2022.4.22

インターンシップの作り方は?企画やプログラムを設計する方法

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インターンシップを企画する際には、いきなり実施する内容を考えるのではなく、ポイントをおさえていくのがおすすめだ。今回はインターンシップを行う目的や学生が求める形、企画の進め方などを解説する。作る際に気を付けるべきポイントも併せて紹介するため、しっかりとチェックしていこう。

インターンシップを行う目的とは?

インターンシップの実施は、新卒採用をおこなう企業で増加傾向にある。HR総研の「2023年新卒採用活動調査(3月)結果報告」によると、1,001名以上規模の大企業では約7割が実施、301~1,000名規模の中堅企業でも約6割が実施している。(ProFuture株式会社/HR総研

▼企業規模別 インターンシップの実施状況▼

グラフ:企業規模別 インターンシップの実施状況

学生側も積極的に参加しており、2022年卒ではインターンシップに参加した学生がほとんどであった。新型コロナの感染拡大防止のため、オンラインでインターンシップを実施した企業が増えたことも、参加しやすくなった要因だと考えられる。

インターンシップを行うことには、企業側と学生側それぞれで異なる目的がある。企業側の目的は、自社の仕事やサービスへの理解を深めてもらうこと、やりがいを体感してもらうこと、優秀な人材を見つけて早い段階から接触すること、企業のPR活動として活かすことなどだ。また、自社の仕事やサービスへの理解を深めることで、採用選考でのミスマッチを防止する目的もある。

関連記事:ミスマッチとは?企業やビジネスにおける定着率の高い組織をつくるための秘訣

学生側にとっては、参加によって自身をアピールして内定獲得の確率を高められること、志望業界をより深く理解すること、企業や自己を分析するための情報収集をおこなうことなどが目的だ。

実施する企業側は、その目的をはっきりとさせておかないと、他社事例を模倣しただけで自社の魅力が伝わらず、成果に繋がらないようなインターンシップになりかねないだろう。用意した時間や工数が無駄にならないよう、実施する目的をはっきりとさせて効果的なインターンシップをおこなおう。

学生が求めるインターンシップの形は?

学生側にとってのインターンシップは、参加によって自身をアピールできる場であるものの、基本的には業種や仕事内容を具体的に知りたいと求める意見が多いようだ。参加するインターンシップは個別の企業ではなく、業種やプログラム内容を重視して選択する傾向がある。

HR総研と就活会議による「2022年卒学生のインターンシップと就職活動への意識調査 結果報告」 によると、インターンシップに参加する時期は8~9月に集中しており、夏季休暇を利用する学生が多い。望ましいインターンシップのタイプについての答えでは、文系と理系ともに2~3日タイプが圧倒的に多く、次いで半日~1日タイプという結果となった。(ProFuture株式会社/HR総研

▼インターンシップに参加した時期

グラフ:インターンシップに参加した時期

▼参加したインターンシップのタイプ

グラフ:参加したインターンシップのタイプ

1週間程度のタイプは、文系と理系ともに2~3日タイプよりも割合が少ないものの、理系の学生のほうが望ましいインターンシップだとする割合が多い。理系の学生は文系の学生よりも、長期間でより実践的なインターンシップを希望する傾向にあることがわかる。

ちなみに、半日~1日タイプのインターンシップに関しては、今後「1day仕事体験」などと表現が改められる。

これらの結果から、学生は「業種や仕事内容を具体的に理解できるもの」で「8~9月ごろ」、「2~3日程度」のインターンシップを求めているケースが多いと考えられるだろう。

関連記事:人事が今押さえるべき!採用直結型のインターンシップに対する、学生の生の声や経団連の立場を解説

複数日程のインターンシップ、企画の進め方は?

複数日程で実施予定のインターンシップを企画する場合、進め方で気を付けるべきポイントは以下のとおりである。

・ 今の就活生が興味あることを知ること
・ 就活生の興味と自社が求める人材像を掛け合わせ、テーマを決めること
・ 実施する形式を決めること
・ どのような就活生に集まってほしいか定義すること
・ ターゲット層に適した手段・サービスで集客をすること
・ インターンシップ後~選考までの道筋を検討すること

企画する際のそれぞれのポイントを詳しくチェックしていこう。

今の就活生が興味あることを知る

インターンシップを企画する際は、今の就活生にとって興味のあることを理解する必要がある。

以前にインターンシップと認められるのは5日間以上のもののみであったため、現場配属型形式での実施が主流だった。その後、1dayインターンシップの解禁や選考時期の後ろ倒しなどがあり、インターンシップのプログラムにも変化が表れている。刻々と変化していく環境のなかで、今の就活生が興味をもつものを理解し、それに合わせたプログラムの企画が重要だ。

就活生は、インターンシップなどを通じて夏季に情報を収集し、業界を絞ってから企業選定を進めていくと考えられている。その際、事業の成長性や仕事内容の魅力などが業界や企業を選択する軸となるようだ。

そのため、業界を絞る前の夏から秋にかけてのインターンシップのタイミングが重要になる。先述したような、業種や仕事内容を具体的に把握できる2~3日程度のインターンシップなど、学生が参加しやすくて興味をひけるような内容で企画し、事業や仕事の魅力を伝える必要がある。

就活生の興味と自社が求める人材像を掛け合わせ、テーマを決める

大部分の就活生に興味がある内容でも、自社の魅力や求める人材像と合わない内容では、狙いどおりの効果を得るのは難しくなるだろう。たとえば、実際に就活生の興味をひき、採用成果が出ている会社のインターンシップの形式やプログラムなどをそっくり真似たとしても、実施目的や自社の魅力などが異なるため、同じ成果はでないと考えられる。

採用成果につながるように、自社の魅力や求める人材像、インターンシップを行う目的などをはっきりとさせ、それに合ったテーマにすることが重要だ。

実施する形式を決める

一括りにインターンシップといっても、さまざまな実施形式がある。実施形式の例は以下のとおりである。

・ 座学でのレクチャー
・ 社員による座談会
・ グループワーク型
・ プロジェクト型
・ 見学型
・ 実践型職場体験

このように複数ある実施形式から自社のニーズや魅力、求める人材像にあったものを選択するのだ。また、インターンシップは何日行うか、時期はいつか、オンラインか対面か、業界の理解を得るプログラムか、自社への理解を得るプログラムか、仕事への理解を深めるプログラムかなど、多方面から考える必要がある。

どのような就活生に集まってほしいか定義する

インターンシップの実施によって採用成果を出すためには、どのような就活生に集まってほしいのか、ペルソナを定義することも重要なポイントだ。

関連記事:採用マーケティングで重要な「ペルソナ」とは?その設計方法や具体例を解説

これは主にマーケティングや営業などで用いられてきた手法で、潜在的な顧客をひとりの実在する人物に見立て、その人物像に対する効率的で効果的な対応をするというものである。

採用活動におけるペルソナとは、自社の課題を解決するために必要な人材の人物像をはっきりとさせ、求める人材の採用に役立てるものだ。求める人物像を明確にして、どんな人物ならば自社で活躍できるかを細かく言語化しよう。

ちなみにペルソナとターゲットとは異なるものだが、それぞれ「求める像」であるという類似点がある。ペルソナは個人として深掘りすることでピンポイントに狙うものだが、ターゲットとはもう少し対象を広げて層として狙うものだ。

採用活動では、内定者数の達成などを目的にしてしまうと、内定辞退や早期離職のリスクが増えてしまうといわれている。集まってほしい人物像を明確にしてから、インターンシップの企画を具体化させよう。

ターゲット層に適した手段・サービスで集客をする

どのような就活生に集まってほしいかを定義できたならば、ペルソナもしくはターゲット層に適した手段やサービスを利用して集客する。たとえば、ターゲット層があまり自社への興味を持っていないようであれば、マナー講座などの就活スキルアップが狙えるような場を提供するといった工夫だ。そうすることで、ターゲット層がインターンシップに参加するきっかけ作りができるようになるだろう。

ターゲットとなる人物像が明確なほど、企画は考えやすくなるものだ。定義した求める人物像にあわせて、適した手段やサービスを考えよう。

インターンシップ後~選考までの道筋を検討する

インターンシップを企画する際は、実施する段階での計画だけではなく、選考までの道筋を検討しておくと良いだろう。勉強になったという印象だけで魅力が伝わらずにインターンシップが終了してしまうと、そのままフェードアウトしてしまいがちである。

企画の際に学びがあるだけではなく、チャレンジしてみたい企業だと思ってもらえるような内容にする、インターンシップ後にファンになってもらえるような施策をするなどの工夫をしよう。

たとえば、インターンシップ後に個別メッセージを送付すると、人を大切にする会社だと感じてもらえる。とくに、夏のインターンシップの場合は選考開始までに時間があるため、学生の気持ちを繋ぎ止めるフォローが重要だ。

フォロー施策は、選考プロセス免除などの選考に関する優遇や、オンラインでのフォロー、インターン生に限定した座談会のような対面でのフォローなどが考えられる。内定者とは異なるが接点の持ち方は、内定者フォローと重なる部分もある。

採用全体のストーリー設計をしておき、その場その場での繋ぎ止め施策ではないフォロー施策の構築をおこなうと良いだろう。

関連記事:
オンラインインターンシップ企画のコツは?成功するための5つのポイントを解説
内定者フォローのポイントとは?コロナ禍でもオンラインで内定者との接点を強める方法

まとめ

インターンシップをおこなう企業側の目的には、自社の仕事やサービスへの理解を深めてもらうこと、やりがいを体感してもらうこと、優秀な人材を見つけて早い段階から接触すること、企業のPR活動として活かすことなどがある。

学生側にとっては、内定獲得の確率を高められること、志望業界をより深く理解すること、企業や自己を分析するための情報収集をおこなうことなどが目的だ。

企業は実施する目的をはっきりとさせ、効果的なインターンシップをおこなうようにしよう。

学生が望ましいと感じるインターンシップのタイプは、文系と理系ともに2~3日タイプが圧倒的に多いというデータがある。企業の目的や求める人物像によって適したタイプが変わるものの、データをチェックして今の就活生の好む方法を理解しておくと良いだろう。

これらのインターンシップを企画する際に知っておきたい内容を理解して、実務に役立てていこう。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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