2025.5.20

プロパー社員の意味は。中途社員の逆?会社によって異なる使われ方とは

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プロパー社員とは、一般的に「新卒入社の社員・正社員・自社の社員」のいずれかを指す言葉です。しかし、決まった定義はなく、会社によって使われ方が異なるのが特徴です。プロパー社員の意味は多岐にわたり、中途社員との対比で用いられることもあります。

本記事では、プロパー社員の意味や特徴、非プロパー社員と円滑に働くためのポイントなどを詳しく解説します。プロパー社員という言葉の使われ方を理解することで、ビジネスコミュニケーションをより円滑に進めることができるでしょう。

また、プロパー社員と中途社員の違いや、それぞれの特徴についても触れていきます。企業によってはプロパー社員を重視する傾向がありますが、中途社員にも独自の強みがあります。両者の長所を活かし、バランスの取れた組織づくりが重要です。

さらに、プロパー社員と非プロパー社員の間に生じる可能性のある課題や、それを解決するための方策についても詳細に解説していきます。組織の一体感を高め、多様な人材が活躍できる環境づくりのヒントを提供します。

プロパー社員とは。会社によって違う?

プロパー社員とは、一般的に「新卒入社の社員・正社員・自社の社員」のいずれかを指す言葉です。しかし、プロパー社員の定義は会社によって異なり、使われ方にも違いがあります。この多様性がプロパー社員という言葉の特徴と言えるでしょう。

多くの企業では、プロパー社員を「新卒で入社し、その会社で長く勤務している社員」と捉えています。つまり、中途採用の社員とは区別される存在です。一方で、正社員全体をプロパー社員と呼ぶ会社もあります。この場合、契約社員や派遣社員、アルバイトなどの非正規雇用者と区別する意味合いがあります。

さらに、自社の社員全体をプロパー社員と呼ぶケースもあります。これは、出向社員や外部委託のスタッフが社内にいる場合に、自社の社員を区別するために使われることがあります。

プロパー社員の定義が会社によって異なる理由は、各企業の雇用形態や組織構造、企業文化などが影響しています。そのため、プロパー社員という言葉を耳にしたときは、その会社での具体的な意味を確認することが重要です。

プロパー社員の概念は、日本の雇用慣行や企業文化と深く結びついています。終身雇用や年功序列といった日本的雇用システムの中で、プロパー社員は重要な位置を占めてきました。しかし、近年の雇用の多様化や働き方改革の進展に伴い、プロパー社員の位置づけや意味合いも変化しつつあります。

このように、プロパー社員の定義や扱いは会社によって異なるため、ビジネスの場面では注意が必要です。プロパー社員という言葉の使用には、その会社の文脈や状況を十分に理解することが求められます。

プロパーは和製英語

「プロパー」とは、英語の「proper(=本来の/適切な)」に由来する和製英語である。日本では「プロパー+〇〇」のように、他の単語と組み合わせて使うケースが多い。プロパー社員以外では、正規価格の商品を意味する「プロパー商品」、ある学問に精通した専門家を表す「〇〇学プロパー」などがある。

プロパーはさまざまな分野で用いられる言葉であり、場面によって意味が変化すると理解しておこう。特にビジネスシーンにおいて「プロパー社員」という用語が頻繁に使用されるが、その定義は企業によって異なることがある。例えば、新卒入社の社員を指す場合もあれば、正社員全般を指す場合もある。

また、プロパー社員の概念は日本の雇用慣行と密接に関連している。終身雇用や年功序列といった日本的経営の特徴を反映し、長期的な人材育成や企業への帰属意識を重視する考え方がプロパー社員という言葉に込められている場合が多い。

このように、プロパーという言葉は和製英語でありながら、日本の企業文化や雇用システムを象徴する独特の意味合いを持つビジネス用語として定着している。その使用法や解釈には注意が必要であり、コンテキストに応じて適切に理解することが重要である。

新卒入社の社員

プロパー社員の意味のひとつに、新卒入社の社員が挙げられる。特に中途社員を多く抱える会社では、生え抜きの社員をプロパー社員と呼び、両者を区別するケースが多い。このような区分けは、日本の雇用慣行における特徴的な側面と言えるだろう。

プロパー社員が新卒入社の社員を指す場合、中途社員よりも昇給しやすい傾向がある。中途採用の場合は勤続年数が浅いため、勤続年数を基準とした昇給制度では不利になるだろう。これは、日本型雇用システムの一側面を反映している。

また、中途採用で役職に就いていない場合は、役職に就く同年代のプロパー社員に比べて給与が低い傾向がある。このように生え抜きの社員をプロパー社員と呼ぶケースでは、中途社員との間に昇給や給与の差があることが珍しくないのだ。

プロパー社員の存在は、企業文化の継承や長期的な人材育成という観点からも重要な役割を果たしている。新卒から長年にわたり同じ企業で働くことで、その企業特有の価値観や業務知識を深く身につけることができるからだ。

一方で、このような区分けが硬直化すると、中途採用者の能力や経験が十分に活かされない可能性もある。そのため、近年では両者の長所を活かしつつ、公平な評価制度を導入する企業も増えてきている。

正社員

新卒と中途を含む正社員をプロパー社員と呼び、契約社員・派遣社員・アルバイトと区別するケースもある。プロパー社員と他の従業員の違いは、雇用期間に期限があるかどうかだ。

正社員が無期雇用であるのに対し、他の従業員は有期雇用として扱われる。たとえば契約社員の場合は、1年で契約更新となるのが一般的だ。

また、プロパー社員以外の従業員は、賞与や退職金を受け取れないケースが多い。有給休暇は取得できることがあるが、病気休暇などは認められないのが基本である。雇用期間や待遇面以外では、プロパー社員と他の従業員で仕事内容が分けられていることも少なくない。

プロパー社員は、会社の中核を担う存在として期待されることが多い。正社員として長期的なキャリアを築くことができ、昇進や昇給の機会も比較的多く与えられる。一方で、責任も重くなり、残業や転勤などの可能性も高くなる。

プロパー社員の採用は、企業にとって人材育成の観点から重要である。新卒採用や中途採用を通じて、プロパー社員を確保し、長期的な視点で人材を育成することで、企業の持続的な成長につながる。

自社の社員

プロパー社員の定義として、出向社員や外部委託のスタッフが社内にいる場合に、自社の社員をプロパー社員と呼ぶことがあります。この場合、プロパー社員の範囲は広く、新卒・中途の正社員はもちろん、自社が直接雇用する契約社員・派遣社員・アルバイトもプロパー社員に含まれます。つまり、プロパー社員という言葉は、外部の社員と区別する目的で使用されるのです。

プロパー社員と他のスタッフの違いは一概には言えませんが、多くの場合、業務の決定権や指示出しはプロパー社員に委ねられる傾向があります。これは、プロパー社員が会社の方針や業務内容をより深く理解していることが多いためです。

また、プロパー社員は会社の文化や価値観を体現する存在として、重要な役割を果たすことがあります。長期的な視点で会社の成長に貢献することが期待され、キャリアパスも明確に設定されていることが多いでしょう。

一方で、外部スタッフは特定のプロジェクトや専門性を活かした業務に従事することが多く、プロパー社員とは異なる役割を担うことがあります。このような役割の違いを認識し、それぞれの強みを活かすことで、組織全体の生産性向上につながる可能性があります。

プロパー社員(新卒入社の社員)の特徴~メリット

プロパー社員、特に新卒入社の社員には、組織にとって多くのメリットがあります。本章では、プロパー社員を新卒入社の社員と定義し、その特徴のうち、組織から見たメリットについて詳しく解説します。

プロパー社員の最大の利点は、組織の価値観や文化に深く根ざした人材として育成できることです。新卒採用で入社したプロパー社員は、社会人としての第一歩を自社で踏み出すため、会社の理念や方針を自然に吸収しやすい傾向があります。これにより、組織の核となる人材を長期的に育成することが可能となります。

また、プロパー社員は自社への帰属意識が高く、長期的なキャリアプランを描きやすいという特徴があります。新卒から同じ企業で長く働くことで、会社への愛着や忠誠心が醸成されやすく、これは組織の安定性と継続性に大きく寄与します。

さらに、プロパー社員は社内の人間関係やネットワークを広く構築しやすいという利点があります。特に同期入社の社員同士は強い絆で結ばれやすく、チームワークの向上や円滑な業務遂行に貢献します。これは、組織全体の生産性向上にもつながる重要な要素です。

加えて、プロパー社員の存在は、組織の知識や経験の蓄積と継承を促進します。長年にわたって培われた企業固有のノウハウや暗黙知を、次世代に効果的に伝達することができます。これは、組織の競争力を維持・向上させる上で非常に重要な役割を果たします。

自社の社風に馴染みやすく愛着を持ってもらいやすい

新卒採用でのプロパー社員は就業経験が自社のみに限られるため、自社の理念を吸収してもらいやすいのがメリットだ。勤続年数が長くなるほど自社への理解も深まり、社風に基づいて発言や行動をするようになる。その結果、プロパー社員以外の従業員にも組織の考えやカルチャーが浸透していくだろう。

プロパー社員の特徴として、新卒から同じ企業で長く働くことで、会社への帰属意識が強くなる傾向がある。帰属意識が高まる背景には、「社会人1年目から育ててもらった環境であること」「自社のミッションやビジョンを吸収していること」などが挙げられる。このような強い帰属意識は、プロパー社員が組織の中核として活躍する上で重要な要素となる。

また、同じ組織で働く期間が長くなるほど、社内での人脈やネットワークが広がりやすい。特に同期入社したプロパー社員同士は境遇が似ていることから、結束が強まる傾向がある。こうした結束力の強さは、チームワークの向上やプロジェクトの円滑な進行にもつながる。

上司や先輩、同僚との人間関係が強固になることも、自社への愛着心を高める要因だろう。社員同士のつながりが強くなると、チームワークを発揮して業務を遂行してもらえるため、組織が得られるメリットは大きい。このような強固な人間関係は、プロパー社員の長期的なキャリア形成にも良い影響を与える。

プロパー社員の存在は、組織の文化や価値観の継承にも重要な役割を果たす。長年にわたり培われてきた企業文化や伝統を新入社員に伝えることで、組織の一体感や独自性を維持することができる。これは、企業のブランド力や競争力の維持向上にもつながる重要な要素である。

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将来的なリーダーや幹部の候補を中長期で育成できる

プロパー社員を採用すると、将来の幹部候補を中長期で育成可能だ。新卒のプロパー社員は他の企業のあり方を知らないケースが多いため、自社の価値観や環境に適応しやすい。自社に対する愛着や忠誠心が強いプロパー社員は、会社を背負うリーダーや幹部候補として適任だろう。

また、スキルの高い人材はなかなか企業から離れないため、中途採用市場で優秀な人材を見つけるのは難しい。仮に優秀な人材がいたとしても、他の企業との競争率が高いと考えられる。

その点、新卒採用市場であれば、優れたプロパー社員を獲得できるチャンスがあるだろう。新卒採用はマーケットが大きいため、将来的に組織の中心となる人材を見つけられる可能性が高いのだ。

組織に若い人材が入社すれば、社員の年齢層にばらつきがなくなり、年齢層が上がってしまうリスクを防げる。幅広い年代の社員を抱えることで、中長期的な会社の存続にもつながるだろう。

プロパー社員は長期的な視点で育成することができるため、企業の理念や文化を深く理解し、それを体現できる人材に成長する可能性が高い。また、プロパー社員は自社のビジネスモデルや業務プロセスに精通しているため、効率的な業務遂行や改善提案ができる強みがある。さらに、プロパー社員同士のネットワークを活かし、部署を超えた協力体制を構築しやすいというメリットもある。

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プロパー社員(新卒入社の社員)の特徴~デメリット

プロパー社員を採用するメリットは多くあるが、場合によってはマイナスに働くことにもなりかねない。ここでは、新卒のプロパー社員につきまとうデメリットについて解説する。

プロパー社員の採用には、組織にとって様々な課題が存在する。まず、プロパー社員は他社での就業経験がないため、視野が狭くなりやすい傾向がある。これは、新しい発想や革新的なアイデアの創出を妨げる要因となる可能性がある。

また、プロパー社員は長年同じ企業文化に浸っているため、変化に対する抵抗が強くなることがある。これは、企業が急速に変化する市場環境に適応する際の障害となる可能性がある。

さらに、プロパー社員は勤続年数に応じて昇進や昇給が行われることが多いため、実力と報酬のバランスが崩れる可能性がある。これは、能力主義の評価システムを導入しようとする企業にとって大きな課題となる。

最後に、プロパー社員の多い組織では、中途採用者との融和が難しくなることがある。これは、組織の多様性を高めようとする企業の取り組みを阻害する可能性がある。

このように、プロパー社員の採用には慎重な検討が必要であり、デメリットを最小限に抑えるための戦略的なアプローチが求められる。

視野が狭く新しい発想を持ちにくい

プロパー社員の課題として、視野が狭くなりやすいことが挙げられる。帰属意識の強さは組織にとってプラスだが、一方で柔軟性に欠ける傾向があり、自社のやり方に縛られるケースが多い。従来のやり方を絶対視するあまり、新しい考え方や方法を受け入れにくくなるのだ。

現状を疑う視点を持てなければ、既存の業務フローやサービスを客観視することは難しいだろう。特に保守的な考え方が浸透している場合は、現状を変えるようなチャレンジをすることも少ない。プロパー社員は自社の文化や習慣に深く染まっているため、イノベーションを起こすための新たな発想が生まれにくい環境に陥りやすい。

自社以外の知識や経験を持つ中途社員が新たな手法を提案しても、プロパー社員側に受け入れる意識がなければ、新しい発想は生まれにくいだろう。結果として、さまざまな機会損失を生むことも考えられる。このような状況を改善するためには、プロパー社員に対して外部研修や他社との交流の機会を設けるなど、視野を広げるための取り組みが必要となる。また、組織全体でダイバーシティを推進し、多様な価値観や経験を持つ人材を積極的に受け入れることも、プロパー社員の視野を広げる有効な手段となるだろう。

実力以上の役職、報酬の場合がある

プロパー社員の問題点の一つとして、実力以上の役職や報酬を得ている場合があることが挙げられる。新卒でプロパー社員として入社した場合、多くの企業では勤続年数に応じて昇進や報酬アップが行われる傾向にある。これは、実力や成果よりも働いた期間をベースに評価されることを意味し、結果として本来のスキルと役職や報酬が見合わないケースが生じる可能性がある。

一方で、中途採用で入社した非プロパー社員は、能力や経験を買われて採用されているにもかかわらず、プロパー社員よりも待遇が低いことがある。このような状況は、組織内での不公平感を生み出し、中途社員のモチベーション低下や離職につながる可能性がある。

プロパー社員と非プロパー社員の間に待遇の格差が生じると、組織の一体感が損なわれ、チームワークにも悪影響を及ぼす恐れがある。さらに、実力主義の評価システムが機能していない場合、プロパー社員自身の成長意欲が低下し、組織全体の競争力が弱まる可能性もある。

このような問題を解決するためには、プロパー社員を含めた全社員に対して、実力や成果に基づく公平な評価制度を導入することが重要である。また、プロパー社員と非プロパー社員の区別なく、スキルや貢献度に応じた報酬体系を整備することで、より健全な組織運営が可能となるだろう。
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プロパー社員と非プロパー社員に壁がある場合にできること

職務級や年齢給を取り入れている場合、非プロパー社員が正当な評価を受けることは難しいだろう。役職や給与の差があると、プロパー社員と非プロパー社員の間に壁が生まれやすくなる。また、プロパー社員同士で人間関係が構築されている場合、非プロパー社員が疎外感を抱いてコミュニケーション不足に陥りやすい傾向があります。

円滑な組織運営のためには、プロパー社員と非プロパー社員の間の壁をなくす必要があるでしょう。ここでは、プロパー社員と非プロパー社員が共存しやすい組織を作るためのポイントを解説します。特に、評価制度の明確化、コミュニケーション不足の解消、そしてコミュニケーションのローコンテクスト化に焦点を当てて説明していきます。

これらの施策を適切に実施することで、プロパー社員と非プロパー社員の間の壁を取り払い、より生産的で協調的な職場環境を構築することができます。さらに、人材育成の観点からも、両者の強みを活かし合える仕組みづくりが重要です。プロパー社員の持つ会社への深い理解と、非プロパー社員がもたらす新しい視点や経験を融合させることで、組織全体の成長につながるでしょう。

評価制度の明確化

あいまいな評価制度は非プロパー社員の不満の種になりやすい。勤続年数などで評価されるプロパー社員とは異なり、非プロパー社員は「何を基準に評価されるのか」「どうすれば昇進できるのか」などの不安を抱えているだろう。

特に能力を買われて入社した中途社員は厳しい目で評価されるため、頑張りを認めてもらいにくいことも不安要素になりうる。非プロパー社員の不安を取り除くためには、評価制度を明らかにするとともに、すべての社員が平等に評価される基準を設ける必要があるだろう。プロパーと非プロパーの間に不公平感が生じないよう、成果主義や実力主義の評価制度を導入することが効果的だ。

評価制度に加えて、給与体制の見直しも不可欠だ。勤続年数で評価される年齢給は、中途採用の非プロパー社員にとって不利な仕組みである。た、非プロパー社員は重要なポストに就くチャンスが少ないため、役職に応じて給与が決まる役職給も不利だろう。非プロパー社員が正当な評価を受けるためには、実績ベースでの給与体制が適切である。

具体的には、職務等級制度やジョブ型雇用の導入を検討するとよいだろう。これらの制度では、職務の難易度や責任の重さに応じて給与が決定されるため、プロパー・非プロパーの区別なく公平な待遇が実現できる。さらに、目標管理制度(MBO)を活用し、個人の目標達成度を評価に反映させることで、より公正な評価が可能になる。

このように、明確で公平な評価制度を構築することで、プロパー社員と非プロパー社員の間の壁を取り払い、組織全体のパフォーマンス向上につながるのである。

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コミュニケーション不足の解消

プロパー社員と非プロパー社員のコミュニケーション不足は、業務の進行を妨げることにもなりかねない。意見の食い違いを起こさないためには、日頃からプロパー社員と非プロパー社員の関係を構築しておくことが重要である。

たとえば会社がランチ代を負担し、プロパー社員と非プロパー社員がともに食事をする機会を提供するのも有効だ。仕事の話はもちろん、食事をしながらプライベートな話を共有すると、プロパー社員と非プロパー社員の仲が深まりやすくなるだろう。

コミュニケーションの機会を増やすと、非プロパー社員が疎外感を抱いて孤立することを防げる。また、お互いに心の距離が近くなれば、プロパー社員が非プロパー社員の意見を聞き入れやすくなり、組織に良い影響をもたらすだろう。

さらに、プロパー社員と非プロパー社員の間でのコミュニケーションを活性化させるために、定期的な社内イベントやワークショップの開催も効果的だ。これらの機会を通じて、両者が互いの強みや経験を共有し、相互理解を深めることができる。

また、プロジェクトチームの編成時に、意図的にプロパー社員と非プロパー社員を混在させることも、日常的なコミュニケーションを促進する有効な方法である。このような取り組みにより、プロパー社員は新しい視点や外部の知見を得られ、非プロパー社員は社内の文化や慣習をより深く理解できるようになる。

最後に、社内SNSやチャットツールの活用も、プロパー社員と非プロパー社員のコミュニケーション不足解消に役立つ。これらのツールを通じて、業務に関する情報共有だけでなく、カジュアルな会話や趣味の話題など、より親密なコミュニケーションを図ることができる。

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コミュニケーションのローコンテクスト化

プロパー社員と非プロパー社員の関係を構築するうえでは、コミュニケーションのローコンテクスト化が重要である。

ローコンテクストとは、内容をすべて言語化して伝達するコミュニケーション方法を指す。言語化された内容以外の意味を含まず、メッセージが額面通りにやりとりされるのが特徴だ。プロパー社員にとっては当たり前の社内用語や略語も、非プロパー社員には分かりにくい場合がある。そのため、ローコンテクストなコミュニケーションを心がけることで、情報の伝達漏れを防ぐことができる。

ローコンテクストの対義語はハイコンテクストといい、いわゆる「空気を読む」ことが求められる。日本にはハイコンテクストが根付いており、直接的な表現は好まれない。特にプロパー社員は長年の社内文化に慣れているため、ハイコンテクストなコミュニケーションに陥りやすい。

しかし、ハイコンテクストは説明不足となることが多く、コミュニケーションに齟齬が生まれる可能性をはらんでいる。特に昨今はテレワークの普及により、対面でのコミュニケーションの機会が減少している。そのため、プロパー社員と非プロパー社員の間で、より明確なコミュニケーションが求められている。

ローコンテクスト化を進めるためには、以下のような取り組みが効果的である。

●社内用語や略語の使用を控え、誰にでも分かりやすい表現を心がける
●指示や依頼の際は、具体的な期限や方法を明確に伝える
●会議や打ち合わせの際は、議事録を作成し、参加者全員で内容を確認する
●社内のコミュニケーションツールを活用し、情報の可視化を図る

これらの取り組みにより、プロパー社員と非プロパー社員の間のコミュニケーションギャップを埋め、より円滑な組織運営につながるだろう。

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まとめ

プロパー社員にはさまざまな意味があり、状況によって使い方が異なる。一般的には、新卒入社の社員・正社員・自社の社員のいずれかを指すケースが多い。

プロパー社員は自社の帰属意識が強く、幹部候補として中長期的に育成できるのがメリットだ。一方で、「イノベーションが起こりにくい」「非プロパー社員との間に壁ができる」などの課題がある。

プロパー社員と非プロパー社員が共存して働くためには、明確な評価制度を設けたり、社内のコミュニケーションを促したりすることが重要だ。プロパー社員にとっても、非プロパー社員にとっても働きやすい組織が作れるように、さまざまな改革を取り入れてみてはいかがだろうか。

監修者

古宮 大志

古宮 大志(こみや だいし)

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長

大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

執筆者

古宮 大志

マーケトランク編集部(マーケトランクへんしゅうぶ)

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から、知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。 さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。 独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

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