2023.9.4

スポットワーカーとは?市場動向や働き方の特徴を詳しく解説

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近年では、人手不足を解消する施策として、スポットワーカーを採用する企業が増えてきた。スポットワーカーとは、一時的な業務に従事する労働者のことで、働き方の多様化やテクノロジーの進化の影響により増加しており、その数は1,000万人を超えている。

スポットワーカーは、働き方や仕事の選択肢に柔軟性がある一方、安定性に欠けるといったデメリットもある。スポットワーカーをするのであれば、デメリットを受け入れなければならない。

この記事では、スポットワーカーの概要や増加した経緯、現状とともに、スポットワーカーのメリットとデメリットについて解説する。

スポットワーカーとは

スポットワーカーとは、一時的に業務に従事する労働者のことだ。特定の業務において、短期間の労働力が必要となった際に、スポット的に働く。スポットワーカーが保有しているスキルや知識を活かして、短期のプロジェクトに参画するケースや、日雇いのアルバイトとして労働力を提供するケースなど、働き方はさまざまだ。

そのため、雇用形態も一時的に雇用契約を締結する場合や、業務委託で請け負う場合がある。

ギグワーカーとの違い

スポットワーカーと似た用語にギグワーカーがある。どちらも一時的に業務に従事する労働者であるものの、定義は異なる。ギガワーカーは、短期的な業務やプロジェクトに従事するため、雇用形態は業務委託となるのが一般的だ。

一方、スポットワーカーは、雇用契約を締結して働く場合や業務委託で請け負う場合など、雇用形態のパターンが複数ある。つまり、スポットワーカーの働き方のひとつに、ギグワーカーがあるのだ。

スポットワーカーの仕事内容

スポットワーカーの仕事内容は多岐に渡り、主な仕事としては、以下のものが挙げられる。

● Webサイト開発:企業または個人で使用するWebサイトの開発
● アプリケーション開発:企業または個人で使用するアプリケーションの開発
● デザイン:ロゴやパンフレット、広告などのデザイン
● ライティング:記事執筆や広告コピーの作成
● 翻訳:テキストや文書の翻訳
マーケティング:広告業務やSNS運用、デジタルマーケティング戦略の策定
● スポットバイト:イベントスタッフや飲食店、宿泊業など

スポットワーカーには、企業が自社の人材だけでは対応できない業務の対応が求められる。そのため、スポットバイトのような比較的専門的な知識を求められない仕事もあるものの、基本的にはスキルや専門的な知識が求められるものがスポットワーカーの仕事となっている。

関連記事:パラレルワークやギグパートナーという働き方。現在のトレンドと今後

スポットワーカーができた経緯

スポットワーカーができた経緯には、働き方の多様化やテクノロジーの進化が寄与している。近年では、少子高齢化による労働人口の減少の影響により、人手不足に陥る企業が増えてきた。働き方に対する考え方も変化し、働く場所や時間を重視する人も増えてきた。

就業規則で副業を認める企業も増え、すでに正社員として働く人が、すきま時間を利用して働くケースも増えている。ワーカーが自分の希望する時間や場所で働きたいというニーズと、企業が人手が欲しい際の労働力を確保したいというニーズがマッチするのが、スポットワーカーだ。

また、テクノロジーの進化により、出社することなく、離れた場所でも仕事ができるようになった。企業とスポットワーカーとをマッチングするプラットフォームも登場し、仕事を探しやすい環境になったことも、スポットワーカーの増加を後押ししている。

サービスのあり方も変化し、さまざまなサービスにオンラインが利用されるようになった。Webサイト開発やアプリケーション開発、ライティングといった業務が増加する一方、社内の人材は不足しているのが現実だ。

ただし、これらの仕事はPCひとつでできるため、企業側もスポットワーカーに依頼しやすい。これまでは、働く場所や時間に制限があった人材も、働ける方法が増えたことも、スポットワーカーの普及につながったといえる。

関連記事:ポータブルスキルとは?概要とスキル一覧、テクニカルスキルとの違いを解説

スポットワーカーの現状

スポットワーカーは増加傾向にあり、1,000万人を超えたことが明らかになった。ここでは、スポットワーカーの市場規模や需要の傾向とともに、直面している課題やそれに対する解決策について解説する。

市場規模と採用状況

スポットワーカーの代表的な仲介業者として、以下の4社が挙げられる。

● Timee
● シェアフル
● ツナググループHD
● Wakrak

スポットワーク協会によると、これらの仲介業者の個人会員数の単純合計が1,000万人を超えたことが明らかになった。下図をみると、右肩上がりでスポットワーカーが増加していることがわかる。

グラフ:スポットワーカーは1000万人超えた

参考:日本経済新聞「スポットワーカー1000万人 すきま時間に単発バイト

マイナビの調査によると、2022年にスポットワーカーを採用した企業は約30%となっており、業種別では「接客(ホテル・旅館)」が高い結果となった。宿泊業界は、新型コロナウイルスの影響により人員削減が進んでいたものの、経済回復により急速に人材不足に陥った。人材不足解消の対策として、スポットワーカーを採用する企業が増加したと考えられる。

グラフ:2022年のスポットワーカー採用有無

参考:マイナビ「アルバイト採用活動に関する企業調査

需要の傾向

近年でスポットワーカーの需要は増加傾向にあるように、今後もその流れが続くことが予想される。マイナビの調査によると、人材確保に効果があった施策として、ギグワークの受入が高い結果となった。

グラフ:スポットワーカー需要の傾向

参考:マイナビ「アルバイト採用活動に関する企業調査

施策としての効果を実感している企業があることから、今後もスポットワーカーの増加傾向が続くと考えられる。

スポットワーカーが直面している課題

スポットワーカーの需要が増える一方で、課題もでてきている。マイナビの調査によると、これまでに、スポットワーカーの採用をしなかった理由として「スポットワーカーのスキルが不安なため」「人材の管理が複雑なため」という回答が上位となった。

グラフ:スポットワーカーが直面している課題

参考:マイナビ「非正規雇用に関する企業の採用状況調査(22年9-10月)

スポットワーカーは、スキルの確認ができないまま仕事を依頼するケースが多く、ワーカーのスキルの把握や管理が難しいと考えている企業があることが明らかになった。今後はスキルの把握や、研修による教育が課題となる。

スポットワーカーに対する研修

スポットワーカーは、長期雇用のアルバイトと比較すると知識や社内ルールを学ぶための教育を受ける機会が少ない。マイナビの調査によると、スポットワーカーの研修方法として「就業日に業務マニュアルを読んでもらう」「就業日に実務研修をしてもらう」が上位となった。

グラフ:スポットワーカーに対する研修

参考:マイナビ「アルバイト採用活動に関する企業調査

多くの企業が、業務開始前の研修に力を入れたいことがわかる。今後は、就業日だけでなく就業日前に事前に研修を受けられる機会を準備することも求められる。

関連記事:複数の職種を「スラッシュ」で区切る「スラッシャー」、「スラッシュキャリア」。副業との違いは

スポットワーカーのメリットとデメリット

スポットワーカーとして働くメリットには、以下のものが挙げられる。

● 柔軟な働き方
● 多様な仕事の選択肢
● 自己実現の機会

一方、デメリットとして挙げられるのは、以下の2つだ。

● 収入の不安定性
● 雇用保障の欠如

ここでは、それぞれのメリットやデメリットについて解説する。

メリット①柔軟な働き方

スポットワーカーとして働くメリットとして挙げられるのは、柔軟な働き方だ。スポットワーカーは、自分でスケジュールを管理したうえで、働く場所や時間を決められる。

複数の仕事を同時に請け負うことも可能だ。働く場所や時間、仕事内容を自分で選択できることは、スポットワーカーならではのメリットといえる。

メリット②多様な仕事の選択肢

2つ目のメリットとして挙げられるのは、多様な仕事の選択肢があることだ。スポットワーカーの仕事は、プラットフォームで探すのが一般的だ。プラットフォームには、Webサイト開発やデザイン、ライティングなど、さまざまな分野の仕事が掲載されている。

スキル次第では、複数の分野の仕事を受け持つこともできる。ひとつの仕事に縛られないこともスポットワーカーのメリットといえる。

メリット③自己実現の機会

3つ目のメリットとして挙げられるのは、自己実現の機会があることだ。前述したように、スポットワーカーは、働く場所や時間、仕事内容を自分で選択できる。複数の仕事に興味があれば、それらの仕事を受け持てる。趣味の時間に合わせて仕事の時間を調整することも可能だ。

自分のライフスタイルに合わせた働き方を選択できることは、大きなメリットといえる。

デメリット①収入の不安定性

スポットワーカーとして働くデメリットとして挙げられるのは、収入の不安定性だ。スポットワーカーは短期のプロジェクトや仕事の依頼を受けて働くため、常に決まった時間働くわけではない。

仕事量が安定しないため、収入も不安定になる。スポットワーカーとして働く以上は覚悟しなければならないデメリットといえる。

デメリット②雇用保障の欠如

2つ目のデメリットは、雇用保障の欠如だ。スポットワーカーは短期のプロジェクトや仕事の依頼を受けて働くため、長期的に仕事が依頼されるわけではない。そのため、自身で営業活動をして仕事を獲得する必要がある。

また、複数の仕事依頼を受けすぎるケースも珍しくない。スポットワーカーには、仕事量やスケジュール管理、報酬交渉といった、自己管理が求められるのだ。

関連記事:生活残業とは?意味や発生する原因、企業側の対策を解説

まとめ

スポットワーカーとは、短期のプロジェクトや一時的な業務に従事する労働者のことだ。保有しているスキルや知識を活かして、短期のプロジェクトに参画するケースや、日雇いのアルバイトとして労働力を提供するケースなど、さまざまな働き方がある。

スポットワーカーは、働き方の多様化やテクノロジーの進化の影響により増加している。ワーカーと企業のニーズがマッチし、マッチングするプラットフォームが登場したことにより、スポットワーカーの増加を後押しし、1,000万人を超える規模になったのだ。

スポットワーカーには、柔軟な働き方ができることや、多様な仕事の選択肢がある、自己実現の機会があるといったメリットがある。一方、収入の不安定性や雇用保障の欠如は、避けられないデメリットといえる。スポットワーカーとして働くことを考えているのであれば、デメリットを受け入れることが大切だ。

監修者

古宮 大志

古宮 大志

ProFuture株式会社 取締役 マーケティングソリューション部 部長
大手インターネット関連サービス/大手鉄鋼メーカーの営業・マーケティング職を経て、ProFuture株式会社にジョイン。これまでの経験で蓄積したノウハウを活かし、マーケティング戦略、新規事業の立案や戦略を担当。
また、事業領域の主軸となっている人事関連の情報やトレンドの知見を有し、ご支援している顧客のマーケティング活動を推進する上で人事分野の情報のアップデートに邁進している。

執筆者

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『MarkeTRUNK』編集部

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