2022.9.29

テレワークとリモートワークの違いとは?廃止の動きもあるがメリット・デメリットは

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働き方改革やコロナウイルス感染対策をきっかけに、リモートワークを導入する企業が増えている。リモートワークはメリットがある反面、業務効率の低下を招く可能性もある働き方だ。

この記事では、リモートワークの意味やメリット、デメリットについて解説する。

リモートワークとは?

リモートワークとは、会社から離れた場所で業務を行う働き方だ。遠隔で働くことから、Remote(遠隔)とWork(働く)を組み合わせたリモートワークという言葉が生まれた。

インターネットを利用し、テレビ会議やチャットツール、VPNを使用したサーバーへのアクセスにより、遠隔地でも会社に出社したときと同様な業務をこなせる点が特徴だ。

リモートワークは働き場所を指定されたものではないため、カフェやレンタルオフィスで業務を行うこともリモートワークに含まれる。

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リモートワークとテレワークの違い

リモートワークと同様の言葉に「テレワーク」がある。どちらも「会社以外の場所で業務に就く働き方」であり、実はこの二つの言葉には明確な違いが存在しない。

違いがあるとすれば、定義の有無だろう。リモートワークは、IT企業やベンチャー企業が使い始めたことから広まった言葉であり、明確な定義は存在しない。一方、テレワークには国が定めた定義が存在する。厚生労働省のテレワーク総合ポータルサイトでは以下のように定義している。

情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方

また、働く場所の区分としては、以下の3つに分類している。

● 在宅勤務
● モバイル勤務
● サテライトオフィス勤務

ふたつの言葉を使い分けるとすれば、相手の組織で使われている言葉に合わせることだ。リモートワークとしている組織もあれば、テレワークとしている組織も存在する。話す相手に合わせて柔軟に使い分けることで、スムーズに伝わるだろう。(参考:厚生労働省「テレワークとは」

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リモートワークのメリット・デメリット

ここでは、リモートワークを導入するメリットとデメリットについて解説する。リモートワークの導入には、会社への出社が不要なことや、柔軟な働き方への対応によるメリットが存在する。

一方、従業員同士が近くにいないことによるデメリットには考慮が必要だ。デメリットへの対策を打ったうえで導入することで、リモートワークの大きな効果が出るだろう。

メリット

リモートワークの導入には、コスト削減や事業継続性のリスク管理といったメリットが存在する。柔軟な働き方に対応できることで、人材確保やワークライフバランスへの効果も期待できる。

どのメリットも、会社に出社する必要がないことによって得られるものだ。

コスト削減

リモートワークを導入するメリットには、コスト削減が挙げられる。まず、会社に出社する必要がないため、従業員の交通費削減が可能だ。書類を使った伝達や情報共有もなくなるため、印刷代や保管場所も削減できる。

従業員の働く場所や書類の保管場所が不要になれば、そもそも会社に大きなスペース自体が不要だ。スペースの少ないオフィスに引っ越せば、家賃や光熱費も削減できるだろう。

事業継続性のリスク管理

事業継続性の確保も、リモートワーク導入によるメリットだ。近年では、地震や台風、感染症など、会社に出社できない非常事態が発生している。リモートワークを導入していない場合、会社に出社できなければ事業が止まることになる。最悪の場合、廃業も考えられるだろう。

リモートワークにより、会社に出社しなくても事業が動く仕組みを構築できていれば、災害が発生した場合でも事業を存続できる。リスクマネジメントの観点からも、リモートワークを導入するメリットは大きいといえる。

離職率低下と人材獲得

離職率低下と人材獲得も、リモートワークを導入するメリットとして挙げられる。リモートワークを導入することで、柔軟な働き方への対応が可能だ。育児や介護、家族の転勤といった事情で、会社での勤務が困難な従業員でも働けるため、離職防止にもつながるだろう。

また求職者の中には、離職率の低さや柔軟な働き方を重視している人材が存在する。リモートワークの導入で働き方の選択肢を増やすことで、新たな人材の獲得にもつながるはずだ。

関連記事:自社の離職率は高い?低い?日本の業界別離職率と下げる取り組みを解説

ワークライフバランスの改善

リモートワークの導入は、従業員のワークライフバランスの改善にも効果的だ。会社に出社する必要がないため、通勤時間が不要になる。つまり、これまで通勤に使っていた時間をプライベートな時間に充てられるのだ。

家族や友人、パートナーとの時間、趣味や自己研鑽といった時間が増えることで、プライベートの充実にもつながる。プライベートの充実で、仕事に対するモチベーション向上も期待できるだろう。

デメリット

リモートワークの導入により、勤怠管理の複雑化や認識のずれといったデメリットが存在する。これは仕組み不足が原因だ。遠隔でやりとりする以上、遠隔でもストレスなく業務ができるような仕組みを作る必要がある。

関連記事:コロナ禍でもコミュニケーションを活発化。継続率99%を誇る社内SNSで叶える業績アップ、離職率改善の具体例

勤怠管理の複雑化

リモートワークの導入により、勤怠管理が複雑化することがデメリットといえる。リモートワークは姿を確認できないため、従業員がいつ働いたのかを把握できない場合がある。

これは、仕組み不足が原因といえる。勤怠時間だけでいえば、勤怠管理ツールを導入すれば、出社しているときと同様の管理ができる。ただし姿が見えないため、虚偽の報告をすることも可能だ。

残業を認める基準や労働時間の管理方法、評価制度を見直し、公平に評価できる制度を設ける必要があるだろう。

関連記事:テレワーク・在宅勤務での人事評価制度はどのように変わる?評価の軸はプロセスから成果へ

認識のずれや教育機会減少

認識のずれや教育機会が減少することも、リモートワーク導入のデメリットだ。全員が顔を合わせていたときと異なり、姿が見えないことでコミュニケーションの数自体が減少する。

それにより、業務に必要な情報ややり方が共有できないといったケースは少なくない。これまでは、同じ場所で同じ時間を共有するだけでできていたことが、簡単なことではなくなるのだ。研修や教育時間の設定といった取り組みを意識的に実施する必要があるだろう。

またコミュニケーションの減少により、一体感が出にくくなることもデメリットに挙げられる。Web会議ツールやチャットツールを導入し、決まった時間にテレビ会議を実施するといった仕組み作りが必要だ。

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リモートワークを実施する時のポイント

リモートワーク実施時のポイントとして、セキュリティ対策や福利厚生の見直し、評価制度の見直しが挙げられる。どれも、リモートで作業することによって発生する問題に対応するための施策だ。

ここでは、リモートワーク実施時にしておきたい対策について解説する。

セキュリティ対策

リモートワークを実施する際のポイントとして、セキュリティ対策は外せないだろう。外出時に端末の盗難にあったり紛失したりするケースや、業務画面を第三者に見られるといったリスクが存在する。

自宅であっても、ウイルス感染や不正サイトへのアクセス、不正アプリのインストールといったリスクにも注意が必要だ。セキュリティソフトやVPNを利用したネットワーク環境を構築することはもちろん、セキュリティガイドラインを定め、従業員のセキュリティ意識を高めることも重要といえる。

福利厚生の見直し

福利厚生の見直しもポイントだ。リモートワークは会社のコスト削減に有効な反面、従業員にとっては負担が発生するケースがある。Webカメラなどの機材や机、椅子といったオフィス用品が必要になるだけではなく、電気代や通信費も負担することになる。

特に、電気代や通信費は毎月発生するものだ。毎月従業員に負担がかかっている状況が続けば、従業員の不満も溜まり、いずれ退職につながる可能性も考えられる。

従業員からの不満を事前に防ぐためにも、従業員の負担を軽減できるような仕組みを作ることが必要だ。交通費の代わりに通信費や雑費を支給するといった制度を設ければ、従業員の負担を軽減できるだろう。

評価制度の見直し

評価制度の見直しも、リモートワーク導入時のポイントだ。リモートでは、業務中の姿を確認できなくなる。したがって、評価基準も成果に対する割合を増やす必要がある。

そのためには人事評価を見直し、何をどうやって評価するのかという基準を定めるべきだ。見直した基準を従業員に開示することで、従業員は納得したうえでリモートワークに取り組めるだろう。

関連記事:テレワーク・在宅勤務での人事評価制度はどのように変わる?評価の軸はプロセスから成果へ

コミュニケーションツールの導入

コミュニケーションツールの導入もリモートワークには欠かせない。コミュニケーションツールには、遠隔で業務に取り組むために必要な機能が存在している。チャット機能を使ってメンバーと気軽にやりとりすれば、コミュニケーションを活性化させることも可能だ。

画面共有機能を使用すれば、その場にいなくても操作を教えることもできる。ツールを上手く利用することで、出社時以上の効率化も目指せるだろう。

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まとめ

リモートワークとはインターネットを利用し、遠隔地で業務を行う働き方だ。同様の言葉にテレワークが存在するが、リモートワークとの違いは定義の有無だけで意味に違いはない。

リモートワークの導入には、会社への出社が不要なことにより、コスト削減や事業継続性のリスク管理といったメリットが存在する。柔軟な働き方に対応できることで、人材確保やワークライフバランスへの効果も期待できる。

一方、従業員同士が近くにいないことにより、勤怠管理の複雑化や認識のずれといったデメリットが存在する。遠隔でやりとりする以上、遠隔でもストレスなく業務ができるような仕組みを作ることが必要だ。

リモートワークは、セキュリティ対策や福利厚生の見直し、評価制度の見直しといったポイントをおさえたうえで導入すべきだ。リモートワークでどのような問題が発生するのかを想定し、事前に対策を打つことでリモートワークの成功に近づけるだろう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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