2022.12.2

ハイブリッドワークとは?導入するメリット・デメリット、導入事例5社を解説

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ハイブリッドワークとは、テレワークとオフィスワークを組み合わせた働き方のことだ。テレワークのデメリットを補完する働き方として注目が集まっている。

この記事では、ハイブリッドワークが注目される背景やメリットデメリット、導入事例について解説する。

ハイブリッドワークとは?

ハイブリッドワークとは、オフィスに出社して仕事をするオフィスワークと在宅で仕事をするテレワークを組み合わせた働き方のことだ。従来のオフィスワークと新しい働き方であるテレワークを併用するハイブリッドワークでは、より柔軟な働き方を実現している。

例えば週に3日間はテレワークを行い、2日間はオフィスワークを行うなど、ハイブリッドワークの働き方は企業や部署によって異なるのが特徴だ。

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ハイブリッドワークが注目を集める背景

ハイブリッドワークが注目を集める背景として、新型コロナウイルス感染症の流行がある。感染対策として半ば強制的にテレワークを導入せざるを得ない企業が加速度的に増加した。

テレワークには「通勤時間が不要」「人の目が気にならない」「子育てと両立しやすい」といったメリットがある。一方、コミュニケーション面や実務面で課題があるのも事実だ。そこで、テレワークの課題を補うための働き方として、オフィスワークを組み合わせたハイブリッドワークを導入する企業が出てきた。

また、オフィスへの出社を各自で選択できるような働き方を推進する企業も出てきている。テレワークの課題を補うためだけではなく、多様な働き方を実現する方法として、ハイブリッドワークに注目が集まっている。

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リモートワーク・テレワークとの違い

ハイブリッドワークとリモートワーク・テレワークとの違いとして、働く場所の選び方が挙げられる。リモートワークやテレワークは、オフィスに出社しないことが前提であるため出社して働くという選択肢がない。

一方、ハイブリッドワークは、従業員の事情や考え方、業務の性質に合わせて働く場所を自由に選択できる働き方だ。働く場所を選択できる点がリモートワークやテレワークとの違いといえる。

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ハイブリッドワークのメリット

ハイブリッドワークを導入するメリットとして、生産性の向上と快適な職場環境の実現が挙げられる。どちらのメリットも、働く場所を柔軟に選択できることで得られるものである。また、テレワークといった選択肢もあるため、緊急時にも対応できることもメリットといえる。

ここでは、ハイブリッドワークのメリットについて解説する。

生産性向上

ハイブリッドワークのメリットとして、生産性の向上が挙げられる。例えば、データ入力をはじめとしたパソコンを使用する業務であれば、テレワークのほうが効率的だ。一方、現物を見ながら細かいニュアンスを伝えるような打ち合わせの場合、オフィスワークでなければ支障をきたすはずだ。

このように、業務にはテレワークのほうが効率の良いものと、オフィスワークのほうが効率の良いものが存在する。ハイブリッドワークであれば業務に合わせてオフィスワークとテレワークを使い分けられるため、生産性の向上につながる。

ハイブリッドワークを導入している企業の多くでは、従業員の自主性に任せてオフィスワークとテレワークを選択させている。自身の状況や業務に合わせて働く場所を選べる仕組みにすることで、従業員は自分で判断する習慣が身についてくる。

従業員が主体性を持って働くため、結果的に従業員一人ひとりの生産性向上にもつながるのだ。

快適な職場環境の実現

2つ目のメリットとして、快適な職場環境の実現が挙げられる。ハイブリッドワークは、自身の都合に合わせて出社するかどうかを選べる働き方だ。子育てや介護といった長時間オフィスで勤務するのが難しい従業員でも、テレワークと組み合わせながら柔軟に働ける。

柔軟な働き方は、採用面でもメリットがある。自宅がオフィスから遠く、毎日通うには通勤に時間がかかる人材でも、ハイブリッドワークであれば採用できる可能性が高まる。

また、ハイブリッドワークはオフィススペースの有効活用にもつながる。従業員全員が毎日出社するわけではないため、人数分の席を確保する必要がない。そのため休憩室を拡張したり、集中ブースを設置したりといったオフィス内の環境改善ができるのだ。

緊急時の対応が可能

3つ目のメリットは、緊急時の対応ができることだ。地震や大雨といった災害によって公共交通機関が動かなくなるケースがある。新型コロナウイルス感染症の影響で出社が制限され、業務に支障をきたした企業も多いだろう。

ハイブリッドワークであれば、オフィスに出勤しなくても業務を進められる。緊急時でも業務を継続できることはハイブリッドワークのメリットといえる。

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ハイブリッドワークのデメリット

ハイブリッドワークを導入するデメリットには、コミュニケーションを取りづらいことや、オフィスへの出社回数が多い人に対する評価が高くなることが挙げられる。どちらも同じ部署内でテレワークの人とオフィスワークの人が混在するのが原因だ。

また、セキュリティリスクが高まることも理解する必要がある。ここでは、ハイブリッドワークのデメリットについて詳しく解説する。

コミュニケーションを取りづらい

ハイブリッドワークのデメリットとして挙げられるのは、コミュニケーションを取りづらいことだ。ハイブリッドワークの場合、テレワークの人とオフィスワークの人が混在する。

そのため、同じ部署であるにもかかわらず、顔を合わせる機会が少なくなるのだ。顔を合わせる回数が減ることで、情報を共有できずに業務に支障をきたすケースも存在する。トラブル発生時に対応できないケースも考えられる。

コミュニケーションツールの活用や、出社日を合わせてミーティングを実施するなど、コミュニケーションの取り方を工夫することが大切だ。

オフィスへの出社回数が多い人の評価が高くなる

2つ目のデメリットとして、オフィスへの出社回数が多い人への評価が高くなることが挙げられる。ハイブリッドワークでは、個人の判断によってオフィスへの出社の回数が決まるため、従業員ごとに回数がバラつく。

そのため、必然的にオフィスへの出社回数の多い人が、上司とコミュニケーションを取る回数も多くなる。緊急の業務が発生した場合も、オフィスにいる従業員に依頼するほうが説明しやすいのは事実だ。

そのような状況が続いた場合、オフィスへの出社の回数が多い従業員の評価が高くなりがちになる。そうなると出社したほうが有利となり、ハイブリッドワークが形骸化する恐れも考えられるだろう。

そのようなリスクを避けるためにも評価制度を見直し、オフィスへの出社の回数に左右されない体制を構築する必要がある。

セキュリティリスクが高まる

3つ目のデメリットは、セキュリティリスクがあることだ。ハイブリッドワークを導入した場合、データを閲覧できる機器や書類を持ち運ぶ機会が増えるため、情報漏えいが発生する危険性が高まる。公共の場で業務をしていた場合、第三者にのぞき見される可能性も考えられるだろう。

もしも情報漏えいが発生した場合、会社に大きな損害が生じる可能性もある。そのため、会社としてセキュリティ対策を講じるのはもちろん、研修を実施して従業員一人ひとりのセキュリティに対する意識を向上させることが大切だ。

関連記事:テレワーク・在宅勤務での人事評価制度はどのように変わる?評価の軸はプロセスから成果へ

ハイブリッドワークを導入している企業事例

ハイブリッドワークを導入している企業は数多く存在する。企業によって内容や目的が異なる点からもハイブリッドワークには正解がないことが伺える。

自社でハイブリッドワークを導入する場合は、自社の特性に合った内容にすることがポイントだ。ここでは、ハイブリッドワークを導入している企業事例について紹介する。

株式会社コンカー

ユンカーは、新型コロナウイルス感染症が流行しだした2020年2月からリモートワークを開始した。感染状況の落ち着きとともに、ハイブリッドワークの導入に踏み切っている。

2020年12月には、一定の条件を満たせばワーケーションや遠隔地への移住といった、オフィスや自宅以外の場所で働くことを選択できる「Work from Anywhere」制度も導入した。

従業員の学ぶ意欲を後押しするため、職種に応じた研修を用意するとともに、業務に関連するスキルを学ぶための教育給付金制度も導入している。

また、リモートワーク下でスムーズに業務を進めるためのルールやマナーを周知することで、安心してリモートワークをできる仕組み作りにも取り組んでいる。

日本マイクロソフト株式会社

日本マイクロソフトは、2018年に「社会・企業・社員」を軸としたワークスタイルの変革を発表した。新型コロナウイルス感染症が流行しだした2020年からは、オフィスの改修プロジェクトの発足とともにハイブリッドワークを導入した。

オフィスの改修は、従業員の心身のサポートやITの活用ができる設計となっている。またハイブリッドワークのルールとして、リモートワークの上限を勤務時間の50%までと制限した。日本マイクロソフトは、ハイブリッドワークを快適に行える環境を作ったのだ。

株式会社リコー

リコーは、従業員が職種や業務内容に応じて働く場所を選択できるハイブリッドワークを導入した。リモートワークに関しては自宅だけではなく、旅行先や帰省先での業務も認めている。

また、オフィスにはフリーアドレス制を導入し、サテライトオフィスの利用対象者の制限を廃止した。働く場所の選択肢を増やすことで、ハイブリッドワークの推進に取り組んでいる。

日本ヒューレット・パッカード合同会社

日本ヒューレット・パッカードは、ハイブリッドワークの取り組みとして貸会議室を疑似オフィスとし、リモートワークと合わせた会議をおこなう実験を実施した。それにより、メリットとデメリットの実態を把握することに成功したのだ。

実験結果を踏まえ、ツールや打ち合わせの進め方、情報共有などにルールを設定した。ルールを設けることで、スムーズにハイブリッドワークの導入につながったのだ。

株式会社サイバーエージェント

サイバーエージェントは、2020年6月から特定の曜日をリモートワークとする「リモデイ」制度を導入した。これは従業員がリフレッシュする機会を増やし、健康的な働き方をするための取り組みだ。

リモデイ以外にも、移動が発生する会議や大人数の会議はビデオ会議にすることで負担軽減を図っている。健康的な働き方をするための手段として、ハイブリッドワークを導入しているのが特徴的である。

関連記事:コロナで企業のテレワーク運用はどのように変化したのか?更に効果的なテレワークの在り方とは

まとめ

ハイブリッドワークとは、オフィスワークとテレワークを組み合わせた働き方であり、出社回数や勤務場所は、企業や部署によって異なるのが特徴だ。注目を集めた背景として、新型コロナウイルス感染症の流行からテレワークを導入した企業が増加したことが挙げられる。

テレワークにメリットがあることが明らかになった一方で、デメリットも浮き彫りになっている。このため、デメリットを補完する働き方としてハイブリッドワークを導入する企業が出てきたのだ。

ハイブリッドワークを導入するメリットには、生産性向上や快適な職場環境の実現、緊急時にも対応できることが挙げられる。その反面、コミュニケーションを取りづらいことや、オフィス出社の回数が多い人への評価が高くなること、セキュリティリスクが高まることがデメリットだ。

ハイブリッドワークのメリットとデメリットを理解し、自社の状況に合ったハイブリッドワークを導入することで、生産性向上やエンゲージメント向上につなげてほしい。

関連記事:ワークエンゲージメントとは?企業や従業員にとってのメリットや高めるために必要なこと

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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