2022.8.25

週休3日制のメリット・デメリットは?導入が進む5つの企業事例もご紹介

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近年では、週休3日制度を導入する企業が増加している。週休3日制は、1週間に休日を3日間与える制度だ。柔軟な働き方を求める声やスキル習得の時間確保の声に応える対策として、導入する企業が増えてきているのだ。

この記事では、週休3日制が注目を集める背景やメリット、デメリット、すでに導入を進めている企業事例について解説する。

週休3日制とは?注目を集める背景

週休3日制とは、1週間当たりの休日を3日とする制度である。これまで週休2日制を採用する企業が一般的であったが、近年では週休3日制を採用する企業が増えてきている。

これは、2021年に日本政府が閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2021」に「選択的週休3日制」が盛り込まれたことが発端だ。週休3日制を推進することで、ワークライフバランスの尊重や新たなスキル習得、いわゆるリスキリングにつなげる狙いがあるのだ。

コロナ禍により、柔軟な職場環境を求める声も増えてきている。テレワーク・リモートワークを求める声や、育児や介護などの事情に合わせて働ける職場環境を求める声は、その一例だ。週休3日制の導入とともに、副業を解禁している企業も存在する。

優秀な人材を確保するためにも、柔軟な働き方ができる制度として、週休3日制に注目が集まっているのだ。

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週休3日制のメリット

週休3日制のメリットには、休日が増えることによる時間の有効活用が挙げられる。趣味の時間や働き方の選択といった仕事以外の要素の選択肢が増えることは、大きなメリットだろう。

また、休日をスキルアップに当てることで、イノベーション促進にもつながる。ホワイトな労働環境をアピールできれば、人材不足解消にも効果があるのだ。ここでは、週休3日制のメリットについて解説する。

自由な時間が増える

週休3日制のメリットとして、自由な時間が増えることが挙げられる。休日が増えることで、趣味に使える時間が増加する。旅行に行く場合でも、選択肢が増えることはメリットだろう。従業員のモチベーション向上にもつながるはずだ。

自由な時間が増えるということは、働き方の選択肢を増やすことにもなる。労働時間を減らしたうえで業務をこなす体制を作ることで、短時間勤務を希望する従業員が仕事を継続しやすくなるのだ。

実際、育児や介護を理由に離職するケースは少なくない。週休3日になれば、育児や介護に対応しながら正社員として働くこともできるだろう。

関連記事:モチベーションとは?意味やアップさせる方法を分かりやすく解説

イノベーション促進

週休3日制のメリットとして、イノベーションの促進も挙げられる。自由な時間が増えることで、スキルアップに挑戦する時間ができる。上昇志向のある従業員であれば、セミナーや勉強会といった自己研鑽に励むだろう。

社外からの知識やコミュニケーションが増えることで、既存の業務にも柔軟に取り組めるようになるはずだ。そのような従業員が増えることでイノベーションが促進され、業務効率化や新たなビジネスの創出につながる。仕事に対する従業員一人ひとりの向き合い方を見直す「ジョブ・クラフティング」にも影響があるだろう。

関連記事:ジョブ・クラフティングの意味は?ワークエンゲージメントとの関係、研修プログラムを解説

人材不足の解消

人材不足の解消も週休3日制のメリットといえる。労働人口減少による労働力不足は、企業が抱える問題のひとつだ。優秀な人材の確保には、魅力的な福利厚生や職場環境が鍵を握る。週休3日制はホワイトな職場環境であることのアピールにもなるはずだ。働きやすい職場環境を求める人材も集まってくるだろう。

また週休3日制は、他企業との人材シェアも可能になる。休日を副業に当てれば、自社以外でも能力を発揮できる環境ができるのだ。自社だけでなく、業界としての人材不足解消にもつながるだろう。

週休3日制のデメリット

週休3日制の導入にはデメリットも存在する。週休2日制と比べて労働時間が短くなることで、業務がこなせなくなる可能性や、給与が削減される可能性が考えられる。また、顧客とのやり取りに支障をきたすケースも存在する。

デメリットに対して、対策を打っておくことが必要だろう。ここでは、週休3日制のデメリットとその対策について解説する。

業務がこなせなくなる

週休3日制のデメリットとしては、これまでの業務がこなせなくなることが挙げられる。多くの週休3日制度では、休日が増えることで労働時間自体も減少する。そのため、これまでこなしていた業務を遂行することができなくなるケースが存在するのだ。

特に、残業が当たり前となっている会社では、この問題を解決することは簡単ではないだろう。増員の検討や、業務量自体を削減するといった対策が必要になるだろう。

給与が減る可能性がある

これは従業員側から見たデメリットともいえる。週休3日制の導入により、給料が減る可能性があるのだ。休日が増えれば労働時間も減少する。労働時間に合わせた給与に変更するため、給与を下げられるのだ。

実際に週休3日制を導入する企業の中には、給与を下げる企業も存在する。休日が増えるとはいえ、給与が減少するのであれば、離職を考える従業員もいるだろう。週休3日制の導入とともに給与を下げる場合は、従業員からの理解を得たうえで、副業を解禁するといった対策が必要だ。

機会損失の可能性が増える

機会損失の可能性が増えることも、週休3日制のデメリットだ。労働日数が減ることで、顧客とのやり取りに支障をきたすことが考えられる。自社の休日にしかアポイントを取れないケースや、休日に連絡がきていたケースがその一例だ。

休日を増やしたことが原因でビジネス機会を損失してしまっては、週休3日制を導入する意味はないだろう。対策としては、自動返答システムの利用やシフト制の導入により、顧客とのやり取りに穴を開けないための工夫が必要だ。

導入が進んでいる5つの企業事例

ここでは、週休3日制の導入が進んでいる企業事例について紹介する。日本マイクロソフトやヤフー、ヤマト運輸は、従業員の事情に合わせた労働環境を提供する取り組みの一環として週休3日制を導入している。

600株式会社や信州ビバレッジは、生産性向上に向けた取り組みとして、週休3日制を導入している企業だ。それぞれの企業の取り組みについて解説する。

日本マイクロソフト株式会社

日本マイクロソフト株式会社は、経営戦略の中心に働き方改革を置いている。その基本理念に「ワークライフチョイス」を掲げ、社員一人ひとりの事情や状況に合わせた柔軟な働き方を選択できる環境を目指しているのだ。

ワークライフチョイスの推進に向け、全従業員が「短い時間で働き、よく休み、よく学ぶ」ことに挑戦している。それだけでなく、その検証結果を公開し、他社から参考にしてもらうことを目的として「ワークライフチョイス チャレンジ 2019 夏」を実施したのだ。

2019年8月のすべての金曜日を休業とし、正社員には特別有給休暇を与えた。時間の使い方を見直し、多くの時間を費やしている会議やメールの作法を改革する「コミュニケーションのお作法」を策定。具体的な対策を示したうえで、週休3日制に挑戦したのだ。

実施後の評価として90%以上の支持を得たことから、取り組みは成功だったといえるだろう。

参考:日本マイクロソフト株式会社「週勤 4 日 & 週休 3 日」を柱とする自社実践プロジェクト「ワークライフチョイス チャレンジ 2019 夏」の 効果測定結果を公開

ヤフー株式会社

ヤフー株式会社の「えらべる勤務制度」は、育児や介護をしながらでも働ける労働環境を提供する制度だ。多様な働き方の支援を目的としている。小学生以下の子どもがいる従業員や介護や看護が必要な家族がいる従業員を対象として、月単位で週休3日を選択できるのだ。

夏休みの期間に合わせて、7月と8月のみ週3日を選択することもできる。そのときの事情に合わせて働き方を選べることは、従業員にとってメリットが大きいだろう。

ヤマト運輸株式会社

ヤマト運輸株式会社は、経営の中心に働き方改革を掲げている。物流業界全体の人手不足に対応するため、従業員が働きやすい労働環境の整備に向けて取り組んでいる。その一環が「短時間勤務制度」だ。

短時間勤務制度は、育児や介護、年齢といった従業員のライフステージの変化に合わせ、労働時間や勤務日数を選択できる。週休4日にすることも可能だ。従業員の事情に合わせた勤怠系を選べることで、人材の確保につなげているといえる。

600株式会社

600株式会社は、水・土・日曜日が休みの「週休3日制」を取り入れたうえで、エンジニアの下限年収1,000万円を実現している会社だ。1週間の真ん中である水曜日を休みにすることで、「月曜日と火曜日」「木曜日と金曜日」の2日単位でスケジュールを立てることができる。

トラブルが発生した場合でも、2日の中で優先順位を立てることで、スムーズに業務が進むのだ。これを実現させるための対策のひとつが「周知すること」だ。1年に10回以上も「週休3日制は生産性向上のために行なっている」ことを発信することで、目的が従業員に浸透する。

600株式会社は、周知徹底による従業員の意識改革で、週休3日制に成功した会社といえるだろう。

信州ビバレッジ株式会社

信州ビバレッジ株式会社は、繁忙期や通常期がない安定した働き方を目指し、週休3日制を導入した。1日12時間拘束の10時間勤務、4班2交替制とすることで、休日を1日増やしたのだ。

1日の拘束時間が長いものの、繁忙期では当たり前となっていた拘束時間のため、従業員からの理解も得られた。勤務時間を一定としたことで、残業がなくなり、収入減を心配する声もあったが、基本給の引き上げや賞与で補填することで年収を下げないような対策も打ったのだ。

また、製造現場ではシフトメンバーを固定化することで、チームワーク向上につなげた。信州ビバレッジは、従業員の不安を軽減する対策を事前に打つことで、週休3日制に成功した事例といえるだろう。

まとめ

週休3日制とは、1週間当たりの休日を3日とする制度だ。2021年に日本政府が閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2021」に「選択的週休3日制」が盛り込まれたことを発端として、週休3日制を導入する企業が増えている。

コロナ禍により、柔軟な職場環境を求める声も増えてきている。優秀な人材を確保するための対策として、柔軟な働き方ができる制度である週休3日制に注目が集まっているのだ。

週休3日制のメリットには、時間を有効に活用できることが挙げられる。空いた時間を趣味だけでなく、スキルアップや副業に使うことで、イノベーション促進にもつながるのだ。ホワイトな労働環境をアピールすることで、人材不足解消にも効果を見込めるだろう。

一方、デメリットも存在する。労働時間が短くなるため、業務に支障をきたす可能性や、給与が削減される可能性が出てくる。週休3日制の導入を考えている企業は、メリットやデメリットを理解し、自社に適した対策を打ったうえで、導入を検討する必要があるだろう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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