2022.7.19

キャリア面談とは?社員に行う目的、準備~進め方を人事・上司視点で解説

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キャリア面談とは、社員一人ひとりのキャリア形成を中長期的な目線で話し合う場を作ることである。今回はキャリア面談とはどのようなものか、実施する目的や必要な準備などを紹介する。面談の進め方やポイントも人事・上司視点で解説しているため、併せてチェックしよう。

キャリア面談とは?

近年、キャリア面談を導入する企業が増えている。キャリア面談とは、中長期的な目線で社員ごとのキャリア形成を話し合うことだ。

これにより社員が興味を持っていることや強み、価値観などが理解できるようになり、業務のモチベーションを向上させて、社内の生産活動の活性化を促せるとされている。社員が持っている要望や悩みを知れるいい機会であるとして、さまざまな企業で取り入れられるようになったのである。

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面談は以前からおこなわれていたものの、その多くは業務の進捗状況の把握などを主な目的としたものであった。業績に関する面談では、上司が話したいことを伝えるだけで終了してしまい、業務を担当している社員からの話を充分に傾聴できていないケースがある。キャリア面談はこのような業績面談とは違い、社員自身に焦点を当てて話し合いをしていく。

面談では、社員の現在の状況と将来のキャリアに対するイメージを確認する。話し合いのなかで、今後どのようなキャリアを形成していきたいか、そのためにはどのようにすればいいのかなどを質問していき、社員に気づきを促していく。

キャリア面談を進める際は、社員自身が課題を認識して受け止められるようにサポートを実施することが重要だ。上司は解決策を与えるのではなく、社員自身から考えを引き出すように話し合いを進めていくといいだろう。

面談によって社員自身が持っている将来のキャリアのイメージや価値観、課題などが理解できるようになったら、キャリアのイメージを実現していくための支援に繋げていく。このような効果的なキャリア面接ができれば、それをきっかけとして社員のキャリア自律が促され、モチベーションアップや社内の活性化が期待できるだろう。

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また、積極的にキャリアアップへのサポートをおこなっていくことによって、社員にとって魅力的な企業になり、離職率が低下するという効果もある。社員にとっていい企業となれば、成長意欲の高い人材が興味を持つきっかけとなったり、優秀な人材が定着したりして、企業にとっての成長までも加速していくだろう。

キャリア面談を行う目的

キャリア面談は、なにかを選考するためのものではない。中長期的な目線で社員のキャリアへの考えや展望を把握したり、社員自身が考えて気づきを促すきっかけづくりにしたりすることなどが目的である。

もともと、日本では終身雇用と年功序列の雇用制度を前提としていた企業が多かった。それにより、キャリアアップを狙う場合は社内でさらに高いポストにつくという考え方が浸透していたのだ。

しかし、近年では雇用形態が大きく変わり、各社の雇用形態に合わせたさまざまな人事制度の導入が進んできている。高い専門性やスキルがある社員が求められるようになったことにより、社員へのマネジメントの仕方も変化した。キャリアアップのサポートをして、人材の育成を進めていくことが一般化してきているのである。

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キャリア面談は、社員にとっても面談を行う側の企業や上司にとってもメリットのあるものだ。キャリア面談を行う主な目的は、以下のとおりである。

・ 社員の課題や悩みを明確にすること
・ 社員の成長を促すこと
・ 社員に気づきを促し、叶えたい目標やイメージを把握していくこと

叶えたい目標やイメージがどのようなものであるか、面談の質問によって社員自身による気づきを促すことにより、今後どうしていくといいのか理解でき、モチベーションアップに繋げられるだろう。目標が明確になるとやるべきことの優先順位が理解しやすくなり、長期的な目標に向けた自主的な行動を促せる。

キャリア面談によって、社員一人ひとりがキャリアアップを目指して行動したり、モチベーションを高く持てるようになったりすることで、企業の生産性が向上することがメリットだ。また、将来的に企業への貢献度が高くなりそうな人物が把握できるようになるというメリットもある。

とくに近年では新型コロナウイルスの感染拡大対策などによって、急速に働き方が変わりつつある。その影響で、社員自身がキャリアに関する意識をしっかりと持つ重要性が高まっているといわれている。

しかしテレワークでの働き方では、上司が部下たちのそれぞれの状況を把握しづらくなっていることが課題だ。キャリア開発のサポートは現場のみでは難しいため、必要に応じてキャリアカウンセラーやメンターなどの支援を受けつつ実施するといいだろう。

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キャリア面談に必要な準備

部下に対してキャリア面談を実施する立場であれば、面談のために必要な準備や実際の進め方などを理解しておく必要がある。また、上司自身がキャリアに関する知識を持っていないと、うまく相談にのれなくなってしまうだろう。

上司はキャリア面談の前にキャリア形成に対するイメージを持てるようになること、部下たちがキャリアアップへの展望を持つ意義を理解することなどが重要だ。キャリア面談でディスカッションする内容を決めておき、事前にキャリアアップの計画や業務改善策などのテーマでアンケートを取っておくとスムーズに進められる。

アンケートなどを事前に行うと、キャリア面談前から部下が話す内容を考えておけるようになる。自身のキャリアの課題やこれからの展望など具体的な意見の引き出しが容易になって、中身のある面談にしやすくなるだろう。

面談対象者に記入してもらうシートには、以下のようなテーマで書いておくのがおすすめだ。

・ 現在対応している仕事に関する内容
・ 社内での人間関係に関する内容
・ 給与や業務成果状況に関する内容
・ どのようなスキル・知識を持ちたいか
・ どれほどの年収になりたいか

これらの内容を面談シートに書いてもらうと、現時点の状況をどのように感じているのか、今後どうなっていきたいのか、上司にとっても部下自身にとってもイメージしやすくなる。また、社内での人間関係に関する内容は、コミュニケーションスキルなどの参考になるだろう。

キャリア面談の進め方

キャリア面談は、30分~1時間ほどのスケジュールを確保し、ゆっくり話ができる環境を整えるといいだろう。周りの目が気にならないように、いつもの席ではなく個室で話し合える状態が好ましい。本音や目標はなかなか口に出しにくいもののため、適度に相槌を打つなど傾聴の姿勢でじっくりと話を引き出すようにしよう。

キャリア面談を実施する際、過去に達成できなかったことなどの話をしてしまっては、将来への前向きなビジョンを話してもらいにくくなってしまうため、気を付けなければならない。指導や注意を行ってしまっても相手が萎縮してしまい、充分な話し合いができなくなってしまう。

スムーズに話を引き出すためには、面談対象者の長所などを伝えながら面談を進めていくといいだろう。相手が萎縮しないように意見を尊重しつつ、適度にアドバイスを入れるようにするのがポイントだ。

キャリア面談の質問例は、以下のとおりである。

・ 今後どのようなキャリアを形成していきたいか
・ それに向けてどのようなことが必要か
・ 最終的に社内でどのようなポジションを目指したいか
・ 現在の仕事にやりがいを感じているか
・ 現在の仕事は難し過ぎないか
・ 仕事をするうえで大切にしている価値観はどのようなものか
・ 現在、会社で不満に感じていることはなにか
・ 会社で満足していることはどのようなことか
・ どのようなことに興味があるか
・ 今以上の責任を負う準備はあるか
・ ほかの仕事に対して興味があるか

これらの質問を深掘りしていき、キャリアへのイメージを社員自身が考えて気づきを促すきっかけづくりにしよう。

キャリア面談のテーマの例は、面談対象者に記入してもらうシートの例として先述したような内容がおすすめだ。具体的には、現在対応している仕事に関する内容や社内での人間関係に関する内容などである。

対話しているときは、話し合いによって伝わってきたことを言語化し、部下に投げかけるように質問して本人の気づきに繋がるようにするといいだろう。さまざまなことを聞きたくても、質問攻めにしてしまわないように注意が必要だ。そのうえで、気になるところは掘り下げていこう。

聞いているうちに解決策がわかったとしても、部下自身に課題解決に向けてどうしていきたいのか考えてもらうことがポイントだ。すぐに提案してしまわないよう注意しよう。

面談が終わってからのアフターフォローも重要である。適度なフォローや定期的なフィードバックがおすすめだ。

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まとめ

キャリア面談とは、中長期的な目線で社員ごとのキャリア形成を話し合うことだ。これにより社員が興味を持っていることや強み、価値観などが理解できるようになったり、業務のモチベーションを向上させて、社内の生産活動の活性化を促せたりする効果がある。社員が持っている要望や悩みを知れるいい機会でもあるとして、さまざまな企業で取り入れられるようになった。

キャリア面談を行う主な目的は、社員の課題や悩みを明確にすること、社員の成長を促すこと、社員に気づきを促し、叶えたい目標やイメージを把握していくことなどだ。

キャリア面談をする際は、事前にディスカッションする内容を決めておき、キャリアアップの計画や業務改善策などのテーマでアンケートを取っておくとスムーズに進められる。キャリア面談で聞いておきたい質問の例は、以下のとおりである。

・ 今後どのようなキャリアを形成していきたいか
・ それに向けてどのようなことが必要か
・ 最終的に社内でどのようなポジションを目指したいか
・ 現在の仕事にやりがいを感じているか

実施する際に必要な準備やキャリア面談の進め方などを理解して、実際の面談に役立てていこう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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