな方法で集合知を残すのかを決めておくとよいだろう。

チームビルディングに取り組んだ企業事例

チームビルディングの方法は多種多様だ。目的や環境、メンバーの特性によって取り組み方は異なる。ここでは、チームビルディングに取り組んだ企業事例を紹介する。事例を知ることで、自分のチームに適したチームビルディング構築への参考になるだろう。

株式会社オリエンタルランド

ディズニーリゾートの運営で有名なオリエンタルランドでは、カヌーレースを開催することでチームビルディングに取り組んでいる。年に1回、数千人もの従業員が集まり、チーム対抗レースを開催するのだ。

オリエンタルランドは従業員数が多く、普段関わりがない従業員も多く存在する。このレースを通じ、普段関わりが少ない従業員ともコミュニケーションをとることで、会社としての一体感を生むことにつながるのだ。

ソフトバンクグループ株式会社

ソフトバンクでは、ワークショップの開催によりチームビルディングに取り組んでいる。新入社員の団結力向上がその目的だ。1チーム5名程度で分かれたチームで、新規事業を考案するというテーマについてディスカッションを実施する。

1週間の期間を与えられ、時間の使い方も自由。与えられた裁量が大きいため、課題達成に向けた団結力が必要になるのだ。コロナ禍においては、このワークショップはZoomで開催している。

一見オンラインでのチームビルディングは困難にも感じるが、オンラインならではの利点も存在する。画面共有機能を使いながら議論や資料作成することで、効率的に進められるのだ。発表も大勢の前でする必要がないため、心理的安全性も確保できる。

オンラインでも工夫や考え方次第で、チームビルディングができることを証明したといえるだろう。

株式会社メルカリ

フリマアプリというジャンルを構築し、急成長を遂げたメルカリは、自己紹介に力を入れることで、チームビルディングに取り組んでいる。自己紹介に与えられた時間は、質疑応答も含めひとり30分。バックグラウンドや考え方を知ることで、メンバー同士の理解を深めることが狙いだ。

また、おもちゃの「レゴ」で作った作品に対し解説や品評を入れることで、コミュニケーション構築を図っている。考え方やこだわりを知ることができ、新しい発見につながるのだ。

手を動かしながら話せることで、リラックスした雰囲気も作れる。心理的安全性を確保できる意味でも、効果的なチームビルディングの手法のひとつといえるだろう。

株式会社LIFULL

LIFULLにはチームビルディング制度が存在する。半年〜1年に一度、半日〜1日単位でチームメンバーと交流する機会を設けているのだ。コロナ禍において、リモートワーク主体になったことをきっかけに、チームビルディングもリモートで実施している。

しかし、リモートワークが主体となることで「2段階上の上司と会話をしたことがない」「他部署の知り合いがほとんどいない」といった問題が発生している。そのため「共通点探しゲーム」のような、心理的な距離を縮められるゲームを取り入れることで、リモート時代のコミュニケーション不足を補完しようとしているのだ。

リモート時代におけるチームビルディングは多くの企業が抱える課題といえるだろう。

ウォンテッドリー株式会社

ビジネスSNS「Wantedly」を運営するウォンテッドリーは「People & Cultureチーム」を発足することで、チームビルディングに取り組んでいる。「夢中になって仕事をする人であふれた組織を作ること」を目的に、各チームから有志でメンバーを集めた。

趣味のやり取りをするSlackチャンネルの整備や、組織図の常時アップデートといった取り組みで、コミュニケーションを活性化させている。コミュニケーションを活性化させるためのチーム発足はリモート時代におけるチームビルディングの参考になるだろう。

まとめ

チームビルディングとは、メンバーそれぞれが自身の能力を発揮しながら、共通の目標に向かって取り組む組織を作ることを指す。チームとして成果を出すためには、メンバーの方向性を揃え、能力を最大限に発揮することが必要だ。

そこで必要な取り組みがチームビルディングだ。チームビルディングの目的は、コミュニケーションの活性化による目標達成である。チームで一体感を作り出すことで、多様性あるメンバーの能力が補完され、パフォーマンス向上につながるのだ。

近年ではリモートワークが進んだことで、コミュニケーションの機会が減少しているのは事実だ。対面でのチームビルディングが難しくなっているという声もあるだろう。しかしチームビルディングはオンラインで実施することも可能だ。

対面の機会が減っているからこそ、チームビルディングへの取り組み方を見直すことが求められているのではないだろうか。チームビルディングの進め方や企業事例を参考に、自チームに合ったチームビルディングを模索しよう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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