2021.11.25

「SWOT分析」とは?自社の強みを活かし、採用成果につなげる方法を解説!

読了まで約 6

■マーケティングで使われるSWOT分析とは何か?

■採用におけるSWOT分析とは何が違うのか?

■SWOT分析で得られるメリット

■採用におけるSWOT分析の進行手順

■採用におけるSWOT分析の活用例

SWOT分析とは?採用におけるSWOT分析との違い

少子高齢化による労働人口の減少に伴い、採用市場において人材獲得競争が激化している現代、単純に求人媒体を利用するだけでは、人材を集めることは困難となっている。
だからこそ、自社が採用したい人材像を明確に設定し、採用市場における競合他社と差別化できる点を明確にしたうえで、採用活動を行っていく必要があるのだ。
そのような状況を受けて、最近では、マーケティングの手法やノウハウを採用活動に取り
入れることで、効果的かつ戦略的な採用を実現する「採用マーケティング」を取り入れることが定着しつつある。

関連記事:採用マーケティングの取り組み。成功につながる採用戦略の立て方

その中でも、マーケティング分野で使われているフレームワークの1つに、企業の強みと弱みを理解するために有効とされる「SWOT分析」がある。
SWOT分析とは、「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」のそれぞれ4つの英語の頭文字から作られた造語であり、マーケティング戦略や、経営戦略を検討・策定するときなどによく用いられる代表的なフレームワークだ。

マーケティングにおいては、SWOT分析を使って、内部環境要因である自社の「強み(Strength)」と「弱み(Weakness)」、そして外部環境要因である「機会(Opportunity)」と「脅威(Threat)」の2つの環境に要素を分けて洗い出し、各項目を組み合わせることで、強みを活かしながら機会を最大限に活かす戦略を立てたり、弱みや驚異などを分析して考え得るリスクに対しては対策を講じるなど、市場の拡大や売上アップにつなげるための戦略を立案するのだ。

採用活動におけるSWOT分析では、ターゲット人材を明確にしたうえで、そのターゲット層に魅力的に映るよう、自社がアピールするべき強みを発見することができる。また、採用競合他社など採用市場における脅威に対して、自社の優位性を訴求できるような強みを理解することも可能だ。、逆に脅威に対する自社の弱みを把握することで、事前にその対策を講じるなど、効率的な採用活動を行うことに役立つ。

SWOT分析によって、客観的な視点から自社の強みや弱みを理解し、ターゲット人材にとって魅力的な強みを求人情報内で発信し、アピールをすることが重要なのだ。

SWOT分析で得られるメリット

マーケティングと採用、それぞれのSWOT分析の概要について解説したところで、次に採用活動にSWOT分析を活用することで得られる具体的なメリットを紹介していこう。

1. 客観的な視点で自社の分析ができる
外部要因を分析したうえで、内部環境要因である自社の強みと弱みを分析することで、より客観的な視点から自社を分析することができる。
ただ漠然と、自社の強みとは何かを考えても、考えに詰まってしまったり、ターゲット人材にはあまり魅力的に映らないような内容しか思いつかなかったり、競合他社と差別化できるような内容ではなかったりすることもあり得る。

ところが、客観的に外部要因から内部環境要因を分析することで、「他社は〇〇を強みとしているが、自社が行っている△△は他社では行われていない、これは強みなのではないか?」といったように、自社では当たり前であったこと、主観だけでは今まで気づかれていなかったことが強みであったと発見できたりもするのだ。

2. 採用の戦略を立てられる
SWOT分析では内的要因である自社の強みと弱み、外的要因である機会と脅威の、内外両方の視点から分析を行うことで、採用市場における自社の立ち位置や、周囲の環境を客観的に把握することができる。
そのため、自社が今後どのように採用活動を進めていけば良いのか、その戦略の立案が容易になる。

3. リスクに対して事前に対策ができる
人材獲得競争が激化している現代、どの企業でも優秀な人材を採用するために工夫を行っていることだろう。
また、海外企業の参入など市場の変化も日々起こっている。
そのように、採用競合他社や変化といった採用市場の脅威に対して、自社の弱みが致命的なリスクとなることも大いにあり得る。

SWOT分析を行うことによって、事前に脅威に対する自社の弱みを把握することができれば、リスクを回避するための対策を講じることができる。

関連記事:採用マーケティングで注目を集める「フレームワーク」とは?意味や概念、代表的な3つを簡単に解説!

SWOT分析の進行手順・活用方法は?

SWOT分析のメリットがわかったところで、採用におけるSWOT分析の進行手順や活用方法を見ていこう。

1. 採用したいターゲット人材を具体的にする
現場のマネージャーなど管理職にヒアリングしたり、既存社員の中で採用したい人材像に近い人物がいればインタビューしたりして、どのような人材をターゲットとするのかを明確にして、採用に関わる関係者内で共有する。

そこで、ポイントとなるのが「採用ペルソナの設定」だ。
採用ペルソナの設定とは、採用ターゲットを具体的で詳細な人物像へと落とし込むプロセスのことで、その設定にあたっては、年齢や性別などの基本的なプロフィールに加え、経験やスキル、人柄や価値観、行動特性といった内面的・行動的な部分にまで踏み込んで、自社のニーズに合った詳細な人物像へと落とし込んでいく。

ペルソナ作成をすることで、採用に関わる関係者間で採用したい人材の判断基準を共有することができたり、応募者を募る際にも、どういった人材に入社してもらいたいのかが明確になっていれば、一貫したメッセージ性を保つことに繋がる。

SWOT分析においても、あらかじめペルソナを作成しておくことで、ターゲットを取り巻く状況や生活環境、抱えている課題などを詳細にイメージすることができるため、より精度の高い採用戦略を打ち出すことが可能となるのだ。

関連記事:採用マーケティングで重要な「ペルソナ」とは?その設計方法や具体例を解説

内部環境要因(強み・弱み)と外部環境要因(機会・脅威)を把握し、分析する大切なのは、自社の主観で考えるのではなく、目的とする採用活動にとっての内部環境要因(強み・弱み)と外部環境要因(機会・脅威)を客観的に項目として挙げていくことだ。
たとえば、次のようなことが考えられる。

<内部環境要因>
・強み(Strength)
技術、ノウハウ、ブランド力、人材、組織力、給与・報酬などで自社の強みとなるもの
・弱み(Weakness)
強みであげたような事柄のなかで競合他社と比べて見劣りしていたり、足りないもの

<外部環境要因>
・機会(Opportunity)
好景気、店舗の拡大、技術革新、顧客ニーズの変化など、企業にとってチャンスとなる要因
・脅威(Threat)
法規制の強化や市場環境の悪化など、自社の努力だけでは防ぎようのないリスク。

2. クロスSWOT分析を行って採用戦略を立てる
クロスSWOT分析とは、SWOT分析した内部環境要因と外部環境要因を掛け合わせることで、戦略をより具体化させる分析手法を指す。

「強み」×「機会」=自社の強みを活かして機会を掴むための戦略
「強み」×「脅威」=自社の強みを活かして、脅威に対抗するための戦略
「弱み」×「機会」=弱みへの対策を講じ、機会を活かす戦略
「弱み」×「脅威」=リスクを最大限回避するための戦略

求めるターゲットに対して、「強み」×「機会」で分析したことを一番のアピールポイントとして伝えたり、「強み」×「脅威」で分析したことを、他社に対して自社が優位性を示せる差別化できる点としてアピールすることもできる。

このように、分析した結果を総合的に求人情報内に活用することで、効率的で有効な採用活動を行うことができるのだ。

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手順を確認できたところで、例を使った活用例を見てみよう。
イメージがしやすいように、現在新たな人材採用を考えている電子部品の製造を行っている企業Aを例にしよう。

1. 採用したいターゲット人材を具体的にする
年齢:27歳
学歴:〇〇大学工学部 卒業
経歴:新卒で現在の会社に入社して5年目
職業:大手電子部品製造メーカー勤務
悩み:野心はあるのに現在の会社が大きいためなかなか責任ある立場を任せてもらえない、技術力を磨くためにもっと製造に特化した企業で働きたいと考えている

内部環境要因(強み・弱み)と外部環境要因(機会・脅威)を把握し、分析する<内部環境要因>
・強み(Strength)
独自の技術を保有しており高いシェアを誇る、技術力の高い人材が揃っている、実力主義であるため若くても責任あるポジションを任せられる、有名メーカーとの取引多数、15年連続で黒字経営達成
・弱み(Weakness)
下請けでの仕事がメインであるため企業の認知度は高くない、最新の機器を導入するのは難しい

<外部環境要因>
・機会(Opportunity)
電気自動車の利用者増加を受けて今後さらに売上増加が見込める、電子機器の小型化が進み今後も高い技術力が求められる
・脅威(Threat)
技術者不足により採用が困難になっている、海外企業の参入で価格競争が激化している

クロスSWOT分析を行って採用戦略を立てる「強み」×「機会」では、自社独自の高い技術を今後も発展していく市場で活かせることと、実力主義の社風という組み合わせが一番のアピールポイントとしてあげられる。

「強み」×「脅威」では、海外企業が参入してきても、自社独自の高い技術力や、取引メーカーの数などで差別化を図れる点がポイントとなるだろう。

まとめ

・人材獲得競争が激化している現代、採用活動にマーケティングの手法やノウハウを取り入れることで、効果的かつ戦略的な採用を実現する「採用マーケティング」を行う企業が増えている。その中でも、企業の強みと弱みを理解するために使われているフレームワークの1つに「SWOT分析」がある。マーケティングにおいては、SWOT分析を使って、自社の強み(Strength)と弱み(Weakness)、機会(Opportunity)と脅威(Threat)を洗い出し、各項目を組み合わせることで、強みを活かしながら機会を最大限に活かし、市場の拡大や売上アップにつげるための戦略を立案する。

・採用活動でのSWOT分析は、ターゲット人材を明確にしたうえで、採用競合他社など採用市場における脅威に対して、自社の優位性を訴求できるような強みを理解したり、逆に脅威に対する自社の弱みを把握することで、事前にその対策を講じて、効率的な採用活動を行うために用いられる。人材採用が困難となっている現代では、SWOT分析によって、客観的な視点から自社の強みや弱みを理解し、ターゲット人材の目に魅力的に映るアピールをすることが重要なのだ。

・採用活動にSWOT分析を活用することで得られる具体的なメリットは次のとおりだ。1.客観的な視点で自社の分析ができる:客観的に外部要因から内部環境要因を分析することで、主観だけでは今まで気づかれていなかったことが強みであったと発見できたりもする。2.採用の戦略を立てられる:採用市場における自社の立ち位置や、周囲の環境を客観的に把握することで今後の戦略の立案が容易になる。3.リスクに対して事前に対策ができる:事前に脅威に対する自社の弱みを把握することができれば、リスクを回避するための対策を講じることができる。

・採用におけるSWOT分析の進行手順は次のとおりだ。1.採用したいターゲット人材を具体的にする:採用ペルソナを設定することで、関係者間で採用したい人材の判断基準を共有することができたり、応募者を募る際にも、どういった人材に入社してもらいたいのかが明確になっていれば、一貫したメッセージ性を保つことに繋がる。2.内部環境要因(強み・弱み)と外部環境要因(機会・脅威)を把握し、分析する:目的とする採用活動にとっての内部環境要因と外部環境要因を客観的に洗い出していく。3.クロスSWOT分析を行って採用戦略を立てる:SWOT分析した内部環境要因と外部環境要因を掛け合わせることで、戦略をより具体化させる。

・現在新たな人材採用を考えている電子部品の製造を行っている企業Aを例に、活用例を見てみよう。1.採用したいターゲット人材を具体的にする:27歳、〇〇大学工学部卒業、技術力を磨くためにもっと製造に特化した企業で働きたいと考えている、など詳細にペルソナを作成する。2.内部環境要因(強み・弱み)と外部環境要因(機会・脅威)を把握し、分析する:強みは、独自の技術を保有しており高いシェアを誇る、技術力の高い人材が揃っていることなど、機会は、電気自動車の利用者増加を受けて今後さらに売上増加が見込める、電子機器の小型化が進み今後も高い技術力が求められる、と洗い出していく。3.クロスSWOT分析を行って採用戦略を立てる:「強み」×「機会」では、自社独自の高い技術を今後も発展していく市場で活かせることなどが一番のアピールポイントとしてあげられる。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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