2022.9.28

プロパー社員の意味は。中途社員の逆?会社によって異なる使われ方とは

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プロパー社員とは、一般的に「新卒入社の社員・正社員・自社の社員」のいずれかを指す。決まった定義はなく、会社によって使われ方が異なるのが特徴だ。本記事では、プロパー社員の意味や特徴、非プロパー社員と円滑に働くためのポイントなどを解説する。

プロパー社員とは。会社によって違う?

プロパー社員とは、日本特有のビジネス用語のひとつである。さまざまな意味を含んでおり、プロパー社員が何を指しているのかは会社によって異なる。

プロパー社員の意味を知っていなければ、会話の内容が理解できずに困る場面もあるだろう。ここでは、プロパー社員の語源や意味について解説する。

プロパーは和製英語

「プロパー」とは、英語の「proper(=本来の/適切な)」に由来する和製英語である。日本では「プロパー+〇〇」のように、他の単語と組み合わせて使うケースが多い。

プロパー社員以外では、正規価格の商品を意味する「プロパー商品」、ある学問に精通した専門家を表す「〇〇学プロパー」などがある。プロパーはさまざまな分野で用いられる言葉であり、場面によって意味が変化すると理解しておこう。

新卒入社の社員

プロパー社員の意味のひとつに、新卒入社の社員が挙げられる。特に中途社員を多く抱える会社では、生え抜きの社員をプロパー社員と呼び、両者を区別するケースが多い。

プロパー社員が新卒入社の社員を指す場合、中途社員よりも昇給しやすい傾向がある。中途採用の場合は勤続年数が浅いため、勤続年数を基準とした昇給制度では不利になるだろう。

また、中途採用で役職に就いていない場合は、役職に就く同年代のプロパー社員に比べて給与が低い傾向がある。このように生え抜きの社員をプロパー社員と呼ぶケースでは、中途社員との間に昇給や給与の差があることが珍しくないのだ。

正社員

新卒と中途を含む正社員をプロパー社員と呼び、契約社員・派遣社員・アルバイトと区別するケースもある。プロパー社員と他の従業員の違いは、雇用期間に期限があるかどうかだ。

正社員が無期雇用であるのに対し、他の従業員は有期雇用として扱われる。たとえば契約社員の場合は、1年で契約更新となるのが一般的だ。

また、プロパー社員以外の従業員は、賞与や退職金を受け取れないケースが多い。有給休暇は取得できることがあるが、病気休暇などは認められないのが基本である。雇用期間や待遇面以外では、プロパー社員と他の従業員で仕事内容が分けられていることも少なくない。

自社の社員

出向社員や外部委託のスタッフが社内にいる場合は、自社の社員をプロパー社員と呼ぶことがある。外部の社員と区別することが目的であるため、新卒・中途の正社員はもちろん、自社が雇用する契約社員・派遣社員・アルバイトもプロパー社員に含まれる。

プロパー社員と他のスタッフの違いは一概にはいえないが、業務の決定権や指示出しはプロパー社員に委ねられることが多い。

プロパー社員(新卒入社の社員)の特徴~メリット

本章からはプロパー社員を新卒入社の社員と定義し、その特徴を確認していく。まずは、組織から見たプロパー社員のメリットを見ていこう。

自社の社風に馴染みやすく愛着を持ってもらいやすい

新卒採用でのプロパー社員は就業経験が自社のみに限られるため、自社の理念を吸収してもらいやすいのがメリットだ。勤続年数が長くなるほど自社への理解も深まり、社風に基づいて発言や行動をするようになる。その結果、プロパー社員以外の従業員にも組織の考えやカルチャーが浸透していくだろう。

その他のメリットとして、新卒から同じ企業で長く働くプロパー社員は、会社への帰属意識が強い傾向がある。帰属意識が高まる背景には、「社会人1年目から育ててもらった環境であること」「自社のミッションやビジョンを吸収していること」などが挙げられる。

また、同じ組織で働く期間が長くなるほど、社内での人脈やネットワークが広がりやすい。特に同期入社したプロパー社員同士は境遇が似ていることから、結束が強まる傾向がある。

上司や先輩、同僚との人間関係が強固になることも、自社への愛着心を高める要因だろう。社員同士のつながりが強くなると、チームワークを発揮して業務を遂行してもらえるため、組織が得られるメリットは大きい。

関連記事:ミッションとは?ビジョンとの違いやなぜ必要なのかを解説

将来的なリーダーや幹部の候補を中長期で育成できる

プロパー社員を採用すると、将来の幹部候補を中長期で育成可能だ。新卒のプロパー社員は他の企業のあり方を知らないケースが多いため、自社の価値観や環境に適応しやすい。自社に対する愛着や忠誠心が強いプロパー社員は、会社を背負うリーダーや幹部候補として適任だろう。

また、スキルの高い人材はなかなか企業から離れないため、中途採用市場で優秀な人材を見つけるのは難しい。仮に優秀な人材がいたとしても、他の企業との競争率が高いと考えられる。

その点、新卒採用市場であれば、優れたプロパー社員を獲得できるチャンスがあるだろう。新卒採用はマーケットが大きいため、将来的に組織の中心となる人材を見つけられる可能性が高いのだ。

組織に若い人材が入社すれば、社員の年齢層にばらつきがなくなり、年齢層が上がってしまうリスクを防げる。幅広い年代の社員を抱えることで、中長期的な会社の存続にもつながるだろう。

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プロパー社員(新卒入社の社員)の特徴~デメリット

プロパー社員を採用するメリットは多くあるが、場合によってはマイナスに働くことにもなりかねない。ここでは、新卒のプロパー社員につきまとうデメリットについて解説する。

視野が狭く新しい発想を持ちにくい

プロパー社員の課題として、視野が狭くなりやすいことが挙げられる。帰属意識の強さは組織にとってプラスだが、一方で柔軟性に欠ける傾向があり、自社のやり方に縛られるケースが多い。従来のやり方を絶対視するあまり、新しい考え方や方法を受け入れにくくなるのだ。

現状を疑う視点を持てなければ、既存の業務フローやサービスを客観視することは難しいだろう。特に保守的な考え方が浸透している場合は、現状を変えるようなチャレンジをすることも少ない。

自社以外の知識や経験を持つ中途社員が新たな手法を提案しても、プロパー社員側に受け入れる意識がなければ、新しい発想は生まれにくいだろう。結果として、さまざまな機会損失を生むことも考えられる。

実力以上の役職、報酬の場合がある

役職や報酬が実力に伴っていないケースがあることも、プロパー社員の問題点のひとつである。新卒で入社したプロパー社員は、勤続年数に応じて昇進したり、報酬がアップしたりする傾向がある。つまり、実力ではなく働いた期間をベースに評価されるため、本来のスキルと役職や報酬が見合わないことがあるのだ。

組織によっては、能力を買われて入社した中途社員よりも、プロパー社員のほうが高待遇であるケースは珍しくないだろう。中途社員がプロパー社員との差に不満を抱き、組織に対する反発心が芽生えることは十分に考えられる。

プロパー社員と非プロパー社員に壁がある場合にできること

職務級や年齢給を取り入れている場合、非プロパー社員が正当な評価を受けることは難しいだろう。役職や給与の差があると、プロパー社員と非プロパー社員の間に壁が生まれやすくなる。

また、プロパー社員同士で人間関係が構築されている場合、非プロパー社員が疎外感を抱いてコミュニケーション不足に陥りやすい。

円滑な組織運営のためには、プロパー社員と非プロパー社員の間の壁をなくす必要があるだろう。ここでは、プロパー社員と非プロパー社員が共存しやすい組織を作るためのポイントを解説する。

評価制度の明確化

あいまいな評価制度は非プロパー社員の不満の種になりやすい。勤続年数などで評価されるプロパー社員とは異なり、非プロパー社員は「何を基準に評価されるのか」「どうすれば昇進できるのか」などの不安を抱えているだろう。

特に能力を買われて入社した中途社員は厳しい目で評価されるため、頑張りを認めてもらいにくいことも不安要素になりうる。非プロパー社員の不安を取り除くためには、評価制度を明らかにするとともに、すべての社員が平等に評価される基準を設ける必要があるだろう。

評価制度に加えて、給与体制の見直しも不可欠だ。勤続年数で評価される年齢給は、中途採用の非プロパー社員にとって不利な仕組みである。

また、非プロパー社員は重要なポストに就くチャンスが少ないため、役職に応じて給与が決まる役職給も不利だろう。非プロパー社員が正当な評価を受けるためには、実績ベースでの給与体制が適切である。

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コミュニケーション不足の解消

プロパー社員と非プロパー社員のコミュニケーション不足は、業務の進行を妨げることにもなりかねない。意見の食い違いを起こさないためには、日頃からプロパー社員と非プロパー社員の関係を構築しておくことが重要である。

たとえば会社がランチ代を負担し、プロパー社員と非プロパー社員がともに食事をする機会を提供するのも有効だ。仕事の話はもちろん、食事をしながらプライベートな話を共有すると、プロパー社員と非プロパー社員の仲が深まりやすくなるだろう。

コミュニケーションの機会を増やすと、非プロパー社員が疎外感を抱いて孤立することを防げる。また、お互いに心の距離が近くなれば、プロパー社員が非プロパー社員の意見を聞き入れやすくなり、組織に良い影響をもたらすだろう。

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コミュニケーションのローコンテクスト化

プロパー社員と非プロパー社員の関係を構築するうえでは、コミュニケーションのローコンテクスト化が重要である。

ローコンテクストとは、内容をすべて言語化して伝達するコミュニケーション方法を指す。言語化された内容以外の意味を含まず、メッセージが額面通りにやりとりされるのが特徴だ。

ローコンテクストの対義語はハイコンテクストといい、いわゆる「空気を読む」ことが求められる。日本にはハイコンテクストが根付いており、直接的な表現は好まれない。

しかし、ハイコンテクストは説明不足となることが多く、コミュニケーションに齟齬が生まれる可能性をはらんでいる。特に昨今はテレワーク推進の動きもあり、オンラインでのハイコンテクストなやりとりは課題が多いだろう。

コミュニケーションのローコンテクスト化は、伝えたい内容をそのまま伝達できるのがメリットだ。聞き手側に察する能力が必要ないため、オフラインでもオンラインでも円滑にコミュニケーションがとれる。

プロパー社員と非プロパー社員は会社で過ごしてきた年数が違うため、文脈や共通認識を必要とするハイコンテクストは不向きだろう。認識の齟齬を生まないためには、両者がローコンテクストなコミュニケーションを心がける必要がある。

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まとめ

プロパー社員にはさまざまな意味があり、状況によって使い方が異なる。一般的には、新卒入社の社員・正社員・自社の社員のいずれかを指すケースが多い。

プロパー社員は自社の帰属意識が強く、幹部候補として中長期的に育成できるのがメリットだ。一方で、「イノベーションが起こりにくい」「非プロパー社員との間に壁ができる」などの課題がある。

プロパー社員と非プロパー社員が共存して働くためには、明確な評価制度を設けたり、社内のコミュニケーションを促したりすることが重要だ。プロパー社員にとっても、非プロパー社員にとっても働きやすい組織が作れるように、さまざまな改革を取り入れてみてはいかがだろうか。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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