2020.6.2

採用マーケティングの取り組み。成功につながる採用戦略の立て方

読了まで約 4

・なぜ今、採用活動に戦略が必要なのか。

・戦略なき採用活動では、思うような人材は確保できない。

・自社の将来を見据えて、人材確保のシステムを構築するには?

・採用戦略立案のポイントは大きく分けて5つ。

・採用戦略を考える上で役立つマーケティングのフレームワークとは?

 

採用マーケティングは戦略が全て

現在、採用市場は少子化や求職者の価値観の多様化などさまざまな要因により、売り手市場が続いている。
もはや、これまでの応募者の中から優秀な人材を選べばよいという時代は終わり、優秀な人材から企業側が取捨選択される時代となったといえよう。

そして、今後少子高齢化による労働生産人口の減少がさらに進めば、この傾向は一層顕著となる。
一部の人気企業を除き、ほとんどの企業は従来の漠然とした採用活動では人材獲得が困難となり、なんらかの戦略性を持って採用活動を行わないと望んだ結果が得られない時代に突入したのだ。

その戦略性を持った採用活動の概念として注目されているのが、採用マーケティングである。
一般的にマーケティングの成否は戦略で決まると言われているが、採用マーケティングも同様で、立案した戦略の良し悪しが採用の結果に直結する。

もし、採用戦略を持たないまま採用活動をした場合、たとえ目標通りの人数を確保できたとしても、それはただの人数合わせにしかならず、企業の価値を高めていくような人材とはなり得ない。
また、しっかりとした採用戦略がなければ人材獲得競争を勝ち抜くことは難しく、人数合わせすらできないということにもなりかねない。

自社の将来を見据えた採用戦略を綿密に計画することが、他社に先駆けて良い人材を確保することにつながり、さらにはこれを継続することで安定的に人材を確保するシステムを社内に確立することも可能となるのだ。

 

採用戦略のポイントとは

採用戦略は、いくつかのポイントに絞って、段階的に考えていくことでロスのない立案をすることができる。

例えば、1.求めるターゲット像の選定、2.採用基準の明確化、3.具体的な目標設定、4.採用手法の選定、5.内定・入社後のフォロー体制作り。などのステップを押さえれば自社にあった戦略を立てることができるだろう。
この5つのステップは、マーケティングファネルと呼ばれる認知から購買に至るユーザーの行動を図式化したモデルを採用に転用したもの。
どちらもプロセスが進むごとに徐々にターゲット数が少数になっていくためファネル(漏斗)の形となるのでこう呼ばれる。

ひとつひとつ順を追って見てみよう

1.求めるターゲット像の選定
この段階では特に戦略とは呼ばなくても、採用活動ではどの企業も行う共通の入り口だと言える。
この段階では営業職が欲しいのか、現場にエンジニアが欲しいのかなど、大まかに決めておくだけでもよい。

2.採用基準の明確化
ターゲット像は大まかであっても、採用戦略の根幹をなす採用基準はしっかりと明確化する必要がある。
従来、採用要件は「スキル」「経験」「人柄」の3項目に分類され、採用活動では「TOEIC何点以上」「営業経験何年以上」「明るくて社交性がある」などといった採用基準を設定することが多かったが、近年ではこれに加え、「自社が重要にしている価値観」を明確化しこれを求職者に伝えることで、エンゲージメントの高さを基準に加える企業が多くなっている。

当然のことながら、採用基準を厳しくすればするほどターゲットの母集合は小さくなる。
このため最低ラインの基準と理想の基準を用意しておき、その時点での採用状況を見ながらどこまで妥協するかを決定するという手法が採られることが多い。

3.具体的な目標設定
例えば短期的目標、長期的目標を考えた上で、いつまでに、どこの部署に、何人必要なのか、新卒でじっくり育てるのか、即戦力なのか、などを全社横断的に細かく決めていくことで、より自社にあった人材の獲得が可能となる。

通年採用が増加すると考えられる昨今では、採用活動も長丁場になるため、現状と目標を照らし合わせながら、臨機応変に軌道修正することも必要となる。

4.採用手法の選定
現在多種多様な採用手法があり、新しい概念も続々と生まれている。
古い手法だからダメ、ということではなく、オウンドメディアやリファラル採用など最新の手法については敏感に情報収集しながら、既存の手法も組み合わせて自社に最適な採用手法を検討することが重要だ。

5.内定・入社後のフォロー体制作り
離職率が高まっている現在、内定、入社後のフォロー体制を整えておくことは重要である。
内定後も定期的に連絡を取ったり、先輩社員との交流を試みたりして、社内の雰囲気をオープンにすることで入社後のイメージを植え付け、エンゲージメントとモチベーションを向上させることができる。

採用戦略を立てる際に役立つフレームワーク

マーケティングのフレームワークなどを使って、自社やターゲットについて考えてみることが採用戦略を立てるときのヒントになる。
「採用マーケティングと言っても何から始めたらいいのだろう?」 そんなときは、以下のようなフレームワークを参考にするとよい。

3C分析

3C分析はマーケティング環境分析のフレームワークの一つ。自社を取り巻くビジネス環境を理解するときにときに用いられ、「Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)」の3つのCである。
これを採用マーケティングでは「Customer(自社のニーズに合う求職者)、Competitor(採用市場で自社と競合する企業)、Company(自社の強みや弱み)」と置き換えて分析することで、採用市場における自社の立ち位置を把握することができる。

関連記事:3C分析とは?やり方や手順、テンプレートも紹介

ペルソナ

マーケティングにおけるペルソナとは、企業が商品やサービスを提供する象徴的な顧客像のこと。
「ターゲット」よりも細かい人物像を設定することで顧客の真のニーズを掴み、商品やサービスの完成度の向上に役立てることができる。
採用マーケティングにおけるペルソナは、企業が採用したい人物であり、スキルや性格、適正などについてできるだけ具体的に洗い出しておくことが重要となる。
ペルソナを明確にするにはあらかじめSTP分析を用いて、セグメント(市場の細分化)とターゲティング(細分化した市場のうちどこを目標にするか)、ポジショニング(他社とは異なる自社の立ち位置)の絞り込みを行っておくと有効だ。
さらに必須条件と十分条件とに分けておくことで、求める人材への的確なアプローチが可能となる。

カスタマージャーニー

カスタマージャーニーとは、ペルソナが商品やサービスを購入するに至るまでの動き(行動・思考・感情)を時系列で見える化したもの。
可視化することでペルソナの視点となって商品開発やサービス提供方法を考えることが可能となる。
採用マーケテティングではペルソナを求職者に置き換えて応用すればよい。
的確なSTP分析によってペルソナが設定されていれば、それに沿ったカスタマージャーニーを作成でき、どのタイミングで求職者に接触すればいいのかという戦略の立案に役立つ。

まとめ

◆従来の応募者の中から優秀な人材を選べばよいという時代は終わり、優秀な人材から企業側が取捨選択される時代となった。

◆どんな企業もしっかりとした採用戦略がなければ人材獲得競争を勝ち抜くことは難しく、結局は人数合わせすらできないということにもなりかねない。

◆採用マーケティングにおいては、戦略の良し悪しが採用の結果に直結する。

◆自社の将来を見据えた採用戦略を綿密に計画し、これを実行し続けて行くことが、安定的に人材を確保するシステムを社内に確立することにつながる。

◆採用戦略には、1.求めるターゲット像の策定、2.採用基準の明確化、3.具体的な目標設定、4.採用手法の選定、5.内定・入社後のフォロー体制作り、という5つのポイントがある。

◆マーケティングのフレームワークである3C分析、ペルソナ、カスタマージャーニー、などを使って考えてみることが採用戦略を立てるときのヒントになる。

 

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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