2021.9.16

採用担当者は知っておくべき第二新卒とは?新卒との違いや、いつまでが第二新卒か?採用するメリットや方法を解説

読了まで約 6

■第二新卒が注目されている背景とは

■第二新卒の定義

■第二新卒を採用する企業側の事情とは

■第二新卒を採用するメリット

■第二新卒の採用方法

■第二新卒採用のポイント

第二新卒の定義、新卒、既卒との違いとは?

2021年5月、人材サービスを事業展開するパーソルキャリア社は、運営する転職サービス「doda」の新社会人(新卒入社4月時点)登録が、過去10年間で約26倍増加(2021年月時点)したことを発表した。
別の調査では新卒の約3人に1人が退職を考えているといわれており、新卒社員が入社直後から、「自身の今後のキャリアを見据えて行動する」ことが当たり前の時代になったといえる。

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すでに「1つの会社に最低3年はいないとビジネス経験とは言えない」という発想や「新卒ですぐに辞めた人間は使い物にならない」といった見方は過去のものとなりつつある。第二新卒はフレッシュな新卒でもなく、経験のある中途採用ではないものの、採用活動に行き詰まりを感じている企業からは、意欲と能力のある魅力ある若手人材として十分に検討すべき対象になっているといえるだろう。

まずは、第二新卒について、その定義を解説しよう。
かつて、リーマン・ショックから回復しはじめたころから、労働市場は徐々に売り手市場となり、採用活動で新卒の採用に苦戦する企業を中心に第二新卒が注目された時期があった。

その後売り手市場は、コロナ禍により一時下火になったかのように見えたが、依然第二新卒の求人数は高い水準にある。
これは、コロナ禍におけるビジネス環境に、各社が徐々に適応してきたことに加え、第二新卒をマイナスと捉えない企業数が増加していることが背景にある。

では、第二新卒とは何を指して言うのだろう。
実は第二新卒に法的な定義はなく、どこまでを第二新卒として扱うかは企業や業界ごとに違ってくる。

多くの企業が定義としているのは、おおむね大学を卒業後、3年内外で新卒として入社した会社を退職しようとしている転職1回目の若年労働者、ということになろう。
広義には、20代全てを指す企業もあるなどするので、その定義は曖昧だ。

しかし、新卒との違いは「正社員で就職した経験がある」という点ではっきりとしている。
新卒の定義は、3月末に学校を卒業見込みで就職活動をする学生のことを指す言葉であり、その1年のみにしか適応されない。

加えて、大学の場合、浪人生なども少なくないことから、全員が同じ年齢で卒業するとは限らないため、新卒には年齢に条件がないという点も違いとしてあげられるだろう。

また、近しい言葉に既卒があるが、これは学校を卒業後、一度も正社員として就職したことがない人を指す言葉であり、卒業後、職歴がなかったり、フリーターや派遣社員として働いていた場合には既卒扱いとなる。

採用現場における第二新卒との違いは、第二新卒は正社員経験がある分、社会人としての考え方やマナーがある程度、身についていると評価されやすい点があげられるだろう。

本稿では、第二新卒について、採用のメリットやどのように採用すればいいのかのヒントなどを解説しよう。

第二新卒を採用するメリット

第二新卒を採用する企業側の事情にはどのようなものがあるだろう。
まず、第二新卒は中途採用の枠となるが、そのほとんどが若年層ということもあり、スキルや経験による採用よりも、新卒と近しいポテンシャル採用やコンピテンシー採用をする企業が多い。

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これは、離職率を下げて、将来の事業を担ってほしいという願望の表れと言えよう。
戦力としては、まだカウントできないが、年齢が若いため、将来性も配慮して採用するのが第二新卒採用の特長だ。

第二新卒の採用メリットとしては、まず教育コストが抑えられるという点があげられる。
これは、最初に入社した企業ですでに最低限のビジネス教育を受けていることが前提となっている。

具体的には、ビジネスマナーの研修や、社会人として必要な最低限の知識、電話応対、メールの打ち方、名刺交換や挨拶の仕方、などだ。
これら最低限の教育をすでに受けている人材を採用することは、教育コストの大幅な削減を見込める。

また、基本的な新人研修を受けていながらも、短期間で離職しているため、前職の企業文化に染まっていない点も、第二新卒の魅力であるといえる。
長く経験を積んでいる中途採用者は、スキルや技術面などを期待できる一方で、前職での仕事の進め方や文化が染みついてしまっている場合もあり、新しい職場とのカルチャーフィットが困難となるケースがある。

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その点、第二新卒は、経験が浅い分、新しい職場の文化や仕事の進め方を素直に受け入れてくれる柔軟性を持ち合わせている可能性が高いといえるだろう。

さらに、新卒採用の場合、入社時期が基本的に4月に固定されていることから、採用活動を始めてから実際に入社するまでに、半年以上の期間が空いてしまう。しかし第二新卒は、通年採用が可能であるため、企業のタイミングに合わせて、スピーディーに人材の採用活動を行うことができる。

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職場にすぐに溶け込むことができ、社会人として一定の教育も受けている人材を、企業側の都合に合わせたタイミングで採用できることは、人事にとって、大きなメリットであるといえるだろう。

第二新卒を採用するには? その方法とポイント

では実際にどのようにして第二新卒を採用すればいいのか?
ここでは、その採用方法とポイントを解説しよう。

採用方法としては、大きく分けてダイレクトリクルーティング、キャリアセンター、第二新卒の合同説明会や転職イベント、求人サイトなどがある。

それぞれについて少し詳しく見ていこう。

<第二新卒の採用方法>
1. ダイレクトリクルーティング
求職者からの応募を待つのではなく、企業側から欲しい人材に対して直接アプローチを行う手法である。
最初から求めている条件に合った人材に対象を絞ってアプローチを行えるため、人事の負担や、求職者側とのミスマッチを少なくすることができる。

また、企業側から優秀な人材に直接自社をアピールできるため、採用につながりやすいこともメリットだ。

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2. キャリアセンター
大学に設置されているキャリアセンターは、基本的には在籍している学生のためのサービスであるが、卒業してから3年までは卒業生も利用することができるため、キャリアセンターに求人を出すことで、第二新卒を採用できる可能性は高まる。

もし、新卒採用などですでにつながりのある大学がある場合には、キャリアセンターに、第二新卒を募集していること、良い人材がいたら紹介してほしいことを伝えておくと良いだろう。

3. 第二新卒の合同説明会や転職イベント
転職エージェントや転職サイトの運営会社などが主催する、第二新卒向けの合同説明会や転職イベントに出展するという方法もある。

この場合、会場で求職者と直接顔を合わせて話すことができたり、連絡先を教えてもらうこともできるため、求めている人材に対してより有効なアプローチが可能となる。

4. 求人サイト
最近では、中途採用の求人サイト内で「第二新卒特集」を組んでいる場合もあるので、それらを参考にしながら活用すると、第二新卒者の目に触れやすいだろう。

また、求人案内を出す際に、求人票などに「第二新卒歓迎」と書くだけでもプラスの効果が働く可能性があるため、工夫したいポイントだ。

続いて、第二新卒採用のポイントについて見ていこう。
それは、以下の3つにまとめることができる。

<第二新卒採用のポイント>
1. 第二新卒専用の採用基準を設ける
中途採用者を採用する場合には、即戦力となるかが重要となることが多く、面接においても業務内容に関する質問をメインにすることが多いだろう。
しかし、第二新卒の場合、社会人として最低限のことしか学んでいないため、採用基準を通常の中途採用者と同じにしてしまうと、そのレベルに到達しない可能性がある。

人事側ではそのような第二新卒の事情を考慮し、入社後に即戦力となる人材でなくても、人柄が社風にマッチしていれば採用する、といったように独自の基準を設ける必要がある。

2. 人事制度を整える
採用後の処遇についてもあらかじめ考え、制度を整えておく必要がある。
具体的には、給与面を新卒枠とするのか、中途枠とするのか、中途枠として採用した場合には、初任給をどう設定するのか、ということだ。

通常の中途採用者であれば、保有しているスキルなどを考慮して給与を決定することが可能であるが、第二新卒の場合は、保有しているスキルがない、または十分でないことも多い。

第二新卒者の入社時の待遇については、他の既存社員とのバランスを考えながら人事制度を構築して、事前に受け入れ態勢を整えておくべきであろう。

3. 通常の中途採用者よりも手厚く面接をする
第二新卒の採用面接は、スキルについてなどの質問をするよりも、人柄を深く引き出すことのできる内容にすることがポイントだ。
そのためにも、カジュアルな雰囲気で面接を行ったり、アイスブレイクを取り入れるなど、本音を引き出せるような工夫を行うと良いだろう。

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注意しておきたい点として、第二新卒は、早期に前職を辞めたいと思ってしまった人材でもあるため、入社後の定着率に関しては不安が残ることだ。
そのため、「どのような理由で前職を辞めようと思ったのか」については、通常の中途採用者に対する面接時よりも深く聞いておく必要がある。
たとえば、どのような業務に苦手意識を持ったのか、どのような社風が合わないと思ったのか、などだ。

また、転職理由に人間関係をあげてくる第二新卒には、「どのような人間関係であれば耐えることができるのか」を確認しておくべきであろう。

転職後の早期離職を防ぐためにも、自社の社風と合った人材を採用できるよう、会社の内部事情についてもある程度話しておいたほうが良い。

まとめ

・現在、新卒の約3人に1人が退職を考えているといわれており、新卒社員が入社直後から、「今後のキャリアを見据えて行動する」ことが当たり前の時代となっている。早期で転職することへの見方が変わっていくなかで、第二新卒は、フレッシュな新卒でもなく、経験のある中途採用ではないものの、意欲と能力のある魅力ある人材として十分に検討すべき対象になっている。

・第二新卒に法的な定義はなく、どこまでを第二新卒として扱うかは企業や業界ごとに違ってくるが、大学を卒業後、3年内外で新卒として入社した会社を退職しようとしている転職1回目の若年労働者、と定義している企業が多い。新卒や既卒との大きな違いは、学校を卒業後に正社員として就職した経験がある、という点である。新卒の定義は、3月末に学校を卒業見込みで就職活動をする学生のことであり、既卒は、学校を卒業後、一度も正社員として就職したことがない人のことを指す場合が多い。

・第二新卒は中途採用の枠となるが、そのほとんどが若年層ということもあり、スキルや経験による採用よりもポテンシャル採用やコンピテンシー採用をする企業が多い。これは、離職率を下げて、将来の事業を担ってほしいという願望の表れと言えよう。戦力としては、まだカウントできないが、年齢が若いため、将来性も配慮して採用するのが第二新卒採用の特長だ。

・第二新卒の採用メリットとしては、次のようなことがあげられる。【教育コストが抑えられる】最初に入社した企業ですでに最低限のビジネス教育を受けていることが多い。【前職の企業文化に染まっていない】前職を早期に離職していることで、その文化に染まっておらず、新しい職場の文化などを素直に受け入れやすい。【企業の都合に合わせて採用活動を行える】第二新卒は通年採用が可能であるため、企業のタイミングで、スピーディーに採用することができる。

・実際にどのようにして第二新卒を採用すればいいのか?次のような方法があげられる。1.ダイレクトリクルーティング、2.キャリアセンター、3.第二新卒の合同説明会や転職イベント、4.求人サイト。それぞれにメリットや工夫するべき点が存在するため、どんな人材を求めているのかを考えながら、自社に合ったやり方で採用活動を進めていくことが重要だ。

・第二新卒採用のポイントは、3つにまとめることができる。
1.第二新卒用の採用基準を設ける
2.人事制度を整える
3.通常の中途採用者よりも手厚く面接をする

第二新卒採用は新卒とも、通常の中途採用とも異なる点が多いため、採用基準や入社後の待遇についてあらかじめ考えておく必要がある。また、スキル面よりも人柄を重視して採用することが多いため、面接時に本音を引き出しやすい雰囲気を作ることや、入社後のミスマッチを防ぐために相互理解が深まるような質問をするなど、工夫をする必要がある。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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