2023.2.10

採用アウトソーシング(RPO)の特徴と導入に向いている企業を解説

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近年、人材獲得競争の激化によって採用担当者の業務負担が増加したことで、採用アウトソーシング(RPO)が注目を集めている。今回は採用アウトソーシング(RPO)を解説する。活用企業が増える背景や依頼できる業務とメリット・デメリット、注意点も紹介するため、あわせてチェックしよう。

採用アウトソーシング(RPO)とは?

そもそも採用アウトソーシング(RPO)とは、採用活動で企業が行う業務を代行するサービスのことである。RPOは「Recruitment Process Outsourcing」を省略した言葉だ。採用アウトソーシング(RPO)は、採用代行と呼ぶこともある。

近年は採用競争が激化しており、採用手法も多様化している。これにより、採用活動がうまくいっていない企業やプロの力を借りてより良い採用を行いたい企業などは、採用アウトソーシング(RPO)を活用すると役立つだろう。

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採用アウトソーシング(RPO)が増加している背景とは?

採用アウトソーシング(RPO)の利用が拡大している背景として、大きく分けると以下のような理由がある。

● 人材獲得競争の激化
● 人事担当者がコア業務に集中する必要性の高まり
● IT化の進展による採用チャネルや採用手法の複雑化

近年、採用市場における人材獲得競争が激化している。日本でも転職が依然と比較しても一般的になったことによってキャリア観が多様化したこともあり、以前よりも採用の難易度があがっている。さらに少子高齢化による根本的な人材不足も、採用が難しくなっている要因のひとつだ。

そのような状況下で優秀な人材を獲得するために、企業では採用力を強化する必要性が高まっている。しかし、IT化の進展によって近年の採用市場は変化が激しく、採用チャネルや採用手法が複雑になっているという問題もある。従来の採用実績データやノウハウでは、難易度があがった今の市場における効果的な採用が困難なのだ。

近年、ダイレクトリクルーティングの活用が進んでいる。これにより、求人採用媒体を利用した全体に向けた発信だけではなく、個別の求職者に対するアプローチの必要性が高まっている。また、さまざまな媒体を活用して優秀な人材を集めなければならなくなったことで、関連業務が増加した。

これらの変化によって、人事業務における負荷が増大している。さらに、応募者の選考や内定者に対する入社の意思決定までのフォローアップも必要であるため、採用者1人当たりに割く時間が増えているのだ。

さらには、採用戦略の策定や重要面談などのコア業務もあり、採用担当者の人的リソースが足りなくなってしまう。手に負えないほどの業務量によって、本来集中すべきコア業務に注力できず、業務に支障が出てしまいかねない。

しかし、限られたリソースしかなく、人事部の増員が難しい企業が多いだろう。このような背景から、採用アウトソーシング(RPO)を活用する企業が増えている。採用アウトソーシング(RPO)によって、採用担当者の負荷を軽減してコア業務に専念できるようにしたり、採用力の強化による採用成功率アップにつなげたりしているのだ。

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採用アウトソーシング(RPO)で依頼できる業務とは?

採用アウトソーシング(RPO)では、専門のスキルやノウハウのある外部パートナーに業務の対応を任せることで、効率化や質の向上を図れる。このようなサービスを提供している企業はさまざまであるため、依頼できる業務内容も多岐にわたっているのが特徴だ。

なかには、採用計画や採用戦略の立案など、採用コンサルティングとしてもサポートしている企業がある。つまり、採用アウトソーシング(RPO)は、ノンコア業務だけではなく、コア業務代行も任せられるのだ。

ただし、一般的な採用アウトソーシング(RPO)では、採用コンサルティングまでは扱っていないことが多い。また、採用アウトソーシング(RPO)を任せる企業側としても、自社社員が採用のコア業務に集中するためにノンコア業務を外注するケースがほとんどだ。

ノンコア業務にはメール配信や日程調整、応募情報の入力などがある。コア業務には募集計画の立案や面接、面談の実施といったものが該当する。自社社員で対応しなくても大きな差のないような業務を任せることが多いが、採用経験が少なくてノウハウのない企業などが、採用成果に直結するようなコア業務までを任せることがある。

採用計画の立案などの業務まで依頼したい場合には、採用コンサルティングが得意な代行会社に任せるのがおすすめだ。

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採用アウトソーシング(RPO)のメリット・デメリット

それでは、採用アウトソーシング(RPO)について、メリットとデメリットの両面からチェックしていこう。

採用アウトソーシング(RPO)のメリットには、社内リソースの効率的な運用の実現や採用の質の向上などがある。一方、採用アウトソーシング(RPO)のデメリットは、採用ノウハウが蓄積されないことなどだ。

それぞれについて詳しく解説していく。

(1)メリット

採用アウトソーシング(RPO)には、大きく分けると以下のようなメリットがある。

● 社内リソースの効率的な運用の実現
● 外注業者のノウハウをいかした採用の質向上
● 採用コストの低減

先述のとおり、採用担当者の人的リソースが足りなくなってしまうことで、本当に注力すべき業務に集中できない企業が多い。そこで、誰が実施しても大きく差の出ないような業務に採用アウトソーシング(RPO)を活用すれば、企業として大切にしたい人材の見極めなど、重要な業務に社内リソースを回せるようになるのだ。

採用を専門とするプロの目線から、豊富な採用ノウハウをもとにした意見を聞けることもメリットだ。さまざまな企業から相談を受けて解決に導いてきたプロの意見を取り入れることで、効果的に自社の採用の質を向上させられるだろう。

また、外部のチームに業務を任せることにより、採用担当者の採用工数を減らし、コストの適正化にもつながるといわれている。採用担当者の人的リソースが足りずに新しく人を雇った場合、人件費と教育コストが必要だ。そのため、うまく業務を任せることで、採用コストの低減につながる可能性がある。

(2)デメリット

一方で、採用アウトソーシング(RPO)にはデメリットもあるため注意が必要だ。デメリットには、大きく分けると以下のようなものがある。

● 自社には採用ノウハウが蓄積されないこと
● 外注業者と十分に連携しないと、採用人材のミスマッチが生じるリスクがあること

採用アウトソーシング(RPO)に大多数の業務を任せていた場合、採用に成功しても自社には採用ノウハウが蓄積されなくなってしまう。その後、業務を任せずに自社で対応しようとしても、同等の採用力を維持できなくなってしまう恐れがあるのだ。業務を任せた場合であっても、担当者とはしっかりとコミュニケーションをとり、ノウハウを蓄積できる状態にしておこう。

また求職者との面接まで依頼した場合には、実際の企業の社員と求職者との交流が図りにくくなり、採用後のミスマッチにつながってしまう恐れがある。採用に直接かかわるコア業務を委託するのであれば、自社のアピールポイントや求める人材像などの認識を代行会社としっかりすり合わせておこう。

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採用アウトソーシング(RPO)を利用する際の注意点

このように、採用アウトソーシング(RPO)は採用力の強化や採用担当者の人的リソースの最適化につなげられるものの、デメリットもあるため注意が必要だ。採用アウトソーシング(RPO)を利用する場合には、以下のようなポイントに注意しておこう。

● 依頼する業務の明確化
● スムーズなコミュニケーションが可能であるかどうか
● 自社の採用ニーズと外注先企業の得意分野とが合致しているか

採用アウトソーシング(RPO)に依頼できる業務は多岐にわたるため、大多数の業務を丸投げすることも可能である。しかし「あとはお願いします」ではなく、当事者意識をもっておくことが重要だ。また「自社内での業務」と「外部パートナーに依頼する業務」との分担を、依頼する前に明確にしておくようにしよう。

業務に応じて適切に対応するには双方のコミュニケーションも重要となる。採用アウトソーシング(RPO)のサービスを選ぶ際は、コミュニケーションをしっかりととれる体制が整っているかどうかを確認しよう。

また、依頼したい業務に対応しているか、外注先企業の得意分野にあてはまるかなどもチェックする。有能な応募者を確保できるように、実績が充分にあるのかどうかもあわせて確認しよう。実績を確認する際は、操業年数や年間利用数だけではなく、自社の業種や職種、同等の企業規模における実績も含めて検討するのがおすすめだ。

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採用アウトソーシング(RPO)の導入に向いている企業とは?

採用アウトソーシング(RPO)の導入に向いている企業には、大きく分けると以下のような特徴がある。

● 社内に採用ノウハウが乏しい
● 採用活動を強化したい
● 募集職種が多い
● 採用活動を急いでいるなど、採用担当者の人的リソースが足りない

たとえば、ダイレクトリクルーティングをはじめて実施する場合など、社内に採用ノウハウが乏しい状態の企業は、採用アウトソーシング(RPO)の導入に向いている。今までの採用活動で十分な結果が得られていない企業も含め、採用のプロが採用活動をサポートすることで、効果的な採用ができるようになるだろう。

募集職種が多い場合には、採用する職種の知識が必要になるケースもある。この場合、採用アウトソーシング(RPO)の導入によって、募集職種ごとに適した採用活動ができるようになるだろう。

また、採用活動を急いでいる場合は、採用担当者の人的リソースが足りなくなりやすい。このような企業も、採用アウトソーシング(RPO)を活用することで納得のいく採用につなげやすくなるだろう。

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最後に

近年、採用アウトソーシング(RPO)の利用が拡大している。その背景として「人材獲得競争の激化」「人事担当者がコア業務に集中する必要性の高まり」「IT化の進展による採用チャネルや採用手法の複雑化」などがある。

採用アウトソーシング(RPO)のメリットは、社内リソースの効率的な運用の実現や採用の質の向上などだ。しかし、デメリットや注意すべきポイントもあるため、しっかりと理解したうえで実際の企業活動に活用するかどうかを判断しよう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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