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SWOT分析とは?やり方や事例、注意点をわかりやすく解説

2023.11.2
読了まで約 14

SWOT分析とは、対象の強みと弱み、対象を取り巻く機会と環境を分析する手法です。内的環境と外的環境を客観的に把握できるため、事業戦略やマーケティング戦略を立てる際に活用されます。

本記事では、SWOT分析の目的や具体的な進め方などについて解説します。事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

目次

SWOT分析とは?目的と重要視される理由

SWOT分析とは、対象が有する強み(Strength)と弱み(Weakness)、対象を取り巻く機会(Opportunity)と脅威(Threat)の4つを評価・分析する手法のことです。強みと弱みは対象が元々持っている内部環境、機会と脅威は対象を取り巻く外部環境を指します。

SWOT分析では、企業や製品、サービス、プロジェクトなどを分析対象とすることが一般的です。SWOT分析の目的や重視される理由について解説します。

SWOT分析の目的

SWOT分析は、経営戦略やマーケティング戦略を立案することを目的に実施されます。例えば、自社の強みと弱み、自社を取り巻く機会と脅威を客観的に分析すれば、自社が今後どのような方向性で経営を進めていくべきか検討しやすくなるでしょう。

さらに、自社の内部環境から外部に想定される脅威にどのように立ち向かっていけるのか、外部で生じた機会にどのように参入できるのかと分析を深めていけば、戦略がより具体的なものとなります。

SWOT分析が重要視される理由

SWOT分析が重要視されるのは、戦略立案ができるからだけではありません。対象の内部環境と外部環境を分析するため、現状把握にも役立つからです。現状を把握することで、現時点で取り組むべき改善策や、将来想定されるリスクも分析できます。

さらに、既存事業にも新規事業にも活用できる分析手法であるという点も、SWOT分析が重要視される理由です。既存事業に実施すれば、改善点や将来的なリスク、新規事業に実施すれば、競合との差別化ポイントやリスクに向けた対策なども具体的に導き出せるようになります。

SWOT分析マトリックス

では次に、SWOT分析を実際に行う前に、あらかじめ理解が必要となるSWOT分析マトリックスについて解説します。

SWOT分析は、マトリックスを用いて分析を行います。SWOTの4つの要素に分かれており、横軸は内部環境と外部環境、縦軸はプラス要因とマイナス要因になっています。

図:SWOT分析マトリックス

それぞれ、何を表すのかを解説します。

●4要素 強み、弱み、機会、脅威

強み(Strength)
企業の持つリソースや製品特徴などのうち、目標達成に対して大きくプラスとなるもの・要素。

弱み(Weakness)
企業の持つリソースや製品特徴などのうち、目標達成の障害となりうるもの・要素。

機会(Opportunity)
企業の外部環境にあるもののうち、企業の成長にとって大きくプラスとなるもの・要素。
大きくプラスになるもの・要素とは、例えば、市場拡大の可能性があったり、競合に対して優位に立てる可能性があったりすること。

脅威(Threat)
企業の外部環境にあるもののうち、企業の成長にとって障害となりうるもの・要素。
障害となりうるもの・要素とは、市場縮小の可能性があったり、競争激化の可能があったりすること。

●横軸 内部環境と外部環境

内部環境
強み(Strength)と弱み(Weakness)のこと

外部環境
機会(Opportunity)と脅威(Threat)のこと

●縦軸 プラス要因とマイナス要因

プラス要因
強み(Strength)と機会(Opportunity)のこと

マイナス要因
弱み(Weakness)と脅威(Threat)のこと

SWOT分析はいつ行う?活用すべきタイミング

SWOT分析は、現状分析や将来的なリスクを知りたいときにいつでも実施できます。一般的には、下記のようなタイミングで実施されることが多いでしょう。

● 事業戦略を立案するタイミング
● 内部環境が変化したタイミング
● 外部環境が変化したタイミング
● 競合分析をするタイミング

それぞれのタイミングでSWOT分析を実施する必要性について解説します。

事業戦略を立案するタイミング

SWOT分析は、経営戦略やマーケティング戦略など、戦略を立てる際に実施する分析手法です。事業戦略を立案する際にも実施し、事業の内的要素と外的要因を客観的に把握しておきましょう。

事業に失敗すると、多額の損失が生じるだけでなく、資金面や人材面において企業内の他の事業にも影響をおよぼしかねません。慎重に事業を進めていくためにも、多角的に状況を分析して戦略を立てることが必要です。

戦略で失敗すると、事業進行の変更や軽微な修正だけでは対応しきれないことがあります。SWOT分析を活用して、事業を成功させる戦略を立てておきましょう。

事業を開始するタイミングではなく、事業戦略を立案するタイミングでSWOT分析をすれば、事業の成功確率を高められる可能性があります。また、株主や投資家への説明責任を果たすためにも、丁寧にSWOT分析を実施しておくのが良いでしょう。

内部環境が変化したタイミング

内部環境が変化すると、強みや弱みも変化します。強みと弱みが変化すると、現状分析の結果も変わり、戦略にも影響が出てきます。次のような内部環境の変化が生じたタイミングでは、SWOT分析をやり直し、現状に即した判断ができるようにしておきましょう。

● 社内で革新的な技術を開発した
● 有力な人材が流入した・流出した
● 役員が入れ替わった
● 従業員数が増えた・減った
● 新しい商品・サービスが誕生した
● 投資額が増えた・減った

社内のヒト・モノ・カネが変わったときや、社内文化が変わったときは、事業戦略もそれに合わせて対応していくことが必要です。SWOT分析を実施し、現状を丁寧に分析しておきましょう。

外部環境が変化したタイミング

外部環境が変化すると、対象を取り巻く機会や脅威も変わります。機会と脅威が変わると、現状分析の結果も変わり、戦略にも影響が生じます。次のような外部環境の変化が起こったタイミングでは、SWOT分析をやり直し、現状に合った判断ができるようにしておきましょう。

● 円高・円安が進んでいる
● インフレ・デフレが進んでいる
● 失業率の上昇・低下
● 業界内での勢力図の変化
● 業界のトレンドの変化
● 消費者・企業の消費行動の変化

外部環境の変化に対して感度を高くしておくことで、そのときに応じた適切な戦略を立てられるようになります。市場環境が変わったとき、あるいは今までと同じ戦略では売上減が予想されるときなどは、時期を逃さずSWOT分析をやり直してください。

競合分析をするタイミング

内部環境に変化がなく、なおかつ市場や業界にも大きな変化が見られないときでも、競合の躍進や登場によっては戦略を立て直す必要があります。競合分析を行う際も、SWOT分析は有効です。競合にとっての内部環境・外部環境を客観的に分析することで、方針転換すべきか否かを判断しやすくなるでしょう。

また、どの企業や商品を「競合」とするかによっても、事業戦略やマーケティング戦略は変わります。想定される競合を1社・1商品ずつ深掘りするか、簡単に比較できるテンプレートを作成して分析する必要があります。

SWOT分析のメリットとデメリット

さまざまな場面で利用できるSWOT分析ですが、だからと言って万能というわけではありません。SWOT分析を行う際は、事前にそのメリットとデメリットを理解しておくと、適切な場面で利用できるようになります。主なメリットとデメリットについて解説します。

SWOT分析のメリット

SWOT分析には、次のメリットがあります。

● 自社の強み弱みを客観的に判断できる
● フレームワークがシンプルでわかりやすい
● チャンスとリスクを踏まえた戦略が立てられる

それぞれのメリットについて解説します。

自社の強み弱みを客観的に判断できる

SWOT分析は、状況を多角的に見る分析手法です。自社の強みや弱みを客観的に判断できるため、第三者目線で現状を分析し、特化していくポイントや切り捨てるべき要素などを判別できるようになります。

フレームワークがシンプルでわかりやすい

SWOT分析のフレームワークはシンプルです。対象の強みと弱み、対象を取り巻く機会と脅威を客観的にリストアップするだけで完成します。マーケティングに精通していない人でも取り組みやすく、結果を共有しやすい点もメリットです。

関連記事:フレームワークとは?思考を整理しビジネスを進めていくための枠組みを活用シーン別に解説

チャンスとリスクを踏まえた戦略が立てられる

内部環境、外部環境を絡めて分析することで、チャンスだけでなくリスクも踏まえた攻防一体の戦略が立てられます。チャンスだけに注目すると無謀な計画を立ててしまう可能性があり、反対にリスクだけに注目すると守り一辺倒になる傾向がありますが、SWOT分析ならバランスのよい現実的な戦略を立てやすくなるでしょう。

SWOT分析のデメリット

メリットの多いSWOT分析ですが、強み・弱みと分析結果を二極化させる必要があるため、どちらにも当てはまるといった中間ゾーンが存在しない点がデメリットと言えます。

例えば、「プロジェクトを担当する人材が少ない」という事実は、少数精鋭で話がまとまりやすいと見ればメリットですが、推進力が劣ると見ればデメリットです。しかし、SWOT分析では強み・弱みの二者択一で分析する必要があるため、中間ゾーンにある要素は主観的判断に委ねることになりかねません。

このように、明らかによい・悪いと判断できる要素以外に関しては、SWOT分析ならではのメリットである客観性が失われ、正確に現状分析できない可能性があります。中間ゾーンの要素は別途抽出する、もしくは強み・弱みの両方にリストアップするなどの対策が必要です。

SWOT分析を有効活用するためのポイント

SWOT分析をさらに有効活用するために、実施前に次のポイントを確認しておきましょう。

● 目的や目標を明確にする
● 分析対象を整理する
● 分析に適した人材を選定する

それぞれのポイントを解説します。

目的や目標を明確化する

SWOT分析は、現状を把握するためのひとつの手段に過ぎません。そのため、何のために分析をするのかという目的を明確に設定しておくことが重要です。目的が不明確な状態でSWOT分析をしても、分析を行うこと自体が目的化してしまうだけで、有益な結果は得られません。

また、SWOT分析を実施した後に何を実現したいのか、目標を明確にしておくことも大切です。例えば、SWOT分析で「ある商品の営業課題を見つけること」を目的とし、「売上高10%増」を目標とするなどのように決めておきます。

分析対象を整理する

SWOT分析では、目的達成のために分析対象が複数になることもあります。分析対象が増えても、それぞれにおいて強み・弱み・機会・脅威を明確に分析することが大切です。

分析対象によって強み・弱み・機会・脅威のいずれかが抜けてしまうと、客観性を欠いた結果が生じることになります。分析対象が増えると検討する要素も増えますが、どの要素も丁寧かつ客観的に強み・弱み・機会・脅威を割り出してください。

分析に適した人材を選定する

分析者の立場や目線が変わると、客観的な分析を心がけていても、結果が変わってくることがあります。特定の立場・目線に偏った分析をしないためにも、開発部や営業部、経営層といったさまざまな人材が分析を担当し、組織全体で分析した情報を共有するようにしましょう。

また、分析する目的によって適切な人材を選ぶことも大切です。マーケティング戦略の立案を目的とするなら、マーケティング部門だけでなく、営業部門や販売部門など、実際に顧客と触れ合う立場からの分析も必要になります。

SWOT分析のやり方5ステップ

SWOT分析は、次のステップで進めていきます。

1. SWOT分析の目的や目標を明確化する
2. 「PEST分析」「3C分析」で情報収集する
3. Opportunity(機会)とThreat(脅威)を分析する
4. Strength(強み)とWeakness(弱み)を分析する
5. 分析結果を整理する

順に解説します。

1.SWOT分析の目的や目標を明確化する

SWOT分析を開始する前に、分析の目的と、分析結果を用いて実現したい目標を明確化します。

売上増などの目的・目標でもよいですが、具体的な数字や期限も定めると、SWOT分析を用いて立案する戦略も、より具体的なものになります。例えば、次のような目的・目標を定められるかもしれません。

● ホームページの閲覧数を年度内に30%増やす
● 商品AのECサイトでの売上を10%増やす
● リピート顧客の割合を10%増やす

2.「PEST分析」「3C分析」で情報収集する

SWOT分析を実施する前に、SWOT分析で用いる客観的な情報を収集しておきます。SWOT分析用の情報収集に使う方法としては、PEST分析と3C分析が一般的です。

PEST分析

PEST分析とは、次の4つの視点から自社で制御しにくいマクロ環境を分析する手法です。

● Politics(政治)
● Economy(経済)
● Society(社会)
● Technology(技術)

PEST分析を実施すると、現在自社に影響をおよぼしている脅威を洗い出し、将来的に想定される社会の変化を予測しやすくなります。

関連記事:【テンプレート付き】PEST分析とは?戦略に活かす分析のやり方や具体例を解説

3C分析

3C分析とは、次の3つの視点から業界環境を分析する手法です。

● Customer(市場・顧客)
● Competitor(競合)
● Company(自社)

自社が置かれた環境を分析するときに用いられる手法ですが、他社分析にも活用できます。その場合は他社を一人称とし、他社から見た市場・他社の顧客、他社にとっての競合、他社から見た他社を客観的に分析してください。

PEST分析や3S分析で環境を分析してからSWOT分析に進むのは、BtoBのWebマーケティングでも定石です。Webマーケティングの具体的な流れや活用する手法については、以下から資料を無料ダウンロードしてご覧ください。

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3.Opportunity(機会)とThreat(脅威)を分析する

内部環境は外部環境の影響を受けることがあります。そのため、SWOT分析を実施するときは、先に外部環境であるOpportunity(機会)とThreat(脅威)を分析するのが一般的です。機会と脅威としては、次のようなものが挙げられます。

● 市場規模、成長性
● 競合の状況
● 景気、経済状況
● 政治の状況
● 法律

それぞれの要素のうち、自社や自社商品・サービスにとってプラスに働くものは「機会」、マイナスに働く可能性があるものは「脅威」としてリストアップしましょう。

Opportunity(機会)

自社や自社商品・サービスにとってプラスに働く環境変化としては、次のようなものがあります。

● 自社が属する業界の市場拡大、成長
● 自社商品・サービスの市場拡大、成長
● 競合他社や競合商品・サービスの離脱
● 好景気や賃金増などによる消費拡大
● 原材料を海外から輸入している場合の円高状況
● 海外で商品・サービスを販売するときの円安状況
● 輸出入などで関わる国・地域での消費拡大
● 法人税・消費税などの減税措置

業界や商品・サービスによって、プラスに働く要素は異なります。見落としのないように多角的に分析しましょう。

Threat(脅威)

自社や自社商品・サービスにとってマイナスに働く環境変化としては、次のようなものが挙げられます。

● 自社が属する業界の市場縮小、景気後退
● 自社商品・サービスの市場縮小、景気後退
● 競合他社や競合商品・サービスの成長(市場規模が変わらない、あるいは縮小している場合)
● 不景気やインフレーションなどによる消費縮小
● 原材料を海外から輸入している場合の円安状況
● 海外で商品・サービスを販売するときの円高状況
● 輸出入などで関わる国・地域での消費縮小
● 法人税・消費税などの増税

業界や商品・サービスによって、マイナスに働く要素は異なります。脅威をいち早く発見することは、リスク回避につながる重要なポイントです。丁寧かつ多角的に分析しておきましょう。

4.Strength(強み)とWeakness(弱み)を分析する

外的要素を分析した後で、内的要因となるStrength(強み)とWeakness(弱み)を分析します。主観的にリストアップするのではなく、外部環境や競合状況を加味しながら判断することが大切です。

内的環境の分析対象としては、次のようなものが挙げられるでしょう。

● 認知度、ブランド力
● インフラ
● 価格や品質
● 資源
● 立地
● サービス
● 技術力

Strength(強み)

自社や自社商品・サービスの強みとしては、次のようなものが挙げられます。

● 認知度が高く、社名・商品名を知っている人が多い
● 自社商品名・サービス名で購入を決意する顧客がいる
● インターネット環境が整い、マーケティングに利用できるシステムも導入している
● 競合商品・サービスと比べて価格が低い、高品質
● 販売チャネルや実店舗が多い、立地が便利
● アフターサービスが充実している
● 商品製造の技術力が高い

強みは、顧客目線で分析することが大切です。すでに明らかな強みとなっているもの(顧客からの声が多い強み)だけでなく、今後強みとなり得る要素もリストアップしておきましょう。

Weakness(弱み)

自社や自社商品・サービスの弱みとしては、次のようなものが挙げられます。

● 認知度が低い
● 自社商品名・サービス名で購入を決意する顧客がほとんどいない
● 販売網が構築されていない
● 競合商品・サービスと比べて価格が高い、低品質
● 人材不足でカスタマーサポートが充実していない

弱みも顧客目線で分析することが大切です。現在は弱みではなくても、市場環境の変化などによって今後弱みになり得る要素もリストアップしておきましょう。

5.分析結果を整理する

分析した結果を表にまとめ、整理します。

ここで、SWOT分析の具体例を架空の焼肉店を例に挙げ、行ってみます。次のマトリックスをご覧ください。それぞれSWOT分析を行い、項目ごとに書き出しました。

図:SWOT分析の具体例_焼肉店の事例

【内部環境】
強み
・よりどり焼肉セットが人気
・リピーターが多い
・住宅地に近く、住人が通いやすい

弱み
・一人では入りづらい雰囲気
・肉の量が少なく物足りないと言われる
・駅から遠く、新規顧客を獲得しにくい

【外部環境】
機会
・住宅地に住む顧客が多く通ってくる
・再開発が進み、さらにマンションが立つ予定
・低糖質・肉ブームが起きている

脅威
・駅前に焼肉店が増えてきた
・一人焼肉ブームが起きている
・消費税増税による節約ムード
これはあくまで例なので情報は少ないですが、このようにひとつずつ情報を洗い出し、分析を行っていきます。

SWOT分析の次は「クロスSWOT分析」を活用

SWOT分析では現状の分析しかできません。具体的な戦略を立てるためには、「クロスSWOT分析」が必要です。

クロスSWOT分析とは

クロスSWOT分析とは、SWOT分析で分析した4つの要素を掛け合わせて戦略立案につなげる手法です。SWOT分析でリストアップした要素のみを用いて実施するため、SWOT分析を丁寧に行っていることが前提となります。

クロスSWOT分析の活用方法

クロスSWOT分析では、SWOT分析の4つの要素を次の組み合わせで掛け合わせます。

● 強み×機会
● 弱み×機会
● 強み×脅威
● 弱み×脅威

強み×機会

強みと機会を掛け合わせることで、自社や自社商品・サービスの強みを使って、機会を活かすために何ができるかを分析します。例えば、自社商品の知名度が高く、市場が拡大傾向にある場合なら、設備投資を行い増産体制を構築するなどを検討できるでしょう。

弱み×機会

弱みが原因となり、機会を逃すことがないように、自社の弱みをカバーして機会を活かす方法を考えます。例えば、自社商品の知名度が低く、市場が拡大傾向にある場合なら、宣伝に注力することで消費者の目に留まりやすい環境を構築できるかもしれません。

強み×脅威

自社の強みを活かし、脅威による影響を避ける方法や、脅威を機会として活かす方法を考えます。例えば、自社商品の知名度は高いものの、市場が縮小傾向にある場合は、従来とは異なる商品活用方法を提案できるかもしれません。

弱み×脅威

自社の弱みを理解することで、脅威による影響を避ける方法や、脅威による影響を最小限に抑える方法を考えます。例えば自社商品の知名度が低く、なおかつ市場が縮小傾向にある場合は、思い切って商品の製造を止め、市場が拡大傾向にある商品に切り替えるのも一つの方法です。

ここで具体例を見ていきましょう。先ほどのSWOT分析を行った架空の焼肉店について、クロスSWOT分析を行ってみます。

図:焼肉店の例

強み × 機会
・よりどり焼肉セット×低糖質バージョンのメニューを作る
・ポイントカードを作り、ポイントが貯まったら1品無料など、リピーター特典を提供する

強み × 脅威
・駅前でクーポンを配布する
・一人でも入りやすいようにカウンター席を設ける

弱み × 機会
・肉の量を増やせるよう、仕入れを見直す・コスト削減をする
・一人焼肉形態の店を別途出店する

弱み × 脅威
・一人前メニューを作る
・低価格の肉をふんだんに盛り込んだセットメニューを作る

このように施策をそれぞれ立てることで、戦略の大枠が見えてくるでしょう。

SWOT分析の失敗例と解決策

ところで、SWOT分析を行ったとしても、実際にはただ現状を分析しただけにとどまっているケースや、分析結果から戦略を導き出せていないケースがあります。このようなSWOT分析のよくある失敗ケースをピックアップしてみました。また、それに対する解決策や成功させるためのポイントも合わせてご紹介します。

情報収集だけで終わってしまう

SWOT分析でよくある失敗が、自社や市場、競合他社などの情報を集めて満足してしまうケースです。先にも述べた通り、SWOT分析を行っただけでは戦略考案に役立てることは困難です。それではただの情報収集で終わってしまいます。実際、SWOT分析そのものを「情報収集をすればいいものだ」と思い込んでいる人もいます。

これに対する解決策としては、やはりクロスSWOT分析を行うことです。それでもアイデアが出ないのであれば、他のフレームワークも活用して、あらゆる角度から分析してみることもおすすめです。そうすることで、SWOT分析で出たアイデアが活きることもあります。

結局、何を議論していたのかわからない

売上が低迷しており、SWOT分析を複数メンバーで実施したとします。しかし、漠然とかんばしくない現状を分析してしまうと、思わぬ落とし穴にはまってしまうことがあります。議論は進んでも、「結局、何をするべきなの?」と何の成果も得られない結果に終わってしまうことがあるのです。

この原因として考えられるのは、目的を明確にしていないことです。SWOT分析を行う際は、売上アップの戦略を考えるためなど、目的を具体的に設定することが重要です。そしてその目的をメンバー同士で共有し、その上で分析し、議論を行うようにすれば、戦略考案という結果が手に入るはずです。

社員間で強みや弱みの議論がかみ合わない

SWOT分析を行っていると、議論の軸がブレることがあります。社員間で、強みや弱みを出すものの、なぜだかかみ合わないというものです。その原因として考えられるのは、各メンバーが持っている前提条件が異なっていることです。

例えば、競合他社はみな同じ会社を意識しているでしょうか。対象のターゲットはみな同じターゲットにしているでしょうか。前提条件が変わると、自社の強みや弱みも変わってきてしまいます。目的はもちろんのこと、対象のターゲットや市場はどこか、競合他社は具体的にどの企業かなど、前提条件を明確に定め、共有する必要があります。前提条件を明確にして共有してから行うことで、正確な分析が行えます。これはSWOT分析の精度に関わることであるため、大変重要です。

アイデアに偏りが出てしまう

クロスSWOT分析を行ったところ、なぜかどれも同じようなアイデアになってしまい、偏りがあり、戦略に活かすとしても材料が少なすぎる結果になることもあります。

その原因として考えられるのは、視野が狭いことです。先ほど、SWOT分析のやり方の部分で、外部環境と内部環境のそれぞれの項目を洗い出しましょうとお伝えしました。その洗い出し項目が不足していたり、偏ったりしている可能性があるのです。

これに対する解決策は、項目は抜け漏れなく洗い出すことです。また、同じ立場、役職、部門のメンバーだけでなく、幅広い立場、役職、部門のメンバーを集め、分析・議論を行うことで、視野も広がってくるでしょう。SWOT分析で議論を行う際には、メンバーの選定も重要になってくると言えます。

戦略立案したい人の意見が入ってしまう

SWOT分析やクロスSWOT分析は、戦略考案のために活用するのが目的だとお伝えしました。しかしながら、もともと実施したい戦略があり、その戦略の有用性を立証するためにSWOT分析を行ってしまうと、どうしても戦略ありきのアイデアに偏ってしまいます。

例えば、先の焼肉店の例で言えば、今後、「一人焼肉の方向で戦略を練っていきたい」と強く考えている人がSWOT分析を行ってしまうと、どうしても一人焼肉のためのアイデアが多く盛り込まれてしまいがちです。これでは、客観的に外部環境や内部環境の洗い出しを行ったSWOT分析の意味がなくなってしまいます。

このような場合の解決策としては、SWOT分析に頼りすぎないことが挙げられます。他にもフレームワークは多くありますし、SWOT分析のみに頼る必要はありません。

また、もう一つの解決策は、できるだけ多くのメンバーのアイデアを聞くことです。これにより客観性が高まり、たとえ特定の戦略のための意図的なアイデアが混ざっていたとしても、それは一つのアイデアに過ぎないとみなされるでしょう。

時間がかかりすぎる

SWOT分析は、まず項目を洗い出し、それらの項目に対して客観的な資料やデータを集めてくる必要があります。そのため、膨大な時間がかかることもあります。しかし、新規プロジェクト立ち上げや売上低迷などの際にSWOT分析を行う場合は、たいてい迅速な対応が必要とされるでしょう。そのような時にSWOT分析に時間をかけすぎるのはナンセンスです。

解決策としては、SWOT分析はマーケティング戦略考案のプロセスの一つとみなし、迅速に終わらせて次のステップに進むことです。そして次の段階、またはさらにその次の段階に移ったときに、「当初のSWOT分析を見直す必要がある」という場面になったら、SWOT分析に戻って修正すればいいのです。見直しと修正を繰り返すことで、SWOT分析の結果や戦略の精度も上がっていくことでしょう。

大手企業のSWOT分析事例

上場企業は公開されている情報が多いため、SWOT分析しやすい傾向にあります。いくつかの上場企業の現状をSWOT分析で探っていきましょう。

SWOT分析事例1.株式会社三越伊勢丹ホールディングス

三越伊勢丹ホールディングスは、総資産(連結)1兆円を超える大手グループ企業です。傘下には三越や伊勢丹といった百貨店事業だけでなく、クレジットカード事業や不動産業を行う企業なども有しています。

強み

● 百貨店業で売上高日本一
● 老舗百貨店としてのブランド力
● 若手富裕層からの支持(伊勢丹)、中高年富裕層からの支持(三越)

弱み

● 顧客高齢化(三越)
● 収益性の低い店舗が多数ある
● 本店の集客力・売上への依存(伊勢丹)

機会

● アジア圏からの観光客増加
● アジア圏の経済力向上
● オンライン市場の拡大

脅威

● 百貨店業界全体の売上減少
● 贈答文化の衰退
● 日本の人口減少

SWOT分析事例2.Chatwork株式会社

Chatworkは主にビジネスで用いられるチャットサービスです。テレワークや外注の増加により、成長し続けています。

強み

● 操作性が高い
● マルチプラットフォーム対応
● 働き方改革の流れにマッチしている

弱み

● 競合サービスが多い
● 競合からの乗り換えを期待しにくい
● 値上げを実施した

機会

● テレワークや外注へ対応する企業の増加
● AIの進化に伴いサービス強化が可能
● プラットフォームを自社サービスの宣伝の場としても活用できる

脅威

● 新規参入の増加
● セキュリティリスクが伴う
● 多様なサービスを提供する製品の増加

SWOT分析事例3.ソニー株式会社

ソニーは世界的に知られるAV機器メーカーです。音楽や映像などの事業も多角的に展開しています。

強み

● ブランド力
● 映画や音楽、金融などの幅広い事業展開
● AV機器メーカーとして世界有数の規模

弱み

● モノづくり体制の弱体化
● 水平分業
● 企業戦略が流動的かつ不明瞭

機会

● スポーツイベントでの業務用カメラのニーズ
● 映像や音質にこだわる消費者の増加
● ファーウェイの失速

脅威

● 新興メーカーの参入による競争激化
● AV機器の低価格化
● スマートフォン等の中古市場の活性化

SWOT分析事例4.株式会社デジタルレシピ

株式会社デジタルテレビは、AIを活用した文章作成ツールを提供する企業です。広告や資料作成など、主にビジネスシーンで活用されています。

強み

● 国内初のAI記事作成ツール
● 対応できる文章の幅の広さ
● 無料プランあり

弱み

● ChatGPTなどのAIサービスで代用できる
● コンテンツの質が低い
● 有料プランが高め

機会

● AIの進歩による品質改善
● ビジネスにAIを用いる流れの高まり
● 顧客との共創関係強化

脅威

● 法規制の強化
● 競合他社の増加
● AI判定ツールの誕生

SWOT分析事例5.エムスリー株式会社

エムスリー株式会社は、医療業界をターゲットとした多様なサービスを展開しています。感染症対策による医療業界の成長に随伴するように、企業成長を遂げています。

強み

● 医療関係に特化
● 会員数が多い
● 海外市場に進出

弱み

● セキュリティ維持のためのコスト増
● 情報収集のための人件費増
● 情報関連の法規制の厳正化

機会

● 医療業界のデジタル化
● 世界的な市場拡大
● オンライン医療の需要拡大

脅威

● 競合サービスの増加
● 情報流出リスク
● 法規制の変化

まとめ:SWOT分析を活用しマーケティング戦略に役立てよう

◆SWOT分析とは、企業やプロジェクト、製品の成功要因を導き出し、今後の戦略の方向性や具体的な施策を明らかにするためのビジネスフレームワークである。SWOTは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字を取ったものである。

◆SWOT分析のやり方は、まず外部環境と内部環境の項目を洗い出し、それらの項目に対してStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)を分析していく。

◆外部環境分析でよく使われるフレームワークは、ミクロな視点からの分析「3C分析」や、マクロな視点からの分析「PEST分析」などがある。

◆内部環境分析では、必ず競合他社と比べた、客観的な強みと弱みを出す必要がある。

◆SWOT分析のメリットには、4つの要素から広い視野で分析ができる、機会と脅威の両方をとらえた戦略が立てられる、一目で自社や製品を理解できる、シンプルな手法でアイデアを出せる、などがある。デメリットには、二極化させる必要があるため、偏った見方や客観性を欠いた結果につながることがある、SWOT分析の結果だけでは戦略を導き出すのは困難である、などがある。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、クライアントのオウンドメディアの構築・運用支援やマーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。Webマーケティングはもちろん、SEOやデジタル技術の知見など、あらゆる分野に精通し、日々情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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    2022.6.6

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