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2025.6.11
レピュテーションリスクとは、企業に対するネガティブな評判により、企業の評価が下がるリスクのことです。
今回はレピュテーションリスクの詳細な意味や重要性、種類、発生原因、対策、事例までを網羅的に解説します。企業の評判は事業の成長に直結する重要な要素です。本記事を読むことで、レピュテーションリスクが企業活動に及ぼす影響を理解し、リスクの種類や発生原因を特定、未然に防ぐための対策、万が一発生した場合の適切な対応策を学ぶことができます。
リスク発生前の情報発信や従業員教育、発生後の迅速な情報公開や専門家活用など、具体的な対策を事例と共に紹介することで、企業の評判を守り、持続的な成長を実現するための実践的な知識を得られます。
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目次
レピュテーションリスクとは、企業の評判が悪化することで生じる様々な損失の可能性を指します。評判は企業活動の基盤であり、一度失墜すると回復が非常に困難です。そのため、レピュテーションリスクは企業経営における重要なリスクの一つと認識されています。具体的には、売上減少、株価下落、優秀な人材の流出、取引停止など、企業活動のあらゆる側面に悪影響を及ぼす可能性があります。
レピュテーションとは、日本語で「評判」を意味します。企業のレピュテーションは、ステークホルダー(顧客、従業員、株主、取引先、地域社会など)が企業に対して抱く全体的な評価やイメージを指します。これは、企業の製品やサービスの品質、顧客対応、企業倫理、社会貢献活動など、様々な要素によって形成されます。良好なレピュテーションは、企業の信頼性を高め、競争優位性を築く上で重要な役割を果たします。逆に、レピュテーションが低下すると、企業活動に深刻な影響を与える可能性があります。
レピュテーションリスクとは、企業の評判が損なわれることによって引き起こされる様々なリスクのことです。これは、企業の不祥事やスキャンダル、製品の欠陥、顧客対応の不備、情報漏洩など、様々な要因によって引き起こされる可能性があります。レピュテーションリスクは、企業の業績に直接的な影響を与えるだけでなく、企業のブランドイメージや信頼性を損ない、長期的な成長を阻害する可能性があります。
現代社会において、レピュテーションリスクは企業経営にとって非常に重要なリスクとなっています。その理由は以下の通りです。
インターネットやSNSの普及により、情報は瞬時に世界中に拡散されます。企業の不祥事やネガティブな情報は、すぐに拡散し、大きな影響を与える可能性があります。
現代の消費者は、企業の倫理観や社会貢献活動にも関心を持ち、購買行動に反映させる傾向があります。企業のレピュテーションは、消費者の購買決定に大きな影響を与えます。
レピュテーションは、企業の無形資産の一つであり、企業価値に大きな影響を与えます。レピュテーションが低下すると、株価下落や投資家の信頼喪失につながる可能性があります。
優秀な人材は、企業のレピュテーションを重視して就職先を選びます。レピュテーションが低下すると、優秀な人材の確保が困難になる可能性があります。
レピュテーションリスクは、企業の事業継続性にも影響を与えます。深刻なレピュテーションリスクが発生した場合、企業は事業の継続が困難になる可能性があります。
これらの理由から、企業はレピュテーションリスクを適切に管理し、評判を守るための対策を講じる必要があります。企業は、リスク発生前の予防策と発生後の対応策を準備し、レピュテーションリスクを最小限に抑える努力を継続的に行う必要があります。
レピュテーションリスクは、企業の評判に関わるあらゆる側面で発生する可能性があり、多岐に渡ります。発生源や影響範囲によって分類することで、より具体的かつ効果的な対策を講じることが可能になります。 レピュテーションリスクは、大きく7つの種類に分類できます。
製品やサービスの品質、安全性、機能などに問題が生じ、顧客の信頼を失墜させるリスク。
具体例:欠陥商品によるリコール、サービス提供の遅延や不具合、虚偽表示など
新しい技術や製品・サービスの開発に失敗したり、市場のニーズに合致しなかった場合に、企業の革新性に対する信頼が損なわれるリスク。
具体例: 革新的な新製品の市場投入の失敗、競合他社による技術革新の追い越しなど
従業員に対する不適切な労働環境やハラスメント、差別などが明るみに出ることで、企業イメージが悪化するリスク。
具体例:長時間労働、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、従業員のメンタルヘルス問題など
企業統治の不備や不正行為、コンプライアンス違反などが発覚し、企業の信頼性や倫理観が問われるリスク。
具体例: 粉飾決算、贈収賄、情報漏洩、内部告発など
環境問題への対応不足や社会貢献活動の不適切さなどが批判を受け、企業の社会責任に対する信頼が揺らぐリスク。
具体例:環境汚染、人権侵害、不適切な寄付行為など
経営陣の不適切な言動や経営方針の失敗、スキャンダルなどが発生し、企業の指導力や将来性に対する信頼が失われるリスク。
具体例:経営者の不正行為、経営戦略の失敗、不祥事など
業績の悪化や経営危機、倒産などが発生することで、企業の安定性や将来性に対する信頼が損なわれるリスク。
具体例:売上減少、赤字転落、資金繰り悪化、倒産など
これらのリスクは単独で発生するだけでなく、複数のリスクが連鎖的に発生することもあります。例えば、製品の欠陥が発覚した場合、製品・サービスリスクだけでなく、業績リスクやリーダーシップリスクにも発展する可能性があります。それぞれのリスクの相互作用を理解し、包括的なリスク管理体制を構築することが重要です。
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レピュテーションリスクは、企業の内部要因と外部要因の両方が複雑に絡み合って発生します。発生原因を理解し、適切な対策を講じることで、リスクを最小限に抑えることが可能です。
社内要因とは、企業内部の行動や状況が原因で発生するレピュテーションリスクです。主な原因は以下の通りです。
従業員が、企業の不正行為やコンプライアンス違反を社外に告発すること。
影響:公益通報者保護法により保護されるケースも存在します。 企業の信頼性失墜、訴訟リスク、株価下落など
顧客情報や企業秘密などの機密情報が、故意または過失によって社外に漏洩すること。
影響:サイバー攻撃や内部不正による漏洩など、様々なケースがあります。 顧客離れ、訴訟リスク、競争力の低下など
従業員が、業務内外で不祥事を起こすこと。横領や不正アクセス、ハラスメント、情報漏洩など、多岐にわたります。
影響: 企業イメージの悪化、顧客離れ、訴訟リスクなど
製品やサービスの品質が低下すること。製造工程の不備や人為的なミス、管理体制の不備などが原因となります。
影響:顧客満足度の低下、製品リコール、ブランドイメージの低下など
社外要因とは、企業外部の出来事や状況が原因で発生するレピュテーションリスクです。主な原因は以下の通りです。
事実無根または誇張された情報が拡散し、企業の評判を落とすこと。インターネットやSNSでの情報拡散により、被害が拡大しやすい傾向にあります。
影響: 顧客離れ、売上減少、ブランドイメージの低下など
SNSや掲示板などで、企業に対する批判が殺到し、大規模な炎上騒ぎに発展すること。企業の対応次第では、大きなレピュテーションリスクに繋がります。
影響:企業イメージの悪化、顧客離れ、株価下落など
競合他社が、意図的に自社の評判を落とすためのネガティブキャンペーンを行うこと。ステルスマーケティングや風評の流布など、様々な手法が用いられます。
影響:市場シェアの低下、顧客離れ、ブランドイメージの低下など
市場トレンドや消費者ニーズの変化に対応できず、企業の競争力が低下すること。社会情勢や経済状況の変化も、レピュテーションリスクに影響を与えます。
影響:売上減少、市場シェアの低下、事業継続リスクなど
これらの要因は単独で発生するだけでなく、複数の要因が重なってレピュテーションリスクを増大させる可能性があります。
例えば、従業員の不祥事が発覚した際に、企業の対応が遅れたり不誠実であったりすると、SNSで炎上し、大きな風評被害に発展する可能性があります。そのため、企業は社内外のリスク要因を常に把握し、適切な対策を講じることが重要です。
レピュテーションリスクを完全にゼロにすることは難しいですが、発生前の対策と発生後の対策を講じることで、リスクを最小限に抑え、企業の評判を守ることは可能です。発生前の対策は、リスクの芽を摘み、発生後の対策は、被害を最小限に抑えるための重要なステップとなります。
リスク発生前の対策は、「予防」に重点を置きます。企業の信頼を築き、リスク発生の土壌を減らすための対策です。
積極的に情報を発信することで、企業の透明性を高め、ステークホルダーとの良好な関係を構築できます。自社ウェブサイトやSNS、プレスリリースなどを活用し、企業理念、事業内容、CSR活動など、多岐にわたる情報を発信することで、企業への理解と共感を深め、誤解や風評被害の発生を抑制します。また、FAQページやお問い合わせフォームを設置することで、顧客からの質問や疑問に迅速に対応し、不安の解消に努めることも重要です。
従業員一人ひとりがレピュテーションリスクへの意識を高めることが重要です。コンプライアンス研修、情報セキュリティ研修、SNS利用に関するガイドラインの策定と周知徹底などを通じて、従業員の行動規範を明確化し、不祥事や情報漏洩などのリスク発生を未然に防ぎます。また、社内報やイントラネットなどを活用し、事例紹介や注意喚起を行うことで、従業員の意識向上を図ることも効果的です。
コンプライアンス委員会の設置、内部通報制度の整備、コンプライアンスに関する規程の制定など、組織的なコンプライアンス体制を構築することで、法令違反や不正行為などのリスクを抑制します。また、定期的な監査やリスクアセスメントの実施により、コンプライアンス体制の有効性を検証し、継続的な改善に努めることが重要です。
レピュテーションリスクが発生した場合に備え、対応手順を明確にした危機管理マニュアルを作成しておくことが重要です。マニュアルには、情報公開の範囲や方法、責任者や担当者の役割、対応のタイムライン、関係各署との連携方法などを具体的に記載することで、迅速かつ適切な対応を可能にします。また、定期的な訓練やシミュレーションを実施することで、マニュアルの有効性を確認し、改善点を洗い出すことが重要です。
リスク発生後の対策は、「抑制」と「回復」に重点を置きます。企業の評判への影響を最小限に抑え、信頼を回復するための対策です。
リスク発生時には、状況の把握、事実関係の確認を行い、迅速かつ正確な情報をステークホルダーに公開することが重要です。隠蔽や遅延は、不信感を増幅させ、状況を悪化させる可能性があります。記者会見やプレスリリース、ウェブサイト、SNSなどを活用し、積極的に情報発信を行い、憶測や風評の拡散を防ぎます。情報公開の際には、正確な情報だけでなく、今後の対応策や再発防止策についても明確に示すことが重要です。
リスク発生によって影響を受けたステークホルダーに対しては、誠意をもって対応することが重要です。顧客や取引先、従業員など、それぞれの立場に配慮した対応を行い、謝罪、補償、相談窓口の設置など、具体的な対応策を示すことで、信頼回復に努めます。また、対応の進捗状況についても定期的に報告することで、透明性を確保し、不安の解消に努めます。
レピュテーションリスクへの対応には、専門的な知識や経験が求められる場合があります。弁護士、危機管理コンサルタント、PR会社など、必要に応じて専門家の協力を得ることで、より効果的な対応が可能になります。専門家は、法的なアドバイス、広報戦略の立案、風評被害対策など、多岐にわたるサポートを提供し、企業の評判を守るための最善策を提案します。
インターネット上での風評被害は、企業の評判に深刻な影響を与える可能性があります。風評被害対策専門の業者に依頼し、誹謗中傷の削除要請、風評の監視、逆SEO対策など、適切な対策を講じることで、風評被害の拡大を抑制します。また、自社で風評を監視する体制を構築し、早期発見、早期対応に努めることも重要です。
<リスク対策ステップ>
情報発信(発生前):自社ウェブサイト、SNS、プレスリリース等で企業情報を積極的に発信
顧客対応窓口の設置(FAQ、お問い合わせフォーム等)
情報発信(発生後):迅速かつ正確な情報公開(記者会見、プレスリリース、ウェブサイト、SNS等)
対応策、再発防止策の情報発信
対応の進捗状況の報告
社内体制(発生前):社内体制 従業員教育(コンプライアンス、情報セキュリティ、SNS利用ガイドライン等)
コンプライアンス体制構築(内部通報制度、規程制定、監査等)
危機管理マニュアル作成、訓練実施
社内体制(発生後):専門家の活用(弁護士、危機管理コンサルタント、PR会社等)
風評被害対策(削除要請、監視、逆SEO等)
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レピュテーションリスクの事例には、コンプライアンス違反やアルバイト店員による不祥事、サービスへの不満による悪評拡散といったものがあります。どのケースも、リスク対策をしていれば回避できた事例です。ここでは、5つの事例について解説します。
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コンプライアンス違反の事例として、ある料亭の不祥事が挙げられます。売れ残った食品の賞味期限偽装や、食べ残しの再利用といったコンプライアンス違反をしていたことが発覚しました。
さらに、経営陣が発覚時に「偽装は納入業者の責任」「食べ残しの再利用はパート社員の責任」と回答したことにより、その料亭は社会的な信用も失いました。仮に経営陣の指示がなかったとしても、責任は企業側にあります。
この事例は、発覚時の対応の悪さも信頼が失墜する原因となり、料亭は廃業に追いやられました。コンプライアンスに対する理解度と、誠意のある対応をしていれば、回避できた事例といえます。
近年では、アルバイトが不適切な行動を起こした事例も存在します。コンビニのアルバイト店員が店内の冷蔵庫内で寝転がった写真を撮影し、SNSに投稿した事件は有名なケースの1つです。
似たようなケースが「バイトテロ」とも名付けられるほど多くの場所で発生しており、「不衛生」「お店としてあってはならない行為」と問題となりました。事件があったコンビニは、FC契約を解除する結果となりました。
店内で不適切な行動をしただけでなく、その行為をSNSに投稿してしまう行動は、ネットリテラシーの低さを感じます。また、そのような行為をしてしまう労働環境にも問題があるでしょう。この事件は、アルバイトも含めた従業員教育と労働環境の改善を徹底していれば、回避できた事例です。
また、2023年初頭、回転寿司チェーンにおけるアルバイト店員による不適切動画の拡散が大きな問題となりました。醤油ボトルの口を舐めたり、寿司に唾液をつけたりする行為が撮影され、SNSに投稿されたことで、企業の衛生管理に対する信頼が大きく損なわれたのです。
これらの行為は、顧客の健康を脅かす可能性があるだけでなく、企業イメージを著しく低下させ、客離れを引き起こす要因となりました。企業は、厳正な処分を行うとともに、再発防止策の徹底を図る必要に迫られています。
サービスへの不満から悪評が拡散された事例も存在します。カタログのイメージ図と実際に提供されたものとの乖離の激しさに不満を感じた消費者がSNSに投稿し、炎上したのです。
このようなケースは日常でも少なくありません。SNSに投稿されるほどではなくても、小さな不満の積み重ねが消費者離れにつながることも考えられます。このような問題は、顧客目線でのサービス提供を意識した情報発信により、回避できた事例です。
また、あるアパレルECサイトでは、商品の発送遅延や不良品に関する顧客からの問い合わせに対し、対応が遅く、誠意がないと受け取られる対応をしてしまったことで、顧客の不満が爆発し、SNS上で批判が拡散され、企業イメージが低下しました。顧客対応の質の向上や、迅速かつ丁寧な情報公開が重要であることを示す事例と言えます。
企業にとってレピュテーションは重要な無形資産であり、一度失墜すると回復が困難です。
リスク発生前の対策として、情報発信の強化、従業員教育、コンプライアンス体制の構築、危機管理マニュアルの作成が望まれます。リスク発生後は、迅速かつ誠実な対応、専門家の活用、風評被害対策が必要です。
食品会社の食中毒事件や自動車のリコール問題など、過去の事例からもレピュテーションリスクへの適切な対応が企業の存続に大きく影響することが分かります。
企業は、潜在的なリスクを認識し、適切な対策を講じることで、レピュテーションを守り、持続的な成長を実現していく必要があるでしょう。
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ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。
※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです
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