2022.3.15

フォローアップの意味は?離職率との関連性や方法

読了まで約 5

フォローアップとは、ある事柄を徹底して行わせるための方法を意味する。特に人事領域では、ある事柄の強化や効果のチェックを目的として、時間が経過してからもう一度行うことを指す。

フォローアップは、離職率を下げる手段として注目されているほか、帰属感の向上や研修による効果の締約も期待できる。フォローアップの意味や離職率との関連性、実施する際の方法などを詳しく見ていこう。

フォローアップとは

「フォローアップ」とは、ある事柄を徹底させるための方法のことだ。さまざまな分野で用いられる言葉だが、ここでは人事領域で使うフォローアップの意味や、「フォローアップ研修」と「フォローアップ面談」について見ていこう。

人事領域で使うフォローアップの意味

人事領域におけるフォローアップの意味は、「ある事柄を強化したり、効果をチェックしたりするために、時間が経過してからもう一度行うこと」だ。フォローアップを行う目的には以下が挙げられる。

・ 社員の帰属感を高めて生産性をアップさせる
・ 研修による効果を定着させる
・ 離職率を抑える

フォローアップを実施することで社員の理解度が向上し、経営理念の浸透やスキルアップが期待できるのだ。

フォローアップ研修

フォローアップ研修とは、研修の実施後からある程度の時間が経過したあとに、同じ受講者と指導者が再度集まってもう一度研修を行うことを指す。フォローアップ研修のほかには、フォローアップやフォロー、フォロー研修とも呼ばれる。

フォローアップ研修には主に2つの種類がある。

・ 研修の内容を活かしたアクションプランの策定、今後の課題の設定
・ 研修の内容を実践した結果の発表、成果の共有

このように、「研修で学んだことが定着しているか」や「学んだ内容を実践できているか」を振り返るために行われるものだと理解しておこう。

フォローアップ面談

フォローアップ面談とは、人事が実施する面談のことだ。日常的な業務の管理を行う上司や先輩社員には、仕事の悩みを相談しにくいケースもあるだろう。特に新入社員の場合、採用や研修で関わりがあった人事のほうが、上司や先輩社員よりも話しやすいことがある。

フォローアップ面談として人事が面談の場を設ければ、社員が本音を話しやすい環境を構築できる。社員の率直な意見をヒアリングできるため、人事にとっては今後の課題や改善のヒントが得られるだろう。

特に新入社員に対するフォローアップ面談は、入社してから3ヶ月ごとに行われることが多い。これは、入社してからある程度の時間が経つ頃が、入社前に抱いていた理想とのギャップを生じ始めるタイミングだからだ。

新入社員という立場を気にして悩みを打ち明けられないケースも多いため、フォローアップ面談を行うことでコミュニケーションの場を設けるのが有効とされている。

関連記事:フォローアップ面談とは?新入社員のサポートから定着につなげる、面談の進め方・質問内容を解説

フォローアップはなぜ重要か

フォローアップが重要とされる理由には、離職率が関係している。特に新入社員の離職率に対する施策として、フォローアップが注目されているのだ。ここでは、フォローアップの重要性や離職率との関連などを解説する。

特に新入社員のフォローアップが重要

フォローアップは、特に新入社員に対して行うことが重要とされている。なぜなら、近年は新入社員の離職率が高い傾向にあるからだ。

2021年10月発表の厚生労働省の調査によると、平成30年3月に大学を卒業した人のうち、就職後3年以内の離職率は約3割(31.2%)だ。

参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」

新入社員を採用する際にはコストが発生するため、企業としては新入社員に長く貢献してもらいたいところだろう。企業は新入社員の離職率を下げる対策を講じる必要があり、その手段としてフォローアップが重要視されるようになったのだ。

離職率との関連

フォローアップが離職率の軽減に有効とされるのは、初職の離職理由が関係している。内閣府の2018年6月の調査によると、初職の離職理由に「人間関係がよくなかったため」と回答した人が一定数いることがわかっている。

参考:内閣府「平成30年版 子供・若者白書(全体版)『特集 就労等に関する若者の意識』」

給与や年間休日などの条件面に関しては、入社前でもある程度の情報を把握できる。しかし、職場の人間関係は入社してみないとわからない部分だ。コミュニケーションにおける悩みを見過ごすと、ミスマッチが生じて離職を考える社員が増えかねない。

このことから、社員の本音を引き出す手段としてフォローアップが必要とされている。フォローアップを行って社員が抱える問題を把握できれば、人間関係を改善するための対策を講じられるだろう。フォローアップを適切に実施することで、離職の抑制効果が期待できるのだ。

関連記事:
ミスマッチとは?企業やビジネスにおける定着率の高い組織をつくるための秘訣
カルチャーフィットとは?新卒・中途採用のミスマッチを防ぐポイントを解説

フォローアップのタイミングと方法

ここまでは、フォローアップの意味や重要性などを見てきた。実際にフォローアップを取り入れるためには、実施すべきタイミングや方法を知っておく必要があるだろう。次項からは、フォローアップの適切なタイミングや方法について解説する。

フォローアップのタイミング

フォローアップの実施に適したタイミングには、「オンボーディング」と「研修後」の2つが挙げられる。

オンボーディング

フォローアップは、オンボーディングにおいて実施するのが好ましい。オンボーディングとは、新しく入社したメンバーに対する教育や育成のプログラムのことだ。

語源は「on-board(=船や飛行機に乗り込んでいる状態)」で、新しく入社したメンバーが早いうちから能力を発揮できるように支援する仕組みづくりを指す。日本では、特に外資系企業で導入されているケースが多い。

ただし、オンボーディングとして意識的に仕組みづくりをしていない場合でも、交流の場として飲み会や食事会を開くなどの取り組みは、オンボーディングの一種といえる。

オンボーディングの特徴は、新たに入社したメンバーに慣れてもらうことだけを目的としない点だ。新メンバーだけではなく、既存メンバーを含めた職場全体で新メンバーを受け入れ、双方が理解を深め合えることに重きを置いている。

オンボーディングの基本的な形は、「組織に馴染むこと」と「業務に役立つスキルを身につけること」の2つを軸にしているケースが多い。設計したプログラムに沿って実施しつつ、定期的にフォローアップ面談を設けて社員が抱える悩みをヒアリングするのが有効とされる。

また、新メンバーの心理面をケアする方法として、フォローアップの一つであるメンター制度も重要と考えられている。フォローアップ面談やメンター制度を導入してフォロー体制を整えれば、オンボーディングの成功につながるだろう。

関連記事:オンボーディングとは?組織の生産性向上と離職防止のためにできること

研修後

フォローアップは、研修を終えてから3ヶ月ごとのペースで行うのが適切とされている。それぞれの期間ごとに実施すべき内容を見ていこう。

入社時の研修と3ヶ月後のフォローアップ研修は、セットで実施されることが多い。研修から3ヶ月後のフォローアップ研修の内容は、業務に関する不安の解消や、仕事のやり方の再確認がメインだ。

または、研修後からフォローアップ研修までの期間の目標達成状況を発表する場という役割ももつ。配属先に関する悩みなどもヒアリングできると、早期離職のリスクを抑えることにもつながるだろう。

研修から6ヶ月後のフォローアップ研修では、モチベーションの維持に注力すべきだ。入社からある程度の時間が経つと、中だるみする社員が増えやすい。仕事に対する熱意をキープしてもらうためには、フォローアップ研修で課題を再検討したり、スキルアップにつながる内容を実施したりするのが有効とされる。

研修から1年後もフォローアップ研修を実施すべきタイミングだ。1年後に行う研修では、主に1年間の総合的な振り返りが行われる。目標の設定や管理職研修など、社員が次のステップに進むための内容を実施するケースも多い。

自身のキャリアプランを見つめ直す場を作ることで、定着率の向上が期待できるだろう。また、入社から1年が経つ頃は中心となって業務を進めることも多く、先輩社員としての意識をもってもらうことも重要だ。

なお、研修から3ヶ月ごと以外のタイミングでフォローアップを行っても構わない。頻度を増やせるのであれば、積極的にフォローアップを実施するべきだろう。

フォローアップの方法

フォローアップの方法として、メンター制度もその一つだ。メンター制度を導入すれば、早期離職の抑制などが期待できる。ここでは、メンター制度について詳しく解説する。

メンターとメンティー

メンター制度とは、「メンター(=先輩社員)」が「メンティー(=後輩社員)」をサポートする仕組みのことだ。後輩社員の相談に乗る役割を、後輩社員と年齢や社歴が近い先輩社員が担うことを指す。

昨今の日本企業では、新入社員に対して指導やアドバイスができる年齢の近い先輩社員がいないことが問題視されている。メンター制度はこのような状況を解決するために注目されており、現在では多くの企業で導入されている。

一般的に、メンターはメンティーの2〜5歳ほど年上の人材が務めることが多い。メンティーにとってメンターは、いわばなんでも話せる兄や姉のような存在だ。直属の上司には話しにくいことがあっても、メンターに気軽に相談できる状況を作ることで、メンティーは安心して業務に取り組める。

メンター制度を導入する際は、初めにメンター制度の実施について社内全体に共有し、理解を得ることが重要だ。そのうえで目標の設定や運用ルールの決定を行い、メンターに適した人材を選出する。

その次は、メンターとメンティーに対して事前研修を実施し、メンター制度の目的やルールなどを共有する。運用開始後は人事が定期的にフォローを行い、メンターのケアに注力することが重要だ。

関連記事:メンターとメンティーとは?制度として導入する目的や注意点

まとめ

フォローアップとは、ある事柄を徹底させるための方法を指す。人事領域では、ある事柄の強化や効果のチェックを目的として、時間が経ってから再度行うことを意味する。

フォローアップの方法はさまざまあり、例えばフォローアップ研修やフォローアップ面談が挙げられる。後輩社員のサポート役として、年齢や社歴が近い先輩社員を割り当てるメンター制度もその一つだ。

フォローアップを適切に行うと、社員の早期離職を抑える効果が期待できる。また、研修による効果の定着や帰属感の向上にもつながるだろう。社員が働きやすい環境を整えるためにも、フォローアップを実施することをおすすめする。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

get_field('cf_general_profile_name', 39);

『MarkeTRUNK』編集部

マーケターが知りたい情報や、今、読むべき記事を発信。Webマーケティングの基礎知識から
知っておきたいトレンドニュース、実践に役立つSEO最新事例など詳しく紹介します。
さらに人事・採用分野で注目を集める「採用マーケティング」に関する情報もお届けします。
独自の視点で、読んだ後から使えるマーケティング全般の情報を発信します。

関連記事 RELATED POSTS

関連資料ダウンロード RELATED POSTS

メルマガ会員登録で最新マーケティング情報やトレンド情報、セミナーイベント情報をチェック!

メールマガジンのサンプルはこちら