2023.2.27

アウトソーシングとは?意味やメリット・デメリット、派遣との違いを解説

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アウトソーシングの意味は、外部の協力先に自社の業務の一部を発注することである。今回はアウトソーシングの意味や需要が高まっている背景、種類、人材派遣との違い、メリットとデメリットなどを紹介する。さらに実際の導入事例も解説するため、併せてチェックしよう

アウトソーシングとは

そもそもアウトソーシングとは、外部の協力先に自社の業務の一部を発注することを指す。また、必要な部品や製品を外部から調達することに使う場合もある。

「外部から(Out)調達する(Sourcing)」との意味が転じて、このように使われるようになった和製英語だ。元々は経理の仕訳といった、経理や総務の事務処理などの業務に使われることが多かった言葉である。

最近は人事や営業などの専門性の高いものも含め、あらゆる業務の外部委託がアウトソーシングの対象となっている。

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アウトソーシングの需要が高まっている背景

アウトソーシングの需要が高まっている背景には、少子高齢化などによる慢性的な人材不足や市場における技術の進歩、グローバル化に対応できるようにするためなどがある。

近年、若年層の労働人口が減少していることで、新たな人材の確保が難しくなった企業が増えた。限られた経営資源の中で競争力や生産性の維持向上が必要となったことで、人手不足を補完する戦略としての位置付けから、アウトソーシングを利用する企業が多くなったのだ。

また、グローバル化や技術の進歩など、変化が激しい市場で競争力を高める必要が高まったことで、企業内だけではなく外部リソースの活用も検討できることへの需要が増えた。これにより、付加価値を高めて差別化を図れること、高い品質の担保になること、コスト削減になることなどを期待して、アウトソーシングへの需要が高まっている。

アウトソーシングの主な種類

アウトソーシングは、以下の3つが主な種類である。

● BPO……バックオフィス業務など、業務プロセスを丸ごと外部委託する形態
● ITO……情報システム(IT)関連の業務を委託する形態
● KPO……データ活用のための情報収集や分析など、知的業務処理を外部委託する形態

それでは、これらのアウトソーシングの種類について、詳しくチェックしていこう。

1.BPO

BPOとは、ビジネス・プロセス・アウトソーシングを省略したものだ。業務設計や効果分析、改善など、業務プロセスを丸ごと外部委託する形態がBPOである。対象となるのは、人事や総務、経理、コールセンターなどのバックオフィス業務全般だ。

BPOでは、負荷となる業務や属人化している業務などの委託したいものを、該当業務を専門的に扱っている外部に完全に任せられる。業務負担の軽減やコア業務への集中が可能になること、品質の向上が期待できることなどのメリットがある。

例えば、コールセンター業務をアウトソーシングしておくことで、従業員に当該業務ではなく、注力してほしい業務に集中させられる。さらに、コールセンターを自社に置くための人材確保や育成、組織の仕組み作りなども不要となることなどがメリットだ。

2.ITO

ITOとは、インフォメーション・テクノロジー・アウトソーシングを省略したものだ。情報システム(IT)関連の業務を委託する形態で、社内ヘルプデスクの業務やシステムの運用と保守、セキュリティやサーバーなどの運用と管理などの業務が対象となる。

情報システムは、企業にとって必要不可欠なシステムである一方で、専門性の高い人材が必要となるため自社での対応が難しい業務でもある。ITの専門的な知識や技術を持った業務委託先に業務をアウトソーシングすることにより、自社で高度な技術を持った人材の採用や育成、運用などをする必要がなくなる。結果として、業務の負担やコストの削減につなげられるのだ。

3.KPO

KPOとは、ナレッジ・プロセス・アウトソーシングを省略したものだ。データ活用のための情報収集や分析など、マニュアル化のできない知的業務処理をアウトソーシングする。

近年、企業では様々な分野でデータ活用が重要視されるようになった。しかし、適切にデータを扱って活用するには、正しくデータを集めて高度な分析をして、解析や加工を行うなど、高い専門性を持つ人材やノウハウが必要である。

自社で高い技能を持つデータサイエンティストを採用することは難しいため、データ活用に強い外部業者にアウトソーシングして、経営的かつ戦略的な目線で上手く情報を活用すると良いだろう。

関連記事:BPOとは?アウトソーシングとの違い、メリットや検討するためのポイント

アウトソーシングと人材派遣の違い

アウトソーシングと混同しやすいものとして、人材派遣が挙げられる。人材派遣とは、労働者派遣契約を人材派遣会社と交わして、派遣スタッフを企業に派遣してもらうことだ。

アウトソーシングと人材派遣の違いは、以下のようなものが大きい。

  アウトソーシング 人材派遣
契約内容 業務委託契約 労働者派遣契約
労働者への指示や業務の管理 アウトソーシング会社 派遣先企業
業務への制限 国家資格を必要とする業務以外は対応可能 建設業務など、危険が伴う業務は対応不可
対価の発生 成果物の納品や作業の遂行 派遣スタッフの労働時間

特に大きな違いは、業務の管理を社外の人間が行うか、社内の人間が行うかである。アウトソーシングは業務全般を外部委託するため、人材の管理や作業スペースの確保などは外部の企業が行う。

一方で人材派遣は、必要な人材を派遣してもらうことであるため、労働者の教育や管理などは派遣先企業で行うこととなる。

アウトソーシングのメリット

アウトソーシングを活用することによるメリットは、大きく分けると以下の通りだ。

● コスト削減につながる
● 人手不足の解消が可能
● 業務効率化や業務品質の向上につながる
● 専門的なノウハウや知識を活用できる

近年、慢性的な人材不足が問題となっている。自社だけで対応しようとすると、人的リソースを十分に割けず、重要な事業へと注力させられなくなってしまうことがある。有能な社員にも定型作業をさせてしまい、人材を活用できないといった損失も起こりやすい。

上手くアウトソーシングを活用した場合、従業員をより優先すべき業務へと集中させられること、適正に配置できることなどがメリットだ。また、売上の増減に関係なくかかってしまう人件費を、変動費化させられる。

さらに、アウトソーシングの導入によって現状の業務フローを見える化するため、無駄な業務の削減につながることがある。該当する業務を専門的に行う外部企業の力を借りられるため、専門的なノウハウや知識を活用できる上に、効率良く作業を進められるようになる。

業務遂行で必要であった教育やマネジメント、システム維持費などが削減できるなどのメリットもある。

関連記事:人事関連サービス(ヒューマンリソース)企業がアウトソーシング出来るマーケティング領域とは?

アウトソーシングのデメリット

一方で、アウトソーシングを活用することによるデメリットには、以下のようなものが挙げられる。

● 社内の機密情報を外に出すことによるリスクがある
● 業務ノウハウが蓄積されない
● 想定よりも費用対効果が悪化してしまうケースがある
● 外部とのやり取りによって業務が煩雑化する恐れがある

業務をアウトソーシングする際は、人事情報や顧客情報などの様々な情報を外部企業に提供することとなる。外部へ機密情報を共有することで、情報漏洩のリスク増加につながってしまう。

もちろん、ほとんどの専門業者では、個人情報の保護などの厳重なリスク管理をした上で各業務を代行し、情報漏洩リスクを最小限まで減らしている。外部に流出する可能性は低いものの、リスクは増えると考えられる。アウトソーシングを検討する企業のセキュリティレベルのチェックや、取り扱う情報の精査などをしてから委託すると良いだろう。

また、自社の社員が業務を担当しないため、業務ノウハウが蓄積されないこともデメリットだ。自社特有のツールなど、標準化しにくいケースでは想定よりも費用がかかってしまう可能性がある。

さらに、直接的に業務を担当することはなくなっても、外部とのやり取りが必要となる。そのため、やり取りやアウトソーシング先の企業によっては、対応が煩雑化する恐れがあるだろう。

アウトソーシングの導入事例

最後に、アウトソーシングを実際に導入した企業の事例もチェックしておこう。

<株式会社ブリヂストン>
同社では、データの記録や管理業務などの膨大な業務量によって、リソース不足が問題となっていた。アウトソーシングの導入によって、定型的なノンコア業務による作業量が減少し、高度な判断を要するコア業務に注力できるようになり、業務のクオリティも大幅に向上した。

<ユーシービージャパン>
同社では、人事業務全般などのシステム化を考え、給与計算業務をアウトソーシングした。データの精度や処理速度の向上につながった上、発注業務の担当が変更しても支障が出ない体制作りができた。

<株式会社日立マネジメントパートナー>
同社では、お問い合わせ対応の業務量の多さによって、対応が負担となっていたようだ。そのため、アウトソーシングを導入したことで、業務量を格段に減らせるようになった。対応クオリティをさらにこだわれるようになったり、トータルコストの削減につなげたりなど、様々なメリットがあった。

関連記事:採用アウトソーシング(RPO)の特徴と導入に向いている企業を解説

まとめ

アウトソーシングとは、外部の協力先に自社業務の一部を発注することである。少子高齢化などによる慢性的な人材不足や、市場における技術の進歩、グローバル化に対応できるようにするため、アウトソーシングへの需要が高まっている。

アウトソーシングと混同しやすい人材派遣とは、業務の管理を社外の人間が行うか、社内の人間が行うかが大きな違いだ。アウトソーシングは業務全般を外部委託するため、人材の管理や作業スペースの確保などを外部の企業が行う。一方で、人材派遣は労働者の教育や管理などを、派遣先企業で行うこととなる。

活用のメリットには、「コスト削減につながること」「人手不足の解消が可能」「専門的なノウハウや知識を活用できること」などがある。ただしデメリットもあるため、メリットとデメリットの両面を理解した上で、活用するかどうかを判断すると良いだろう。

今回ご紹介したアウトソーシングの意味やメリットとデメリット、導入事例などを参考に、実際の企業活動で活用していこう。

関連記事:Webマーケティングをアウトソーシングするという考え方

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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