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戦国武将たちのリスクヘッジとは?現代のビジネスや個人にも通用する施策【歴史の偉人に学ぶマーケティング 連載第7回】

2024.11.22
読了まで約 7

歴史に名を残した偉人たちの成功戦略を、中小企業診断士の森岡健司氏がわかりやすく解説する本連載。第7回のテーマは「戦国武将のリスクヘッジ」です。

安定したマーケティングや経営、人事などを行う上で「リスクヘッジ」は欠かせません。戦国武将たちは、後継者問題や謀反の防止、健康や寿命など、御家存続にまつわる数々の危機をどのように管理していたのでしょうか?

時代の覇者たちから、リスクヘッジを学びましょう!

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今話題のリスクヘッジとは

リスクヘッジとは、現代において、何かしらの損失や不測の事態が起こる可能性に対して、事前に対策を立ててその時に被るであろうリスクを、できるだけ回避を、もしくはできるかぎり損害を軽減することです。

金融業界においては、このリスクヘッジは投資を行う上では当然の施策とされています。予期せぬ資産の価値変動による損失を防ぐ、もしくは軽減させるための取引手法として、「分散投資」や「オプション取引」「スワップ取引」などがあります。

昨今では金融業界に限らず、巨大地震や大型台風などの大規模災害などを経て、リスクヘッジという言葉は巷でもよく耳にするようになりました。企業が災害などのリスクに備えるために事業継続計画(BCP)の策定が求められるようになっています。

この不確実性の高い時代において、さらに企業などの組織防衛のためだけでなく、個人の生活環境を守るためにも、リスクヘッジの重要性がよく語られるようになりました。

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組織や個人におけるリスクヘッジの事例

リスクヘッジには、想定される事態や状況に対して様々な対策が存在します。

ビジネスの分野においては、下記のような事例があります。

● 貴重な売上や顧客、商品に関するデータを常にバックアップする
● 地震や台風などの局地的な災害に備えて工場や事務所を多拠点化する
● 災害に備えて火災保険や地震保険などに加入する
● 訴訟トラブルに備えて弁護士など専門家を交えて法的な整備を行う
● 経営者の不慮の事故や病気に備えて後継者の指名育成や体制作りを行う

個人の生活分野においては、下記のような事例があります。

● 事故や病気に備えて生命保険などに加入する
● 金銭面での不測の事態に備えて貯蓄や投資を行う
● 入院や通院を避けるために運動や健康診断を定期的に行う
● 大規模な災害に備えて備蓄品や非常時持ち出し品を準備しておく
● 個人情報やログインパスワードなどの漏えい対策を行う

ビジネスと個人では規模感には違いがありますが、内容的には概ね共通する対策も多いようです。

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戦国時代におけるリスクヘッジ

戦国時代はいうまでもなく現代以上に不確実性の高い世界でした。弱肉強食や下剋上という言葉にふさわしい過酷な世界での生活は、常にリスクと隣り合わせです。

大きな武力を有する権力者であっても、いつどこで命を落とすか分からないため、不測の事態に備えることは非常に重要な事でした。

戦国時代における不測の事態、つまりリスクは下記などが主に考えられます。

1. 後継者問題
2. 組織内部の統制
3. 情勢の変動
4. 災害対策
5. 当主の寿命

戦国時代においては、想像以上に、後継者の選定は御家の存続にとって高リスクでした。期待して譲った後継者が御家を潰したり、選定に不満を持った者たちが反乱したり、組織が崩壊したりする事はよく起こりました。

後継者へスムーズに組織を譲ることは、この時代の共通の課題でした。

また、利害の不一致による派閥争いなどによって内部分裂することも多々あり、規模が大きくなればなるほどリスクも増大していきました。

また社会情勢の変化に対して、どのように対処していくかも重要でした。大きなもので言えば織田信長と足利義昭の対立や、豊臣秀吉と明智光秀、徳川家康と石田三成とで天下を分けるような争いがありました。この情勢の大きな変化時にはリスクヘッジをしていたかどうかで、家名の存続に影響がありました。

そして、意外にも戦国時代において健康管理に非常に気を付けた事で、リスク回避をできた者もいます。

戦国時代を生き延びた武将たちは、軍事や内政、外交に優れていたと言えますが、一方では現代で言うところのリスクヘッジの達人だったと言えると思います。

武将たちのリスクヘッジは現代でも参考になる部分も多いと思います。

後継者問題でのリスクヘッジ:武田信玄と徳川家康

戦国武将として有名な武田信玄と徳川家康は二人とも自身の後継者の最有力候補である長男を、リスクヘッジのために排除しています。

戦国時代では、子ども達も親とは別にそれぞれが独自の家臣団を持ちます。そのため親子間で方向性に違いや利害の不一致が生まれると、家中を巻き込んだ内部抗争に発展することがよくありました。時には周辺勢力も加わって大規模な争いに発展しました。

武田信玄自身も父信虎と争いとなり、父を追放して力ずくで家督を継承しています。

そのため自身と意見の相違が生まれそうな場合は、その後の混乱や抗争を避けるためにも、早めに後継者を処分することはよくありました。

武田信玄も長男義信が謀反を計画していたとして、突如これを幽閉して後継者から外しています。義信はその後切腹したとも病死したとも言われています。

これは自身の後継者となりうる四男勝頼がいたため、後継者不在というリスクも回避できることを見越しての処置だったと思います。

徳川家康も長男信康を謀反の罪で切腹させています。勇猛な武将でもあった信康と家康の間で何かしらの意見や方向性の対立があったと言われています。

こちらも次男秀康もおり、さらに三男秀忠が誕生していたため、後継者の心配がないため決断できたようです。

信玄も家康も感情的に行動しておらず、代わりの後継者の見込みを立ててから処断しています。

一方で後継者問題のリスクヘッジに失敗したのが上杉謙信です。

子どもがなかったため景勝と景虎という二人の養子を取りましたが、謙信が後継者を明確にしないまま急死したため、国力を半減させるほどの内部抗争となりました。

これは現代でもよく起きる問題で、最近では早めの事業承継の準備が勧められています。

関連記事:信長・秀吉・家康たち戦国武将のインターナルマーケティング【歴史の偉人に学ぶマーケティング 連載第4回】

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組織内部の統制でのリスクヘッジ:島津家と徳川幕府

戦国時代における家臣は、一般的なイメージと違って、打算の結果として従属関係にあるだけで、大名家の勢力が低下すれば寝返るなど、組織の離合集散は当たり前でした。

家中で大きな力を持つ家臣に裏切られることは、組織の維持のためにも危険であるため、早めにこれを排除することは、リスクヘッジの一つでした。

また、この時代においては、有力家臣の排除は逆に当主側の権力強化に繋がるため、よく行われています。

例えば、関ヶ原の戦いで敵中突破した島津家も、自家の将来的な不安要素の早期排除と権力強化のために有力家臣伊集院忠棟を粛正しています。

忠棟は島津家の宿老でありつつも、秀吉に重用されて権力が増大していたため危険視されて排除されたと言われています。

島津家はここから当主権力の強化が進みます。この粛正をきっかけにして、幕末の強固な薩摩武士団が生まれたのかもしれません。

また、徳川家康も重用していた大久保長安が死去すると、その生前の行いを罪に問い、長安に関連する者たちを大幅に粛正しています。

その後、長安を引き立てた大久保忠隣も幕府の老中の地位にありましたが、家康の命によって排除されています。

これらは、大阪の陣を起こすにあたり、幕府内部の規律強化が目的だったという説や、家康の六男忠輝を支持するグループを排除する目的があったとも言われています。

このように初期の段階で、幕府内の不穏分子となる要因をリスクヘッジしておいたことで、江戸時代は260年続いたのかもしれません。

ただし、リスクヘッジに失敗して、大規模なお家騒動となり、最終的に取り潰しになってしまった例もあります。組織内の粛正が逆に大きなリスクを生む場合もあるので、非常に慎重を期す必要があります。

情勢の変動でのリスクヘッジ:真田家と毛利家

戦国時代は現代の金融市場と同じように、日々情勢が変動し続けています。株価の大暴落のように環境が予期せぬ方向に転換してしまう事もよくあります。

そのため関ヶ原の戦いや大阪の陣のような大規模な対立においては、どちら側に味方するかで、自家のその後に大きな違いが生まれます。

このような状況において、戦国武将の中には全財産だけでなく一族の命運を、競馬の一点買いのように全掛けするものもいます。

一方で分散投資のように、どちらの勢力が勝ってもいいように、家中を二分してそれぞれに味方や支援して、リスクヘッジを取る者もいます。

関ヶ原の戦いで最も有名なのは真田家です。父昌幸と次男信繁(幸村)は三成と親しいため西軍に属し、長男信之は徳川四天王の本多忠勝の娘を妻としていたため東軍に属します。

昌幸と信繁は徳川軍の足止めに貢献しますが、西軍は関ヶ原にて大敗してしまいます。しかし、信之が東軍に属していたため真田家は存続が許され、昌幸と信繁も極刑を免れました。

九鬼家も同様に親子で東西に分かれて戦ったため、御家は幕末まで存続できています。

大阪の陣では、徳川家の勝利が予想されていましたが、毛利家はこっそりと家臣を大阪城に送り込んでいます。戦後にこのことが藩内で露見してトラブルになっています。

しかし、大阪夏の陣において、家康の本陣が真田信繁の突撃で突き崩されて、かなり危険な状態になっていますので、幕府軍の敗北もゼロではなかった事が伺えます。

毛利家のリスクヘッジもあながち間違いではなかったと思います。このバランス感覚は幕末においても長州藩内部で微妙に働いていたように思います。

関連記事:戦国時代を通じて、現代でも有名となった伊達政宗・真田幸村たちのブランディング手法【歴史の偉人に学ぶマーケティング 連載第6回】

当主の寿命でのリスクヘッジ:徳川家康と細川忠興

現代でも経営者やリーダーが健康であることは、企業を安定的に運営するための必須条件の一つとされています。

特に経営者の能力に大きく依存する中小企業の場合、経営者が突然の病気などで入院や死去すると、業績への影響も大きく、最悪の場合には事業停止に追い込まれることもあります。

最近、金融機関は融資先の経営者の健康管理に注目するようになりました。

また個人においても病気などで働けなくなると、収入が減り生活に支障をきたします。税金の滞納などが起これば財産の差し押さえの可能性も出てきます。

そのため最近は、社会全体として定期的な健康診断や運動による健康管理が大事とされるようになってきました。

これは現代に限らず、戦国時代においても同様で、当主が病気などで突然倒れると、勢力を大きく低下させてしまう事がありました。上杉家や武田家などはその最たる事例だと思います。

戦国時代にも、当主が健康で長生きすればするほど御家が安定化すると考えて、健康管理に気を付けた武将たちがいました。その中で有名な武将が徳川家康と細川忠興です。

平均寿命が40歳ほどで、50歳まで生きれば長生きだと言われていた戦国時代において、徳川家康は73歳、細川忠興83歳とかなり長命でした。

家康は食事を質素に保ち、酒もあまり飲まないようにしていたと言われています。漢方薬に関する書物を読み、自身で薬の調合をしていたようです。

そのおかげで関ヶ原の戦いを57歳で、大阪の陣を72歳で迎えることができ、幕府の安定化に繋がっています。

忠興も漢方薬に興味を持ち、家康が処方した薬の製法を聞き出して、自らも製剤しています。

その知識と経験によって、医者のように他者の病名を診断できるほどだったようです。また自分の息子にはバランスの取れたものを取るように食事指導も行っています。

忠興が長生きしたことで、細川家は初期の段階から安定した運営ができ、幕末まで大藩を存続できたと思います。

この二人は健康管理というリスクヘッジを効かせた好例です。

有能であっても若くして当主が亡くなった蒲生家などは、家中の統制に失敗してしまいお家騒動が起こり大幅な減封となりました。その後も当主の若死が続き、御家は消滅してしまいました。

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現代にも通じる戦国時代でのリスクヘッジ

これまで挙げてきた事例のように、戦国武将たちも生存競争が厳しい環境の中で、自家が存続できるように色んな形でリスクヘッジを行っています。

上記以外でも、災害という面では水害を防ぐために長良川や大和川など氾濫の多い河川の付け替え工事を行っています。

また、天候不良による飢饉に備えて食料の備蓄だけでなく、代用食の栽培を奨励し、その調理方法などを普及させています。

貯蓄という面では秀吉は大規模な出費を行う一方で豊臣家の存続のために蓄財していたようで、大阪の陣で牢人を集めるために支払った経費などを引いても、戦後に金1万8000枚、銀2万4000枚が残されていました。

家康は華美を好まず質素倹約に務めて、莫大な財産を残したと言われています。大規模な戦には多額の出費が必要になるため、それに備えてリスクヘッジしていたようです。

参考資料
江戸幕府の影の立役者!?家康を救った「天正大地震」
「秀吉と家康 運命を左右した2つの地震」磯田道史さんと学ぶ 災害と生きてきた日本人 | NHK防災

このように有名な戦国武将のリスクヘッジにまつわる逸話が数多く残されています。

厳しい時代を生き残るために試行錯誤を繰り返した結果、徳川家を筆頭に細川家、真田家、毛利家、島津家などは、数々のリスクヘッジによって、現代にまでその名を残しています。

これらの生々しい事例は、現代の企業などの組織体はもちろんのこと、個人レベルにおいても非常に参考になると思われます。

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執筆者

森岡 健司

森岡 健司(もりおか けんじ)

モリアド代表 中小企業診断士
前職にて企業の海外WEBマーケティングの支援に従事。独立後に中小企業診断士の資格を取得し、主に企業の経営サポートやWEBマーケティングの支援等を行っている。
2019年から、現代のビジネスフレームワークを使って戦国武将を分析する『戦国SWOT®』をスタート。
2022年より、歴史人WEBにて『武将に学ぶ「しくじり」と「教訓」』を連載。
著書に『SWOT分析による戦国武将の成功と失敗』(ビジネス教育出版社)。

※プロフィールに記載された所属、肩書き等の情報は、取材・執筆・公開時点のものです

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